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2009年03月30日

【スナップ】「フェスティバル/トーキョー09春」は合計9作品拝見しました

20090330_scarf.jpg
F/T大判ハンカチ

 東京発の新しい舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー09春」が3/29(日)に閉幕しました。
 ⇒記者発表 ⇒シンポジウム ⇒スナップ写真「大判ハンカチ」

 私が拝見したのは外部参加作品を含めて9作品ですね(全演目数は22作品)。
 ・リミニ・プロトコル『カール・マルクス:資本論、第一巻
 ・松井周演出『火の顔
 ・ロメオ・カステルッチ演出『Hey Girl!
 ・さいたまゴールド・シアター『95kgと97kgのあいだ
 ・桜美林大学総合文化学群演劇コース『トップガールズ
 ・プザンソン国立演劇センター『ユートピア?
 ・SPAC『転校生
 ・NODA・MAP『パイパー
 ・ポツドール『愛の渦

 あれも、これも観たかったのに・・・(涙)と悔し涙を流したい気持ちにもなる豪華なラインナップで、一観客としてとても充実した1ヶ月を過ごさせていただきました。
 国際交流はもちろん、世代間交流が活発に行われたことが、私にとっては大きな収穫でした。「私たちってこんなにバラバラだったのね、そしてつながることってこんなにハッピー&エキサイティングなのね」と実感しました。
 フェスティバル・ディレクター制を採用し、プログラムの全責任者が相馬千秋さんという若い女性だったからこそ、このような成果が生まれたのではないかと思います。相馬さんをはじめF/Tのスタッフの皆さま、ありがとうございました。

 池袋駅周辺にたくさん貼られていたフラッグ↓
20090312_FTflag.jpg

 『転校生』を観る前に立ち寄ったF/Tステーション↓で大判ハンカチを購入♪(500円になってました)
 次回の「フェスティバル/トーキョー09秋」では色を変えてくれるといいな~。
20090327_FTstation.jpg

 「F/T09春」のチラシたち↓です。インパクトのあるデザインでしたよね。※『オセロー』だけ仮チラシです(涙)。
200090329_FT_flyers.JPG

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 11:14 | TrackBack

2009年03月28日

【お知らせ】「CoRich舞台芸術まつり!2009春」第一次審査通過の10団体を発表!

 「CoRich舞台芸術まつり!2009春」の第一次審査の結果が発表されました! ⇒審査結果ページ

 ご応募くださった団体の皆様、本当にありがとうございました! 応募文章はやはり千差万別。毎年読み応えがあります。 私以外の審査員がすべて変わり、非常に新鮮な審査会になりました。

 審査を通過した10団体の皆さんと旅をする気持ちで、これからの3ヶ月を過ごしたいと思います。観客の皆さんも、公演を観た感想をCoRich舞台芸術!に書き込んで一緒に楽しんでくださいね♪

 早くも来年の開催が決定しています。ご興味のある団体の皆様、どうぞ参加をご検討ください。
 「CoRich舞台芸術まつり!2010春」開催決定!
  応募期間:2010年2月初旬~下旬
  開催期間:2010年3月~5月

Posted by shinobu at 20:41 | TrackBack

SPAC『転校生』03/26-29東京芸術劇場 中ホール

 「フェスティバル/トーキョー09春」のクロージング演目です。昨年、静岡で上演されて“伝説”となっていた舞台が、東京で再演されました。平田オリザさんの戯曲『転校生』を飴屋法水さんが演出されます。出演者は静岡の現役女子高生です。

 生まれて死ぬ人間。何世代にもわたってそれが繰り返されているのがこの世界です。世界そのものが、劇場にありました。遅刻厳禁です!3/29(日)まで!上演時間は約1時間50分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『転校生
 レビューはほぼ記録のみ。月末で書けない状況です。すみません。

 ≪作品紹介≫ 公式サイトより
 21人の女子高校生のために書いた平田オリザの戯曲『転校生』に、演劇界・美術界で伝説的な話題を集める飴屋法水がSPAC - 静岡県舞台芸術センターの製作により挑んだ衝撃作の再演がついに実現。出演するのは、静岡県全域からオーディションで選ばれた女子高校生たち。ある高校の教室、いつもと変わらない日常に、突然ひとりの転校生が現れる・・。単調な日常に潜む他者との出会い、人間の存在の不確かさが浮かびあがる。
 ≪ここまで≫

 ここからネタバレします。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 言葉は完全に正確ではありません。
 出演:飴屋法水 平田オリザ 宮城聰(進行)

 宮城「ひとことで言い表してしまうと(非常に言いづらいのですが)、生の一回性、不可逆性。(人の)はかなさと、(人が)つながっていくことの骨太さとが、対比して表されている作品。タイトル『転校生』とはまさに、この世に転校(転生)してくる人間(生)の意味。それが飴屋さんの演出を観て初めてわかりました。」

 平田「自分の戯曲が他の演出家に演出されるは嬉しい。自分が客席で(感動して)泣いてしまったら困る(しゃれにならない)のだけれど、今回もちょっとあぶなかった(笑)。」
 宮城「どうやって作品作りをされたのでしょうか?(⇒飴屋さんへの質問)」
 飴屋「女子高生に脚本を読んでもらいました。それだけです。(自分で)読んでも全然わかりませんでした。」
 平田「もともと(初演の出演者に)当て書きした戯曲で、台本は3段組だから(同時多発に会話が起こるので)、稽古は大変だったろうと思います。」
 飴屋「一番多いところは3段どころか5段あります。」

 平田「私は大阪大学の教授とロボット演劇というのをやっているのですが、飴屋さんは『人間は動物だ』と思っていて、その教授は『人間はロボットだ』と思ってる。」
 飴屋「平田さんはこの間のシンポジウムで『役者はもういらない』なんていう(大胆な)こと言ってましたよね。」
 平田「『人間はいらない』とは言ってない。」
 宮城「・・・(トークがこんな展開になると、私が)フォローしなきゃいけないじゃないですか(笑)」
 ※非常ににこやかな会話でした。

 宮城「ジャンプ(ダイブ・身投げ)をした女子高生の役は、あの後にセリフが一切ないんです。彼女はただ、いなくなった。劇中にも出てきた小説『風の又三郎』のように、人はフっといなくなる。それを飴屋さんは飛び降りという形で演出した。」

 宮城「飴屋さんの演出はものすごく細かいです。何度も、何度も、繰り返す。試してみる。たとえばバトン(劇場機構)が上がる演出も何度も試されています。私も一演出家として襟を正す思いでした。」
 飴屋「やってみないとわからないからです。」

 飴屋「その日の舞台の演出が決まるのは、本当にすべてが決まるのは、本番30分前。(例えば)サッカーの監督に似てるかもしれないですね。今日(の感じ)だとこう(いう演出が良い)かな~とか。」

 飴屋「自分は女子高生の子供がいてもおかしくない年齢で、転校生役の岡本孝子さんはちょうど自分の母親の世代。初演の稽古の時は、自分の子供(乳児)が生まれたばかりだったから、できるだけ(迷惑にならない程度に子供をつれてきて)稽古場に四世代が揃うようにしていた。」

≪東京、静岡≫「フェスティバル/トーキョー09春」参加作品 転校生/Transfer Student
出演(五十音順): 安部麻菜美 雷菜摘 池谷優紀 海野水希 大野裕果 小川弥生 柿沼明 木村早希 紅林大空 古牧亜未 佐野友香 菅井菜穂 杉本和 平野愛恵 堀田瑞季 堀川理緒 松浦麻依 藪崎真実 岡本孝子(転校生役)
演出:飴屋法水 作:平田オリザ 演出助手:深沢襟 演出サポート:館野百代 布施安寿香 本多麻紀 西沢理恵子 湯本アキ 舞台監督:村松厚志 舞台監督補:田中翼 舞台監督助手:内野彰子 青木売介 照明デザイン:丹羽誠 照明操作:川島幸子 照明:中野真希 音響・映像:小林淳哉、小峰純真、和田匡史 衣裳:竹田徹 制作:上野知里 仲村悠希 SPAC芸術総監督:宮城聰 後援:日本国際連合協会静岡県本部 静岡県教育委員会 静岡県私学協会 映像協力:(財)日本ユニセフ協会 (財)静岡県国際交流協会 協力:静岡サレジオ高等学校、駿河包装(株)、日本パンダ保護協会 製作:SPAC-静岡県舞台芸術センター
【F/Tスタッフ】制作:植松依子 インターン:堀江紗恵 F/Tクルー:伊藤優子 太田志帆 曽根真柴実 高橋マミ 高村美郷 松谷はるな 水野陽子 主催:フェスティバル/トーキョー
【発売日】2008/12/18 指定席 一般 4,500円(S席) 3,500円(A席) /学生 3,000円(要学生証提示)、高校生以下 1,000円 
http://festival-tokyo.jp/program/transfer/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:43 | TrackBack

プザンソン国立演劇センター・フェスティバル/トーキョー『ユートピア?』03/23-29あうるすぽっと

 フランス(シルヴァン・モーリス)、イラン(アミール・レザ・コへスタニの)、日本(平田オリザ)の共同製作です。いわば3本立ての構成です。フェスティバル/トーキョーのラインナップの中でも、最も国際色豊かな演目ですよね。

 ほっこり感動した後、その裏を見せられてニヤリ。最後は・・・私には意図がよくわかりませんでした。上演時間は約2時間30分(途中休憩を含む)

 ⇒CoRich舞台芸術!『ユートピア?
 レビューはほぼ記録のみ。

 ≪作品紹介≫ 公式サイトより
 平田オリザ最新作『クリスマス・イン・テヘラン』と、その出演者たちの舞台裏を再現するアミール・レザ・コへスタニの新作『サン・ミゲルの魚』、そしてブザンソン国立演劇センター芸術監督のシルヴァン・モーリスが描くのは、なんとこれらの作品を制作する演出家の妄想。3ヶ国の演出家と俳優たちによる言語・文化の差異を超えたメタ・メタ演劇構造は、演劇をユートピアに到達させ得るだろうか!?
 ≪ここまで≫

■「プロローグ」作・演出:シルヴァン・モーリス


■『クリスマス・イン・テヘラン』作・演出:平田オリザ


■『サン・ミゲルの魚』作・演出:アミール・レサ・コヘスタニ


■「エピローグ」作・演出:シルヴフン・モーリス

 ここからネタバレします。

 『クリスマス・イン・テヘラン』で、ひらたよーこさんが開けたプレゼントの「ママレンジ」でヤられました。涙ぼっろぼろ。私、持ってたんです。現代口語演劇でサラリと奇跡(のシーン)を見せられると、グっと来ますね。

 『クリスマス・・・』で「ええ話やな~」と普通に感動した後で、その舞台裏の現実を見せられました。優しくて幸せな国際交流もあるかもしれないけど、実際は言葉の通じる者同士でしか話さない(わかりあえない)ことがありますよね。出番を待っている間、女はおしゃべりするけれど、男は無言でゲーム(野球盤?)をやってるんですよね。男女の差がよく出てました。

 最後はガスマスクを被った役者さんが踊ってました。クリスマス・ツリーはいっぱいあるけれど、周囲は戦争状態みたい。主張が一方向に感じました。もっと多面的なものを感じられたらな~と思いました。

フェスティバル/トーキョー09春『Utopia?』
出演:ひらたよーこ、古屋龍太、井上三奈子(いずれも青年団)、レザ・ベヘポウディー サイード・チャンギズィアン エルハム・コルダ ナディーン・ブルラン セシル・クスティヤック エリック・プティジャン
「プロローグ」作・演出:シルヴァン・モーリス/『クリスマス・イン・テヘラン』作・演出:平田オリザ/『サン・ミゲルの魚』作・演出:アミール・レサ・コヘスタニ Amir Reza Koohestani/「エピローグ」作・演出:シルヴフン・モーリス Sylvain Maurice
脚本・演出:平田オリザ/アミール・レザ・コへスタニ Amir Reza Koohestani/シルヴァン・モーリス Sylvain Maurice 翻訳:ローズマリー・マキノ・ファイヨール〔クリスマス・イン・テヘラン〕 原真理子 田中志緒理 ネギン・シャリフ ドラマトゥルグ:ヤン・リシャール 演出助手(コヘスタニ):マヒーン・サドリ 美術・照明:エリック・ソワイエ 照明助手:ジャン・ピエール・ミシェル 衣裳:マリー・ラ・ロッカ 音響:ジャン・ド・アルメイダ 映像:ルノー・ルビアノ    
通訳;原真理子(日本語-フランス語) 田中志緒理(日本語-ペルシャ語) ネギン・シャリフ(ペルシャ語-フランス語) 製作:プザンソン国立演劇センター 共同製作:フェスティバル/トーキョー 助成:ヨーロッバ国際対話年2008認定事業 キュルチュール・フランス/フランシュ・コンテ地方 国際交流基金 ONDA クレディ・コオペラティフ
協力:ジュヌ・テアトル・ナショナル 青年団/〔有〕アゴラ企画・こまぱアゴう劇場 劇団メフル
【東京公演スタッフ】技術監督:カール・オーエル 技術コーディネート:播間愛子 舞台監督:中西隆雄 装置制作:鈴木健介 照明:ベルナール・ギヨロ、西本彩、鈴村淳 衣裳・小道具管理:有賀千鶴 音響:ジャン・ド・アルメイダ、泉田雄太、緒方晴英、井川佳代 映像:マニュ・セプ、山□久隆、深田晃司 字幕:西本彩、秋山建一 字幕オペレーション:田中志緒里、村上華子 制作:西尾祥子(システマ)、西山葉子、横山優 制作補佐:尾原綾
【F/Tスタッフ】制作:クラウトハイム・ウルリケ 制作サポート:ハッセルタラ・石塚 F/Tクルー:砂|||史織、ジュリエット・トリュフィー、渡部恵子 後援:フランス大使館 主催:フヱスティバル/トーキョー
【発売日】2008/12/18 指定席 一般 4,500円/学生 3,000円(要学生証提示)、高校生以下 1,000円
http://festival-tokyo.jp/program/utopia/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:26 | TrackBack

東京デスロック『リア王』03/26-29富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ

 多田淳之介さんが演出される東京デスロックの新作です。キラリンク☆カンパニーになって初めての、キラリ☆ふじみでの公演ですね。初日を拝見しました。上演時間は約1時間20分。

 多田さんがご自身のブログにも書かれていますが、私も東京デスロックおよび多田さんの活動は、過渡期を迎えているんじゃないかと思いました。 

 ⇒CoRich舞台芸術!『リア王
 レビューはほぼ記録のみです。

≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 言葉は完全に正確ではありません。
 出演:銀粉蝶(ゲスト・女優) 多田淳之介(演出)

 多田「(『リア王』にはさまざまなテーマがあるけれど)今回は“老い”をテーマにしました。」
 銀「自分たちに“老い”はわからない、ということを、そのままにやっているのが良かったと思います。私は、年を取るのもいいんじゃないかと思う。ダメになるのもいいんじゃないか。悲しいのも人間。その悲しさをどのように味わうかも人間。」
 銀「役者には性別はないと思います。」

 多田「『リア王』はやっぱり難しいですね。パルコ・プロデュース『リチャードⅢ世』で銀さんが演じられたマーガレットは、本当に素晴らしかった。どうやって演じられたのでしょうか。コツはあるんですか?」
 銀「愚直にやるしかないと思う。コツはないと思う。あったら教えて欲しい(笑)。」
 多田「シェイクスピアのセリフはとても人工的だと思った。」
 銀「そうですよね。人工的なセリフは楽にしゃべっちゃいけない(楽にしゃべっても観客に伝わらない)。自分の体と気持ちに負荷をかけて獲得するしかないセリフだと思う。尋常じゃないセリフは、尋常じゃない体(演技)で発する必要がある。」

 終演後のトークはテレフォンショッキング形式ということで、翌日の“お友達”はアナウンサーの中井美穂さんとのこと。う~ん豪華!

キラリ☆ふじみ芸術祭参加作品 東京デスロックREBIRTH#4
出演:夏目慎也 佐山和泉 石橋亜希子 坂本絢 佐藤誠 堀井秀子 山本雅幸
作:シェイクスピア 構成・演出:多田淳之介 照明:岩城保 舞台美術:濱崎賢二 音響:泉田雄太 宣伝美術:宇野モンド 演出助手:井坂浩 橋本清  衣装:石川夕子 制作:服部悦子 企画・制作:東京死錠 主催:東京デスロック 富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
【発売日】2009/01/15 日時指定・整理番号付き自由席 前売り2500円 当日2800円 学生・シニアは前売り・当日とも1500円
http://deathlock.specters.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 12:10 | TrackBack

桜美林大学総合文化学群演劇コース『トップガールズ』03/24-25東京芸術劇場小ホール2

 フェスティバル/トーキョーの「演劇/大学」企画4本の内の1本です。「キャリル・チャーチルの『トップガールズ』は面白い」という噂をずっと前に聞いていたので、戯曲目当てで伺いました。イギリスでの初演は1982年だそうです(松岡和子さんのサイトより)。

 大掛かりな装置にきちんとした衣裳。期待どおりとても面白い戯曲でした。チケット代が1000円とは驚きの価格!上演時間は約2時間30分(途中休憩15分を含む)。
 
 ⇒1992年版パンフレット掲載文(松岡和子)
 ⇒1992年版についての感想など
 ⇒CoRich舞台芸術!『トップガールズ
 レビューはほぼ記録のみ。

 ≪作品紹介≫ 公式サイトより
 A 桜美林大学 総合文化学群演劇コース
 『トップガールズ』(大学初演:2009.1.24-29/桜美林大学プルヌスホール)
 1982年ロンドンにて初演。日本では1983年と1992年の2回上演されている。作者のキャリル・チャーチルは1938年ロンドン生まれ。79年に発表した「クラウド9」でセンセーショナルな話題を呼ぶ。幕開きは、現代のキャリア・ウーマン、マーリーンの昇進祝いのパーティである。ところがそこに集まってくるのは、過去の数奇な生涯を生きた女性達、時代も国境も越えて、それぞれの人生を語り合う。その後は現代に戻り、社会の中での女性の立場がさまざまな角度から描かれる。終幕、マーリーンと姉ジョイスの壮絶なバトルは、現代を生きる全ての女性の葛藤が終結され、その鋭い問いかけは、私達の胸を揺さぶらずにはおかない。
 ≪ここまで≫

 本格的な上演でした。自分も学生演劇はやってましたけど、全然違う世界ですね。できれば4作品すべてを観てシンポジウムにも行きたかったですが、ほかにもF/Tでは魅力的な演目が上演されていて都合がつけられず。痛し痒しですね~。

 ここからネタバレします。

 女性が働くことを考えました。子供が犠牲になってるな~とか。
 最後にあった、マーリーンと娘が抱き合うシルエットが壁に映る演出は、なかった方が良かったんじゃないかと思いました。

Top Girls / J,F Oberlin university
【出演(演劇コース在校生)】マーリーン:尾留川藍 イザベラ・バード/ジョイス/キッド夫人:菊池佳南 二粂/ウィン:市原佐都子 フリート/アンジー:秋山友香 法王ジョン/ルィーズ:池口舞 忍耐強きグリゼルダ/ショーナ:伊藤安那 ウェイトレス/ジニーン:中村友美 ウェイトレス/キット:福田絵里 ウェイトレス/ネル:伊藤里世
作:キャリル・チャーチル 翻訳:安達紫帆 演出:高瀬久男(文学座/桜美林大学准教授) 舞台監督:石川佳澄 堀之内悛、高麗芙美子 中前夏来 舞台美術:槙悠吾、黒葛野繁之、川島啓嗣、佐々木理恵 重田実咲、澁澤萌 照明:水田歩美、小川裕実 大久保果那子、塚原佑梨、盧尚俊 岩淵幸弘 音響:松木優佳、中村光彩、戸塚絢子、石井團、宍倉直門 衣裳:上原美希、天神綾子、石田美生 小道具:坂本春菜、小倉優貴子 演出助手:木村愛子、後田真欧、相原洋平 岩井花子 亀尾建史 菅原和恵 宣伝美術(初演):早川春果 制作:萩谷早枝子、横山明香音、花房里奈 羽根佳美
衣裳提供:東京衣裳株式会社 小道具提供:高津装飾美術株式会社  舞台美術アドバイザー:乗峯雅寛(文学座) 照明アドパイソザー:金英秀(文学座/桜美林大学専任講師) 音響アドパイザ:富田聡 舞台サポート:熊木進 制作サポート:高橋優 【F/Tスタッフ】技術監督:寅川英司+鴉屋 技術監督助手:佐藤恵 舞台監督:上野早織 舞台監督助手:桑原淳 音響:相川晶(サウンドウィーズ) 照明:ファクター 制作: 武田知也 制作補:遠山ちあき F/Tクルー:岩田さや子 佐瀬飛鳥 須藤菜美、外山りき 中塚みなみ、平戸麻衣 藤井友理子 主催:フェスティバル/トーキョー
http://festival-tokyo.jp/program/university/

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Posted by shinobu at 11:50 | TrackBack

2009年03月23日

箱庭円舞曲『メガネに騙された』02/18-03/01 OFF OFFシアター

 古川貴義さんが脚本・演出される箱庭円舞曲の新作です。意味深げなタイトルがいつも気になっていた劇団ですが、本公演は初見。古川さんが5月にイプセン作『ヘッダ・ガブラー』を演出されるという情報を得て、千秋楽に滑り込みました。

