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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2011年09月28日

新国立劇場演劇・リーディング公演『三島由紀夫作・近代能楽集「邯鄲」』09/28-10/01新国立劇場小劇場

 新国立劇場で毎月無料で催されているマンスリー・プロジェクトの朗読劇です。

 これこそ正統派の朗読劇だと思いました。やはり研修生より修了生の方がずっと成長されていますね。超満足。「邯鄲」って面白いな~。

 役者さんがキャラクターを大げさすぎずに作っているのが素晴らしいです。主人公を演じた今井聡さんは、ジブリアニメの主役のような、清涼な声でした。妻も遊女3人組も美しかった。

 ⇒CoRich舞台芸術!『三島由紀夫作 近代能楽集「邯鄲」
 レビューは記録のみ。アップしたのは2014/7/13です。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 青年・次郎が、田舎で静かに暮らす元乳母の菊を訪ね、唐土から来たという枕で眠る一夜のうちに、夢の中で自分の一生を見てしまう――。能の夢幻を近代戯曲として展開した珠玉の作品を、リーディングで。
 ≪ここまで≫

出演:阿川雄輔、今井聡、角野哲郎、河合杏南、斉藤まりえ、竹田有汰、田嶋真弓、西村壮悟、日沼さくら、渡辺樹里
脚本:三島由紀夫 演出:宮田慶子
【休演日】9/29,30【発売日】2011/08/09
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000400_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:57 | TrackBack

2011年09月24日

新国立劇場演劇『朱雀家の滅亡』09/20-10/10新国立劇場小劇場

 新国立劇場演劇の新シーズン“【美×劇】―滅びゆくものに託した美意識─”の第1弾です。三島由紀夫作『朱雀家の滅亡』を芸術監督の宮田慶子さんが演出されます。

 初日を鑑賞しました。とても重厚で緊張の途絶えないセリフ劇でした。これは…頻繁には上演されないことに納得です。命がけで生きる人間と人間が拮抗するぎゅーーーっと凝縮された時間と、流麗な日本語によって生み出される深い思索の時間。何度も涙がこぼれました。上演時間は約2時間50分(途中休憩15分を含む)。⇒帰り道のツイート

 劇場ロビーで関連書籍を多数販売中。私は『朱雀家の滅亡』『サド侯爵夫人』の文庫本を購入。ありがたいです。

サド侯爵夫人 朱雀家の滅亡 (河出文庫)
三島 由紀夫
河出書房新社
売り上げランキング: 47336

 ⇒CoRich舞台芸術!『朱雀家の滅亡
 ⇒シリーズ【美×劇】合同制作発表会

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 時は、太平洋戦争末期。
 名門侯爵家の当主、朱雀経隆(國村隼)は、専横な振る舞いを続ける首相を天皇のために失脚させたのち、自らも辞職して帰還する。
 女中おれい(香寿たつき)や婚約者璃津子(柴本幸)の反対を押し切って、出征を願いでた息子の経広(木村了)は、叔父宍戸光康(近藤芳正)とおれいの反対にもかかわらず、戦地へ赴き戦死してしまう。
 おれいは、経広を無為に失わせた経隆を責め、死を嘆き悲しむが……
 忠誠心とは、国家や、大義とはいったい何なのか、ある華族の崩壊を通して問いかける。
 ≪ここまで≫

 5人の登場人物がみな頑なで、会話は絶望的に平行線をたどります。でもそれぞれにしっかりとした根拠を持っているので、すれ違う様は愚かで悲しいけれど、美しいとも思いました。

 役者さんは皆さん、長いセリフとの格闘の跡があらわれていました。苦しい稽古を重ねた成果を見せてくださったように思います。

 “何もしない”朱雀侯爵役の國村隼さんが素晴らしかった~。何もしないことを選び、周囲が何を言おうと、どうなろうと、それを実行するのは簡単に言うと頑固です。國村さんは柔らかなたたずまいをキープしつつ、その元にある意志が決して揺らがないことをあらわされていました。現代の女性である私からすると「バカ!ひどいよ!」と言いたくなる気持ちにもなったのですが、ある世界が崩壊する時に、その世界とともに生きて、ともに滅ぶと決めて添い遂げる姿には、「私ごときには敵わないな」と、首を垂れるしかありません。

 女中であり母であるおれい役の香寿たつきさんは、休憩前と後では別人!(物語上必然なのですが) 激昂しても過剰に、はしたなくならないので、セリフをじっくり味わうことができました。朱雀侯爵の弟役の近藤芳正さんは、計算された演技で緊張をうまく緩和する間を作ってくださり、ワハハと笑えてホっと一息つけました。若いお2人はやはりまだこれからという印象でしたが、ひたむきさ、必死さに打たれました。そしてお2人ともきれい。

 ここからネタバレします。

 空襲で焼けおちた朱雀邸。大きなダイニングテーブルが客席の方向に傾き、描かれていたのが朱雀の絵だったことがわかりました。権威と伝統の象徴のような豪華なテーブルが壊れて、華麗に飛び立つ朱雀の姿が浮かび上がります。皮肉だけど美しいです。

 私が一番共感したのは、廃墟で一人生き残った経隆のセリフ。※上記文庫本の248ページ
 大意を「お上に心酔していた(今もしている)自分は確かに狂気だったかもしれない。でもその時は鳥のように飛べた。だが今の日本人のように正気に戻ったとすれば、翼があるように見えても決して飛ぶことはできない」という風に受け取りました。ストーリー上は「お上=天皇」ですが、「お上=美意識」としていいと思います。

 最近、如月小春著「俳優の領分」を拝読しました。

俳優の領分―中村伸郎と昭和の劇作家たち
如月 小春
新宿書房
売り上げランキング: 566917

 『朱雀家の滅亡』初演で朱雀経隆役だった中村伸郎さんが、同役をどう演じられたか、そして当時三島由紀夫さんが何をおっしゃっていたのかを語られています。如月さんの『朱雀家…』についての作品解説を読み、私はやはり女性(自分の性)の視点からしか受け取っていなかったのだなと反省。的を射た鋭い解釈に目からうろこが落ちる思いの連続でした。明治時代以降の日本の演劇の変遷にご興味のある方にはぜひともにお薦めしたい名著です。

2011/2012シーズン【美×劇】―滅びゆくものに託した美意識─Ⅰ
出演:國村隼  香寿たつき  柴本幸  木村了  近藤芳正
作:三島由紀夫 演出:宮田慶子 美術:池田ともゆき 照明:室伏生大 音響:上田好生 衣裳:半田恵津子 演出助手:松森望宏 舞台監督:澁谷壽久
【休演日】9/26 10/3【発売日】2011/07/16 A席6,300円 B席3,150円 Z席1,500円 三作品特別割引通し券16,600円(正価18,900円)
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000435_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 10:34 | TrackBack

2011年09月22日

出会ったら企画プロデュース『ガチゲキ!!』09/17-25王子小劇場

 シェイクスピアをテーマに6劇団が賞金30万円を賭けて行う、バトル形式のフェスティバル『ガチゲキ!!』。観客投票による一般審査員賞と、審査員協議による特別審査員賞があります。

 だるめしあん企画とクロカワタナカ&Co.を観たら、その2つが入賞しました。ラッキー!

 ●一般審査員賞(お客様による投票):だるめしあん企画
 ●特別審査員賞(審査員による協議):クロカワタナカ&Co.

 ⇒CoRich舞台芸術!『ガチゲキ!!
 ※レビューをアップしました(2013年5月18日)。

●だるめしあん企画「夏のひと夜のアバンチューる」
 作・演出 坂本鈴
 出演:山本悠生 青木まさと 小泉真希 斧口智彦 小山貴司 御影桃香 月島シノブ、他

 ダンスや身体表現も大いに取り入れた、とてもよくできたコメディーでした。妖精(魔物)をやりきる俳優が素晴らしかった。

●クロカワタナカ&Co.「ロミオ的な人とジュリエット」
 作・黒川陽子 演出・田中圭介 音楽:松田幹 振付:大園康司(冨士山アネット)
 出演:山田宏平 清水クミコ 吉川靖子 窪田壮史 金川周平 Lynne Hobday 八木光太郎 西本竜樹

 乳母とハムレットが入れ替わるという驚きの設定。それでも原作どおりの切ないエンディングを迎え、さらにはセリフが美しい韻を踏むなど、劇作家の力量にうなる作品でした。

 以下、公式サイトより

【ガチゲキ!!とは】
6劇団が賞金をかけて争うバトル形式のシェイクスピ アフェスティバル!1公演 につき2劇団がそれぞれ作品を上演。
土日祝日をバト ル公演期間とし、総当たり 戦を行い、各公演の終演後に、投票により勝敗を決め る。
全公演後、特別審査員 賞と一般審査員賞を決定する!(25日17時の回の終演 後、グランプリ決定公開審 査。入場無料!)