 ポップな作風を想像していたのですが、意外にしっかり作られた社会派ストレート・プレイでした。メガネの話じゃなくて農家の話だった(笑)。たしかにチラシの写真は農道のようですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『メガネに騙された

 ≪あらすじ≫
 東京から栃木県のとある農村にやってきた若いカップル(棚橋建太・原田優理子)。移住して農業をはじめようと考えているのだ。神津兄妹(爺隠才蔵・片桐はづき)が暮らす一軒家の玄関は、そんな農業初心者を支援するセンターになっている。農協所有のそのスペースで、村民と来訪者の交流が始まる。
 ≪ここまで≫

 少し古びた一軒家の具象美術。広い目の玄関と畳が敷かれた居間で、その集落の現実が暴かれていきます。
 あつかましく他人の善意を期待していたら、面白いほどに裏切られたり。騙したつもりが騙されたり。

 派手めの音楽と照明は私の肌にはあまり合わなかったけれど、最後まで軽快に観られたという点では効果的だったのかもしれませんね。

 ここからネタバレします。

 前説(古川貴義)の後に装置が動いて驚きました。小さな和室だけかと思っていたら、玄関がゴソっと現れた。面白かったな~。OFF OFFシアターの舞台上の柱が全く気にならない、工夫が凝らされた美術でした。

 「私、河童なんです」ととんでもない身の上話をしはじめて、「だから浄水器が必要なの」と商品を売りつけようとする、ふてぶてしさ!(笑) 聞いてる方が「本当にこの人、河童なのかも・・・」と信じてしまいそうになるのが可笑しいです。でも人間って、明らかに嘘だとわかっていても信じたくなる性質がありますよね。

 神津(兄)が農協の嘘(ネギを群馬産と偽装)を暴き、復讐を成し遂げます。もうこうなってきたら色々とドロ沼。役者さんの演技がポーズに見えることが多かったので、辛らつなストーリーの割りに、全体はゆるい目な気がしました(そういう演出意図かもしれませんが)。もっと深くどす黒くするとか、ポップに抽象化するとかが、私好みかも。

 ミミズ入りの土を食べちゃう女を演じた、原田優理子さんの演技に魅かれました。そういえばこの女も、「何でもやる」と言ってた男(棚橋建太)に騙されたんだよな~。

【下北沢演劇祭参加作品】
出演:小野哲史 棚橋建太 須貝英 爺隠才蔵 村上直子(ホチキス) 片桐はづき 伊藤一将(メタリック農家) 高木充子(La compagnie An) 玉置玲央(柿喰う客) 原田優理子(トリのマーク) ヤナカケイスケ
脚本・演出・前説:古川貴義 舞台美術:稲田美智子 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 音響:岡田 悠(One-Space) 小道具:栗山佳代子 衣裳:箱庭箱 舞台監督:中西隆雄 野菜:山内翔 宣伝美術:Box-Garden House イラスト:須山奈津希 演出助手:陶山浩乃(劇団競泳水着) 制作:安田有希子 当日運営:伊藤静香(Karte)
前売:2,500円 / 当日:2,800円 18(水)の19:30の回、19日(木)、23日(月)、27日(金)の14:30の回は、初回割引/平日昼公演割引:前売:2,200円 / 当日2,500円
http://hakoniwa-e.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 21:35 | TrackBack

新国立劇場演劇研修所第2期生修了公演『珊瑚囁~大人の為の少し残酷でとても静かなお話~』02/28-03/02新国立劇場 小劇場

 新国立劇場演劇研修所第2期生の修了公演です。稽古場レポートを書かせていただきました。深津篤史さんの新作を研修所・所長の栗山民也さんが演出されます。上演時間は約1時間10分。初日と千秋楽の計2回を拝見しました。

 タイトル『珊瑚囁(さんごしょう)』の“囁”は“ささやき”です。確かにそこにあったものたち、そこに居た人たちの声を、深津さんが詩にしてくださいました。栗山さんがおっしゃる「演劇は歴史の記憶装置である」という言葉を実証する作品に仕上がっていたと思います。研修所のレパートリーになって欲しい!

 ⇒稽古場レポート
 ⇒CoRich舞台芸術!『珊瑚囁(さんごしょう)

 ≪あらすじ≫
 夢から目覚められない鳥。ハザマから動けない鳥。歩いても歩いても会社にたどり着けない鳥。誰も居ない更地で忘れられていく鳥。ツグミ(深谷美歩)はさまざまな鳥たちにいざなわれて、塔へと上っていく。
 ≪ここまで≫

 大地の下に埋まって海の底に沈んでも、確かにそこにあったものとして、そしてまた命を生み出すものとして、あの出来事が永く語り継がれる詩になりました。そして、お芝居であると同時に絵本にもなりました。

 むき出しの平台が並んだだけの殺風景な八百屋舞台の上を、普段着(冬服)の若者が歩き回り、立ち止まります。セリフは詩のようで、でも身近な言葉たち。客席に顔を向けた独白も登場人物同士の会話も、はっきりと通りの良い声で語られます。小道具はほぼゼロで、動きと言葉でみせていく、いわばシンプルなお芝居です。乱暴に言い方かもしれませんが、一般の観客が「演劇」という言葉を聞いて最初に思い浮かべる「演劇」に、あてはまるタイプの作品だと思います。

 でも、この演劇らしい演劇の中には、幾層にも、さまざまな仕掛けが張り巡らされています。登場人物がこの作品自体について語るメタ演劇の構図になったり、縦にそびえているはずのものが、あるきっかけで水平になったり(装置が動くわけではありません)、時間を行き来することで起こるタイムパラドックスを表す視点も組み込まれています。時間を瞬時に行き来し、空間を大胆に交錯させる中で、短いひとことに込められた気持ちと、その言葉が生まれる背景が、力強く、大きく立ち上がっていきます。

 こういった作品では役者さんの技術が特に問われるものですが(ごまかしがきかないので)、研修生の言葉の透明感が私にはとても心地よくて、体に無理なく染み込んでくれました。カラスを演じた1期生の古川龍太さん(賛助出演)はさすがの存在感でした。修了してからの1年の間に大きな舞台に立つことで、さらに成長されたのだと思います。その他の出演者で印象に残ったのは、ミサゴ(保可南)とモズ(吉田妙子)とノスリ(西原康彰)でした。

 1期生の修了公演は俳優学校の卒業公演に打ってつけの題材でしたが、『珊瑚囁』はそういう枠の中には納まらない作品でした。“俳優の見本市”にふさわしいとは言えないかもしれませんが、できれば研修所のレパートリーとして今後も上演されることを希望します。深津さんの演出でも観てみたいですね。そして関西地方でもぜひ上演されて欲しいです。

 ここからネタバレします。セリフは上演台本より引用。

 はっきりとセリフに出ては来ませんが、阪神淡路大震災が起こった朝、そしてその後を描いたお芝居でした。私は関西出身ですが東京に住んでいたので震災は経験していません。でも友人の体験談はリアルタイムで聞いておりましたので、「これはあの地震のことだ」と気付いた途端、短い言葉が次々にあの廃墟の風景(テレビや雑誌、新聞で見た写真と、友人から聞いた話からの想像ですが)とつながりました。そして涙が止まらなくなってしまった。
 物悲しい旋律の優しいピアノ。轟音。ヘリコプターのプロペラ音。裸の蛍光灯。

 地震で亡くなった人たちは鳥になって、あの日、あの場所で起こったことを思い出していきます。自宅で眠ったまま目覚められなかった人々、会社に向かう途中でがれきの下敷きになった人々、堅い何かにはさまって動けなくなった人々、命は取り留めたけれど、仮設住宅でその存在を忘れられてしまった人々。
 死者たちは自分たちの家について話します。間取り(1LDK、2Kなど)や自慢の庭のこと、誰と一緒に住んでいて、これからどうしていきたいか(子供を作りたい、引っ越したいなど)など。レビューで今までに何度か引用していますが、井上ひさしさんの戯曲『夢の泪』にある「人は場所に染み付いている」という歌詞を思い出しました。

 まだ息があるツグミ(深谷美歩)は、未来を知っているウミネコ(藤井咲有里)をはじめ、さまざまな鳥たちと出会いながら、壁の向こう側を旅していきます。※壁とは、人の上に覆いかぶさったコンクリートのこと。
 カラス「地図をみつけるんだ」
 オオハシ「古いやつだ、新しいのじゃない」
 ツグミ「地図」
 カラス「街がある、これは新しい地図だ」
 オオハシ「街があった。これが古い地図だ」

 ツグミは“古い地図”を見つけて、ずっと自分を見守ってくれていたノスリ(西原康彰)とともに、塔の上へと飛びます。そこは彼女の病室でした。ノスリは隣のベッドに横たわっていた負傷者だったのです。彼はやがて息をしなくなります。
 ツグミが病室の窓から外を覗くと、巨大な青いビニールシートが見えました(平台の向こう、舞台奥の壁に大きな青いビニールシートが現れます)。住人を呑み込んで崩れ落ちた家々は、やがて更地になり、そこにはビニールシートを使った仮設テントが張り巡らされていたからです。

 街を覆ったビニールシートは海、つまり珊瑚礁です。海の下にはたしかに街があって、そこで人々が暮らしていました。「私たちはたしかにここにいました。生きていました」という珊瑚のささやきが、ひたひたと海面まで満ちています。白い光で照らされてペラペラと光る青ビニシが、私にもはっきりと海に見えました。その海は静かに息をする珊瑚を抱いていました。
 ツグミは今はもうなくなってしまった、古い街を見つけます。道があったこと、お店があったこと、そこに人が住んでいたこと。それを確かめてから、ツグミは“私の前へ”一歩踏み出します。
 ツグミ「さんごは生まれて生きて死んで石になる」
 ノスリ「また生まれる」

 ※演出の栗山さんは、ひょうご舞台芸術第9回公演「GHETTO/ゲットー」(⇒第3回読売演劇大賞の大賞・最優秀作品賞、最優秀演出家賞、最優秀スタッフ賞を受賞)を神戸で上演した時に、青いビニールシートが延々とつらなる光景を見たそうです。

出演:新国立劇場演劇研修所第2期生(岩澤乃雅、熊澤さえか、佐々木抄矢香、滝香織、保可南、深谷美歩、藤井咲有里、吉田妙子、阿川雄輔、宇井晴雄、角野哲郎、西原康彰、遠山悠介、西村壮悟)/古川龍太(第1期生・賛助出演)
【作】深津篤史【演出】栗山民也【美術】長田佳代子【衣装】出川淳子【照明】川口雅弘【音楽】後藤浩明【音響】河原田健児【振付】夏貴陽子【ヘアメイク】川端富生【歌唱指導】伊藤和美【演出助手】田中麻衣子・大杉良【舞台監督】三上司【制作助手】島袋佳【研修所長】栗山民也 【主催】文化庁【制作】財団法人新国立劇場運営財団 新国立劇場演劇研修所の成果
【発売日】2009/01/20 A席:3000円 B席:2000円  Z席:1500円
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000223_training.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 19:39 | TrackBack

【情報】「CoRich舞台芸術まつり!2009春」本日応募〆切りです!

 3年連続で審査員をさせていただきます「CoRich舞台芸術まつり!2009春」の応募〆切りは、本日3/23(月)23:59です。第一次審査の結果は3/27(金)に発表されます。
 ⇒応募状況 ⇒fringe blog 

 何度も書いていることですが、「将来のビジョン」「応募公演への意気込み」「次回公演について(審査対象公演の次の公演)」はとても重要です。 審査員を含む誰もが最初に目にする“応募内容”こそが、団体の第一印象になります。
 チラシ画像も登録してくださいね!アクセス数が多いCoRich舞台芸術!TOPページにランダム表示されます。

 応募締め切り時刻まで編集は可能です。どうぞ納得の行く応募文章で、第一次審査に挑んでください!

Posted by shinobu at 12:49 | TrackBack

2009年03月22日

tpt『醜い男』03/22-29 BankART Studio NYK 3Cギャラリー

 ベニサン・ピットが閉鎖されて初めてのTPT公演。会場は横浜にある元・倉庫だった広いスペースです。

 マリウス・フォン・マイエンブルクさんの戯曲(レビュー⇒)をトーマス・オリヴァー・ニーハウスさん(レビュー⇒)が演出されます。ドイツ人コンビですね。

 顔の美醜についてのウィットに富んだ4人芝居でした。初日は拍手が鳴り止まず、カーテンコールが3回。上演時間は約1時間20分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『醜い男

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 レッテは、自分をフツーだと思っていた。 自分の顔のあまりの醜さを知った彼は、美容整形に救いを求める。 手術が終わって包帯を取った彼は知った…… この世には「美しすぎるもの」が存在するのだ。
 ≪ここまで≫

 コンクリートの打ちっぱなしの壁で囲まれた、だだっ広い空間。形は長方形で、天井が高く奥行きもあります。劇場ではないので音の反響が凄いのですが、客席のごく近くで演技をしてくださるので、セリフが聞こえないというわけではありませんでした(席によるかもしれませんが)。

 4人の役者さんは少々戯画的に創作されたキャラクターをのびのび、生き生きと演じられていて、ブラックユーモアの効いた軽妙洒脱なお芝居に仕上がっていました。楽しかった♪
 装置はほぼイス4脚のみとシンプルで、主人公レッテを演じる池下重大さん以外の役者さんは、1人で数役を次々と演じ変えていきます。役をスイッチしていく演出はスピーディーで小気味良く、缶ビールを何かに見立てたりするアイデアも、遊び心があって面白いです。
 衣裳がとってもおしゃれ!!ちょっとスノッブで洗練された大人のカジュアル・ルックでした。スニーカーが素敵。どこで売ってるんだろう。

 パンフレット(有料)に掲載された作家の文章の、「日本語にはアイデンティティに相当する単語がない」という指摘に納得でした。女性アイドルの誰かが人気者になったら、その人のメイクアップ方法が流行して、同じような顔をした女性がいきなり増えることなどを想像しました。

 ここからネタバレします。

 絶世の美男子になったレッテは女性にも男性にもモテモテになり、仕事も性格も変わります。技術者だったけれど商品のプレゼンをするようになり、奥さんがいるのに次々と求められるがままに浮気をしはじめます。彼があまりに美しいので、そんな状況が許されていきます。
 しかし、そもそも整形で作られた人工の顔ですから、全く同じ顔に整形する男性が増えてくると、レッテの希少価値はなくなります。仕事をしていなかったので技術もなくなり、会社からはお払い箱。奥さんも「あなたの顔が好き」と言うので、つまり夫がレッテでなくてもよくなります(レッテの助手と恋仲になる)。

 ビールを飲む動作が整形手術での執刀を表したり、りんごをむいて食べながら話したり。
 演じる役のキャラクター分けがくっきりとしており、笑いどころも着実に組み立てられていました。役者さんは観客とも柔軟にコミュニケーションを取る、開かれた状態にあったように感じました。

 作家マリウス・フォン・マイエンブルクさんの言葉(パンフレット)より一部抜粋。
 「(ある日本人演出家は)日本におけるアイデンティティというのは、心理や子供の頃の刷り込みによるものではなく、育った家族や所属する会社によって形成されるからだというのです。そして転職して会社を変えたなら、アイデンティティも変わってしまうのです。つまり個々人の確固たるアイデンティティという概念がなく、アイデンティティは完全に流動的とまではいいませんが、かなり柔軟に変化するものなのです。彼(※)はさらに、西欧で個性的だと考えられるものすべては、基本的に意味がない、なぜなら日本人は決まった商品を買うことで個性が表現されると信じているから、少なくともそのために商品が購入されるし、その商品を獲得することで、それが作り出す幻想をも獲得する、と言うのです。個性的になろうと、つまり他の人とは違う人間になろうとすることこそが、我々を画一的にしていまうのです…」
 ※彼とは、マイエンブルクさんに脚本執筆を依頼した、ある日本人演出家のこと。

【出演】レッテ(醜い男):池下重大 ファニー(レッテの妻/金持ちの老婦人/外科医の助手):武田優子 シェフラー(レッテの上司/外科医):小谷真一 カールマン(レッテの助手/金持ちの老婦人の息子):田村元 
作:マリウス・フォン・マイエンブルク 訳:林立騎 演出:トーマス・オリヴァー・ニーハウス セット:松岡泉 照明:笠原俊幸 衣裳:原まさみ 音響:長野朋美 通訳:黒田容子 助成:平成20年度文化庁芸術創造活動重点支援事業 後援:東京ドイツ文化センター 協力:BankART 1929
チケット前売り開始:3/6(fri) 一般5,000円 学生3000円(TPTのみ取扱い)
http://www.tpt.co.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:47 | TrackBack

2009年03月20日

加藤健一事務所『川を越えて、森を抜けて』03/18-29本多劇場

 『川を越えて、森を抜けて』はアメリカに移住したイタリア系移民の家族3世代の、インターネットがまだ普及していない頃のお話です。2000年の日本初演で私はすごく感動したんですよね。観客が今の生活と容易に関連付られる、親しみやすくて心温まる作品だと思います。

 加藤健一事務所らしい、笑いどころが多い演出になっていました。大げさな演技には付いていきづらいこともありましたが、平凡な日常の喜び、悲しみを大切に伝えてくださっていて、戯曲への愛情を感じました。 幸せな時間でした。演出は文学座の高瀬久男さん。上演時間は約2時間15分(途中15分の休憩を含む)。⇒舞台写真

 ⇒CoRich舞台芸術!『川を越えて、森を抜けて
 レビューはアップできるかどうかわかりません。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 アメリカ・ニュージャージー州の小さな町に住むフランク(加藤健一)、アイーダ(竹下景子)夫妻。2軒隣には娘の夫の両親ヌンツィオ(有福正志)とエンマ(一柳みる)夫妻の家があり、孫のニック(山本芳樹)も祖父母たちの近くで暮らしている。毎週日曜日には、みんなでいっしょにディナーを食べる仲の良いイタリア系の家族だ。
 ある木曜日、仕事の都合で遠くシアトルに引っ越すことになってしまったニックは、日曜日を待たずに祖父母たちに報告に来た。突然の発表におどろいたおじいちゃん、おばあちゃんたちは、ニックにシアトル行きを中止させるために“お見合い計画”を思いつく。
 数日後の日曜日、いつものようにディナーにやってきたニックは、エンマの知り合いの若い女性・ケイトリン(小山萌子)を紹介される。シアトルに行くか、町に残るかを決断できずにいたニックはディナーの後、発作で倒れてしまう。それから数日間、ニックはフランクの家で過ごし、今まで目にしたことのないような祖父母たちの姿を見る・・・。
 本当の家族の愛とは?絆とは何か。
 ニックの出した結論は・・・・・
 ≪ここまで≫

加藤健一事務所vol.71 "Over the river and through the woods"
≪東京・本多劇場、東京・カメリアホール、岐阜、石川≫
出演 加藤健一 竹下景子 小山萌子 山本芳樹 (Studio Life)  一柳みる (昴)  有福正志
作:ジョウ・ディピエトロ 訳:小田島恒志 平川大作 演出:高瀬久男 美術:倉本政典 照明:森脇清治 音響:松本昭 衣裳:竹原典子 ヘアメイク:馮啓孝 舞台監督:鈴木政憲
【発売日】2009/01/25 前売:5,000円/当日5,500円(全席指定) 高校生割引:2,500円(学生証提示・当日のみ)
http://homepage2.nifty.com/katoken/71index2.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 18:36 | TrackBack

さいたまゴールド・シアター『95kgと97kgのあいだ』03/18-29にしすがも創造舎 特設劇場

 55歳以上の俳優のみで構成されるさいたまゴールド・シアターは、彩の国さいたま芸術劇場芸術監督である蜷川幸雄さんの提案で2006年に発足した劇団です。私は初見。

 1985年に書かれた清水邦夫さんの戯曲『95kgと97kgのあいだ』を蜷川さんが演出されます。さいたまゴールド・シアターでの初演は2008年。劇団初の東京公演が実現されて嬉しいです。

 老人と若者の肉体を対比させて見せる演出に感動しました。もー涙流れすぎて泣き疲れた(苦笑)。上演時間は約1時間15分。前売りは完売のようですね。

 ★ネット販売は完売ですが、電話予約ができる日があるそうです(2009/03/23加筆)。
  電話予約:03-5468-8113(ぷれいす)
  25日(水)、26日(木)、27日(金)のみ。他日程は当日券を若干枚数販売予定。

 ⇒CoRich舞台芸術!『95kgと97kgのあいだ
 レビューをアップしました(2009/03/23)。

 開幕した時の雰囲気から、1本の筋がとおったわかりやすい物語ではなさそうだったので、セリフや行動の辻褄などは考えないように、ただ舞台を浴びるように鑑賞することに決めました。それが私には功を奏したようです。

 出演者はなんと約80名!いかにも役者然とした若い俳優は、ばねを感じさせるみずみずしい体に経験の浅さ(若さ)が見え隠れし、セリフにおぼつかなさが残る年配の俳優は、実体のあるぶ厚い歴史が体全体からにじみ出ています。その対比があざやか。

 まるで稽古場のような舞台(しかも会場は体育館)で、少々大仰なセリフ劇と、ワークショップ(稽古)のような場面が入れ替わり繰り出されました。若者を見る老人、老人を見る若者という劇中劇のような構図もしばしばあって、黒リノリウムが床に貼ってあるだけのシンプルな空間が、ダイナミックに変化していきます。
 お芝居はそもそもが作り事(嘘)ですが、そこに俳優がいて、目に見えて汗だくになっていく彼らの体には嘘はありません。虚構と現実が猛スピードで入れ替わる演出によって、ずっと気持ちが振り回されっぱなしでした。心と体ごと、大きな振り子になったような状態。

 蜷川さんは戯曲をできるだけ変えずに演出されるそうです。70年代の安保闘争が題材になっている20年前の戯曲が、これほどの普遍性をもった作品になっていることが凄いと思います。

 ここからネタバレします。誤読だらけかもしれません。セリフは正確ではありません。

 「並べば切符が買える」という噂を聞いて行列に並ぶ人々。列からはみ出すと機動隊に殴られて、どこかへ連れて行かれてしまう。自分の順番が来てもどうなるのかは実はわからない(切符はもらえるのか?先頭の人が入っていく上手黒幕の奥では叫び声が聞こえる)。それでも並び続ける人たちに向かって、青年(横田栄司)が乱暴に語りかける。

 国家の言いなりになって暮らす人たちと、それに反発する(行列を乱す)人たち。反発は警察権力によって押さえつけられ、何もなかったように再び日常がやってきます(行列がもとどおりに続きます)。青年の「行列の中で死んだ人間(国家に反発した人間)がいた」というセリフを合図に、客席後方から年配の俳優たちが、つらそうにうめきながら登場しました。本当に死者が現れたように感じてぞっとしました。
 その中には、学生運動に関わって命を落とした人もいたでしょうが、交通事故で昨日死んだおばあさんや、原始時代に死んだ遠い祖先もいたように感じました。さいたまGTの俳優が演じるので、今を生きる生活者と死者が重ね合わさったように感じ、体が震えました。どきどきして、涙が流れました。

 架空の砂袋をかつぐ演技練習(?)で、リーダーが砂袋の重さを変えていきます。50kgからいきなり100kgにすると、ばったり倒れてしまう老人もいたため、増やす重量を小刻みにすることにします。例えば95kgから97kgへと2kgだけ増やしてみるとか。そのわずかな差を慎重に、繊細に、演技で表わそうとします。その差を伝えることに命をかけるのだと、青年は言います。
 ○か×か、白か黒か、敵か味方かという両極端の選択肢しか許さないで、どちらか決めた方へと猪突猛進するのは、実は楽をしているんですよね。無数の選択肢の存在を認めて、その微妙な違いを命がけて伝えようとすること。それが人間が行うべきコミュニケーション(対話)なんだと思います。

 終盤で戦後のつらい体験を老人たちが語り始めた時は、演技がそれまでになく仰々しかったので少しがっかりしました。でも青年(横田栄司)が客席に走り上って、老人らに向かって「消えろ!思い出バカ!」(セリフは正確ではないかも。「うせろ」だったかしら。)と叫んだので、痛快で大笑いしてしまいました。

 賛美と嘲笑が入れ替わり、塗り替えられていくことや、死んだと思ったらまた生き返る演出は、人類の歴史そのものだと思います。最後は若者も老人も同じ1列の行列に並びました。地震なのか爆発音なのか銃の乱射音なのか、何かを破壊する音が大音量で降り注ぐ中、客席の方から吹きすさぶ嵐が、行列の人たちを舞台の外へと追いやっいきます。そこに赤ん坊の泣き声が聞こえていました。未来への希望が示されているように思いました。

「フェスティバル/トーキョー09春」参加作品
【出演】あの一群たち(さいたまゴールド・シアター):石川佳代、宇畑稔、大串三和子、小川喬也、小渕光世、葛西弘、加藤素子、神尾冨美子。上村正子、北さわ雅章、小林允子、小林博、佐藤禮子、重本恵津子、関根敏博、田内一子、高田誠治郎、高橋清、滝澤多江、宅端渓、竹居正武、谷川美枝、田村律子、ちの弘子、都村敏子、寺村耀子、遠山陽-、徳納敬子、中島栄一、中野富吉、中村絹江、西尾嘉十、林田惠子、百元夏繪、益田ひろ子、美坂公子、宮田道代、森下竜一、吉久智惠子、渡邉杏奴
行列たち(NINAGAWA STUDIO):秋山拓也、飯田邦博、市川なつみ、今村沙緒里、江間みずき、太田馨子、荻野美香、小田めぐみ、加藤亮佑、金子文、狩野淳、川﨑誠司、黒田龍矢、小石祐城、斎藤美穂、澤魁士、嶋田菜美、新川將人、鈴木重輝、清家栄一、高橋映衣子、高橋永江、田中結佳、中村千里、難波真奈美、西村篤、野辺富三、畑中研人、福田潔、古屋恭平、増田広太郎、松本昇大、茂手木桜子、本山里夢、谷中栄介、横田透、渡辺るみ
サックス:松延耕資 ヴァイオリン:桜野貴史 女O:奥村佳恵 青年:横田栄司
脚本:清水邦夫 演出:蜷川幸雄 演出補:井上尊晶 美術:安津満美子 照明:岩品武顕 衣裳:小峰リリー 音響:市川悟 演出助手:藤田俊太郎 舞台監督:山田潤一 スローモーション・マイム指導:清家栄一 荒川將人 制作:三崎カ、田中謙介、松野創
【F/Tスタッフ】にしすがも創造舎劇場スタッフ:弘光哲也 フロントチーフ:吉田直美 フロントスタッフ:三好佐智子 制作:樺澤良 製作:財団法人埼玉県芸術文化振興財団 主催:フェスティバル/トーキョー
【発売日】2008/12/18 一般 4,000円/3,000円(桟敷)/学生 3,000円(要学生証提示)、高校生以下 1,000円 自由席 F/T回数券(3演目/5演目)、F/Tパス、ペアチケットあり
http://festival-tokyo.jp/program/btween95-97kg/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:14 | TrackBack

新国立劇場演劇『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』03/18、03/20、03/21新国立劇場小劇場

 メルマガ3月号でご紹介しました、シリーズ・同時代【海外編】のスペシャルイベントの1つ、番外連続リーディングの1本目『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』の、初日を拝見しました。開演10分前ぐらいからパフォーマンスが始まっていましたね。

 「シリーズ・同時代【海外編】」の3演目(『昔の女』(⇒レビュー)『シュート・ザ・クロウ』『タトゥー』)のいずれかのチケットがあれば入場可(無料)。チケット1枚で複数作品が観られます。

 つまり『昔の女』のチケットがあれば、『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』、『最後の炎』、『タロットカードによる五重奏のモノローグ』の3本のリーディングが観られることになります。超~お得!

 今思いついたんですが、5月上演の『タトゥー』のチケットで3月&4月のリーディングを観れば、『昔の女』と『シュート・ザ・クロウ』の舞台装置がタダで観られるますよね。←演劇オタクならではの発想かしら(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『アテンプツ・オン・ハー・ライフ

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 英劇界の今四半世紀において最も重要な実験作との評価もある『Attempts on Her Life』(1997)は、マーティン・クリンプ(1956 -)の代表作。アン(あるいはアニー、アーニャ…?)という女性を軸にしつつも、一貫性のある登場人物やプロットが存在しないバラバラの17の断片は、グローバル化した資本主義経済下の世界を丸ごと描出しようとする果敢な試みだ。
 ≪ここまで≫

 2008年4月から新国立劇場で月1回のペースで開催されてきた「現代戯曲研究会」の成果ということで、計6本の海外戯曲が紹介されます。ありがたいことです。

 カジュアルな衣裳の若者たち。舞台中央奥の壁に映像が映されます。上下にはモニターも。イスに座って脚本を読むだけにとどまらず、歌ったり踊ったり楽器を演奏したり、演出は盛りだくさん。
 1本とおったストーリーがあるわけではないし、登場人物も固定ではなさそうだしい、自分で戯曲本を読んでも全然わからないだろうな~と思いました。こういう形で上演されるのは助かります。
 アンという1人の女が現代人全体を表す存在となっていくように感じました。「ポルノ」が面白かったです。

 ここからネタバレします。

1.すべてのメッセージを消去しました。
 開演前から留守番電話のメッセージが劇場内で放送されている。アンに向けた言葉。

2.愛とイデオロギーの悲劇
3.我等自身の信条
4.ご契約のお客様
5.カメラはあなたを愛している
 ラップで驚いた(笑)。アクセントになって楽しかったですが、楽器の音でセリフが聞こえないことがあったのは残念。

6.ママとパパ
7.ニュー・アニー
 ギター弾き語り(竹田桂)とフランス語(吉田紗和子)。エスプリが効いていて面白かった。

8.素粒子物理学
9.国際テロリズム(登録商標)の脅威
 ある単語について「登録商標!」と機械的な声で言うのが笑える。

10.笑える感じ
11.無題(百の単語)
 映像、ギター(竹田桂)、手話など。

12.奇妙なことに!
13.エイリアンと交信する
14.隣の女の子
 ラップ。だったような。

15.供述
16.ポルノ
 キャスターらしき女(熊坂理恵)が語る。日本語、フランス語(吉田紗和子)、韓国語(金成均)が混ざる。井上陽水の「最後のニュース」がすごく合ってる(ギターの弾き語り:竹田桂)。“1人の女”が、世界中の誰かになって、地球全体がぐっと舞台に凝縮された感じ。とても面白かった。グっときた。

17.新鮮/?


 どの短編だったか忘れましたが、金成均さんの1人語りが素晴らしかったです。
 声が澄んでいて、何をしゃべっても耳が嬉しくなったのは若菜大輔さん。
 辻村優子さんの太い声が素敵。歌(?)が良かった。できればもっとセリフが聞きたかったですね。
 長元洋さんが三味線(?)、岸田茜さんがバイオリンを演奏。他にも楽器が多用されていて、3期生の方々はとても芸達者だなと思いました。

新国立劇場2008/2009シーズン 
3月18日(水)7:00 20日(金・祝)6:00 21日(土)6:00
出演:新国立劇場演劇研修所研修生3期生(岸田茜/熊坂理恵/鈴木良苗/辻村優子/野村真理/吉田紗和子/渡邉樹里/宇髙海渡/金成均/香原俊彦/竹田桂/長元洋/米川貴久/若菜大輔
脚本:マーティン・クリンプ 演出:北澤秀人 映像:鳥井真央 手話指導:田中文 舞台・照明・音響操作:新国立劇場技術部 シアターコミュニケーションシステムズ レンズ 芸術監督:鵜山仁 主催:新国立劇場
※「シリーズ・同時代【海外編】」『昔の女』『シュート・ザ・クロウ』『タトゥー』のいずれかのチケットで入場可。シリーズ公演のチケット1枚で複数作品をご覧いただけます。
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000180_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 11:33 | TrackBack

2009年03月17日

【映画】「罪とか罰とか」(脚本・監督:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)03/17テアトル新宿

 映画「罪とか罰とか」を観て来ました。ケラリーノ・サンドロヴィッチ脚本・監督作品です。

 舞台俳優が大勢出演している超ブラックなコメディー。「おいしい殺し方」も笑いっぱなしでしたが、今作でも笑わせていただきました。ばらばらだったパズルのピースが、ずんずん組み合わさっていく展開も小気味良かった。

 主役の成海璃子さんは「神童」「君にしか聞こえない」の時よりも若干ぽっちゃりした印象でキュート!17歳か~、すごいですね。

 ※気分で日記みたいなものを。
 新宿に行くとついつい伊勢丹に寄ってしまい、そして衝動買いをしてしまう・・・な~んて、非常に久しぶりに昔の癖が出ました。散財バンザイ。

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:51 | TrackBack

ワタナペエンターテインメント『ミュージカル「ザ・ヒットパレード」』03/05-25ル テアトル銀座

 原田泰造さんと戸田恵子さんが主演のュージカルです。鈴木聡さんの脚本を山田和也さんが演出、音楽を宮川彬良さんが手がけるというだけでも、すごく惹かれますよね。初演は気になりつつも見逃したので、再演されてラッキー!

 渡辺プロダクションの創業者である実在のご夫婦の半生を、昭和の大ヒット曲とともにつづる、文句なしに楽しい和製ミュージカルでした。曲数が多い!生バンドが嬉しい!RAG FAIRが素敵~♪上演時間は約3時間(途中20分間の休憩を含む)。レビュー書きつつ、ザ・ピーナッツを歌ってます(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ミュージカル「ザ・ヒットパレード」

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより一部引用。
 焼け跡の東京。
 戦争によりすべてがゼロになった地点からのスタート、ラジオからは進駐軍が持ち込んだアメリカのヒット曲が流れ、日本は物凄いエネルギーで経済復興を果たしていきました。
 そこには新しい時代を切り開いていった若者たちの、大きな夢がたくさんありました。
 戦後、日本のショウ・ビジネスを確立し、発展させた渡辺プロダクション。
 創業者の渡辺晋、美佐夫妻をモデルに、一組の夫婦の半生を、
 数々の名曲とともに描いた本作品、MUSICAL「ザ・ヒットパレード」。
 ≪ここまで≫

 メドレーが素晴らしい!オリジナル曲も楽しい!私は30代中盤ですので、大半が聞いたことのある曲でした。⇒全楽曲リスト 昭和の日本をたどっていく実話をもとにしたストーリーですが、説明くさくないし、「あの頃は良かった」みたいな余計な懐古趣味もなくて、とても面白かったです。

 ナツメロなのに今の歌として聴けたのが、私にとっては嬉しい発見でした。あの頃みんなを支えた歌は今も健在で、そして不滅なのだと感じられました。RAG FAIRがさらりと歌ってくれるのがとても良かった。

 ミュージカルはそれほど沢山は観ていないのですが、曲数が多いんじゃないかと思います。メドレーも何度もありますよね。コンサートを見ているような気分にもなりました。感動して何度か涙が流れました。メドレーの編曲が凄い。
 皆さん、衣裳をどんどん変えていきます。豪華で贅沢。特に戸田恵子さんの衣裳はワンピース、ドレス、スーツなどなど、クルクル変わって楽しかった。スタイルが美しいですね~。

 ここからネタバレします。

 鈴木さんの書く歌詞はかわいいな~。「シマウマ シマウマ」とか、もうたまんない。
 ジュリー(沢田研二)の曲ってやっぱりかっこいいですよね。今聞いてもシビれるぜ。 

 昔のジャズマン仲間が晋さん(原田泰造)のことを責めるシーンはぞくぞくしました。オリジナル曲"GET BACK GOOD DAYS"から"Anything goes"に行くのがかっこいい!

 ものまねをして歌うのはあまり私の好みじゃなかったですね。歌手の真似はせずに、音楽をそのまま聴かせてくれるのが好きでした。

≪東京、大阪≫
出演:原田泰造/戸田恵子/瀬戸カトリーヌ/池田有希子/北村岳子/杉崎真宏/三上真史/升毅/RAG FAIR(引地洋輔・土屋礼央・奥村政佳・加納孝政・加藤慶之・荒井健一)/宮川彬良とザ・ヒットパレード
脚本:鈴木聡 演出:山田和也 音楽:宮川彬良 美術:伊藤保恵 照明:高見和義 音響:山本浩一 振付:川崎悦子 衣裳:黒須はな子 ヘアメイク:宮内宏明 音楽コーディネーター:荒木浩三 稽古ピアノ:荻野清子 振付助手:安達桂子 演出助手・歌唱指導:小川美也子 舞台監督:幸光順平・小林清隆 宣伝:大澤剛(ワタナベエンターテインメント)  ディップスプラネット 制作進行:高田雅士 制作:渡部隆 佐野睦(ワタナベエンターテインメント) 中島隆裕 エグゼクティブ・プロデューサー:渡辺ミキ(ワタナベエンターテインメント)主催:フジテレビジョン 朝日新聞社 ぴあ サンライズ プロモーション東京 ワタナペエンターテインメント 関西テレビ放送(大阪公演) サンライズプロモーション大阪(大阪) 企画・製作:ワタナペエンターテインメント
S席10000円 A席8000円 ボックス席20000円(2名様)
http://www.hit-parade.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 00:30 | TrackBack

2009年03月16日

【お知らせ】「CoRich舞台芸術まつり!2009春」応募〆切(3/23)まであと1週間です!

 「CoRich舞台芸術まつり!2009春」の応募〆切りは2/23(月)です。あと1週間ですね。関連エントリー⇒
 fringe blogに記事をアップしました。ご興味のある方はぜひご一読いただけたらと思います。

 昨年も書きましたが、「将来のビジョン」「応募公演への意気込み」「次回公演について※」はとても重要です。本気を出して、じっくり書いてくださいね。〆切日までは編集可能です。
 ※“次回公演”とは、グランプリを受賞した場合に100万円の支援を受けることになる公演のことです。

 現在の応募団体の動画などを拝見しつつ、ご応募をお待ちしておりま~す。

Posted by shinobu at 15:28 | TrackBack

2009年03月14日

新国立劇場演劇『昔の女』03/12-22新国立劇場 小劇場

 メルマガ3月号でもご紹介しました、新国立劇場「シリーズ・同時代【海外編】」の第1弾。ドイツの劇作家ローラント・シンメルプフェニヒさんの戯曲を倉持裕さん(ペンギンプルペイルパイルズ)が演出されます。

 すっごく面白かったっ!!豪華で上品で、遊び心もあって、一般の大人が満足できる観劇体験になるのではないでしょうか。いわゆるわかりやすい、親しみやすい物語ではないですが、とってもお勧めです。上演時間は約1時間40分。

 シンメルプフェニヒさんも出演されるシアタートーク特別編(終演後約1時間)も拝聴しました。帰りにロビーでシンメルプフェニヒさんの戯曲「前と後」(訳:大塚直)を購入し、ご本人にサインもしていただきました♪

前と後 (ドイツ現代戯曲選30)
ローラント シンメルプフェニヒ
論創社
売り上げランキング: 542189

 ⇒CoRich舞台芸術!『昔の女

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 引越しの準備をしているある三人家族のもとに、突然24年前に別れた夫(松重豊)の恋人(西田尚美)が現れた。今は長年連れ添った妻(七瀬なつみ)も息子(日下部そう)もいるという夫に、その女は永遠の愛を誓う約束を果たしに来たと繰り返し迫り、彼を次第に恐怖へと陥れてゆく……。
 ≪ここまで≫

 出来事だけを追うと残酷なお話なのですが、時間を前後するシーン展開は軽やかで驚きがあり、笑いもたくさん散りばめられています。装置、照明、衣裳などのスタッフワークは豪華で見ごたえがあるし、倉持さんならではのトリッキーな仕掛けもポップで面白いし、とても充実した、幸せな観劇になりました。こういう作品を新国立劇場で観られるのが嬉しいです。

 美術(中根聡子)が素敵だった~・・・♪(恍惚のため息) 舞台は19年間3人家族が住んでいた家です。白い塗りの壁には適度に汚しが入っており、年輪を感じさせます。プロセニアム舞台ですが、前方数列の客席を囲むように上下(かみしも)に通路がありまして、床はいわばコの字型。天井部分には巨大な額(のようなもの)が、屋根のように斜めにかぶさっています。部屋の壁や床、ドアは具象でリアルに作られていますが、全体としては抽象的なだだっ広い空間でもあります。

 パンフレットの作家の言葉によると、この戯曲のテーマは「反古(ほご)にされた約束」なんですね。若い頃の恋人と、20年間一緒に暮らしてきた家族と。夫フランク(松重豊)はどちらを取るかという選択に迫られます。
 妻も息子も目の前にいるのに、“昔の女”は突然やってきてバカなことを言い出すな~と最初は思ったのですが、「歴史や年月ってそんなに大事なのかしら?」「その場、その瞬間の感情の方が、時には重要だったりするのでは?」などと、短い言葉が行き交う会話の最中に、色んな思いをめぐらせました。観客が色んな想像をする余白が、豊富に用意されているおかげだと思います。
 
 ここからネタバレします。

 フランクのかつての恋人ロミー(西田尚美)は、彼女が17才の時にフランク(当時19歳)が言った約束「君をずっと愛し続ける」を守ってもらおうと、フランクの居場所を突き止めて24年ぶりに2人は再会します。

 閉まらないドアの仕組みおよびドアの開閉の音響効果とか、白くて広い壁に動画を映写して暗転していくとか、ロミー(西田尚美)に窒息死させられた息子アンディー(日下部そう)の死体を人形で表現するとか、ロミーのプレゼント(爆弾?)に触れて妻クラウディア(七瀬なつみ)の体がメラメラ燃えたりとか。
 同じ会話が繰り返されるけれど、演技の仕方をすっかり違うものに変えるという演出は素晴らしいですね。

 最後は燃え盛る炎(の照明)の中、家が下に沈んでいきました。家の2階部分の額縁の中には、アンディーの恋人ティーナ(ちすん)がいます。目を見開いて客席をじっと見つめたまま。彼女もまた男に約束を反古にされた女になるんですよね。後から後から、色んな想像を膨らませて考えられる作品でした。

 役者さんの演技については、全体的にコミカルで軽快で楽しく見られたのですが、トークでシンメルプフェニヒさんがおっしゃっていた「ほんのわずかですが人工的に見えた」という感想は、私も持ちました。そこもまた楽しむポイントかもしれませんが。

 ≪シアター・トーク【特別編】≫ 
 特に心に残ったことを下記に。言葉は私がメモしたものです(完全に正確な記録ではありません)
 出演(壇上向かって左から):新野守広(司会) 鵜山仁 倉持裕 大塚直 ローラント・シンメルプフェニヒ 通訳さん(女性) 