【参加劇団】
●だるめしあん企画(作・演出 坂本鈴)「夏のひと夜のアバンチューる」
●ぬいぐるみハンター(作・演出 池亀三太)「ロミオとジュリエット」
●東京パリ帝国(作・演出 柿田パリス)「ロミオとジュリエットと私」
●劇団どろんこプロレス(作・演出 うんこ太郎) 「SHIT MAN~オセロ ~」
●クロカワタナカ&Co.(作・黒川陽子/演出・田中圭介)「ロミオ的な人とジュリエット」
●日本のラジオ(作・演出 屋代秀樹)「『パイ・ソーセージ・ワイン』」(タ イタス・アンドロニカスより)

【特別審査員】 マキノノゾミ(元劇団M・O・P主宰) 小菅隼人(慶應義塾大学教授・日本演劇学会理事) 園田喬(演劇ぶっく編集者) 玉山悟(王子小劇場代表)

【発売日】2011/08/01 前売り 3000円 フリーパス 7000円※数量限定
当日 3500円 半券割引 半券1枚・・・500円割引 半券2枚・・・1000円割引
http://www.deattara.com/gachi-geki

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:55 | TrackBack

ホリプロ『ミュージカル「スリル・ミー」Bキャスト』09/17-10/03アトリエフォンテーヌ

 ミュージカル『スリル・ミー』Aキャストに続いてBキャストへ。松下洸平さん柿澤勇人さんも私は初めて拝見したのですが・・・素晴らしかった!!Bキャストを観るまでこのミュージカルの面白さを全然わかってなかった私!って思ったぐらい!!!

 19歳の若い少年2人がなぜ凶悪犯罪を犯したのか。その謎がすっきり解けた気分です。若いからこその、純愛の物語なのだと思いました。

 チケットはおそらく完売かと思います(調べてません)。当日券狙いでどちらか迷ってらっしゃる方には、私個人としてはBキャストがお薦め。すでにAキャストをご覧になった方はBキャストもぜひ!

 ⇒CoRich舞台芸術!『ミュージカル「スリル・ミー」

 あらすじなどはAキャストのレビューでどうぞ。

 レイも“彼”も、舞台上で命を生き生きと燃やして、追い詰められて必死でもがいているように感じられました。19歳の時に犯した殺人罪。彼らはそうするしかなかったのだと、納得できました。若者は「今じゃなきゃだめだ」「コレじゃなきゃだめだ」って、強く信じてしまうものなんですよね。
 ずーっとヒリヒリ、じりじりとして、目が離せなかったです。背もたれにダラっともたれていられないというか、気持ちがはりつめたままの、刺激的で濃密な、贅沢な1時間45分でした。

 登場するのが2人だけ(+ピアノの生演奏)で、それほど凝った装置があるわけではないのですが、同じパターンに陥らない照明の切り替えや場面転換で、最後まで魅せてくださいました。地下の小さな空間で天井が高いのがいいですね。2階部分と中央の階段、舞台奥の扉などがバランスよく使われて、小さなステージなのにどの場面も新しく見えました。

 【Bバージョン】レイ:松下洸平 彼:柿澤勇人
 松下洸平さん。もう…幕開けの時点でノックアウトされました。演技がうまい!歌を歌っている時の演技も!レイが“彼”なしに生きる理由などないと思っていることが、視線、姿勢からも伝わってきました。ミュージカルや音楽劇だけじゃなく、ぜひお芝居にも出て欲しい!と思ったら、次回は『ヴィラ・グランデ青山』に出演されるんですね。楽しみです。
 柿澤勇人さん。“彼”って秀才のはずなんだけど、実際の行動は猪突猛進型のおバカさんとも言えるんですよね。でも柿澤さんを見てると、そうするしかなかったのだと思えました。燃える気持ちが先行して先のことを考えず退路を断ってしまう少年。まっすぐな勢いに嘘がなくて、さわやかで、信じられました。

 ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。

 オープニング。レイが客席後方から下手側の通路を通って舞台に上がります。囚人服姿のレイ(年齢は50代)が客席の方(=審議官がいる方)を向いて語り出す、その瞬間、もう魅せられました。作られた声色に重みがあるのです。
 場面が変わってすばやく若い頃のレイへと変わります(演じ分けが見事!)。バードウォッチングをして“彼”が来るのを待っているところ、全身を喜びで震わせて“彼”を迎えるところ、一途に“彼”を見つめて、そばにいて欲しいと請うところ・・・全てにおいてレイが「今、ここ」で生きているライブ感があります。ゲイ同士の恋愛関係だし(社会的に認められていない)、命より大事な“彼”はいつ自分から去ってもおかしくない。常に切実な状況にあるレイを体現されていました。

 “彼”は最初に「弟を殺す」と言います。本当に憎んで、怒っていました。「弟さえいなければ自分の人生はバラ色なのに」と本気で思っていました。だから、レイに説得されて標的を「10歳ぐらいの小さな子供」に変更した時、観客の私までもがちょっとホっとしちゃったんですよね。殺人には変わりないのに、「実の家族じゃなきゃまだマシだ」と。そんな風に感じてしまったせいで、2人が人殺しの準備を進めて行くことに、私自身があまり違和感や拒否感を持てなかった。これが後戻りできない感覚なのだなと恐しく思いました。「犠牲の羊、犠牲の子供」という歌詞も鋭く響きました。

 ひとつずつシーンを挙げるときりがないので、最後の場面について。仮釈放されたレイががっしりと組んでいた両手を徐々にほどいて、名実ともに自由になった時、レイはまず若い頃の“彼”のことを思い浮かべます。舞台後方上段には“彼”が、最初に登場した時のりりしいスーツ姿で立っていました。レイは年を取り、“彼”はいつまでも若いままです。過ぎてしまった歳月の重さと、それをものともしないレイの“彼”への愛が、演技のつぶさな変化によってあらわされました。ぎゅっと時間が凝縮され、かけがえのない刹那を味わえました。

"Thrill me"
出演:田代万里生&新納慎也 松下洸平&柿澤勇人 ピアノ伴奏:朴勝哲 声の出演:大鷹明良 檀巨幸 前田一世
原作・音楽・脚本:Stephen Dolginoff/翻訳・訳詞:松田直行/演出:栗山民也/音楽監督:落合崇史/美術:伊藤雅子/照明:小笠原純/音響:山本浩一/衣裳:前田文子/歌唱指導:伊藤和美/振付:田井中智子/演出助手:田中麻衣子 坪井彰宏/舞台監督:田中伸幸/宣伝美術:加瀬倫有(GIRI DESIGNO)/宣伝ヘアメイク:赤塚修二(メーキャップルーム)/宣伝スタイリスト:津野真吾
【発売日】2011/08/07 6,300円 (全席指定・税込)
http://hpot.jp/tmjp/
http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=163

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 00:25 | TrackBack

2011年09月21日

ホリプロ『ミュージカル「スリル・ミー」Aキャスト』09/15-10/03アトリエフォンテーヌ

 本邦初演のミュージカル『スリル・ミー』は2005年にニューヨーク・オフブロードウェイで初演され、オーストラリア、ロンドンでの上演を経て韓国で大ヒットしている作品だそうです。出演者は男性2人だけ。上演時間は約1時間45分。

 客席100席という小さな空間での有名キャストによるミュージカル、そして栗山民也さんの演出ということで、Wキャストの両方を拝見することに。来年7月に天王洲銀河劇場での再演が決まっています(仮チラシより)。まずは田代万里生さんと新納慎也さんのAキャストから。

 ⇒産経新聞『「脚本が面白い」「楽曲が台本を後押し」 田代万里生、新納慎也 ミュージカル「スリル・ミー」
 ⇒CoRich舞台芸術!『ミュージカル「スリル・ミー」

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 刑務所での囚人の仮釈放審議会。審議官に問われるまま、「私」は37年前に犯した自らの罪を語り始める。
 「私」と「彼」は、なぜ子供を殺したのか。二人に、いったい何が起きたのか・・・。
 ニーチェを崇拝し、自らを特別な人間だと語る「彼」は、『犯罪』をすることでしか自分を満たすことができない。「私」はそんな「彼」を愛するがゆえに、求められるままに犯罪に手を貸していく。
 より深い束縛を求める2人は、互いの要求のすべてに応えるという契約書をつくり、血でサインをする。裏切りが許されない契約書のもと、二人の犯罪は次第にエスカレートしていった・・・。
 ≪ここまで≫ 

 最初は演技から歌へのつながりのぎこちなさが少々気になったり、スーツ姿の若い男性同士のラブ・シーンにすごくドギマギしたりして(笑)、しばらくは“ミュージカルの観客”になれずにいたんですが、終盤の衝撃的な展開にグっと入り込み、2人の熱い感情のこもったデュエットもどっぷり浸って聴くことができました。

 34年もの長い間、刑期に服していたレイ(田代万里生)が、若い頃の取り返しのつかない過ちについて語り、いわば劇中劇の形で事件の全貌が明かされていきます。
 19歳のレイは冷徹で悪魔のような“彼”(新納慎也)にゾッコン。でも“彼”はレイを犯罪のパートナーとしてしか見ていません。若く美しく優秀なゲイのカップルのSM関係がスリリング。同性愛のカップルでなければ成立し得ない、一筋縄ではいかない犯罪劇でした。

 【Aバージョン】レイ:田代万里生 彼:新納慎也
 田代万里生さんを初めて拝見しました。かわいらしいお顔に清楚で上品な立ち姿。王子様みたい。終盤の覚悟の決まった凛々しさが良かったです。
 新納慎也さんは“悪魔”が似合いますよね(笑)。同性愛者を演じるのはお手の物のようです。
 ラブシーンで変にどぎまぎ・ドキドキしちゃったんですよね・・・“彼”にレイへの愛情がないからかしら。恋愛よりも性的関係の印象が強く残りました。

 ここからネタバレします。セリフや歌詞は正確ではありません。

 1925年に実際に起きた事件をもとにしています。自らをニーチェ曰くの“超人”であると自称する“彼”の提案(=命令)で、10歳の少年を誘拐して撲殺、薬物で顔を潰し身元が分からないようにしてから遺体を排水溝に捨てるという、非情極まりない犯罪をおかした2人。さらには殺した子供の両親に身代金を請求する手紙を出すという非道ぶり。しかしレイが犯行現場にメガネを置き忘れたことに気づき、事態は一気に暗転・・・と、ここまではまあ普通と言いますか、よくある犯罪劇ですよね。

 でもメガネから足がつき、警察の取り調べを受けることになったレイを、“彼”は簡単に裏切ります。レイだけが罪に問われ捕まるかと思いきや、状況は逆転。レイの方が一枚上手でした。
 レイは一生涯“彼”と一緒にいるために、わざと殺しに加担し、凶器などの証拠を保存し、メガネを犯行現場に置いたのです。レイは何かもを警察に話して自首し、やがて2人にくだった判決は99年間の懲役。つまり死ぬまで“永遠に”2人は刑務所の中で暮らすことになります。

 「僕は君に勝った。僕こそニーチェ曰くの超人だ」と、レイは“彼”を見つめて言います。勝ち誇ってはしゃぐのではなく、静かに、落ち着いて、何もかも見とおした表情で。
 「これから99年、つまり永遠に一緒だ」というラブ・ソングのデュエットは、同じ歌詞を一緒に歌いながらも2人の気持ちが反対なのが切ないです。

 しかしながら“彼”は刑務所のシャワールームで囚人に刺殺されました。永遠に一緒にいることは叶わなかったのです。でも年老いたレイは、“彼”が生きていたら今も愛していたと答えます。仮釈放が認められて自由になっても、思いだすのは高校生の頃の“彼”のこと。死さえもレイの愛を奪うことはできなかったんですね。固く貫かれた純愛のお話だったのだと、最後にわかりました。

"Thrill me"
出演:田代万里生&新納慎也 松下洸平&柿澤勇人 ピアノ伴奏:朴勝哲 声の出演:大鷹明良 檀巨幸 前田一世
原作・音楽・脚本:Stephen Dolginoff/翻訳・訳詞:松田直行/演出:栗山民也/音楽監督:落合崇史/美術:伊藤雅子/照明:小笠原純/音響:山本浩一/衣裳:前田文子/歌唱指導:伊藤和美/振付:田井中智子/演出助手:田中麻衣子 坪井彰宏/舞台監督:田中伸幸/宣伝美術:加瀬倫有(GIRI DESIGNO)/宣伝ヘアメイク:赤塚修二(メーキャップルーム)/宣伝スタイリスト:津野真吾
【発売日】2011/08/07 6,300円 (全席指定・税込)
http://hpot.jp/tmjp/
http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=163

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2011年09月19日

演劇ユニットてがみ座『空のハモニカ―わたしがみすゞだった頃のこと―』09/14-19「劇」小劇場

 長田育恵さんの戯曲を上演する演劇ユニットてがみ座。私は初見です。来年1月にシアタートラム・ネクストジェネレーションへの参加が決まっています。

 大正から昭和にかけて活躍した女流詩人金子みすゞの半生、特に若くして亡くなる前の数年間を描いていました。上演時間は約2時間強。

 ⇒CoRich舞台芸術!『空のハモニカ

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 空のハモニカ
 言葉にならない最後の詩、綴るように生きた日々。
 1930年春、下関。愛する娘を残して26歳で命を絶ったテル。
 亡くなる前日にはひとり肖像写真を撮った。まるで生きた証を刻み付けるかのように。大正後期に黄金期を迎えた童謡詩の世界で、星のようにひときわ輝いた名がある――「みすゞ」。
 テルが金子みすゞとして生きたのは、ほんの三年ほどの僅かな時間だった。
 路地裏の狭い家に移り住み、「みすゞ」としての筆を絶つテル。夏越まつりのお囃子が、ふるさとの遠い海を連れてくる。漁で栄える小さな町。どんなに胸に描いても、あそこに帰ることは、もうできない。空一杯にこだまする「みすゞ」の残響を掻き消すかのように、ぬかるみを歩き出すテル。  大きな空は喪ったけれど、足下に、水に映る小さな空を見つけた――。
 テルが「みすゞ」という名を捨てて自身を綴るように生きた最後の日々。それは言葉にならない、けれどきっと光への詩。
 ≪ここまで≫

 “童謡詩人金子みすゞ”のことは十数年前に知り、若くして亡くなられたことだけでなく、時代のせいもあって不幸な半生を送られた方なのだと思っていました。彼女の詩には植物や動物、お天気などの自然に対する純朴で、無邪気で、温かいまなざしが感じられます。でもこのお芝居では、そういう詩を作った人だということが、私には感じ取りづらかったですね。詩作や学問を求める真摯な気持ちゆえに悲壮感が強まったり、子供を大事に思うあまり恐ろしい形相をするなど、“暗い”“怖い”“可哀そう”なことの方が強調されすぎているように思いました。
 演出のせいかもしれませんが、セリフや場面の意味を大事にするあまり全体のリズムが軽視され、お芝居がとぎれとぎれになっているように見えたのが残念。

 言葉を丹念に選んだ脚本だと思いました。詩の引用もありますし、大正から昭和の時代背景も丁寧に、慎重に扱う心遣いが伝わってきました。来年1月の『乱歩の恋文』(再演)にも伺いたいと思います。

 ここからネタバレします。

 テルとみすゞを別人として(別の女優さんで)描いているのが面白かったです。
 声を出して笑う必要はないのですが、心の中でクスっと笑ったり、微笑ましく思えるような要素が欲しかったですね。テル(石村みか)の夫(大場泰正)がとんでもなく情けない男性なので、彼のことを笑いたかったな~。もちろん彼の妻だったテルのことも可笑しいな、可愛いなと思いたかったです。

 テルの弟である上山正祐さんは劇団若草の創設者で、上山さんの娘で長らく劇団若草社長だった八重垣緑さんは2006年に亡くなったばかりです。金子みすゞのことは遠い昔の話ではないんですよね。