 シンメルプフェニヒ「この作品は喜劇でもあり、メロドラマでもあり、悲劇でもあります。それがちゃんと表されていた。ドイツでは、演出家の1つの考えによって、戯曲がその中にねじ込まれることが多い。でも今作品では、この戯曲の色々な色彩がきれいに平行して描かれていて素晴らしい。」

 シンメルプフェニヒ「(私が戯曲を書くときは)短い時間にどれだけ沢山の感情を出せるか。物語を加速させて、感情が押し出されてくることを目指している。」

 倉持「(戯曲については)修飾語を極力そぎ落としていることや、こけおどしがないことなど、そういう姿勢が(自分と)共通すると思った。エンターテインメント性を持ちつつ、実験もしていることにも共感した。」

 倉持「日本の小劇場は、商業演劇的な方向(わかりやすい、親しみやすい)へ進んでしまっている気がする。でもドイツの作家は好きなことをして、実験をしていると思った。初心にかえった気持ちです。」
 シンメルプフェニヒ「芸術とは、傷口にあえて触れること。気持ちがいいことばかりではない。挑発こそ芸術だとも言える。」


 ドイツ人の劇作家が来日してトークにも出演してくださり、すごくありがたいことだと思いました。芸術監督のお考えを聞くことができたのも良かったんですが、できればもっと作品自体についての話が聞きたかったですね。登壇者を少なくした方がいいんじゃないかと思いました。

シリーズ・同時代【海外編】Vol.1
出演:松重豊、七瀬なつみ、日下部そう、ちすん、西田尚美
作:ローラント・シンメルプフェニヒ 翻訳:大塚直 演出:倉持裕 美術:中根聡子 照明:小笠原純 音響:上田好生 衣裳:太田雅公 ヘアメイク:川端富生 演出助手:山田美紀 舞台監督:北条孝 芸術監督:鵜山仁 協力:東京ドイツ文化センター
【発売日】2009/01/25 A席:4,200円 B席:3,150円 Z席:1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000064_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:52 | TrackBack

2009年03月13日

ホリプロ『ムサシ』03/04-04/19彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

 井上ひさしさんの新作を蜷川幸雄さんが演出されます。主演に藤原竜也さん、小栗旬さんを迎えた超話題作です。前売りチケットは瞬く間に完売だったとか。

 演劇雑誌などに「脚本が出来ていない」と堂々と書かれていたため(笑)、初日の幕は開くのかしら・・・と勝手に心配していたのですが、『ロマンス』同様、無事に開幕したんですね。

 明るいドタバタとわかりやすい展開を気楽に観終わった後、帰り道で色んなシーンを反芻しながら、作品の裏側に思いを馳せました。上演時間は約3時間30分(休憩15分を含む)

 ⇒制作発表の写真
 ⇒CoRich舞台芸術!『ムサシ
 レビューをアップしました(2009/03/15)。

 ≪あらすじ≫
 巌流島の対決の数年後、宮本武蔵(藤原竜也)と佐々木小次郎(小栗旬)が再びある寺で出会う。3日後に決闘をする約束をするが・・・。
 ≪ここまで≫

 能舞台のようなシンプルな美術。寺の建物の周囲にある背の高い木々が揺れて、照明や音響とともに風を感じさせます。舞台面側にぐっと寄せた装置なので、役者さんが客席に近い場所でずっと演技されていました。

 武蔵と小次郎という剣豪が顔を合わせますが、周囲の心優しい人たちは2人に決闘をさせないよう、さまざまに計らいます。あまりにわかりやすい展開で、こんなに軽く笑って、さらっと観ているだけでいいのかしら・・・?と思ったりもしたのですが、それで終わるわけはありませんでした。さすがは井上ひさしさん、終盤には流れを大きくくつがえす展開が用意されており、はられた伏線が回収されます。

 登場人物が語る言葉から大切なものをもらえましたし、言葉はなくとも雄弁なシーンもありました。ただ、最後まで観終わった時には物足りなさが残りました。おそらく演出がシンプルすぎると感じたからだと思います。この数年、蜷川さんの作品を拝見してきて、蜷川さんは演出の幅がとても広い(演出の種類が豊富な)方だと思っております。これは私の勝手な想像に過ぎませんが、お稽古の期間がもっと長く取れれば、作品の厚みがさらに増す可能性はあったのではないでしょうか。

 藤原さん、小栗さんという大スターの競演は、お2人が舞台上で熱くなればなるほど笑える演出になっていて楽しかったです。ただ、藤原さんのセリフは聞こえづらいこともありました。
 お坊さん役のお2人(辻萬長、大石継太)と柳生宗矩役の吉田鋼太郎さんの演技は特に安心して観ていられました。皆さんとてもコミカルでサービス精神旺盛で、ほとんどファンになったような気分で見つめてしまいました。
 白石加代子さんはいつもながら、とてもチャーミングな方ですよね。ただ今回の演じ方については、私にはちょっとクドすぎたかも。鈴木杏さんは若くて元気はつらつで“がんばっている”印象。もうちょっと力が抜けた状態でも観てみたいと思いました。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 僧の平心(大石継太)が誰の剣もすべて預かることや、「仏の前では誰にも差別はない」という沢庵(辻萬長)の言葉から、戦いをしないことが約束された場所(寺)が、人間の命を守っていることかがわかります。なにかとすぐに能を舞ってしまう柳生(吉田鋼太郎)のおかげで、踊ること、歌うことが、人間の幸せそのものだということも伝わってきました。

 筆屋乙女(鈴木杏)は父の仇である浅川甚兵衛(塚本幸男)の命を奪わず(彼の左手だけは切り落としたが)、うらみの鎖を断ち切る決心をしました。木屋まい(白石加代子)が「こういうこと(許すこと)ができるからこそ、人間は美しいのではないですか?」と語ります。“美しい”という感覚は大事ですよね。正義とか義務とかじゃなくて“美しい”ってことが。

 武蔵と小次郎にどうにかして果し合いをさせないように仕組んでいたのは、成仏できないままこの世をさまよう幽霊たちの仕業でした。自ら命を粗末にして死んでしまった彼らは、武蔵と小次郎に決闘をしてもらいたくない(生きて欲しい)一心で、芝居をしていたのです(死んだ筆屋の主人の敵を打とうとする芝居/小次郎は天皇家の血を引く男だと思わせる芝居等)。幽霊は「あなたたちが決闘をやめてくれれば、私たちは成仏できる」と懇願し、それに応える形で2人は戦うのを止めます。

 幽霊オチという種明かしについて、最初は「え?そんなオチなの?」と少々がっかりしました。言葉や意味、ストーリーだけを追った場合、そう感じても仕方ないと思います。でも後から考えると、幽霊とはつまり先祖のことであり、武蔵は過去の歴史と対話したことになりますよね。観客も同時に過去と向き合ったと思って良いと思います。私の命は先祖にもらったものであり、今も先祖に生かされているのだとも思いました。だったら自分を粗末になんてできない。

 知り合いの方が「もしかすると小次郎もまた、武蔵が座禅中に見た幻だったのかもしれない(小次郎は巌流島で既に死亡していたのかもしれない)」とおっしゃっていて、それは面白い!と思いました。成立しないわけではないですよね(脚本がどうなってるのかはわかりませんが)。そういったことも含めて、観客の想像をより活発に喚起させる演出が、もっと厚くほどこされる余地があったのではないかと思います。

朝日新聞創刊130周年記念・テレビ朝日創業50周年記念・彩の国さいたま芸術劇場開場15周年記念
出演:藤原竜也 小栗旬 鈴木杏 吉田鋼太郎 辻萬長 白石加代子 大石継太 塚本幸男 高橋努 堀文明 井面猛志
脚本:井上ひさし(吉川英治「宮本武蔵」より) 演出:蜷川幸雄 美術:中越司 照明:勝柴次朗 音響:井上正弘 衣裳:小峰リリー 殺陣:國井正廣 振付:広崎うらん 花柳錦之輔 能指導:本田芳樹 狂言指導:野村萬斎 演出補:井上尊晶 音楽補:池上千尋子 舞台監督:小林清隆 テクニカルコーディネーター:金井勇一郎 主催:朝日新聞社 テレビ朝日 財団法人埼玉県芸術文化振興財団 こまつ座 ホリプロ 企画制作:ホリプロ
http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=123
http://saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/p0304.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 20:47 | TrackBack

【オーディション】グリング2009年12月公演『jam』女優募集※3月末日郵送〆切

 青木豪さんが作・演出される劇団グリングの出演者募集です(20~25歳の女優のみ)。
 郵送で申し込み。3月末日必着。所属・経験不問。ギャラなし・ノルマあり。

 ・グリング第18回公演『jam』(再演)
  2009年12月@東京芸術劇場

 青木さんの作品に出演できるのは大きなチャンスですし、公演会場が野田秀樹さんが芸術監督になった東京芸術劇場というのもポイントだと思います。
 詳細は下記をどうぞ。折り込みチラシからの情報です。

【グリング第18回公演『jam』(再演)出演者オーディション】

 グリングでは2009年12月に、東京芸術劇場にて上演される第18回公演に向けて出演者を募集します。

●応募資格
・20歳~25歳までの女性
・グリングの公演を見たことがあり、11月~12月までの都内で行われる稽古や、公演の全スケジュールに参加可能な方。また、同期間の各スタッフワークに参加可能な方。
 ※所属・経験は問いません。
 ※ギャラなし・ノルマあり。

●選考スケジュール
 4月上旬:書類選考
 4月下旬~5月上旬:書類選考通過者の方でオーディション
 5月下旬:オーディション通過者の方に通知

●応募方法
 プロフィール(履歴書・芸歴・スリーサイズ・全身とバストアップの写真各1枚ずつ)を、3月末日必着で下記応募先までご送付下さい。
 書類選考通過者のみ4月20日までにオーディションの詳細をお知らせいたします(お知らせのない場合はご了承下さい)。

●オーディション参加費
 2、000円
 ※書類選考通過者のみ、オーディション当日にお支払い下さい。

●書類送付先
 〒182-0004
 東京都調布市入間町1-38-8-202
 グリング第18回公演出演者オーディション係

●送り先
 〒182-0004
 東京都調布市入間町1-38-8-202
 グリング第18回公演出演者オーディション係

●お問合せ先
 グリング http://www.gring.info/
 info(アットーマーク)gring.info 090-8106-8777

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 10:57 | TrackBack

【オーディション】イキウメ出演者・劇団員募集※郵送〆切3/22(日)消印有効

 『表と裏と、その向こう』で第16回読売演劇大賞優秀作品賞・優秀演出家賞を受賞した、前川知大さんが作・演出を手がける劇団イキウメの出演者・劇団員募集情報です。

 詳細は下記をどうぞ。⇒公式サイトにも情報あり。

【イキウメ出演者・劇団員募集】
 イキウメでは新しい出会いを求めています。
 2009年は春(5月)と冬(12月)に公演を予定しています。
 ふるってご応募ください。

■対象:28歳までの魅力的な男女。経験不問。
■実施日時2009年4月4日(土)(予定)
■応募方法:
 ・履歴書(簡単な自己紹介文、経験のある方は出演歴を明記)
 ・写真2枚(全身・顔容1枚。裏面に名前、身長、体重、3サイズを明記)
 ・80円切手を添付した返信用封筒(住所、氏名を明記)を同封のうえ下記までご郵送ください。

■送り先:
 〒153-0061目黒区中目黒1-1-65申目黒フラワーマンション301号
 HB内イキウメ

 書類選考の上、書面でご連絡いたします。
 通過者は都内スタジオで4月4日(土)(予定)に実技審査を実施します。
 (参加費場所代実費として2、000円)

■締め切り:
 2009年3月22日(日)(消印有効 持参不可)

■お問い合わせ・応募先:
 イキウメ http://www.ikiume.jp

 〒153-0061目黒区中目黒1-1-65
 中目黒フラワーマンション301号HB内
 電話03-3715-0940/ファックス03-3715-0935

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 10:48 | TrackBack

Mrs.fictions『15minutes made vol.5』03/12-15シアターグリーン BOX in BOX THEATER

 小劇場劇団数団体が15分間の短編を一気に上演するシリーズです(⇒vol.1のレビュー)。もう5回目なんですね。今回は6団体が出場。上演時間は約2時間10分(途中10分の休憩を含む)。※終演後のおわりの会は参加しませんでした。

 久しぶりに観に行ったら、装置や照明も豪華になっていました。ほぼ聞いたことのない劇団ばかりだったのが、観たことがある、もしくは気になっていた劇団が名前をつらねるようになっています。継続は力なり、ですよね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『15 MINUTES MADE VOLUME 5

 私は青☆組とDULL-COLORED POPが面白かったです。

 公演全体についての感想:
 照明が6作品分きちんと演出されていて、装置も無理なく楽しめて、映像も仰々しくないし、小品集としての全体の演出もこなれていて、第1回とは比較にならないほどレベルアップされているな~と思いました。制作運営も丁寧で、安心でした。

 ここからネタバレします。公演情報は公式サイトより。

Mrs.fictions『松任谷由実物語』
【作】岡野康弘【演出】生駒英徳
【出演】岡野康弘、夏見隆太、松本隆志(以上、Mrs.fictions)、大澤夏美、阿部恭子(多少婦人)、川口聡、(ソワレのみ)鈴木啓司、(マチネのみ)村上俊哉

 タイトルどおりユーミンの話なんですが、荒井由実も松任谷由実も松任谷正隆も知らない人には、全然わからないんじゃないかな。
 ギターなしで無言で歌うシーンは良かった。でもちょうどせきが止まらないお客さんがいて、かわいそうでしたね(女優さんもお客さんも)。


The end of company ジエン社『私たちの考えた終わる会社の終わり』
【作・演出】作者本介
【出演】伊藤淳二、片飛鳥、萱怜子、中舘淳一郎、本山歩 【映像出演】善積元 清水穂奈美 横山翔一 山本健介 

 劇団名と作品の内容が一緒でびっくり。
 感傷に共感できず。倒産した会社にそんなに思い入れがあるのかな~。“かぐや姫”が何なのかわからなかったな~。

MOKK『case_1』
【演出・振付・出演】村本すみれ【照明デザイン】影山雄一 【アテンド・音響デザイン】加藤小百合
【出演】松元日奈子 手代木花野 寺杣彩 久野詠子 片ひとみ

 女性ばかりのダンスでした。衣裳は黒いノースリーブとスカートで統一(デザインはそれぞれ少し違います)。セリフはいらなかったんじゃないかな。最初から最後まで既視感がまとわりついて、何がやりたいのかよくわかりませんでした。いつもは劇場ではないところで作品を発表されているようなので、本領発揮が難しかったのかもしれませんね。


青☆組『恋女房』
【作・演出】吉田小夏
【出演】木下祐子、藤川修二、松本享子、野中さやか、荒井志郎、中村真生(青年団)

 ある夏の日の日本家屋の居間。訪れた保健外交員がドギマギ。だって主人には奥さんがいっぱいいて・・・。
 ちゃぶ台の周囲を、客席から乗り出すように(気持ちが乗り出すんです)凝視して、楽しみました。役者さんの演技が雄弁で嬉しい。小さな表情の変化が面白かった~。


東京ネジ『再会(夏目漱石「夢十夜」第一夜より)』
【作】佐々木なふみ【演出】佐々木香与子
【出演】佐々木香与子、佐々木なふみ、佐々木富貴子(以上、東京ネジ)

 アルゼンチン人と結婚した友達が言った。「100年後にまた会えるよ。」「またね。」
 やりたいことをいっぱい試してみたんだろうな~と思いましたが、でこぼこしていて観づらかったです。


DULL-COLORED POP『15分しかないの』
【作・演出・音源製作】谷賢一(DULL-COLORED POP)
【出演】堀奈津美(DULL-COLORED POP)、桑島亜希、境宏子(リュカ.)、千葉淳(東京タンバリン)

 ある若い女の部屋。毎日、終電1本前の電車に乗って帰宅するサラリーマン生活。深夜0:45(だったかな)に2年半前に別れた男から電話がかかってきて・・・。
 女(堀奈津美)の分身が2人登場し、男(千葉淳)になびく方(桑島亜希)とふりきる方(境宏子)に分かれて心の声を語ります。つまり3人1役。セリフを分担したり、3人同時、2人同時に話したり、動きをシンクロさせたりずらしたり、重層的な楽しみがありました。役者さんの演技も落ち着いていて安心。

 女とよりを戻そうと電話してきたのは、27歳で脱サラした自称ライター。酔った勢いでモトカノに電話して、いきなり「結婚を前提にもう一度つきあって」とのたまう典型的なダメ男。しかも女に断られたら自分から捨てゼリフ(「もう二度と電話しない」)を吐いて電話を切るのも、情けないことこの上ない(笑)。
 それを演じた千葉淳さんは、けっこうさわやかなイケメン風。舞台上をフラフラ歩き回って、所在無いけどノリがよさそうで、母性本能をくすぐりそうな可愛らしい男性でした。笑えてくるほどダメ男(に見える演技)で、良かったです。

 「自分が自由に使える時間は、1日15分しかない」と思い込んでいる女の話ですよね。個人的にラストは、“じんわり”じゃなくて“ストン”と落ちるような(「え!?」という驚きでもいいけど)ものが欲しかったです。

総合演出:Mrs.fictions 照明:南香織 音響:星野大輔 舞台監督:大畑豪次郎(MOKK) 舞台美術:坂本遼 宣伝美術:関田浩平 写真撮影:柳沢舞 フライヤーモデル:堀奈津美(DULL-COLORED POP) 映像:sasamotomasaki 舞台写真:和知明 制作:Mrs.fictions、上栗陽子(MOKK) 企画協力:cinra 後援:豊島区 主催:Mrs.fictions シアターグリーン提携企画
前売り2,000円 当日2,500円(※12日14時、13日14時の回は平日昼割実施、前売り1,500円、当日2,000円)
参加演出家によるアフタートークあり。
http://www.mrsfictions.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 00:07 | TrackBack

2009年03月12日

万能グローブガラパゴスダイナモス・NPO法人FPAP「DDシアターアフタートーク『地域演劇を活性化するシアターの可能性』03/12ぽんプラザホール

20090312_DDtheater_talk.JPG
PC上の動画

 福岡の小劇場で行われる公演終了後のトークが、ネット配信されました。事前申し込みをすれば無料で観られるという試みです。自宅PC前でポスト・パフォーマンス・トークの生中継が観られるなんて、今さらですが、インターネットは凄いっ!
 ⇒DDシアターアフタートーク
 ⇒DDシアター

 トークは万能グローブ ガラパゴスダイナモス公演『ボスがイエスマン』の終演後、21:30からの約30分間でした。※おおっ、『ボスが・・・』は全日程前売完売なんですね!⇒CoRich舞台芸術!『ボスがイエスマン

 終演後の舞台上でのトークなので、舞台美術も見えて嬉しかったです。

 京都の劇団MONOの土田英生さんがドラマドクター(略称:DD)として、万能グローブガラパゴスダイナモスの作・演出家である川口大樹さんにアドバイスをするという企画で、川口さんのご希望で土田さんが選ばれたんですね。日本劇作家協会の新人戯曲賞みたい。

 土田さんは本当に面白い方ですね~(笑)。自宅デスクにいながら笑わせていただきました。下記、耳に残った登壇者の言葉です。※言葉は完全に正確というわけではありません。

 土田「なんで未来のライバルを育てなきゃけないの?とも思ったけれど(笑)、自分が勉強になった。」

 高崎「今後応募する人へのアドバイスとして、どんな人にドラマドクターになってもらったらいいと思いますか?」
 川口「自分の苦手なもの、自分が持ってないものを持っている人を選ぶのがいいと思います。苦手なところを、お願いして伸ばしてもらうのがいい。」

 中井「(土田さんは)作品作りに責任を持って関わってくださって。この密な関係が凄い。」

DDシアターアフタートーク
パネリスト:土田英生(MONO|DDシアタードラマドクター) 川口大樹(万能グローブ ガラパゴスダイナモス|脚本・演出) 中井久美((財)広島市文化財団 広島市南区民文化センター|演劇事業担当) 高崎大志(NPO法人FPAP事務局長) 司会:(わかりませんでした)
主催:万能グローブガラパゴスダイナモス・NPO法人FPAP 助成:財団法人アサヒビール芸術文化財団(http://www.asahibeer.co.jp/csr/philanthropy/ab-art/index.html)
http://www.fpap.jp/dd/2008/ddafter4.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:44 | TrackBack

2009年03月11日

ポツドール『愛の渦』02/19-03/15 THEATER/TOPS

 早々に前売りは完売して、当日券もキャンセル待ちが出ているポツドール『愛の渦』。作・演出は三浦大輔さん。第50回岸田國士賞受賞作品の再演です。⇒戯曲本紹介 ⇒当日パンフレット紹介 

 戯曲は読んでいましたが、私は初見です。チラシに「これはとてもスケベでとても感動する物語です」とあるとおり、性的な描写は激しいです(言うまでもなく大人向けです)。そして、最後はじーんと来ました。上演時間は約2時間30分(休憩なし)。⇒土佐有明の(ほぼ)初日劇評※舞台写真あり!

 ⇒CoRich舞台芸術!『愛の渦

 ≪あらすじ≫
 夜な夜な、ある部屋に集まる男女。どうやら初対面同士がほとんど。服装や髪型を見る限りでは、何の接点もなさそうだが。
 ≪ここまで≫

 ある目的を持って集まった若い男女の、深夜から明け方までの行いを赤裸々に描きます。ためて、じらして、驚かせて、じっくり味わわせてくれるかと思ったら、もったいぶって(笑)。手練手管の演出にすっかり乗せられて、人間観察をじっくり楽しませていただきました。いっぱい笑ったな~。
 
 登場人物に親しみを持って見つめながら、「人間なんて所詮こんなものだ」とか「でもそういう愚かさが可愛らしい」とか、いわばありきたりな感想を持っていたのですが、最後のシーンでスっと、作品全体を冷静に眺める視点へと誘導されました。あぁ、人間って可能性に満ちているんだな、世界は残酷だけど、そこに在る(居る)ってことをそのままに認めてるんだな、と思いました。

 ここからネタバレします。

 乱交パーティーに集まった人々。少しずつ奔放になっていく様がじっくり描かれて面白いです。全裸(だと思われる)セックスシーンまで、娯楽として観られる演出になっていることに感服。極めてくれているから、観客が自分から進んで楽しめるんだと思います。

 一通りセックスももめごとも終わった後、まぶしい朝の光が容赦なく部屋を照らします。白い明かりの下で着替える姿がみっともなくて、裸から普段着になった男女は、全然違う生き物みたい。一夜でこんなに変化するなんて、人間ってすごく豊かな生き物だな~と思いました。そして、衣服って凄いと思いました。

ポツドールvol.18
【出演】米村亮太朗:フリーター 古澤裕介:工場労働者 井上幸太郎:店長 富田恭史(jorro):サラリーマン 脇坂圭一郎:店員 岩瀬亮:ニート 美館智範:カップル男 江本純子(毛皮族):常連客 内田慈:保育士 遠藤留奈:OL 佐々木幸子(野鳩):学生 山本裕子(青年団):カップル女
脚本・演出:三浦大輔 照明:伊藤孝(ART CORE)/音響:中村嘉宏/舞台監督:矢島健 シロサキユウジ /舞台美術:田中敏恵 大道具製作/夢工房 映像・宣伝美術:冨田中理(SelfimageProdukts)/小道具:大橋路代(パワープラトン)/衣装:中西瑞美 演出助手/石井友章 写真撮影:曵野若菜/映像撮影/カラーズイマジネーション 宣伝イラスト/桔川伸 宣伝協力/青木理恵 制作:木下京子/広報:石井裕太/運営:山田恵理子 企画・製作 ポツドール
[前売]全席指定4,000円  [当日]4,500円
http://www.potudo-ru.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:54 | TrackBack

2009年03月10日

フェスティバル/トーキョー実行委員会『Hey Girl!』03/10-14にしすがも創造舎 特設劇場

 「フェスティバル/トーキョー09春」(⇒記者発表)の目玉演目の1つ、イタリアの演出家ロメオ・カステルッチさんが演出される『Hey Girl!』の初日を拝見しました。

 “象徴演劇”と称されることに納得。とにかく主演の女優さんに見とれました。上演時間は約1時間15分。劇中のセリフが当日配布のパンフレットに掲載されています。開演前に読んでおいた方がいいかもしれません。

 全席自由席で、開場は開演の30分前より。早く来場された方から順番に整列入場します(開演15分前から)。初日は満席でした。⇒残席状況

 ⇒プレビュームービー(音が鳴ります)
 ⇒舞台写真が多数公開されています
 ⇒CoRich舞台芸術!『Hey Girl!

 “女”が描かれるということ以外の前知識ゼロで鑑賞。オープニングの衝撃が大きかった!金髪の女優シルヴィア・コスタさんの肢体から目が離せず。彼女がほんの少し動くだけで(手を回す、口角を上げるなど)、舞台の景色が変わり、新たに世界が生まれます。
 俳優志望の方は、彼女の演技を観るといいんじゃないかしら。舞台上にたった1人で、自分の体だけで何ができるのかを確かめられると思います。俳優って凄いわ~。

 音響効果は大迫力でした。足元にも体にもビシバシ来て、サラウンド効果もあって。でも激しすぎる感もあり。お好みは分かれるかもしれませんね。
 作品の表す意味は、正直なところよくわかりませんでした。ドキっとするような演出についても、なぜそれが起こるのかはわからず。

 目の前で起こるハプニングのような出来事は、無論それ自体が衝撃的な体験になります。貴重な機会ですから、ヨーロッパで注目を集める不思議な舞台芸術の中に、自分からもぐり込んでみるのも良いと思います。

 ここからネタバレします。覚えていること、私が勝手に想像したことを箇条書きに。

 幕開けは、いきなり脱皮(?)して、全裸の白人女性が現れました。このオープニングのシーンが一番好きでしたね。涙が出そうになりました。ぼとぼとと机(ベッド?)から垂れ落ちる、あの液体は何?!ゴムみたいだし、泥みたいだし・・・でも肌色。

 ぬるぬると女(人形)から生れ落ちる赤子、かと思いきや、背中には刺青。生まれながらに罪を背負う者=“女”? 大昔から忌むべきものとして生きてきた女。何年も、もしかしたら何千年もずっと戦ってきたのだが(鏡、太鼓などを使った演技で表現)、白いTシャツとジーンズを着るようになった現代も、まだそれは続いている。
 シルヴィアさんはたった1人で、何らかの生命体、“女”と呼ばれる物体、1人の少女、群集などになっていました。そして遥かな時を越えていました。

 剣に口紅を当てると煙が出ました。剣は電気で熱くなっていて、口紅は焼けて溶けてしまいます。剣に振りかけた香水の香りが劇場中に広がりました。剣の上からかけた布は焦げていました。
 エキストラは40人ほどの男性たち。集団でシルヴィアさんを殴る。最初は男による女の虐待に見えたのですが、徐々に性別は関係なくなり、支配者・被支配者、暴力の連鎖などのイメージに。
 丸いガラスが4枚割れたのには驚いたーっ!でも、なぜ?
 黒人女性の体に銀色の液体を塗りつけていく。光る肢体。ロボット、永遠、宇宙のイメージ。
 最後の絵(逆さになった肖像画?)もよくわかりませんでした。誰の絵だか知っていたらわかるのかな~。

フェスティバル/トーキョー09春
出演:シルヴィア・コスタ(金髪)、ビクトリーヌ・ムプトゥ・リヴォーザ(黒髪)
エキストラ:青山清、麻加関壱、石崎尚、稲葉賀津雄、茨木主、宇賀神智、大石丈太郎、尾崎彰雄、加治慶三、加藤匠、亀井惟志、木下毅人、木村圭輔、窪田修、小久保寿人、小林啓也、篠崎徳光、鈴木ケンタ、竹内ゆとり、谷杉精一、田村げん、田村賢二、檀原照和(シルクハットの男)、傅隆司、時田光洋、中江レン、中村章吾、林亮佑、藤田一樹、筆内政敏、堀切克洋、ますだいっこう、松澤輝朝、三橋俊平、吉田ミサイル、吉松章、Danilo Sven Tyra、Philippe Valdois、Simon Gauchet
演出:ロメオ・カステルッチ 音楽:スコット・ギボンズ 映像:ステファン・デゥーヴェ 照明技術:ジャコモ・ゴリーニ 舞台技術:フェデリコ・レプリ 美術:プラスティックアート、イストヴァン・ツメルマン 制作:ジルダ・ピアシーニ、コゼッタ・ニコリーニ 制作アシスタント:エウジェニオ・レスタ 広報:ベネデッタ・プリリア 管理:エリザ・ブルーノ、ミケーラ・メドリ 管理アドバイサー:マツィミリアーノ・コーリ 製作:オデオン座(パリ)、フェスティバル・ドートンヌ(パリ) 、スタイリシェル・ヘルプスト(グラーツ)、ル・マイヨン劇場(ストラスブール)、デ・シンゲル(アントワープ)、プロデゥクティエフイス・ロッテルダム、カンカルイェヴ・ドン(リュブリャナ)、TRAFO-現代芸術の家(ブダペスト)、ソチエタス・ラファエロ・サンツィオ
【東京公演日本側スタッフ】技術監督:寅川英司+鴉屋 照明:佐々木真喜子(ファクター) 音響:相川晶(サウンド・ウィーズ) 技術監督アシスタント:佐藤恵 舞台監督:中原和恵 演出部:杣谷昌洋 小道具・演出部:栗山佳代子 衣装管理:台三緒 にしすがも創造舎劇場スタッフ:弘光哲也 字幕制作・操作:幕内覚 通訳:石井園子、畑京太郎、大崎さやの 舞台写真:石川鈍
【F/Tスタッフ】制作:ハッセル、タラ・石塚、辻奈都子【F/Tクルー】河野美帆、砂川史織、ジュリエット・トリュフィ、中村恵理
【発売日】2008/12/18 自由席 一般 4,500円/学生 3,000円(要学生証提示)、高校生以下 1,000円 
http://festival-tokyo.jp/program/heygirl/index.html

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Posted by shinobu at 23:10 | TrackBack

【スナップ】「フェスティバル/トーキョー09春」グッズの大判ハンカチが可愛い!

 ただいま開催中「フェスティバル/トーキョー09春」(⇒記者発表)では、スタッフさんが必ず大判ハンカチ(600円)を身に付けていらっしゃいます。
 モノトーンの服装に黄緑の差し色が素敵なんですよね~。人それぞれ付ける場所が違うのも楽しい。首に巻く方が多いのですが、巻き方に個性が出ています。
 手に付けている方の写真を取らせて頂きました。
 手首派↓
20090310_scarf1.jpg

 腕派↓ これは目立ちますね~。
20090310_scarf2.jpg

 大判ハンカチは物販コーナーでも販売中。600円だし、買っちゃおうかな~。

Posted by shinobu at 23:03 | TrackBack

【演劇教育】「ワークショップデザイナー育成プログラム」開講!(2009年春夏開講分の受講希望者受付は3/21〆切)

 文部科学省社会人の学び直しニーズ教育推進プログラム事業「ワークショップデザイナー育成プログラム」が開講します!(fringeのTOPICより) 関連エントリー⇒

 「演劇教育でガッコーを面白く!」の会・キックオフミーティングから2年足らずですよね。公式の講師養成プログラムが始まったなんて、凄い!

 対象者は、“地域教育や学校支援にボランティアで関わっている方、芸術家、教育やアートに関連している行政・企業・公益法人・NPOなど関係団体の職員、企業のCSRを担当している社員、対人サービスを担当している方など”(公式サイトより引用)。

 4ヶ月間で120時間のプログラムです。演習(通学)は土日のみ。平日はeラーニング(自宅学習)なので、仕事を持っている人も受講できます。受講料は80,000円。ただいま春夏開講プログラムの2次募集中です。〆切は3月21日。
 青山学院大学(第1期):2009年5月~8/30
 大阪大学(第1期):2009年4/2~7/27

 ワークショップデザイナー育成プログラムを修了すれば、学校教育法に基づく履修証明書、厚生労働省が発行するジョブ・カードを取得できます!

 日本の学校で広く演劇教育が行われるようになったら、すぐに必要とされる人材です。ご興味のある対象者の方には、ぜひ受講していただきたいです。

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:36 | TrackBack

【演劇教育】「熟議の政治へ舞台を回せ-『ヤルタ会談』上演」@朝日新聞3/9(月)朝刊

 2009年2/23に国会議事堂そばの憲政記念館で上演された青年団『ヤルタ会談』(レビュー⇒)のことが、朝日新聞3/9(月)朝刊(東京本社)に大きく掲載されました。⇒「ヤルタ会談」フォーラムのご案内
 ■ポリティカにっぽん「熟議の政治へ舞台を回せ-『ヤルタ会談』上演」
  筆者は早野透さん(朝日新聞社コラムニスト)。

 私の左手の右上部分↓です。文字数にすると約2000字。中央の挿絵もこの記事のためのものです。
20090309_politica_nippon.JPG

 コラムによると『仕掛け人は民主党の松井孝治参院議員、開会のあいさつは自民党の山本一太参院議員、劇後のシンポジウムには民主党の鈴木寛参議院議員と元文部官僚の寺脇研氏、それに平田オリザ氏、閉会のあいさつは公明党の斉藤鉄夫環境相。』『観客席の武村正義元官房長官』など、議員の方々が大勢いらしたようです(客席数は約100席)。

 『集まった超党派議員はこの劇から「権力の自戒」を学んだに違いない。だが、もうひとつ、これらの議員に共通するのは、「政治は演劇を学ばなければならない」という思いである。政治と演劇? 一体どういうこと?(略)』

 オピニオン欄に、こんなに大きく演劇公演のことが載るなんて驚きました。とても嬉しい。
 私は演劇と触れたおかげで人生が変わりました。もちろん良い方向に。演劇(芸術)は人間に必要なものであるということを、より多くの方に伝えられたらと思います。

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:27 | TrackBack

パルコ『ストーン夫人のローマの春』02/28-03/22パルコ劇場

 テネシー・ウィリアムズの小説をマーティン・シャーマンさんが戯曲化、ロバート・アラン・アッカーマンさんが演出されます。映画化はされてますが(1962年と2003年)、舞台化は世界初なんですね。⇒原作本・映画紹介

 ある大女優が破滅へと向かう物語ですが、あっという間の、華やかな夢のようでした。20人ぐらいの役者さんが豪華な衣裳を次々と着替えながら、軽やかに場面転換をしていきます。重厚な作品だろうと勝手に予想して少し気構えていたのですが、もっと気楽な観劇になりました。上演時間は約2時間20分(休憩20分含む)

 ⇒asahi.com「『今夜の公演は中止』舞台初日の午後に発表 パルコ劇場
 ⇒CoRich舞台芸術!『ストーン夫人のローマの春
 レビューを途中までアップしました(2009/03/15)。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 空虚な心、孤独な人生、
 よりどころを失った一人の女優 カレン・ストーン
 行き着いたのは、イタリア ローマ。
 そこは彼女の心は対照的に活気溢れ、すべてにどん欲な街。
 肉体の深くに秘められていた熱い情熱を、
 ローマの太陽が炙り出す。
 ≪ここまで≫

 あぁ、豪華で美しいドレス!ドレス!ドレス!!衣裳は物語を語る役割としても、とても雄弁でした。そして美術がかっこいい!照明の色使いが鮮やかで、装置との贅沢なコンビネーションが味わえます。おしゃれで洗練されている感もありつつ、作品全体が軽やかでリズミカルなので、スノッブな印象はあまりなかったですね。出演者に若い人が多いせいもあるかもしれません。

 聞き覚えのあって親しみやすい、明るい音楽がいっぱいで、舞台で起こる出来事とは対照的でした。こんなにノリ良く楽しんでしまっていいのかしらとも思いましたが、とにかく疾走感が心地よかった。あぁこうやって、人生は無駄に、残酷に、流れていくのかも・・・。
 最後のシーン(行動)の意味は、私にはわからなかったですね。それはそれで鑑賞後に謎が残って良かったかも。いえ、答えがわかる演出だったとしても、議論を巻き起こしてくれたことと思いますが。

 アンサンブルの方々がどんどん衣裳を着替えて、何役も演じ分けて、ローマの街を色付けしていきます。大勢が一斉に静止するシーンはゾクっとしますし、何よりシルエットが美しい!ただ、ドレスは着こなせていない方が目立ちました。まあ、麻実さんと比べざるを得ないので酷だと思いますが。回を重ねるごとに進歩されることと思います。

 ストーン夫人役の麻実れいさんが美しいです。ドレスの着こなしはさすが。あのスタイルの良さは、うらやましいなんて気持ちも起こらないほど。
 ストーン夫人の愛人を演じたパク・ソヒさんは、マッチョでおバカな少年っぽさが出る瞬間が素敵。でも熟女を手玉に取るジゴロ(自称、でしょうけど)としての、ねっとりとした柔軟さが欲しかったですね。揺れ動く心の危うさも、もっとあっていいんじゃないかと思いました。

 チケット代分の豪華さは保証されていると思います。気になってる方はぜひ♪

 ここからネタバレします。

≪東京、大阪≫
出演:麻実れい 江波杏子 団時朗 今井朋彦 パク・ソヒ 鈴木信二 中川安奈 浜田学 宮光真理子 岡野真那美 有希九美 【アンサンブル(50音順)】巖大介 岡田あがさ 岡田さやか カトウシンスケ 川辺邦宏 倉本朋幸 神藤恭平 Zinzy  高橋来花 タリン 永栄正顕 水谷友子 村上新悟 露敏 呂美
原作:テネシー・ウィリアムズ 脚本:マーティン・シャーマン 演出:ロバート・アラン・アッカーマン 翻訳:薛珠麗 美術:デーン・ラフレイ 衣裳:ドナ・グラナータ 音楽:ジョン・アルトマン 照明:沢田祐二 音響:高橋巌 ヘアメイク:鎌田直樹 舞台監督:藤崎遊 協力:the company、TSP 製作:山崎浩一 プロデューサー:佐藤玄・毛利美咲 後援:TOKYO FM オフィシャルエアライン:日本航空 企画製作:株式会社パルコ
【発売日】2008/12/13 全席指定・税込8,000円
http://www.parco-play.com/web/page/information/stone/

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Posted by shinobu at 00:10 | TrackBack

2009年03月09日

【お知らせ】「CoRich舞台芸術まつり!2009春」の審査員をさせていただきます⇒3/23(月)応募〆切

 今年で3回目を迎えた「CoRich舞台芸術まつり!2009春」は、ただいま応募受付中!〆切りは3/23(月)です。⇒fringe blogでの紹介(2008春)

 今回も審査員をつとめさせていただくことになりました。審査員の顔ぶれはガラリと変わっていますので、ぜひチェックしてください♪

■審査員(敬称略・公式サイト発表順)

・小出真佐樹
 株式会社ROBOT 映画部プロデューサー

・細谷まどか
 株式会社博報堂DYメディアパートナーズ エンタテインメント事業局 プロデューサー

・巽大介
 演劇情報誌シアターガイド 編集部

・高野しのぶ
 現代演劇ウォッチャー/ライター

・手塚宏二
 こりっち株式会社 営業チーフマネージャー

 公募開始から1週間が経過し、ただいまの申し込み数は4団体です。いつも直前に応募が殺到し、ぎりぎりになるとアクセスが増えて登録しづらくなったりもします。応募内容はネット上に公開され、一般のお客様へのアピールにもなりますから、お早目の応募をお勧めします。審査員は毎日、応募状況をチェックしていますよ!

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Posted by shinobu at 15:56 | TrackBack

【つぶやき】漫画家・佐藤秀峰さんの公式ホームページの“プロフィール”漫画に衝撃を受けました

 人気漫画「ブラックジャックによろしく」「海猿」「特攻の島」の作者、佐藤秀峰さんの公式ホームページについて。

 こちらのブログで「自画像が、東京デスロックの夏目くんに息が止まるほど似ていてビックリ」と書かれていたので、気になって覗いてみたんです。

 “プロフィール”が読み応えのある短編漫画になってまして・・・。最後のページを読んだ時、早朝で、たまたま家に誰も居なかったのもあって、声を出して泣いてしまった。

 「新・ブラックジャックによろしく」を読んでみようかな。

あらためてサイト全体を見てみたんですが、こだわりがすごいですね。作り手魂に触れた。

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Posted by shinobu at 12:05 | TrackBack

2009年03月08日

フジテレビジョン/銀河劇場/劇団Studio Life『フルーツバスケット』02/26-03/08天王洲 銀河劇場

 高屋奈月原作の人気漫画『フルーツバスケット』(白泉社刊・全23巻)が、劇団Studio Lifeにより初舞台化されました。⇒出演者オーディション情報 ⇒記者発表

 ストロベリー・チーム、チェリー・チームの一部ダブルキャスト上演で、私はストロベリー千秋楽を拝見。上演時間は約3時間(途中休憩15分を含む)。

 当日券に長蛇の列が出来ており、キャンセル待ちも出てましたね。パンフレットをはじめさまざまな物販商品はほとんど完売。この盛り上がりだと、続編もアリ?