第5回公演
【出演(役柄はわかる範囲)】テルの弟:尾崎宇内 福田温子(以上てがみ座) テル:石村みか テルの夫:大場泰正(文学座) テルの娘:新井結香(劇団桟敷童子) 宮本翔太(椿組) テルの夫の昔の恋人:美舟ノア みすゞ:今泉舞 阿部伸勝 中田春介 
演出:扇田拓也(ヒンドゥー五千回) 脚本:長田育恵(てがみ座) 舞台監督:杣谷昌洋 舞台美術:杉山至+鴉屋 照明:千田実(CHIDA OFFICE) 音響:余田崇徳 衣裳:吉田健太郎(yu-GEN CRaFTS) 宣伝美術:杉江あき 宣伝写真:田中亜紀 舞台写真:伊藤雅章 撮影:関肇伸 WEB:高橋典子(RICO STYLE) 手紙:右近金魚 制作:MAICO.、小池芽生
早割:3,000円 前売:3,500円 当日:3800円
http://tegamiza.net/take6/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2011年09月18日

柿喰う客『悩殺ハムレット』09/16-25シアタートラム

 中屋敷法仁さんが作・演出・代表をつとめる劇団柿喰う客の新作は、“女体シェイクスピア”という新シリーズの第一弾。『ハムレット』を女優だけで上演します。上演時間は約1時間30分だったかと。こんな短時間の『ハムレット』を観たのはたぶん初めてですね。あ、女優ばかりというのも初めてです。

 主要登場人物だけに絞ることなく作品の全容を描いていることに感心。個人的に何より面白かったのは現代口語に脚色されたセリフたち!
 公演パンフレット(有料)が豪華でした。観劇後に「あの役をやってた女優さんはこんな人なのね」と楽しめる本格的なもので、そして…ネタバレになるので後ほど。

 ⇒CoRich舞台芸術!『悩殺ハムレット』※CoRichでカンタン予約!
 レビューは後ほどアップ予定。加筆完了(2012/07/27)。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 偉大なる国王が変死を遂げ、風雲急を告げるデンマーク!
 新たに王位を継いだのは、残忍で下劣な先王の実弟クローディアス!
 王妃ガートルードは義弟との愛欲に溺れ、王子ハムレットは陰鬱と狂気に取り憑かれる―

 「なんてこった・・・この世の歯車がイカレちまった!!」

 柿喰う客の新機軸!女優によるシェイクスピア上演プロジェクト第一弾!
 “悩まし過ぎる”復讐劇、ここに解禁!!
 ≪ここまで≫

 実は劇場内でちょっと不運な環境にあり、あまり集中して観られませんでした。誰も悪くないんです。ただ、不運だったのが残念です(涙)。

 不良っぽいムード全開で、ホストクラブみたい。舞台中央の赤いソファ以外にはほぼ何もない空間で自在に場面転換します。舞台後方に人が並ぶのがかっこいいですね。

 ハムレット役の深谷由梨香さんのはっきりとした語りのおかげで、強烈な(笑)現代語訳のセリフを味わえました。
 フォーティンブラス役の七味まゆ味さんの、空間を支配する存在感が素晴らしかった!

 ここからネタバレします。

 いきなり「馬鹿野郎」「この野郎」と罵声から始まったのが、私にとっては出落ち(笑)。『ハムレット』なのに! 
 「To be, or not to be, : that is the question.」というハムレットの有名なセリフの現代語訳(?)がめちゃくちゃ面白かった!「~~系?それとも~~系?」って言ってましたね。

 チラシとパンフレット用の写真を同じ時に撮影されたんでしょうね。なんと本番の舞台で着ている衣裳と同じなんです!どんなに早くから配役、衣裳、ヘアメイクを決めていたんでしょう!すごいわ~。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演(下手から):深谷由梨香 中屋敷法仁

 中屋敷「女優さんがもっと活躍して欲しいと思ったので、女優ばかりのシェイクスピアを。」
 中屋敷「『悩殺ハムレット』は悩んで殺すから、悩殺。」

 たしかに蜷川幸雄さんのオールメールシリーズは男優ばかりのシェイクスピアですよね。イケメン・ブームで男性アイドルが出るお芝居が多いのは事実ですので、私も女体シェイクスピアには賛成。次回は来年4~5月に『絶頂マクベス』を吉祥寺シアター他で上演するそうです。

女体シェイクスピア001≪東京、三重、大阪、愛知≫
出演:七味まゆ味 コロ 深谷由梨香 右手愛美 葉丸あすか 大杉亜依里 岡田あがさ 荻野友里 葛西幸菜 葛木英 熊川ふみ 髙島玲 新良エツ子 兵頭祐香 渡邊安理
原作:W.シェイクスピア 脚色・演出:中屋敷法仁 【美術】原田愛【照明】富山貴之【音楽】佐藤こうじ【音響】上野雅【衣裳】高木阿友子【ヘアメイク】田中順子【舞台監督】棚瀬巧
【発売日】2011/07/30 初日割引:2,500円(9/16) 一般料金:3,300円(9/17~19) 一般料金:3,800円(9/22~25) ガールズナイト:女性:2,500円/男性:5,000円(9/17夜/9/24夜) 昼割公演:2,800円(9/21昼) 乱痴気公演:3,800円(9/21夜) 学生:2,000円/高校生以下:1,000円(全ステージ) (※学生、高校生以下チケットは当日会場にて座席指定チケットに引換) ※当日料金は前売料金より500円増です。
http://kaki-kuu-kyaku.com/hamlet/
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2011/09/001.html


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:48 | TrackBack

2011年09月17日

世田谷パブリックシアター『現代能楽集Ⅵ「奇ッ怪 其ノ弐」』08/19-09/01世田谷パブリックシアター

 能・狂言をもとにした前川知大さんの新作です。2009年に大好評だった『奇ッ怪』の第2弾ですね。前作ではメルマガ号外を発行しました。上演時間は約1時間40分。

 爆笑につぐ爆笑の内に、じんわりと冷たい空気が流れ込んできます。おこがましい言い方ですが、今、このような作品を上演してくださったことに感謝したい気持ちになりました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『現代能楽集Ⅵ「奇ッ怪 其ノ弐」

 ≪あらすじ≫
 実家の神社に帰ってきた矢口(山内圭哉)。誰もいないガランとした境内…のはずが、勝手に住みついている男(仲村トオル)がいた。
 ≪ここまで≫

 前回より笑いは多い目、怖さは控え目。短編集の構成は前回と似ていますが、このお芝居が感動的なのは、劇場は神社の機能も果たすのだと示したことだと思います。

 お能には死者が主人公となって語る「夢幻能」があります。俳優が死者を演じ、集まった観客(=生者)とともに死者に思いを馳せること。それが演劇の重要な役割の1つなんですよね。笑いが普段よりも尊いものに感じました。

 ここからネタバレします。

 硫化水素ガスの噴出事故で住人のほぼ全員が亡くなってしまった過疎の農村。
 山田(仲村トオル)はおそらく神社にまつられている神様でしょう。山であり田であると名乗ったのは彼が自然そのもの(=神)だという意味に受け取りました。既に死んでいた再開発の業者たち(池田成志&小松和重)をはじめ、矢口には白い面をつけた幽霊たちの姿も見えていました。彼もきっと亡くなっていた(もうすぐ亡くなる)のだろうと想像。

 この度の震災であまりに多くの人命が、突然に失われました。『奇ッ怪 其ノ弐』は亡くなった方々そして残された方々の鎮魂の場だったのだと思います。生身の人間が死者とともに祭ること。それが劇場なんですね。
 最後は神社が船に見えました。津波に飲みこまれた船、あの世へと旅立つ死者を乗せた船、私たちが乗っている地球という船。