 ⇒公式サイト ⇒出演者動画・舞台動画など
 ⇒CoRich舞台芸術!『フルーツバスケット

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。※ストロベリー・チームです。
 愛情に賞味期限はありません。
 "交通事故で家族を失い、訳あってテントで暮らす女子高生・本田透(三上俊)。ひょんなことから家事の腕を買われ、同級生で王子様的存在である草摩由希(松本慎也)の家で居候することになる。ところが、草摩家の一族は重大な秘密を抱えていた。それは異性に抱きつかれると十二支の動物に変身してしまうという呪いだった。
 明るくひたむきに生きる少女と、悲しき宿命を背負った一族の触れ合いを描く心温まるヒューマン・ストーリー。
 ≪ここまで≫

 “異性と抱き合ったら十二支の動物に変身してしまう”って、少女漫画として素晴らしい設定ですね。どんなに恋しても手をつなぐ以上には進まないので(笑)、ずっと恋を夢見ていられます。恋に育つ前の、誰かを好きだと思う気持ちの芽生えを、じっくり味わうことができるんですよね。

 Studio Lifeの演出家・倉田淳さんは、舞台化する漫画や小説をご自身で脚本にされます。原作の大切な部分を抽出して、誠実に、愛情こめてお芝居にしてくださるので、私はその点をすっかり信用しきっている劇団ファンの1人です。今作も、呪われた草摩家の人々の心の傷に焦点をしぼり、無償の愛と癒し、そして再生を描く感動の物語になっていました。私は原作を読んでいませんが、同行した原作ファンの方々も満足だったようです。
 ただ、歌と踊りの入ったイケメン娯楽芝居の演出としては不満が残りました。特にオープニングはもっと仕掛けを考えてもらいたいですね。リピーターは楽しめるかもしれませんけど(リピーターが多そうでした)。

 役者さんは役を自分のものにして地に足の着いた演技をされている方と、そうでない方の差が激しかったです。若い男の子を育てる目的もあるのでしょうから、それは仕方ないのかもしれませんが。
 しっかり劇の世界を作ってくださってるな~と感じたのは、メインキャストだと由希役の松本慎也さん、医師・はとり役の曽世海司さん。猫にとりつかれた夾(キョウ)役の上山竜司さん(RUN&GUN)の熱演に胸打たれました。ヒロイン・本田透役の三上俊さんはちょっと固かったように思います。透のお友達・花ちゃん役のSHOWTA.さんは、本当に女の子みたいでした。歌もきれいだったし、演技も客席と息が合っていて面白かった。メガネ女子高生、夾の母を演じた舟見和利さんもさすがの存在感。チェリー・チームで謎めいた悪役・慊人(あきと)役を演じられてるんですね。他はハーフの紅葉役の荒木健太朗さん、はとりの恋人・佳菜役の吉田隆太さんなど。
 
 ここからネタバレします。

 透にいやされた十二支は、ネズミ(松本慎也)、イノシシ(米原幸佑)、タツノオトシゴ(曽世海司)、ウサギ(荒木健太朗)、ウシ(加藤義宗)、そして猫(上山竜司)など。これは続編が作れますね。

 異性に抱きつかれて動物になるシーンは、俳優とぬいぐるみを入れ替えるというアナログな演出でしたが(笑)、これがなかなか可愛らしかったです。
 猫の夾(キョウ)が本来の恐ろしい姿になってしまう場面では、特に効果的でした。泣き叫ぶ夾を透が抱きしめて、夾は彼女の胸の中でぬいぐるみになります(夾役の上山さんはいったん袖にはける)。ぬいぐるみの猫を抱いた透の背後に、上山さんが再び登場して、猫の気持ちを生の声で吐露します。演劇ならではの立体的な演出で、ぐっと引き込まれました。

出演:上山竜司(RUN&GUN) 三上俊 真山明大 岩﨑大 米原幸佑(RUN&GUN) 松本慎也 SHOWTA. 荒木健太朗 古川洋介 加藤義宗 吉田隆太 内山翔人 青木隆敏 鈴木聡、舟見和利 曽世海司 藤原啓児 河内喜一朗 榎本悠輝 加藤真央 亀山浩史 寺元健一郎 田邉明宏 荒川結 中村勇太 花田雄一郎
【原作】 高屋奈月(白泉社刊) 【脚本・演出】 倉田淳 【美術】 松野潤 【照明】 森田三郎 【舞台監督】 清水浩志 【音楽監督】 竹下亮 【衣装】 竹原典子 【ヘアメイク】 角田和子 【アクション】 渥美 博 【振付】 TAKASHI 【声楽指導】 カサノボー晃 【美術助手】 渡辺景子 【演出助手】 平河夏 荒川真寿美 【宣伝美術】 成田久 【宣伝写真】 川上明 【宣伝スタイリスト】 塩畑美由喜 【プロデューサー】 玉塚充 八巻綾(フジテレビジョン) 【制作】 若松美香 津田輝義(フジテレビジョン) 浅野裕美子(フジテレビジョン) 大古安里(銀河劇場) 【宣伝】 瀬津丸砂織 川野純子(る・ひまわり) 【票券】 揖斐圭子 【主催】 フジテレビジョン・スタジオライフ・銀河劇場 お問い合わせ:グラフィックノベル・プロダクション(スタジオライフ内)
club LIFE会員◇前売・当日S席¥6,200/A席¥5,200/B席¥4,500 一般◇前売・当日S席¥6,900/A席¥5,600/B席¥4,900 ウィークデイマチネ◇前売・当日S席¥4,500/A席¥4,000/B席¥3,500 ※3/3(火)4(水)5(木)のマチネ公演がウィークデイマチネとなります。 ※未就学児のご入場はご遠慮ください。
http://www.studio-life.com/stage/furuba/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:37 | TrackBack

快快『MY NAME IS I LOVE YOU』03/07-08 5TANDA SONIC

 「ポップ化する演劇」をテーマに活動する若手演劇制作チーム“快快(ファイファイ)”。2005年初演の『MY NAME IS I LOVE YOU』を全編英語で再演する今回は、2009年のブダペスト公演のプレ公演という位置づけのようです。

 いっそのこと字幕付き上演で観たかったかも。上演時間は1時間弱だったと思います。

 ⇒CoRich舞台芸術!『MY NAME IS I LOVE YOU

 舞台は渋谷ハチ公前。体を売る女の子たちと、その周囲の男の子たち。金儲けのためのセックス、愛のあるセックスなどなど、若者ならではのセックスについての素朴な疑問。・・・私が受け取れた筋道はそれぐらいでしょうか。

 海外上演のためにストーリーを英語で伝えたいという気持ちはわかります。でもそれを作品へと昇華するのは、そんなに手軽なことではないんですよね。日本語、英語を同時に使う演劇はもちろん、手話、日本語、英語を同時に舞台に乗せて成功させる舞台もあります。快快はそこにダンスなどの身体表現も加えたスタイルを生み出そうとしたのかな~。そうだとしても、最初のステップを間違ったんじゃないかと思います。言葉の意味を英語訳してそれを日本語と重ねるだけでは、作品としては成立しづらいですよね。残念ながら、快快作品の大きな魅力であるグルーブ感やリズムが失われていました。

 野上絹代さんの存在感およびダンスが目を引きました。やはり大舞台を経験すると、俳優(ダンサー)としての何かが一気に変わるのかしら。きれいだった~。

 ここからネタバレします。

 OLGAさんがマイクを使ってセリフを英語で話し、それに合わせてキャストが体を動かします。時に日本語を交えながら。

 ハチ公像とハチ公像(2体あるのがヘンなのですが)の間がタイムトンネルになっていて、未来から女の子(中林舞)がやってきます。そのダサイ(?)女とオタク男(天野史朗)の恋のシーンは可愛かった。

※私が拝見したのは初日前日の公開ゲネプロです。
「MY NAME IS I LOVE YOU」(英語版リマスター) 東京芸術見本市2009参加・ハンガリープレ公演
出演:天野史朗/大道寺梨乃/中林舞/野上絹代/山崎皓司/NAGY OLGA
作:北川陽子 演出:篠田千明 舞台監督:佐藤恵 美術/映像:佐々木文美 音響/照明:快快 衣装:藤谷香子 振付:野上絹代 宣伝美術:天野史朗 写真:加藤和也 会場デコレーション:佐々木文美/KANATIN+rinoooooooooo faifaiせーさく/ウィンドウディスプレイ:山本ゆい 協力:株式会社A.C.O
【発売日】2009/02/01 前売¥2,500/当日¥2,800
http://www.faifai.tv/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:43 | TrackBack

2009年03月06日

グリング『吸血鬼』03/05-11青山円形劇場

 青木豪さんが作・演出される劇団グリングの新作は、安心して観ていられる客演陣を迎えた、初の円形劇場での公演です。

 大人向けの、苦くて、優しいドラマでした。声(セリフ)が、文字になって、ガツーンって、来た。

 ロビーで販売されていた『吸血鬼』の脚本を購入しました(1000円)。まだ残席あるようです。ご都合の合う方はぜひ。上演時間は約1時間50分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『吸血鬼
 レビューをアップしました(2009/03/07)。

 ≪あらすじ≫
 女が古いアパートで死んでいた。広告代理店に勤めるごく普通の女だったのに、なぜこんな孤独死を?彼女の学生時代からの友人である脚本家(杉山文雄)が、死の真相を探り始める。
 ≪ここまで≫

 円形劇場の中央には丸い演技スペース。客席を一部分つぶして2階立てアパートが建っています。シンプルな色使いの抽象舞台です。

 シアターガイドなどのインタビューで青木さんがおっしゃっているように、東電OL殺人事件(Wikipedia)がモチーフになっていました。私は桐野夏生さんの小説「グロテスク」を読んでいましたので、入っていきやすかったですね。というか前半は想像しやす過ぎて、ストーリーを追うだけになってしまい、少々物足りなさもありました。

 でも、もちろんそれだけで終わるわけはなく・・・。軽く予想を裏切ってくれた後、グサグサと刺さる、短い、でも、熱い言葉が連発。セリフが文字になって体に降りかかってくるようでした。目に突き刺さって、脳に入り込んでくるぐらい。

 思い込みのどん底にとことん落ちて、それでも誰かを求めて、無様に生きる人間が描かれていたように思います。私たちは、自分から殻の中に閉じこもっておきながら、その孤独に振り回されますよね。そんな大人が、どうやってこの寂しさと向き合って生きていけばいいのか。最後の最後に私は、自分の孤独をまずは認めてあげたらいいんだ、と思えました。

 ここからネタバレします。セリフは完全に正確というわけではありません。

 まずは脚本家の菊池(杉山文雄)が大学時代の恋人・恭子(高橋理恵子)の死因を探っていきます。彼女は実家とは別にボロアパートを借りて、そこで売春をしていました。ある日、恭子はSM趣味のある客(みのすけ)に乱暴されて、あっけなく死んでしまい・・・というのは、菊池の想像でした。彼はあるドラマの脚本用に恭子の物語をつむいでいたのです。彼の都合の良いように。

 殺されたはずの恭子が起き上がり、筆者である菊池に語りかけます。「これで満足?」と。そして彼に本音をぶつけます。「あなたの耳が嫌い」「あなたの声が嫌い」と。この言葉でボロ泣き。なんで私が泣いてしまうのか全くわからなかったんだけど・・・(苦笑)。たぶん2人ともに、ものすごく共感してしまったんだと思います。恭子とつながりたかった菊池と、菊池に本気でぶつかってきて欲しかった恭子に。
 そういえば、菊池が初めて恭子の実家を訪ねた後につぶやいた「書こうと思う」という言葉も、なぜか胸に突き刺さったんですよね。

 実はボロアパートで死んだのは菊池の方でした。前半はいわば、アル中だった彼の死ぬ間際の妄想だったのかもしれません。恭子は菊池が死んだアパートに行って、彼と再会した“あの夜”を想像します。恭子は菊池と夢の中で出会い、あの夜をやり直そうと、今の気持ちを吐露します。「人間はなぜこんなに他人とつながりたいと思うんだろう。そんなこと思わなければ(悲しい思いをしないのに)」と。そのせりふの直後に、2人のそばに居たサックス吹き(遠藤隆太)とその師匠・博史(みのすけ)の会話が続きました。博史「お前の音には孤独が足りない」。

 最初は、自分で勝手に一人になって、寂しがって、そのくせ他人とつながりたがる菊池と恭子に対して、強い共感をもって(一緒に悲しんで)観ていたのですが、博史の言葉で目が覚めました。人間は自分の孤独を認めて、そのどん底にたどりついて初めて、他人の孤独を想像できるんですよね。そして、孤独なもの同士がつながれる接点が生まれるのだと思います。だから、私は(人間は)孤独でいい、むしろ孤独じゃないとつながれないんだと気づきました。
 エンディングの暗転の中で、星空(天の川?)に包まれました。可愛らしい照明が小さく光る夜空を見上げながら、青木さんの孤独と、私の孤独が一緒にそこにあって、お互いに手をのばしているように感じて、また涙がこぼれました。

 “吸血鬼”とは、他人の人生を材料にして本を書き、それで生計を立てる脚本家でもあるし、母乳(血液)を吸って成長する赤ん坊(つまりすべての人間)でもあるんですね。ドラキュラは誰にも理解されない化け物というイメージもありますから、“孤独な大人”のイメージにもぴったりな気がします。
 恭子の義姉は「自分の血を吸った子供が生きてくれるから、自分はもう死んでもいい」と満足げに言います。子供を持つ人ならではの感覚ですよね。子供によって孤独から救われる人物が登場したことで、子供がいない人物の孤独が鮮やかに伝わりました。でもいつか子供が親離れしたら、また義姉は孤独になるかもしれませんよね。人間は誰もが吸血鬼なんだと思います。

 最後に、演出について感じたことを少し。死体の第一発見者だったちんどん屋たち、恭子の同僚や不倫相手、菊池が打ち合わせに使った喫茶店の店員などを演じた役者さん(みのすけ、萩原利映、遠藤隆太)は、皆さんが顔を白塗りにされていました。後から考えるとこれらは菊池の想像の中の出来事だったわけで、良いヒントになっていますよね。
 ただ、菊池の世界が夢で、恭子の世界が現実だとは限りませんよね。恭子の世界の方も実はすべて夢かもしれない・・・ということを、もっと前に出した演出になっても良いんじゃないかと思いました。もっと曖昧で難解な方が、私好みかも。

グリング第17回公演 青山演劇LABO#002
出演:杉山文雄 中野英樹 萩原利映 安藤聖 遠藤隆太 高橋理恵子(演劇集団円) 辰己智秋(ブラジル) 平田敦子 みのすけ(ナイロン100℃)
脚本・演出:青木豪 照明:清水利恭 美術:田中敏恵 舞台監督:筒井昭善 効果:青木タクヘイ 効果オペレーター:吉岡栄利子 音楽:DubRIN'=峯岸信太郎 寺田英一 演出助手:松倉良子 演出部:伊倉真理恵 衣装・ヘアメイク:栗原由佳 宣伝美術:高橋歩 宣伝写真:中西隆良 舞台写真:鏡田伸幸 制作助手:高橋絵梨佳 制作:菊池八恵 制作協力:嶌津信勝 提携:こどもの城 青山円形劇場 企画制作・主催:グリング
前売4,300円・当日4,800円(全席指定/税込)
http://www.gring.info/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:53 | TrackBack

【書籍】桐野夏生著「グロテスク」(文藝春秋)

 ある演出家に桐野夏生さんの小説が素晴らしいと聞いて、最初に読んだのが「グロテスク」でした。『OUT』が舞台化されているのでお名前はよく知っていたのですが。

グロテスク〈上〉 (文春文庫)
桐野 夏生
文藝春秋
売り上げランキング: 9106
グロテスク〈下〉 (文春文庫)
桐野 夏生
文藝春秋
売り上げランキング: 11001

 女性の性について非常に生々しく描かれているので、最初は戸惑いもしました。でも一人称が変化していくのが楽しいし、「先が知りたい」という衝動がずっと持続したので、上下巻とも比較的早く読み終えたように記憶しています。

 最後の最後は・・・ものすごくスカっとしたんですよね・・・なぜか(笑)。

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:37 | TrackBack

【つぶやき】劇団鹿殺しの制作さんが“ブログジャック”中!

 劇団制作社の樺澤良さん(⇒cinraインタビュー)が、2009年3/4から劇団鹿殺し『ベルゼブブ兄弟』福岡公演初日(3/7)まで、福岡の制作さんたちのブログを占拠(ブログジャック)しています。
 “ブログジャック発信元”は北区田端「駅前劇場」。⇒劇団鹿殺し制作:樺澤でございます。完売間近だそうです。

 よくチェックしている制作さんたちのブログに、樺澤、樺澤、樺澤・・・(笑)。制作さんのネットワークがあることがよくわかりますよね。1人対1人のつながりが、大きな力になっている気がします。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ベルゼブブ兄弟

Posted by shinobu at 11:59 | TrackBack

2009年03月05日

フェスティバル/トーキョー実行委員会『火の顔』03/05-08東京芸術劇場 小ホール1

 2/26から開幕したフェスティバル/トーキョー。豊島区の劇場で続々と話題作の上演が始まっています。

 『火の顔』はドイツの若い劇作家マリウス・フォン・マイエンブルグさんの戯曲で、同い年の松井周さん(サンプル)が演出されます。このフェスティバルのために創作された新作です。

 『火の顔』は2005年に一度観ていますが(⇒2005年ドイツ・シャウビューネ劇場来日公演)、演出が違うので全く違った印象でした。岩井秀人さんがすごく魅力的!上演時間は約1時間50分。
 
 ⇒CoRich舞台芸術!『火の顔

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。2005年のレビューもどうぞ。
 父、母、姉、弟、一見何不自由なく暮らしている家族。両親は子どもたちにやさしい笑顔で接しているが、そこに真の意味の相互理解が欠けていることがわからず、両親と子どもたちの間のコミュニケーションは完全に断絶している。弟のクルトは火の哲学に惹かれ、物事の表面しか見ない両親を侮蔑する。危うい平衡を保っていた家族は、姉オルガの恋人パウルの訪問をきっかけに崩れ始める。そんなとき、クルトが火傷をする事件が起きて・・・。
 ≪ここまで≫

 装置がかっこ良かった~。下手から上手へとゆるやかに上がるスロープになった、横に細長いステージ。床の色はツルっとした白(もしくは明るい灰色?)です。腰の高さの位置に大きなテーブルとなる板が、ステージと平行に伸びています。その板を支えるのは銀色のパイプで、本数は20本ぐらい(?)。メタリックな印象ですが、床に赤い布(?)が敷かれているのが見えて、なぜか私の頭の中には精肉場のイメージが浮かびました。下手端には焦げてボロボロになった家具(ソファ、ワードローブ、椅子など)が、粗大ゴミとして捨てらたかのように置かれています。

 独白と会話がするりと入れ替わる少々複雑な戯曲のようですが、役者さんの演技がはっきりとしていたのでわかりやすかったですね。言葉も矛盾を感じずにスムーズに理解できました。役者さんの動きが面白いと思うシーンが何度もありました。逆さになったり、なぜかブルブルと揺れていたり。意外な体から発せられる言葉だから、特に集中して聞くことができたのかもしれません。
 
 完全にコミュニケーションが断絶している父・母・娘・息子の4人家族と、そこに現れる娘の恋人の計5人のお芝居です。とことん救いのないお話なので、もうちょっとコミカルな部分が欲しかったかも。それにしてもあの両親、ムカつくわ~(笑)。何もかも他人のせいにしちゃうんだもの。

 役者さんは5人とも魅力的でしたが、中でも娘の恋人パウルを演じた岩井秀人さんがすごくかっこ良くて、「あぁ岩井さんって、美男子の色男にもなれるのね!」と、目がハートマークになりましたよ(笑)。

 ここからネタバレします。

 姉と弟は、ほとんど興味本位から始めてしまったセックスで近親相姦の関係となります。しばらくして姉に恋人ができたことから、弟はさらなる孤独感にさいなまれるようになり、ガソリンを入れたビンを使って放火をするようになります。恋人とうまが合わなくなった姉も、やがて放火の共犯に。それが両親にバレてしまい、とうとう2人は両親を殺害してしまいます。腐敗していく両親の死体としばらく一緒に過ごしますが、姉は訪ねてきた恋人と逃走し、弟は一人っきりになります。

 弟が大きな透明のビニール袋に自らくるまって、舞台上を上手から下手へとぐるぐると転がりながら、最後のセリフを話します。「生まれたくて生まれてきたわけじゃないのに」とブツクサ言っているようで、被ったビニール袋は羊水のカスが体にへばりついているように見えました。そしてその殻から出るつもりはないという意志もあったように感じました(あくまで私の想像です)。このシーンが好き。

 私は松井さんの演出ですごく楽しみにしているのが、最後の最後の暗転なんです。今回は残念ながら、全身がぞくぞくするほどの衝撃はなかったですね~。

 岩井さんが全裸になる場面では、机がいい具合にモザイクの役割を果たしたこともあり(私の席からはそう見えました・笑)、無理せず正視することができました。私には珍しいことなんですよ~。岩井さんの演技の賜物かしら。それにしても、いくら服を焼かれたからって全裸で他人の家を歩き回るなんて、パウルも頭ヘンな人ですよね。

フェスティバル/トーキョー09春
【出演】父:猪股俊明 母:大崎由利子 オルガ(姉):野津あおい クルト(弟):菅原直樹 パウル:岩井秀人(ハイバイ)
作:マリウス・フォン・マイエンブルグ 翻訳:新野守広 演出:松井周(サンプル) 美術:杉山至+鴉屋 照明:西本彩 衣裳:小松陽佳留(une chrysantheme) 演出助手・ドラマトゥルク:野村政之 演出助手:成田亜佑美 舞台監督:銘木康郎+鴉屋、寅川英司+鴉屋 舞台写真:青木司 宣伝写真:山本尚明  制作補佐:有田真代(背番号零) 制作:三好佐智子 【F/Tスタッフ】制作:武田知也 制作補:遠山ちあき F/Tクルー:池田恵美、大泉尚子、大表玲奈、嶋田敬介、大東玲香 制作協力:サンプル、有限会社quinada 主催・製作:フェスティバル/トーキョー
【発売日】2008/12/18 自由席 一般 3,500円/学生 3,000円(要学生証提示)、高校生以下 1,000円 
http://festival-tokyo.jp/program/fireface/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:02 | TrackBack

2009年03月04日

チャリT企画『12人のそりゃ恐ろしい日本人』03/03-08 OFF OFFシアター

 楢原拓さんが作・演出される劇団、チャリT企画の新作を拝見。前回公演『ねずみ狩り』で楢原さんは、王子小劇場の佐藤佐吉賞2008・最優秀脚本賞を受賞されています。残念ながら私は見逃しました・・・。

 “茶番劇”という作風に納得の約1時間35分でした。現代日本についての楢原さんの視点が見えてくるのが面白かったです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『12人のそりゃ恐ろしい日本人