≪東京、新潟、福岡、兵庫≫
出演:仲村トオル/池田成志/小松和重/山内圭哉/内田慈/浜田信也/岩本幸子/金子岳憲
脚本・演出:前川知大 美術:堀尾幸男 照明:原田保 音楽:寺田英一 音響:青木タクヘイ 衣裳:伊藤早苗 振付・ステージング:平原慎太郎 ヘアメイク:宮内宏明 演出助手:谷澤拓巳 舞台監督:福田純平 プロダクションマネージャー:勝康隆 技術監督:熊谷明人 企画・監修:野村萬斎
【発売日】2011/07/02 全席指定 一般 S席6,500円/A席4,500円 高校生以下 一般料金の半額(世田谷パブリックシアターチケットセンターのみ取扱い、年齢確認できるものを要提示) U24 一般料金の半額(世田谷パブリックシアターチケットセンターにて要事前登録、登録時年齢確認できるもの要提示、オンラインのみ取扱い、枚数限定)友の会会員割引 S席6,000円 世田谷区民割引 S席6,200円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2011/08/post_242.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:11 | TrackBack

日本劇団協議会『父が燃える日』09/14-19青年座劇場

 日本劇団協議会の「日本の演劇人を育てるプロジェクト・新進演劇人育成公演【劇作家部門】」です。⇒公演公式ツイッター
 箱庭円舞曲の古川貴義さんが新劇系のプロデュース公演に新作を提供。演出は青年座の磯村純さんです。出演者にも青年座の方が多いですね。

 前日に観た公演とコンセプト(小劇場劇団若手劇作家と老舗劇団若手演出家のタッグ)が似てるので、公演自体を比較する気持ちもありつつ拝見。笑いが絶えない初日でした。装置に驚かされた・・・!(笑)上演時間は約2時間15分休憩なし。

 ⇒CoRich舞台芸術!『父が燃える日

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 来年、田舎に住む父が還暦を迎える。
 不肖の兄弟三人で、定年退職祝いと称し、三泊四日の東京観光家族旅行を企画した。
 父の大好きな野球と映画とラーメンを、存分に味わって貰おうというものだ。
 森鴎外が寄宿したというホテルの五人部屋に、父、兄、姉、そして僕、あと祖母、
 家族水入らずで宿泊する。
 母が居ないのは、僕が大学生の時に何も言わず出て行ってしまったからだ。
 祖母は誘ってもいないのについてきた。
 別に嫌っているわけではないけれど、こういう風に空気が読めないところは苦手だ。
 三日目の夜が父の誕生日。
 大好きな巨人戦を観た後、ホテルで祝う予定。
 ケーキと60本のロウソクとプレゼント、そしてもちろん、赤いちゃんちゃんこも用意した。
 思い返してみれば、父からは貰う一方で、何かを返したことはなかった。
 尊敬しているというほどでもないけれど、恨んでいるわけでもない。何でもない。
 あくまで、ただの、父親だ。
 兄が父をどう思っているのか、姉が父をどう思っているのか。
 そんなこと聞く機会は無かったし、聞くつもりも無かった。
 多分、僕と同じように、「ただの父親」程度の認識だったのではないかと思う。
 父は、僕らのことをどう思っていたのだろうか。
 実家に帰らず東京で働いている兄と姉。
 去年、三度の留年の後に大学を卒業し、そのままプー太郎を気取っている僕。
 父は、この旅を喜んでくれるだろうか・・・。
 ≪ここまで≫

 旅行中の家族に次々と降りかかる珍騒動。予想に反して明るいドタバタ喜劇になっていました。装置の工夫もさることながら、王道の笑いを着実に成就させて、いかにも老舗新劇劇団らしい、安心・安定のクオリティーでした。
 
 でも父が全く燃えなかったんですよね。ずっと浮いてる感じ。タイトルロールとも言える父役はテアトルエコーの安原義人さんです。やはり安原さんありきというか、安原に合わせた演出になっちゃったのかな~と想像。安原さんは愛嬌があってコメディーのセンスが光ってて、さすがの貫禄です。でもこの戯曲に描かれていることを深く濃くあらわす方法は取られなかったようです。

 次男“僕”を演じた宇宙(たかおき)さんがいつもながらの自然かつ鮮やかな存在感で良かったです。

 ここからネタバレします。

 森鴎外ゆかりの老舗温泉旅館の客室、が、なんと回り舞台だった・・・!まるでテーマパークのアトラクションみたい!!前から3列目ぐらいだったので、至近距離に壁が来るのがスリリング。舞台になっているのは広い客室の一部分だけなので、役者さんは床が切れた先にも部屋が続いていることを観客に想像させる演技をします。床の切れ目に敷かれ、まっぷたつになって綿が露出してる布団が面白い!仲居さんが半分になった枕を布団の上に置いたのがツボでした(笑)。モンティー・パイソンのごときナンセンスの世界に巻き込まれた感覚でしたね。

 長男は「父のために」と言いながら自分の旅行計画を家族全員にむりやり押し付けるタイプで、現在妻が行方不明(つまり逃げられた)。長女はいきなり訪ねてきた恋人(妻子持ちの獣医)を家族に紹介し、妊娠したので結婚すると報告。次男は大学を4年以上かけて卒業したけれど就職先が決まっていません。みんなお世辞にも順風満帆な人生を歩んでいるわけではないんですね。父もまた妻(=母)に逃げられ、浮気もしていましたから血は争えない。

 父の還暦祝いとして、長男は母との再会をサプライズのプレゼントにしようとしていました。結果的にそれは大失敗に終わるのですが、最後には父と母が2人きりでじっくり話し合う場面がありました。
 息子2人と娘1人が実家から出て行って、母が突然ふらりと失踪したのが8年前。母はなぜか佐渡島にいました。家出の理由は姑(父の実母)の叱責だったとわかります。なるほど子供たちが居なくなって、夫と姑との3人暮らしになるのはキツイよね、しかもあのゴーイング・マイ・ウェイなおばあさんと同居じゃ・・・と、母に同情的な気持ちになりました。
 また、公務員事務職の父がかつては医者を目指していたこともわかります。そりゃ娘の恋人の獣医に対して対抗心がわきますよね。自分が昔の浮気相手(=仲居)との間にできた子供を堕胎させたことだけじゃなく、若いころの挫折も思い出すことになりますから。・・・という風に裏事情がわかってくると、ますます疑問に思ったのはこのお芝居全体の軽快さです。あまりに軽すぎやしないかと。いつか古川さんの演出で観てみたいです。

 自称コンシェルジュのバイト君(前田一世)が布団に思いっきりジャンプして飛び込んだのに爆笑!あれはありえないって!(褒め言葉です・笑)。そして支配人じゃなくバイトだとばらされた時の気まずい演技が良かったです。あの時ぐらいかな~、じりじりしたシュールな笑いがあったのは。

出演:安原義人(テアトル・エコー)、小豆畑雅一(劇団青年座)、宇宙(劇団青年座)、山本与志恵(劇団青年)、松熊つる松(劇団青年座)、万善香織(劇団青年座)、石橋祐(フリー)、前田一世(青年座映画放送)、名塚佳織(フリー)、塩田朋子(文学座)
作:古川貴義(箱庭円舞曲) 演出:磯村純(劇団青年座)  装置:根来美咲、照明:中川隆一、音響:オフィス新音、衣裳:鎌田絵里奈、舞台監督:川上祥爾、舞台監督助手:尾花真、プロデューサー:森正敏 文化庁委託事業「平成23年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」 制作:(社)日本劇団協議会
日時指定・全自由席一般 4,000円、学生3,000円(学生は劇団青年座・日本劇団協議会の取扱)
http://gekidankyo.blog59.fc2.com/blog-entry-20.html
http://seinenza.com/performance/gekidankyo/110914.html
http://blog.goo.ne.jp/chichiga_moeruhi

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Posted by shinobu at 13:01 | TrackBack

ヨーロッパ企画『ロベルトの操縦』09/08-18本多劇場

 京都の劇団ヨーロッパ企画の新作ツアーです。昨年と同様今年も面白かったー!上演時間は約1時間30分。

 いつもどおり、ヨーロッパ企画の劇団員ならではのあ・うんの呼吸で次々と笑いを生みつつ、常にその裏の意味も示してます。日本の今を爆笑コメディーで風刺したのは『奥様お尻をどうぞ』と同じだと思います。やはりヨーロッパ企画は見逃せないですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ロベルトの操縦』※CoRichでカンタン予約!

 ≪あらすじ≫
 ある砂漠の中の駐屯地。出動命令を待ち続けて、無為に過ごした2週間。とうとう兵士たちは…。
 ≪ここまで≫

 スピードの出る乗り物に乗ってみんなで遊びに行く。それだけで気分は高揚します。でもそれが致命的な危険と隣合わせだったら?