 ≪あらすじ≫ 
 舞台は築30年以上は経つと思われる風呂なしアパート。部屋の主は1人の若い男(宍倉靖二)だが、いそうろうしている無職の友人(伊藤伸太朗)はいっこうに職を見つけられそうにないし、隣りの部屋の女(長岡初奈)がむりやり夕飯を作って持って来るし、口うるさい大家(内山奈々)が何かとよく訪れるので、狭い部屋はいつも賑やか。
 男はある有名な殺人事件の裁判員に選抜され、その裁判が終わったところだ。被告が死刑になってしまったため少し落ち込んでいると、突然、ともに裁判員をつとめた2人(冠仁、ザンヨウコ)が訪ねてきた。「本当は被告は無罪なのだから、なんとかして判決をくつがえそう」と、男に持ちかけてきたのだ。
 ≪ここまで≫

 タイトルから『十二人の怒れる男たち』(Wikipedia)を連想しますが、裁判劇ではありませんでした。具象美術でリアルな日常を描くかと思いきや、部屋の主である男を中心に周囲の人々の行動が少しずつ異常になり、やがてはちゃめちゃになっていきます。
 演劇ならではの嘘を盛り込んで、だじゃれやコント風の会話でもって、話は軽快に進みます。「ドタバタの茶番です」という体裁をとりながら、実は現代日本の風刺をしているのが面白いです。

 観ている時は単純に楽しみましたが、後から考えてみたら、私は脚本や演出について特に注目しており、役者さんや劇団ならではの雰囲気といったものには、あまりアンテナを張っていなかったようです。つまり、チャリT企画の作品というより、作・演出の楢原さんの作品として鑑賞していました。それって・・・どうなんだろう。全体的に役者さんの力が足りてないってことなんじゃないかしら。乱暴な結論ですが、今はそう感じています。

 ここからネタバレします。

 毒入りハヤシライス事件(毒入りカレー事件がモチーフ)の被告が無罪であることを示す証拠が、裁判が終わってから次々と出てきます。今の新聞・テレビの報道が思い浮かびました。隠蔽だとか暴露だとか、めまぐるしすぎて、何が本当なのかを見極めるのが難しいんですよね。

 ウルトラセブンの主題歌を、「死刑、死刑、死刑!」と替え歌にして踊っていたのが可笑しかった~。その場のノリや雰囲気で重大な決断をして、取り返しが付かなくなるんですよね。そういう、ぬらっとした、どっちつかずな精神状態ってよくある気がします。

 部屋の主の職業は教師で、教師に好意を持つ女子高生(リストカットの常習犯らしい)がシチューを作りにやってきます。教師が理性でもって生徒を帰らせたところ、その直後に彼女は首吊り自殺をしてしまい、両親が教師の部屋に押しかけてくる・・・というエピソードがありました。それが事実なのか男の妄想なのかは曖昧になっていて、他のさまざまな幻(目の錯覚・勘違い)の1つになっていましたが、できればその出来事についてはもっと知りたかったですね。

 隣の家の女が持ってくる料理がカレーからビーフシチューになり、とうとうウ○コになります(みんな喜んで食べます)。無職だったホームレスたちがやっと就職できて部屋から出て行きますが、その職業とは海外の紛争地域に向かう兵隊でした。そして最後にはアパートが空爆されてしまいます(テロリストが潜伏しているせいで。本当はアリクイダ〔蟻喰いだ〕なんだけど)。

 自分には関係のない、遠い世界のことだと信じていたことが、次々と身に降りかかってきて、無防備なままそれを受け入てしまうのは、現代を映していると思います。お金が葉っぱになったり、テレビがダンボール箱に見えたりするのは、目に見えるものが信じられないことを表している気がしました。大事なこともつまらないことも同列に並べて、一緒くたにしてしまうのは、インターネットでよくあることですよね。

出演:内山奈々、伊藤伸太朗、高見靖二、冠仁、宍倉靖二、三枝貴志(バジリコFバジオ)、熊野善啓、小杉美香、長岡初奈、ザンヨウコ(危婦人) 声の出演:前田将甫 下中裕子
脚本・演出/楢原拓(chari-T) 舞台監督/甲賀亮 音楽/YODA Kenichi 照明/伊藤孝(ART CORE design) 音響/島貫聡(SouncCube) 舞台美術/稲田美智子 衣裳/太田家世(自由創作師) 宣伝美術/BLOCKBUSTER スチール/鈴木淳 演出助手/前田将甫 当日運営/吉田千尋(劇団コーヒー牛乳) カンパニースタッフ/松本大卒・下中裕子・鴫山知広 予約管理システム提供/シバイエンジン 制作/チャリT企画 企画・製作/チャリT企画
【発売日】2009/02/01 前売2500円(日時指定整理番号付き) 当日2800円(開演1時間前より会場受付にて販売)○学生割引=前売当日共に1800円(劇団扱いのみ・学生証掲示)○失業者・障害者=無料(要証明書類)○リピーター割引=今回半券持参で1000円
http://www.chari-t.com/

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中野成樹+フランケンズ『44マクベス』02/18-23 d-倉庫

 中野成樹さんが誤意訳・演出される中野成樹+フランケンズ(略称:ナカフラ)の本公演です。ナカフラがシェイクスクピアの『マクベス』をやったらどうなるか?チラシ表面の漫画がすっごく面白かったので、期待が高まりました。それに出演者がいつもより大人数で、しかも豪華な面々なんですよね。

 『マクベス』の流れは残したものの、大胆に脚色されていました。上演時間が2時間以上あったのも意外。
 d-倉庫に初めて伺ったのですが、素敵な劇場ですね!ロビーもゆったりだし、劇場も天井が高いし、また行きたいです。

 ⇒wonderland「中野成樹+フランケンズ『44マクベス』(クロスレビュー)
 ⇒CoRich舞台芸術!『44マクベス

 舞台奥に2階建ての装置が建て込まれています。パっと見は大きな棚のよう。1階に4部屋、その上に4部屋で計8つの部屋が、将棋のマスのように並んでいます。棚の前方に四角く広がるステージ床には、鮮やかな緑色のマットが敷かれていて、ゴルフのグリーンみたい。よく見ると装置全体が真ん中で左右シンメトリーになっています。

 マクベスを演じるのは石橋志保さん。女優さんがマクベスを演じる時点で、幕開けからいわゆる『マクベス』を見ている気持ちではなくなりました。何が起こるかわからない、何が起きてもいい、という心構えができました。マクベスに予言する魔女の1人が男性(村上聡一)だったり、予言もなんだかいい加減だし(笑)。
 私の記憶の中にある、いかにもシェイクスピアらしい『マクベス』との違いを楽しみながら眺めていきましたが、自分がぐっとお芝居の中に入っていく感覚はあまりなく、少々退屈もしました。

 終演後のトークでやっと、今自分が観た作品と演出意図との接点がわかった気がしました。トークがなかったら、ぼんやりした印象になっていたかもしれません。マクベスやマクベス夫人の「王になりたい」という欲望が、今の私たちにはあまりに現実離れしたものであり、それを無視せずに、『マクベス』を自分たちの感覚に引き寄せて演出したのだと思うと、なるほどと腑に落ちました。

 ここからネタバレします。

 マクベスが篭城したまま自ら滅び行くのを、敵がじっと見守るというエンディングは意外でした。彼らはバーナムの森を切り倒して、どんどん切り開いて城へと進み、マクベスとマクベス夫人(野島真理)を土(緑色の床)の中に埋葬します。新たに開かれた更地に、彼らは一体なにを築こうとしているのか。ただ闇雲に“くさいものに蓋”をして、歴史を塗り込めていくように見えました。

 門番(中村たかし)のシーンがものすごく長くなっていて、一人でしゃべり続けるセリフがとても面白かったです。原作ではチラっとしか登場しない人物ですよね(笑)。

 増刷された新チラシは最後の妻のセリフが変わってますね(「ほな ウチがサクっとやろか?」→「は?今さら何をおっしゃてるの?」)。私は最初の方が好き。「おっしゃてるの?」は「おっしゃってるの?」の間違いかしら?

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:中野成樹 多田淳之介(東京デスロック) 司会:長島確

 初日のゲストが翻訳家の松岡和子さんだったそうで、その衝撃(?)が2日目も残っているようでした。松岡さんはシェイクスピアの専門家ですものね。下記は印象にのこった言葉です。

 中野「松岡さんが『シェイクスピアは、人間を書き分けている』おっしゃっていました。」
 中野「ドラマトゥルグの長島さんと3ヶ月かけて脚本を練ってきて、起承転結がちゃんとしてないなと思ったんだけど、松岡さんに『シェイクスピアはそんなの(起承転結なんて)狙ってないから』と断言されちゃって。」
 中野「王道をやることと、僕のやることとは、ルールが違うと思った。」

 多田「僕にとっては、脚本は設計図。やるべきことが書いてあるもの。」
 中野「多田くんはセリフを一切変えないけれど、設定は変えるよね。僕は設定だけをそのままにして、セリフを変えます。やり方はいわば正反対なんだけど、同じことをやっている人だと思った。」

 中野「マクベスの『王になりたい』という欲望が、今の自分にはわからない(そんな欲はない。しかも人を殺してまでの)。」

"Forty Four Macbeth"
出演:フランケンズ(村上聡一、福田毅、野島真理、石橋志保) 中村彰男(文学座) 永井秀樹(青年団) 伊原農(ハイリンド) ゴウタケヒロ(POOL-5) 篠崎高志(POOL-5) 坂しおり(メガデルヅ) 中村たかし(宇宙レコード) 金谷奈緒 北川麗 オオカミ男(竹田英司、斎藤淳子、中川春香)
脚本:W・シェイクスクピア「マクベス」より 誤意訳・演出:中野成樹 ドラマトゥルク:長島確 美術:細川浩伸(急な坂アトリエ)  音楽:大谷能生、竹下亮 照明:高橋英哉 音響:山下菜美子 舞台監督:山口英峰 宣伝美術:青木正(Thoms Alex) チラシマンガ:青山景 演出助手:田中佑弥 制作:渡辺美帆子、ゴ・フランケンズ 協力:にしすがも創造舎 特別協力:急な坂スタジオ 助成:財団法人 セゾン文化財団 主催:中野成樹+フランケンズ
【発売日】2009/01/07 ☆S席 3800円(当日4000円)なにはともあれステージの全貌が見えるお席です。 ☆A席 3000円(当日3200円)「見えたり見えなかったり」のナカフラ定番演出が堪能できるお席です。
http://frankens.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:54 | TrackBack

2009年03月03日

【ワークショップ】時間堂2009ワークショップのお知らせ(3月~5月)

 演出家の黒澤世莉さん(⇒cinraのインタビュー)が主宰する劇団・時間堂が、俳優向けのワークショップを開催します。黒澤さんは演技指導者としても活躍しています。

・募集人数:各クラス12名
・応募〆切
 [俳優オープンクラス(各月全3回)]
 3月分:2月28日(土)〆切
 4月分:3月30日(月)〆切
 5月分:4月25日(土)〆切
 [俳優集中クラス(全10回)] :4月20日(月)〆切

 [俳優オープンクラス]と[俳優集中クラス] は期間と費用が違うだけで、演技の習熟度には関係がないそうです。
 詳細は下記をご覧ください。※時間堂からいただいた情報です。

【時間堂2009ワークショップのお知らせ】

●「テキストから自由になる」
 時間堂は、現役俳優を対象としたワークショップを開催します。
 私たちの標榜する「深呼吸のできる演劇」とは、舞台上にいる俳優が、その役として、生きて呼吸をしてそこに存在する。そして相手から影響を受けそれに素直に反応してゆく演劇です。お客様にもその時間や、空間、目の前にあることを感じていただく演劇。とても当たり前で、シンプルなことですが、常にそうあるためには、何が必要なのでしょうか。
 独特の練習方法が話題の時間堂ですが、その基本は「頭で考える」ではなく「やってみる」演劇です。継続して取り組むことにより、俳優としての実力がつくようにデザインされています。実際に身体で体験してみることが、理解への一番の近道です。
 黒澤世莉演出に興味のある方、黒澤演出作品をご覧になってみて、「これ、やってみたい」と思われた方、俳優として新しい経験を重ねたい向上心あふれる方、ぜひお気軽にご参加下さい。

●クラス名/クラス日程
 オープンクラスは時間堂の稽古で継続して行っているエクササイズ等を取り入れた反復のクラスとなります。
 集中クラスでは、オープンクラスの内容を発展させ、テキスト等を用いた黒澤世莉演出の初期稽古をご体験頂きます。
 尚、「俳優集中クラス」修了者の中から審査の上、「俳優応用クラス」へお誘いする方を選抜しています。
 今回は、「俳優オープンクラス」「俳優集中クラス」のみの募集となります。

[俳優オープンクラス]
時間:全日14:00-17:00 / 各月全3回
[3月] 20日(金祝)、22日(日)、29日(日)
[4月] 5日(日)、12日(日)、19日(日)
[5月] 5月17日(日)、24日(日)、31日(日)

[俳優集中クラス]
4月26日(日) 14:00-17:00
4月29日(水祝) 14:00-17:00
5月3日(日) 14:00-17:00
5月4日(月祝) 14:00-17:00
5月5日(火祝) 10:00-13:00/14:00-17:00
5月6日(水祝) 10:00-13:00/14:00-17:00
5月10日(日) 10:00-13:00/14:00-17:00
全10回

●会場
JR京浜東北線/南北線 王子駅 近辺

●募集人数/〆切
各クラス12名
[俳優オープンクラス]
 3月:2月28日(土)
 4月:3月30日(月)
 5月:4月25日(土)
[俳優集中クラス] :4月20日(月)

●ワークショップリーダー
黒澤世莉
 佐藤佐吉賞優秀作品賞、演出賞受賞。スタニスラフスキーとサンフォード・マイズナーを学び、1997年、時間堂としての活動を開始。「王子小劇場プロデュース」「劇団朋友」など、外部演出を含め26本の演出作品がある。「舞台の上で深呼吸できる」俳優と客席をつくる演出には定評がある。また新国立劇場演劇研修所や俳優指導者アソシエーションなどで、指導者としても活躍中。

●参加資格
・年齢・性別・国籍不問ただし日本語か英語での会話に不自由のない方
・職業俳優としての意識のある方

●参加費用
[俳優オープンクラス]
9,000円→2009年6月まで、期間限定割引→7,000円
*定員に応じて、1回2,500円にて1回のみの参加も可能です。

[俳優集中クラス]
30,000円→2009年6月まで、期間限定割引→20,000円

●応募方法
下記をご記入の上、[郵送]または[E-mail]にてお申し込み下さい
【1】参加希望クラス
【2】お名前(ふりがな) *芸名で活動されている方は、本名と併せてお送りください。
【3】年齢
【4】性別
【5】電話番号
【6】メールアドレス
【7】住所
【8】参加同機
【9】俳優としての長所/短所
【10】観劇したことのある時間堂/黒澤世莉演出作品(あれば)
【11】所属劇団等(あれば)
【12】備考 *最近の舞台出演等、特記すべき事項があればお書きください

[郵送先] 114-0014 東京都北区田端5-7-1 時間堂ワークショップ係
[E-mail] jikando「あっとまーく」seriseri.com
*「あっとまーく」を記号にかえてメール下さい。
時間堂:http://www.seriseri.com/jikando/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:51 | TrackBack

ゴジゲン『たぶん犯人は父』02/18-22こまばアゴラ劇場

 ゴジゲンは松居大悟さんが作・演出(出演も)される、2006年に旗揚げした劇団です。第5回目の公演でこまばアゴラ劇場「冬のサミット2008」、「北九州演劇フェスティバル2009」に参加しているなんて、勢いがありますよね。複数の人からの噂も耳にしたので、伺いました。

 若々しい、フレッシュなコメディーでした。上演時間は約1時間45分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『たぶん犯人は父

 ≪あらすじ≫
 足の不自由な広末君(松居大悟)のために募金活動をするボランティア団体の事務所。募金がとうとう目標額に達成したので、お祝いのパーティーをすることに。そんな大事な日とは知らず、団体の長である金子(山本禎顕)をたずねて、金子の息子・茂(奥村徹也)とその友人(本折智史・斉藤めぐみ)も事務所にやって来た。こともあろうに親子ゲンカを始めてしまい・・・。
 ≪ここまで≫

 スタイルとしてはどたばたのシチュエーション・コメディーですが、ある事件の犯人捜しがストーリーの主軸になっています。今どきの若者らしいギャグを下品にならない程度に散りばめつつ、実は社会風刺もちょっと効いており、楽しんで観ていられました。

 演出や役者さんの演技については学生劇団っぽさがぬぐえない印象。でも将来に期待したいな~という気持ちが沸いてくる作風でした。ギャグの方向性は個人的に好みです。

 松居さんは20代前半なんですね。今の20代の演劇の作り手は、公演の体裁をしっかり整えられていて立派だと思います。自分がその年の頃は、本当にいい加減だったなぁと反省するばかりです。

 ここからネタバレします。

 銀行からおろして来た1000万円を入れた鞄が盗まれ、お祝いムードは一転し、犯人探しの修羅場に。といっても基本的にはお気楽ムード。ドタバタするシーンはわざとらしさが目に付いて集中しづらかったです。

 茂はラップのグループを組んでおり、「俺たちの音楽で世界にラブ&ピースをもたらそう!」と勢い良く叫んでいますが、仲間は金に目がくらんで簡単にグループ解散の決心をしたりもします。夢が大事なのか、金こそ全てなのか。どことなくのどかなムードの中に、登場人物それぞれのジレンマも描かれていました。

 結局、純粋な気持ちで広末君のための募金活動をしていた者はおらず、最終的には広末君も仮病だったことがわかります。それぞれの嘘がバレて、本音がポロポロとはがれるように暴かれていく展開は、うまくできてるな~と思いました。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:本田誠人(ペテカン)/松居大悟/青木直也

 本田さんと松居さんが2人でエチュード(即興演劇)を始めたのですが、青木さんが突然参加したのがすごく面白かった。

≪東京、福岡≫
第5回公演 <こまばアゴラ劇場「冬のサミット2008」・北九州演劇フェスティバル2009参加作品>
出演:青木直也 安積友恵 奥村徹也 斉藤めぐみ 目次立樹 本折智史(青春事情) 山本禎顕 松居大悟 目次立樹
作・演出/松居大悟 演出助手/飯田紘子、村上淳也 舞台監督/並木拓巳+久保大輔 舞台美術/高良真秀 装置/青木栄介 照明/佐野由希子、田中丸桜子、松本望 音響/森優太 音楽/GosenfuStudio 演出部/藤岡理絵 衣裳/本間圭一 映像/橋爪知博 宣伝美術/小西朝子 チラシデザイン/谷口崇 WEB/飯塚美江 スチール/村田まゆ 外野/北川隆来 宿舎/喜久田邸 広報/門田佐和子、城野舞子、矢野薫 制作/半田桃子、安部未知子、熊野由香里、武藤香織 角山紗代子 企画制作/ゴジゲン、(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 東京公演主催/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
前売 2,000円 当日 2,300円 学割 1,500円(要学生証提示)
http://www.5-jigen.com/

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Posted by shinobu at 20:23 | TrackBack

あなざ事情団『豪華!三人姉妹 まつり』02/21-22シューレ大学

 あなざ事情団は、わたなべなおこさん(あなざーわーくす)、松田弘子さん(青年団)、倉品淳子さん(山の手事情社)の観客参加型演劇を上演するユニットです(過去レビュー⇒)。

 前回は私、ずっとペットボトルを持ってたんだよな~(笑)。今回は後方席だったので静かに鑑賞。でも笑いすぎて疲れました(笑)。上演時間はたしか約1時間30分。ワークショップには参加しませんでした。

 ⇒CoRich舞台芸術!『豪華!三人姉妹 まつり

 前回と大きく違うのは、英語と日本語の両方で上演されること。なんとカナダ公演もあるんですよね。日本語を母国語とする人と英語を母国語とする人の両方が、字幕なしでも鑑賞できる構成になっています。松田さんは翻訳・通訳もされる多才な女優さん!紙芝居もチラシの絵も松田さんが描かれています。

 倉品さんと松田さんの2人だけで『三人姉妹』の登場人物を次々と演じ分け、観客にもどんどん配役を振っていきます。ノリのいい観客はセリフが上手で楽し~♪お2人はそんな雰囲気を作るのがすごく上手なんですよね。

 『三人姉妹』は数作品拝見していますが、最後の「生きていかなければね」でもれなく感動してしまう私。今作ではほとんど絶叫するようなセリフになっていましたが(笑)、やっぱりじわっと来ちゃったよ(←ヘン?)

 シューレ大学↓はちょっと不思議な場所でした。道とすぐつながってる感じがのどかで良かったです。花粉症の人はつらかったみたいだけど。
20090322_sannin_shimai_matsuri.JPG

あなざ事情団+シューレ大学 共催イベント
公開演劇ワークショップ 演劇表現の多様性と可能性を探る
出演:倉品淳子(山の手事情社) 松田弘子(青年団)
脚本:アントン・チェーホフ 演出:わたなべなおこ
【発売日】2009/01/17 予約:2,500円 当日:3,000円
*「三人姉妹」の観劇とワークショップがセットになった料金です。
*観劇のみ、ワークショップ参加のみでもOKです!(その場合も値引きはございません。ごめんなさい)
*三人姉妹の上演時間は70分くらい、ワークショップは90分を予定しています。
http://www.letre.co.jp/~hiroko/threesisters/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 18:25 | TrackBack

【情報】ポツドール『愛の渦』公演パンフレットがインターネットで販売中!

20090303_ainouzu_book.JPG
『愛の渦』パンフ(左)とチラシ

 ポツドール『愛の渦』(私は来週観劇予定)の会場で販売中のパンフレットを、友人から入手!小さな冊子ですが、1000円という価格も納得の貴重な保存版です。黒の装丁もポツドールらしくてイイですね。
 ⇒こちらでネット注文可能!

 『愛の渦』(⇒戯曲本紹介)についてはもちろん、劇団旗揚げから現在にいたる全作品紹介や、作・演出の三浦大輔さんのロングインタビューなど、中身はとても充実しています。
 演劇関係者で寄稿されているのは岩松了さん、宮沢章夫さん、本谷有希子さん、内野儀さんという豪華な面々。『愛の渦』出演者による「実録・ポツドールの稽古場(三浦大輔・欠席裁判)」が面白かった~(笑)。

 「土佐有明の(ほぼ)初日劇評」に今公演の舞台写真が掲載された劇評が出ています。“(ほぼ)初日劇評”って素晴らしいですね!!

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:05 | TrackBack

2009年03月01日

メルマガ 2009年03月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2009年3月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏

 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 58     2009.3.1  1,393部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/

   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎インフルエンザ&花粉対策で、外出時はマスク必携のしのぶです(涙)。
  3月は「フェスティバル/トーキョー」をはじめ、話題作が続々開幕!

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→ホリプロ『ムサシ』
       03/04-04/19彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
    http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/p0304.html

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→スロウライダー『クロウズ』
       02/07-15 THEATER/TOPS
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0208115335.html

 ◆3【「フェスティバル/トーキョー」ただいま開催中!】

   ◎東京発の、新しい国際芸術祭。注目作品をご紹介します。
    http://festival-tokyo.jp/

 ◆4【新国立劇場「シリーズ・同時代【海外編】」の特別イベント】

   ◎上演演目3作品の半券が1枚あれば、すべて無料!
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000180_play.html

 ◆5【「CoRich舞台芸術まつり!2009春」3/2(月)より公募開始! 】

   ◎日本全国対象のインターネット上の舞台芸術フェスティバルです。
    http://stage.corich.jp/festival2009/index.php

 ◆6【編集後記】

   ◎アームウォーマーに助けられています~。
   ◎「さよならシアタートップス 最後の文化祭」

 ◆7【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ▽★印がいちおし公演です(3本)。
 ▽初日の早い順に並べています。
 ▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・価格・URL
 ▽座種の記述がない公演は全席指定。


1.文学座『グレンギャリー・グレン ロス』
  03/02-11紀伊國屋サザンシアター
  ☆出演:坂部文昭 清水幹生 外山誠二 押切英希 田中明生 藤川三郎 石橋徹郎
   脚本:デイヴィッド・マメット 翻訳・演出:江守徹
   一般5500円 ユースチケット3800円(25歳以下) 中・高校生2500円
   ※未就学児童の入場不可。
    http://www.bungakuza.com/glenross/index.html
   デイヴィッド・マメットの1983年初演・ピュリッツァー賞受賞戯曲を、
   江守徹さんが翻訳・演出。文学座の渋いベテラン俳優が魅せてくれそう。

    
★2.ホリプロ『ムサシ』
  03/04-04/19彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
  ☆出演:藤原竜也 小栗旬 鈴木杏 吉田鋼太郎 辻萬長 白石加代子 他
   脚本:井上ひさし(吉川英治「宮本武蔵」より) 演出:蜷川幸雄
   S席10,500円 A席8,500円
    http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/p0304.html
   出演者・スタッフともに「これ以上豪華な顔ぶれはないかも・・・!」と
   期待させてくれる話題作。

  ●お薦めポイント●
   井上ひさしさんの新作を、蜷川幸雄さんが演出。
   宮本武蔵役を藤原竜也さん、佐々木小次郎役を小栗旬さんが演じます。
   めまいがしそうなぐらい豪華な座組みです!
   制作発表レポート↓
    http://www.saf.or.jp/info_archive/info_musashi001.html


★3.グリング『吸血鬼』
  03/05-11青山円形劇場
  ☆出演:杉山文雄/中野英樹/萩原利映/安藤聖/遠藤隆太/
      高橋理恵子/辰己智秋/平田敦子/みのすけ
   脚本・演出:青木豪
   前売4,300円 当日4,800円 10歳未満のお子様の入場不可。
    http://www.gring.info/
   今、最も多忙な劇作家の一人・青木豪さん率いるグリングの新作です。
   円形劇場でどんなドラマを見せてくれるのか。チラシのインパクト大!


4.世田谷パブリックシアター『春琴』
  03/05-16世田谷パブリックシアター
  ~谷崎潤一郎「春琴抄」「陰翳礼讃」より~
  「フェスティバル/トーキョー09春」参加作品
  ☆出演:深津絵里/チョウソンハ/立石凉子/内田淳子/望月康代/
      麻生花帆/瑞木健太郎/高田恵篤、下馬二五七/本條秀太郎(三味線)
   原作:谷崎潤一郎 演出:サイモン・マクバーニー
   一般S席7,500円/A席5,000円/B席3,000円 
   TSSS:各一般料金の半額/劇場友の会・区民割引などあり。
   ※未就学児童の入場不可。
    http://setagaya-pt.jp/theater_info/2009/03/post_148.html
   昨年初演され、読売演劇大賞・最優秀演出家賞などを受賞した作品が、
   ロンドン公演を経て早くも再演。初演レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0222002933.html


5.演劇企画集団THE・ガジラ『PW~PRISONER OF WAR』
  03/06-15本多劇場
  ☆出演:寺十吾/うじきつよし/松永玲子/町田マリー/斎藤歩/
      小野健太郎/宮島健/塩野谷正幸/小田豊/仁科貴
   脚本・演出:鐘下辰男
   前売・当日共5,500円 ※未就学児童の入場不可。
   シードチケット(学生割引・平日のみ枚数限定):前売・当日共3,000円
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~cottone/index.html
   1997年の初演で紀伊国屋演劇賞個人賞・読売演劇大賞最優秀演出家賞を
   受賞した作品。キャストを一新して12年ぶりの再演。

6.劇団☆新感線『いのうえ歌舞伎☆壊「蜉蝣峠」』
  03/11-04/12赤坂ACTシアター
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演:古田新太/堤真一/高岡早紀/勝地涼/木村了/梶原善/
      粟根まこと/高田聖子/橋本じゅん/他
   脚本:宮藤官九郎 演出:いのうえひでのり
   S席11,000円 A席9,000円 
   ※3月11日(水)プレビュー公演 S席9,000円 A席7,000円
    http://www.kageroutouge.com/
   宮藤官九郎さんを脚本に迎えた劇団☆新感線の豪華キャスト公演。


7.新国立劇場演劇『昔の女』
  03/12-22新国立劇場 小劇場
  シリーズ・同時代【海外編】Vol.1
  ☆出演:松重豊、七瀬なつみ、日下部そう、ちすん、西田尚美
   作:ローラント・シンメルプフェニヒ 翻訳:大塚直 演出:倉持裕
   A席:4,200円 B席:3,150円 Z席:1,500円
   ※未就学児童の入場不可。
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000064_play.html
   海外現代戯曲を日本の若手演出家の手にゆだねる、新国立劇場の企画。
   倉持裕さんが挑むのは、ドイツのサイコサスペンス風ドラマです。
   終演後のトークや無料リーディングなどのイベントも盛りだくさん!


8.加藤健一事務所『川を越えて、森を抜けて』
  03/18-29本多劇場
  ≪東京2箇所、岐阜、石川≫
  ☆出演 加藤健一 竹下景子 小山萌子 山本芳樹 一柳みる 有福正志
   作:ジョウ・ディピエトロ 訳:小田島恒志/平川大作 演出:高瀬久男
   前売5,000円 当日5,500円 高校生割引2,500円(当日のみ)
    http://homepage2.nifty.com/katoken/71index2.html
   アメリカ・ニュージャージー州が舞台の、優しさが胸にしみる家族のお話。
   素晴らしい脚本です。2000年のシアター21公演のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2000/1212234237.html


★9.TOKYO DANCE TODAY #4『あらかじめ』
  03/26-29青山円形劇場
  ☆出演:有川マコト 佐藤亮介 藤田桃子 宮下今日子 小野寺修二
   作・演出:小野寺修二(カンパニーデラシネラ)
   テキスト:小里清(フラジャイル)
   前売3,700円 当日4,000円
    http://www.onoderan.jp/
   ダンサーと俳優の混合キャストが目を引く、小野寺修二さんの新作公演。
   ダンスと演劇が融合する不思議ハッピーな世界にひたれそう。


10.パルコSHOW STAGE NO.1『Triangle ~ルームシェアのススメ~』
  03/27-04/19パルコ劇場
  ≪東京、大阪、福岡≫
  ☆出演:井上芳雄 新納慎也 彩乃かなみ
   脚本:蓬莱竜太 演出:宮田慶子
   9,000円 ※未就学児童の入場不可。
    http://www.parco-play.com/web/page/information/triangle/
   岸田國士戯曲賞を受賞したばかりの蓬莱竜太さんが、ミュージカルに
   初挑戦。演出は新国立劇場・次期芸術監督の宮田慶子さん。
   歌とダンスを盛り込んだ、男女3人の軽快な作品になりそう。


 ★★★―――――――――――――――――――――――――――――― 
  前売2000円台の気になる作品を5本ご紹介します。
 ――――――――――――――――――――――――――――――★★★ 

【1】柿喰う客『恋人としては無理 JAPAN TOUR』
  03/05-09 STスポット
  ≪神奈川、愛知、福岡、大阪、北海道≫
  ☆脚本・演出:中屋敷法仁
   全席自由 前売2,300円/当日2,500円/学生2,000円
   初日割引:前売・当日ともに1,800円
    http://kaki-kuu-kyaku.com/ ↓CoRichでカンタン予約!
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=12018
   今最も勢いのある若手劇団・柿喰う客の、初めての国内5ヶ所ツアー。
   初演をフランスで迎えた作品の再演です。日本公演のレビュー↓
    http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=20842
   ※「CoRich舞台芸術まつり!2008春」最終選考作品でした。


【2】快快(ファイファイ)『MY NAME IS I LOVE YOU』
  03/07-08 5TANDA SONIC
  東京芸術見本市2009参加/ハンガリー・プレ公演
  ☆脚本:北川陽子 演出:篠田千明
   全席自由 前売¥2,500 当日¥2,800
    http://www.faifai.tv/
   注目を集める若手パフォーマンス集団、快快の2005年上演作品の再演。
   ハンガリー公演のプレ公演で、全編英語(中3レベル)での上演です。


【3】カニクラ『おやすまなさい』
  03/18-22アトリエヘリコプター
  ☆出演:川田希 宝積有香
   脚本:前田司郎(五反田団) 演出:岩井秀人(ハイバイ)
   全席自由 前売り・当日ともに2,300円
    http://ameblo.jp/canicula88
   女優2人の演劇ユニットが、前田司郎戯曲に挑戦。
   演出はハイバイの岩井秀人さん。

【4】東京デスロック REBIRTH#4『リア王』
  03/26-29富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
  キラリ☆ふじみ芸術祭参加作品 
  ☆作:シェイクスピア 構成・演出:多田淳之介
   日時指定・整理番号付き自由席 前売り2500円 当日2800円
   学生・シニアは前売り・当日とも1500円 ※未就学児童の入場不可。
    http://deathlock.specters.net/
   東京公演を休止して本拠地をさいたま県に移した、東京デスロックの新作。
   ホームであるキラリ☆ふじみでの初公演。


【5】パラドックス定数『インテレクチュアル・マスターベーション』
  03/27-04/01シアター711
  ☆脚本・演出:野木萌葱
   全席自由 前売り2800円 当日券3000円
   平日マチネ(3/31 15時の回) は前売・当日共2500円
    http://www.pdx-c.com/
   野木萌葱さんの骨太な作風が魅力の、男優ばかりの劇団の新作。
   下北沢の新劇場“シアター711”にも興味津々!


 ◎しのぶの今月の全予定はSCHEDULEに掲載しています。
   http://www.shinobu-review.jp/schedule.html

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 ◆2 【先月のベスト3】
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1.スロウライダー『クロウズ』
  02/07-15 THEATER/TOPS
  ☆具象表現の中の大胆なフィクションを、観客が作り手と一緒に信じられる
   共犯感覚が楽しい。狙いを定めた遊び心にグっと来ます。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0208115335.html


2.FUKAIPRODUCE羽衣『Y.I』
  02/13-16新宿ゴールデン街劇場
  ☆性欲堂々肯定の妙な音楽劇(妙ージカル)。歌も演技も上手くは
   ないですが(笑)、正直さと、目の前にある汗だくの体にフォーリンラヴ。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0220172010.html


3.メジャーリーグ『ちっちゃなエイヨルフ』
  02/04-15あうるすぽっと
  ☆ひとことのセリフに、これだけの感情の揺らぎが隠れているなんて。
   イプセン戯曲の凄さを今、味わえたことに感謝します。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0206160702.html


  MONO『床下のほら吹き男』では期待通りの優しい空間に浸れました。
  『カール・マルクス:資本論、第一巻』は自分も参加している気分♪


 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  2009年2月(観劇数20作品)は残念ながら発行しませんでした。

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 ◆3 【「フェスティバル/トーキョー」ただいま開催中!】
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 ◎東京発の、新しい演劇祭がとうとう開幕しました!
 「フェスティバル/トーキョー」※通称「F/T」
   http://festival-tokyo.jp/
  記者発表の様子↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1126162834.html
  開催期間:2009年2月26日~3月29日

  早速、トップバッターのリミニ・プロトコルを拝見♪
  ○リミニ・プロトコル『カール・マルクス:資本論、第一巻』
   02/26-03/01にしすがも創造舎 特設劇場
   自由席 一般4,500円 学生3,000円 高校生以下1,000円 
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0226235354.html

  約1ヶ月の間に上演される全22演目の中から、
  (22演目中、外部参加は5作品。「演劇/大学09春」では4本上演。)
   http://festival-tokyo.jp/program/
  しのぶが特に気になる5作品をご紹介いたします(ほぼ上演順)。

 【フェスティバル/トーキョーで初演を迎える新作】

  ○フェスティバル/トーキョー実行委員会「火の顔」
   03/05-08東京芸術劇場 小ホール1
   脚本:マリウス・フォン・マイエンブルグ 演出:松井周(サンプル)
   自由席 一般3,500円 学生3,000円 高校生以下1,000円
    http://festival-tokyo.jp/program/fireface/index.html

 【世界的に注目を集める演出家の来日公演】

  ○フェスティバル/トーキョー実行委員会「Hey Girl!」
   03/10-14にしすがも創造舎 特設劇場
   演出・ロメオ・カステルッチ[イタリア]
   自由席 一般4,500円 学生3,000円 高校生以下1,000円 
    http://festival-tokyo.jp/program/heygirl/index.html

 【イラン・フランス・日本の共同製作】

  ○フェスティバル/トーキョー実行委員会「ユートピア?」
   03/23-29あうるすぽっと
   脚本・演出:3人の共同製作(平田オリザ/
         アミール・レザ・コへスタニ/シルヴァン・モーリス)
   指定席 一般4,500円 学生3,000円 高校生以下1,000円 
    http://festival-tokyo.jp/program/utopia/index.html

 【東京に初上陸する話題作の再演】

  ○さいたまゴールド・シアター「95kgと97kgのあいだ」
   03/18-29にしすがも創造舎 特設劇場
   脚本:清水邦夫 演出:蜷川幸雄
   自由席 一般イス席4,000円 一般桟敷席3,000円
   学生3,000円 高校生以下1,000円 
    http://festival-tokyo.jp/program/btween95-97kg/index.html

  ○SPAC「転校生」
   03/26-29東京芸術劇場 中ホール
   脚本:平田オリザ 演出:飴屋法水
   指定席 一般S席4,500円 一般A席3,500円
   学生3,000円 高校生以下1,000円 
    http://festival-tokyo.jp/program/transfer/index.html


  東京芸術劇場前の広場には“F/Tステーション”が出現!(入場無料)
   http://festival-tokyo.jp/blog/2009/02/ftft-1.html
  週末には伊藤キムさんプロデュースの“おやじカフェ”が営業されます。
   http://festival-tokyo.jp/event/station.html
  「F/T」にどっぷり浸かって、生活まるごとアートにしちゃいましょう♪  


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 ◆4 【新国立劇場「シリーズ・同時代【海外編】」の特別イベント】
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 ◎新国立劇場の「シリーズ・同時代【海外編】」は、
  鵜山仁芸術監督が立ち上げた現代戯曲研究会から選出された
  日本未発表の海外戯曲3本を、若手演出家が手がける企画です。  
  チラシのデザインが素敵!3種類セットでコレクションしたい♪

 ○ドイツ戯曲『昔の女』03/12-22新国立劇場 小劇場
   作:ローラント・シンメルプフェニヒ 翻訳:大塚直 演出:倉持裕
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000064_play.html
   今月のおすすめ10本としてもご紹介しています。

 ○イギリス戯曲『シュート・ザ・クロウ』04/10-26新国立劇場 小劇場
   作:オーウェン・マカファーティー 翻訳:浦辺千鶴/小田島恒志
   演出:田村孝裕
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000065_play.html

 ○ドイツ戯曲『タトゥー』05/15-31新国立劇場 小劇場
   作:デーア・ローアー 翻訳:三輪玲子 演出:岡田利規
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000066_play.html

  公演期間中の“スペシャルイベント”は、上演演目の半券が1枚あれば
  すべて無料で楽しめるという超~おトクな企画!
   http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000180_play.html

  出演者と演出家とが出演するシアタートークの他に、
  各作品の作家が来日するシアタートーク【特別編】もあります。

  番外連続リーディングでも、日本未発表の現代海外戯曲が3本。
  3月『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』 
  4月『最後の炎』
  5月『タロットカードによる五重奏のモノローグ』 

  『タロット…』は、計20のシーンが会場内の複数の場所で演じられます。
  観客はそれらを“偶然に選択”して、移動しながら観るという形式。
  広く開かれ、常に動いている新国立劇場と出合えそうです。

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 ◆5 【「CoRich舞台芸術まつり!2009春」3/2(月)より公募開始!】
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 ◎今年も「CoRich舞台芸術まつり!2009春」が開催されます!
   http://stage.corich.jp/festival2009/index.php

  グランプリ受賞団体に次回公演費用として100万円が支援される、
  日本全国対象のインターネット上の舞台芸術フェスティバルです。
  今回で3度目の開催になります。昨年の結果↓
   http://stage.corich.jp/festival2008/grand_prix.html

   公募期間:2009年3月2日(月)~2009年3月23日(月)
   開催期間:2009年4月1日(水)~2009年6月30日(火)

  第一次審査(ネット審査)で10団体が選ばれ(3/27発表)、
  最終審査では審査員が日本全国どこでも作品を観に行きます。
  開催期間中に公演がある団体の方はぜひご応募ください!
  ※応募条件、方法については公式サイトをご参照下さい。

  投稿されるクチコミ情報も審査を左右しますので、
  ぜひ観客の皆さんもクチコミ投稿してくださいね♪
   CoRich舞台芸術!:http://stage.corich.jp/
   メンバー登録:http://www.corich.jp/stage/user_register.php
   携帯サイト:http://corich.jp/m/s


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 ◆6 【編集後記】
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 ◎昨年6月からけんしょう炎に悩まされはじめたのですが、
  この冬はアームウォーマーのおかげで乗り切れそうです♪
  レッグウォーマーを腕に装着してるだけなんですけど(笑)。


 ◎今月で閉館するTHEATER/TOPSで、記念イベントが開催されます。
  「さよならシアタートップス 最後の文化祭」
   03/18-29 THEATER/TOPS
   http://members.at.infoseek.co.jp/theatertops/bunkasai/bunkasai.html
  東京サンシャインボーイズ復活公演をはじめ、THEATER/TOPSゆかりの
  劇団の短編オムニバス公演もあります。↓タイムテーブル
   http://members.at.infoseek.co.jp/theatertops/bunkasai/program.html


 ◎エロメール添削家・赤ペン瀧川先生の番外編ライブがあります。
  赤ペン瀧川先生ソロライブ「瀧川先生の24」
  3/8(日)19:00開演@新宿ロフトプラスワン
  前売¥2300/当日¥2500(共にワンドリンク付き)
   http://blog.livedoor.jp/age_guts_go/
  内容はど真ん中エロですが(笑)、女の子も大笑いできるイベントです。
  「エロメール添削スライドショー」のレビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1115131940.html


 ◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
  2009年2月は下記の4作品を拝見しました。
  ・「ぐるりのこと。」←舞台俳優が大勢出演!
    http://www.gururinokoto.jp/
  ・「アキレスと亀」←物足りない。
    http://www.office-kitano.co.jp/akiresu/
  ・「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」←観てよかった…。
    http://www.wakamatsukoji.org/
  ・「接吻」←しのぶ絶賛!ぜひご覧いただきたい衝撃作!
    http://www.seppun-movie.com/


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
   http://stage.corich.jp/
  メンバー登録はこちら↓
   http://www.corich.jp/stage/user_register.php
  携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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Posted by shinobu at 02:22 | TrackBack