 阿佐ヶ谷スパイダースの中山祐一朗さんが客演されています。中山さん、コメディーにぴったり!表情も動きも良かったな~。

 ここからネタバレします。

 ロベルトとは舞台中央に鎮座するメタリックな乗り物のこと。近未来の戦車みたいです。バイクのように運転するのが可笑しいし、戦車なのになぜサイドカーのデザイン!?つっこみどころだらけです(笑)。

 「2キロ先にあるかもしれない自動販売機でコーラを買いに行こう」から「海に遊びに行こう」に目的が変化し、ついには仕事を捨てて現実から逃げる方向へと突進していきます。賛成派・反対派の議論は“移動会議”という前進したまま話し合う方法で無理やり行われ、なしくずし的に反対派は押し切られます。そこには多数派の暴力も。
 「2週間呼び出されなかったんだから、まさか今日に限ってラッパは鳴らないよ」なんて、「まさか原発が爆発するわけがない」「あんな大きな地震が再び起こるわけがない」と同じです。かっこいい兵器へのあこがれは男子らしいマッチョな発想。原子力発電に夢を見た科学者とも重なりますね。でも実際ロベルトはフォルムも魅力的なんだよな~。

 最後にまさかスターウォーズ的展開になるとは(笑)。海への移動中に出会った“エンペラー”とその守護兵は、事故で地球に不時着したのでロベルトで水の惑星まで乗せて行って欲しいと言います。「銀河法で守られてます」「シャチに乗れます」「トロピカルドリンクもあります」と、守護兵は嘘八百。でも全て信じて宇宙へと飛び立ってしまう兵士たち。あり得ない(約束は絶対果たされない)設定でも、やはりかっこいい乗り物で空を飛ぶのは素敵。星空に光る兵器ロベルトとその乗組員たちは愚かで滑稽ですが、勢いにまかせて夢を見ようとする姿は人間らしいし、可愛らしいと思ってしまう私がいました。

≪京都、愛知、東京、大阪、福岡、広島≫
出演:石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力、山脇唯、山本真由美、中山祐一朗
作・演出:上田誠 音楽:木暮晋也 美術:長田佳代子 照明:葛西健一 音響:宮田充規 衣装:中嶋佑一(artburt) ヘアメイク:松村妙子 映像:大見康裕 演出助手:山田翠 舞台監督:筒井昭善×大鹿展明 宣伝美術=井上能之 制作= 井神拓也・諏訪雅・本多力・吉田和睦・吉永祐子 WEB=樫木由子・柏敏行・片岡二郎・中路まり絵 京都芸術センター制作支援事業 助成:文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業) 企画・製作=ヨーロッパ企画/株式会社オポス
【発売日】2011/07/24 前売4,000円 当日4,500円 学生シート(前売のみ)3,500円未就学時入場不可
http://www.europe-kikaku.com/projects/e30/main.htm

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 12:02 | TrackBack

2011年09月15日

文学座『連結の子』09/09-23吉祥寺シアター

 ONEOR8の田村孝裕さんが文学座に初めて戯曲を書き下ろされました。演出は昨年1年間の英国留学をされていた上村聡史さん。帰国後第1作になるんですね。田村さんと上村さんのコンビだとこの公演を拝見しています。

 文学座に30代の劇作家が書き下ろして面白かった作品というと、すぐにこの公演を思い出します。こういう企画をぜひ継続して欲しいと思いました。上演時間は約2時間5分。⇒公演公式ツイッター

 ⇒産経新聞「文学座の若手演出家・上村聡史 僕たち世代を見つめ「連結の子」
 ⇒CoRich舞台芸術!『連結の子

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 とある地方都市の一軒家。
 高原直哉はすいとんを作っていた。
 すいとんは孫、由起夫の好物。
 今日は、服役していた由起夫の出所日だった。
 
 帰ってきた由起夫とのぎこちない会話が続く。
 
 閉鎖的な田舎。
 由起夫の身元引受を拒否していた両親。
 直哉を囲む怪しげな身内。
 そして、二人が抱えた心の闇とは……。
 ≪ここまで≫

 木造日本家屋の壁を取り払って、具象と抽象のバランスが取れた透け感のある装置です。閉鎖的な町の話ではありますが、風通しがよくて心地よいです。

 出所者差別をはじめ、介護、いじめ、ひきこもりなどの現代の深刻な問題が次々と出てきますが、笑いのネタが執拗なほどに盛り込まれているのが田村さんらしいですね(笑)。息苦しさばかりでひっぱらず、家族という近しい関係だからこそ生まれる温かみも描かれています。

 次男を演じた浅野雅博さんは期待通り。ボケもツッこみも鮮やか!真人間もダメ人間も自由自在の柔軟さに毎度惚れ惚れします。

 ここからネタバレします。

 完全暗転したり音楽を流したりすることなく、するりと時間を越えて転換をするのが良かったです。最初は驚きましたけど、慣れると次が楽しみになりました。次の場面の登場人物が前の場面から出ているところとか。

 父と2人の息子、長男の息子(孫)という三世代の男性の関係に焦点を当てているので、女性はその周囲に追いやられているかと思いきや、実はど真ん中に鎮座していたんですね。亡くなった母親は、父親と息子たちという“車両”をつなぐ“連結”だった。
 嘱託殺人の罪を犯した由紀夫(孫)が、仏壇(=祖母)に向かって「ごめんなさい」と謝るまでの無言の長い間が素晴らしかったです。

 電車好きの男性たちのはしゃぎっぷりは無邪気な子供時代の幸せを思い起こさせます。その夢をプツンとさえぎったのがヤクザ(であろう女)だったことにも納得。男は夢想し続け、女は現実を生きますよね。


 ≪終演後のトーク「70年代生まれの劇作家は今、何を切り取るか」≫
 ゲスト:前川知大(イキウメ/劇作家・演出家)、田村孝裕、上村聡史 司会:徳永京子(演劇ジャーナリスト)

 「“家族”“命”をテーマにするならどう切り取るか」という非常に大きな質問を投げかけられるのは、徳永京子さんならではだと思います。
 前川さんと田村さんの意外な共通点として「コンプレックス」が出てきたのに驚きました。勝手ながら同世代の人間として納得です。上村さんは自信満々でしたけど(笑)。

 80年代に活躍して今も第一線にいる演劇人と、現在20~30代の若手と呼ばれる演劇人の比較について、上村さんが「望遠鏡か顕微鏡かの違いであって、世界を描いているという意味では同じ」と指摘されました。私もつねづね感じていたことなので嬉しかったです。

 70年代生まれの劇作家について。具体的すぎますが、私は「仏壇」に何かしらの共通項があるような気がしました。例えば三浦大輔さんの劇団ポツドールでも、象徴的に仏壇が使われます。日常生活に欠かせないほどの親しみは持っていないけれど、いわゆる仏壇らしい仏壇に触れた経験(幼児期の記憶)はあり、そこに歴史、伝統、信仰などを見出すことができる、そのぐらいの距離感が似てるように思います。

 観客からの質問を受けて、最後に前川さんがおっしゃったことがとても重かったですね。
 70年代生まれの劇作家は「この毎日が永遠に続く」と信じて生きてきたから、社会に向かって強く意見を言ったり、政治的な活動に直結するような創作活動はしてこなかった。「四畳半以下のこじんまりとした世界を描く作品が多い」と批判されたこともあったけれど、それはすなわち演劇が社会とつながっているからこそだったんですね。でも今からは変わるだろう、社会と積極的に関わっていく芝居が多く生まれてくるだろう、ということでした。同感です。

出演:金内喜久夫、中村彰男、高橋克明、浅野雅博、木津誠之、亀田佳明 倉野章子、金沢映子、山崎美貴、片渕忍、上田桃子、吉野実紗
作:田村孝裕 演出:上村聡史 美術:乘峯雅寛 照明:阪口美和 音響効果:熊野大輔 衣裳:伊藤早苗 舞台監督:加瀬幸恵 演出補:五戸真理枝 制作:矢部修治 票券:最首志麻子 宣伝美術:奥定泰之 宣伝イラスト:宮尾和孝 宣伝写真:堀口宏明
【発売日】2011/08/06 一般 5,500円 ユースチケット 3,800円(25歳以下/文学座、イープラスのみ取扱い) 中・高校生 2,500円(文学座、イープラスのみ取扱い) アルテ友の会 会員 4,950円(武蔵野文化事業団にて前売のみ取扱い)
※1 9月9日、10日、13日の夜公演は一般の方「夜割」=4,500円(※アルテ友の会会員も含まれます)
http://www.bungakuza.com/ConnectedChild/index-top.html

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Posted by shinobu at 16:45 | TrackBack

第七劇場『かもめ』09/08-11シアタートラム

 第七劇場は鳴海康平さんが演出される劇団です。シアタートラムでチェーホフの『かもめ』を1時間10分にして上演することに興味を持ち、観に行きました。“はじめて割”の1,000円で鑑賞。お得!

 終演直後に鳴海さんが舞台前に来られて、観客に向かって「ロビーでお飲み物をご用意していますので、ぜひお客様同士で交流してください。出演者も私も参りますので話しかけてください」とおっしゃいました。実際、ロビーにはビールやおつまみがあり、大勢の観客が残って話をしていました。私も鳴海さんと率直に意見交換することができ、大満足です。劇場はこうあって欲しいと思いました。鳴海さんおよび第七劇場の方々に心からの感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『かもめ

 白い服の女性たちの演技の質(方法や状態など)のまばらさが気になって、開幕前からつまづいてしまいました。アルカージナやドールンを演じた役者さんは重みのある、律された演技をされていて、この作品の中での自分の役割や、舞台で生きることをちゃんと獲得されているように見えました。だから同じ舞台にいる俳優の技術の差が、よりあらわになってしまった印象です。

 極端な例になりますが、出演者が全員下手だったら「そういうものだ」と受け入れられる(我慢できる)んですが、一部上手で一部下手だと「なぜこのアンバランスを選んだのだろう(演出家の意図なのか?妥協したのか?)」と考える材料になってしまうんです。

 また、この作品のようにインスタレーションやダンス・パフォーマンス、群舞の要素が前面に出ている場合、俳優には、たとえば芸術的なオブジェのような、物体(人体)そのものの魅力や、硬質さ、ゆるぎなさ、そしてそれを前提とした自由さが求められると思います(私はそれを望みます)。起承転結のあるストレート・プレイなら物語の吸引力もあって、それほど役者さんの粗が気にならないのですが、物語重視ではないですしね。また、題材が超有名戯曲で私も大好きな作品ですから、最初からハードルが高かったのかもしれません。

 ここからネタバレします。

 トレープレフ、ニーナ、トリゴーリン、アルカージナの4人に絞るのはわかるとして(こんな公演を観ました)、なぜかドールンが居るのが面白いです。ニーナを含む閉じ込められた白い服の若い女性たちは、患者(精神病)のようです(私にはそう見えました)。その場面と『かもめ』とを、医師であるドールンがつないでいました。

 シアタートラムの高い天井から、雪が降り続けるのがきれいでした。

第七劇場ワールドツアー2010-2011≪三重、フランス・パリ、岡山、東京、広島≫
出演:佐直由佳子 / 木母千尋 / 山田裕子 / 小菅紘史 / 菊原真結 / 伊吹卓光 / 須田真魚 / 笠井里美(ひょっとこ乱舞)
原作:チェーホフ 構成・演出・美術:鳴海康平 照明:島田雄峰(Lighting Staff Ten-Holes) 音響:和田匡史 衣装:川口知美(COSTUME80+) 制作協力:山田杏子 主催:第七劇場 協力:atelier SENTIO
【発売日】2011/08/01 プレビュー 500円(9/8.19:30の回) 前売 2,500円 / 当日 3,000円 はじめて割 1,000円(はじめて第七劇場の主催公演を観る方・前売のみ) リピーター 1,000円(半券提示・要予約・第七劇場のみ) 高校生以下無料(学生証提示・要予約・第七劇場のみ)
http://dainanagekijo.org/

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2011年09月13日

こまつ座『キネマの天地』09/05-10/01紀伊國屋サザンシアター

 井上ひさしさんの戯曲を上演するこまつ座の新作は、昭和10年を舞台にした『キネマの天地』。大人気の映画女優4人が登場する娯楽推理劇です。

 緻密かつしたたかで、それでいて観客に向かって大きく開かれた状態で組み立てられた俳優の話術を、とことん味わうことができました。気持ちいい疲労感の約3時間弱(途中休憩1回を含む)。

 演技とは、俳優とは、という大きな問いに井上さんがはっきりと答え、それを演出の栗山さんが舞台上で実証していく構造にもなっていました。見事、圧巻、満足というのが最初に出てきた感想ですね。

 公演パンフレットthe座(1,000円)はいつもながらの充実度です。「井上ひさしの選ぶ日本映画ベスト100」も掲載!これは必読!!

 ⇒CoRich舞台芸術!『キネマの天地

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 女優松井チエ子、謎めいた死から一年。
 築地東京劇場に集められた四人のスター女優たち!!
 果たしてこの中に彼女を殺した犯人はいるのか・・・・・・?
 ≪ここまで≫

 一幕はあからさまに喜劇。二幕からは推理劇。何も考えず浴びるように観ていても楽しいし、面白いと思います。でもより注意深く役者さんの演技を見つめていると、どのセリフでどういう演技をするかが細かく決められた上で、ライブ感のあるアンサンブルが生み出されるように設計されているのがわかってきます。

 大げさな口調で見得を切ったり、普段のありのままのごとく自然だったり、演技の種類は無数にあります。でもそもそも演劇は嘘(虚構・つくりごと)だから、どんな演技も嘘なのです。ただその嘘が本当のことのように感じられることがある。それが演技で、それが演劇なのですよね。

 井上さんの戯曲はストーリーがしっかりありますし、観客にわかりやすい言葉で書かれており、笑って泣ける娯楽の要素もふんだんに詰まっています。でも最初から演劇の本質も、実験的な側面も全てわかっていて、あえてその劇作方法を選んで来られたんだと思いました。

 女優さん4人はそれぞれの個性をこれでもか!と言わんばかりに前面に出しつつ、決められた流れを形式ばらずに生き生きと表現し、その場で偶然生まれる俳優同士のコミュニケーションも無視せず拾ってくれます。ちょっとでも息が合わないと予定通りの味わいが出ない(ウケない)ぐらい、緻密に作られていると思います。でも1人ひとりが舞台で全力で生きているから、何が起こっても(起こらなくても)、1人語りも4人のコンビネーションも目が離せません。
 三田和代さんのコメディエンヌっぷりが凄い!そういえば白塗りだ(笑)。
 最後は木場勝己さんに泣かされました。俳優、俳優、俳優・・・なんて狂おしい、でも素晴らしい、情熱!生き方!

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 1年前に舞台上で急死した大女優の夫である映画監督は、真犯人を突き止めようと、妻が死んだ現場に居た女優4人を集める。ある売れない俳優に刑事を演じさせ、彼女たちを問い詰めていくのだ。
 ところが尻尾を出したのは、なんと刑事を演じていた俳優だった。彼はいじめられた腹いせに大女優に毒を盛ったと自白し、警察に自首することに。罠かもしれないと思いながらも、有名女優らを追い詰める刑事という大役を、みすみす逃すことはできなかった。そう吐露するのは悲しくて美しい俳優の性(さが)。
 ライバル同士の女優4人は互いの悪口ばかり言い合っていたが、疑いが晴れた時にはすっかり仲良くなっていた。女優業の苦労と本音を分かち合えたからだろう。
 女優4人が劇場から去った後、警察に行ったはずの俳優が笑顔で戻ってきた。実はここまでの全てが、4人の女優に快く映画に出演してもらうための芝居だったのだ。・・・見事などんでん返しです。

 売れない俳優(木場勝己)は映画監督(浅野和之)に演技が大げさだと言われ、最後は“リアリズムの演技”をします。きっとこれも井上さんが用意した見せ場だと思うんですが、かなりの勝負どころというか、失敗したら目も当てられないですよね(笑)。そこに栗山さんは“繰り返す”という、「これ以上の正解はない!」と言いたくなるような、見事な演出を施されました。
 静かに押し込めるように話す木場さんのリアルな演技はすごくかっこいいのですが、監督にすげなく「もう一回!」と言われ、全く同じリアルな演技を繰り返します。ここで客席では大いに笑いが起こっていましたが、私は神妙な、厳かな気持ちになりました。

 お芝居は嘘の繰り返しです。でも木場さんが語る「ハムレット、リア王、ファルスタッフ、私が演じられなかった役たちよ、さようなら」というセリフは、木場さん演じる“売れない俳優”が心の底からしぼり出した、本音に違いありませんでした。そこには有名戯曲の登場人物に対してだけではなく、俳優と演劇そのものに対する憧憬、恋慕、尊敬、信仰といったまっすぐな気持ちが込められています。作者である井上さん、俳優である木場さんご自身、そして観客である私の思いも代弁してくださっているように思いました。その本音を全く同じ演技方法で繰り返すことで、“演劇という嘘が生み出す本当のこと”を現出させたのです。2度目の演技が終わるのを待たずに、幕が降りてきたのにもシビれたな~。
 
 最後はキャスト全員が幕の前に登場して、点滅する無数の丸い電飾が舞台額縁を飾る中、オープニングで流れていた「蒲田行進曲」を合唱。新国立劇場の「夢シリーズ」もそうでしたね。大満足のカーテンコールでした。

第九十五回公演 ≪東京、大阪、岩手、山形≫
出演:麻実れい 三田和代 秋山菜津子 大和田美帆 木場勝己 古河耕史 浅野和之
脚本:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽:宇野誠一郎 美術:石井強司 照明:服部基 音響:深川定次 泰大介 衣装:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹 宣伝美術:和田誠 演出助手:大江祥彦 舞台監督:三上司 木﨑宏司 制作:井上麻矢 瀬川芳一 谷口泰寛 児玉奈緒子
【休演日】9/13,20,27【発売日】2011/07/09
7,350円(全席指定・消費税込み)/学生割引5,250円 *学生割引:中学、高校、大学、各種専門学校ならびに演劇養成所の皆様を割引いたします。
http://www.komatsuza.co.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:10 | TrackBack

2011年09月12日

【写真レポート】新国立劇場演劇「『シリーズ【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─』合同制作発表会③『天守物語』」09/09新国立劇場地下2階オーケストラリハーサル室

 新国立劇場2011/2012シーズン演劇『シリーズ【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─』合同制作発表会の写真レポート③です。『朱雀家の滅亡』『イロアセル』『天守物語』の3作品全てに共通する、シリーズ【美×劇】のテーマについてはでどうぞ。

 『朱雀家の滅亡』()、『イロアセル』()の後、最後に上演されるのが泉鏡花作『天守物語』。演出の白井晃さんは和物の古典には初挑戦だそうですが、スタッフには美術の小竹信節さん、音楽の三宅純さん、衣裳の太田雅公さんら、白井ワールドを支える一流の方々が揃っています。振付が康本雅子さんというのも期待が高まるところですね。

 主役の富姫を演じる篠井英介さんの言葉に、背筋が伸びる思いがしました。
 篠井「日本人が日本人であることを誇りに思うための手がかりに、演劇も、なりたい。ご自分の美をお芝居の中に発見してください。」

【写真左から:平岡祐太さん、篠井英介さん、奥村佳恵さん、白井晃さん】
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 ■新国立劇場演劇「『シリーズ【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─』
  ①『朱雀家の滅亡』09/20-10/10 於:小劇場
  ②『イロアセル』10/18-11/05 於:小劇場
  ③『天守物語』11/05-20 於:中劇場 ※公演特設WEBサイトあり
   ⇒三作品特別割引通し券のご案内
   ⇒演劇情報サイト・ステージウェブ「篠井主演・白井演出『天守物語』ほか新国立劇場2011/12シーズン開幕記者会見

 ■『天守物語』作:泉鏡花 演出:白井晃

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【白井晃さん(演出)】

 白井「新国立劇場で演出をさせていただくのは3本目です。最初が『うら騒ぎ』というバックステージものの喜劇、次は若手劇作家の前田司郎さんとのコンビネーションで現代劇の『混じりあうこと、消えること』。今回は泉鏡花の『天守物語』ということで、前回とはえらく違う世界をご指名いただきました。三十年近く芝居をやってきましたが、和の世界を演出するのは初めてなんです。西洋的なものに慣れ親しんできた私に、敢えて和ものをとご提案いただいいたと思っております。
 泉鏡花の言葉を、世界を真正面から味わってみたい。妙なアレンジなどは全然考えていません。西洋文化に慣れ親しんでしまった日本で育った私が、今この作品でどういう日本語を発見できるのか。それはすなわち自分が今どんな日本人なのかを確認する作業になるかもしれません。そのあたりを皆さんにご提示できればと思っております。」

 白井「舞台美術に関しては鏡花のト書きに事細かく書かれてありますので、できるだけ自分のイメージで具現化したい。城の5階以上が妖怪の世界で、そこから人間の世界を俯瞰することがテーマにもなっており、それを際立てられる構造にしたいと思っています。人間界から5階に上がるのは、迷宮の世界に入り込んでいくようなもの。その回廊、階段、はしご、廊下の在り方が迷路のようになっていると面白いですね。
 衣裳も事細かに鏡花が指定してますので、できるだけその方向に沿うよう、自分の思う形に具現化していきたいと思っています。なぜ着物が、この機能が日本人の体に合ってきたのか、そして洋服に着慣れてしまった僕たちが、どうやってもう一度着物を着こなせるのか。着物については無知な私ですが、衣裳プランナーの太田雅公さんと一緒に勉強して、ちょっとおこがましいのですが“新しい着物”が作れたらと考えています。」


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【篠井英介さん】

 篠井「この春以降、芝居なんぞを呑気にやっていてもいいのであろうか、という思いにかられます。でも結局のところ、私たち文化芸術にかかわる者は裏方も表方も、心も体も尽くしてやっております。お百姓さんが何かをお作りになるのと同じように、我々ライブ活動の者も心身削ってやっておるんでございますね。それが何かのお役にに立つと信じて、やるしかないなと思っております。
 この3作品をご覧いただくことで、もう一度“日本でいいじゃないの”“日本語は素敵だ”“日本人の心根もいいものよ”と、新たに自分たちを発見するいい機会になればと心底思っております。
 『天守物語』はかつてお手本のような舞台があって、私はとても怖くて手が出せなかったんです。でも平岡祐太君も奥村佳恵さんも初めてなので、彼らが見た泉鏡花や、日本独特のファンタジーの世界を、彼らを通して体現していただければ。そして白井さんが見た“悪夢”と言いますか、ファンタジーやおとぎ話のような、美しく素晴らしい世界を表現できればと思っております。実際、ちょっとおどろおどろしい話なんですよね。」

 ≪“美”について≫
 篠井「さっき平岡君が『天守物語』を懐かしく感じるとおっしゃいました。初めて接する100年前の戯曲を懐かしく思えたのは、やっぱり日本人にしかわからない感性がDNAの中に刻まれていると思うんです。たとえば歌舞伎の“どーん、どーん”という雪音の効果音を聞くと、若い人たちも“しんしんと降る雪の音”とわかるんですね。
 色合いも匂いも違う今回の3作品それぞれをご覧いただいて、日本語を使い日本語で思考している私たちのDNAに刻まれた、日本人としての美、美意識、心が震える感覚、日本語の美しさ、日本人の道徳・・・というものを探る、発見する、感じ直す、そんな機会になって欲しいと本気で思っています。
 日本人である私たちが、少しでも日本人であることを誇りに思いたいじゃないですか。今、日本人で良かったと思いにくいですから。そうあるための手がかりに、演劇も、なりたい。ご自分の美をお芝居の中に発見してください。」


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【平岡祐太さん】

 
 平岡「図書之助(ずしょのすけ)を演じます平岡祐太です。大河ドラマや80年代テレビドラマの舞台版など、ここ1年は時代ものをやることが多かったんですが、まさか最後に古典が来るとは思ってなくて。僕が図書之助をやらせていだくことは本当にチャレンジだと思っています。
 今年27歳になるんですが、僕らの世代からすると時代劇や古典は世界がかけ離れ過ぎていて、ファンタジーで面白いと思います。特に泉鏡花さんの作品は圧倒的に作り込まれたファンタジーで、一気に引き込まれました。圧倒的な美で吸いこんで、観に来てくれたお客さんが時間を忘れてくれたらいいなと思います。」

 ≪“美”について≫
 平岡「稽古はまだなんですが、白井さんとマンツーマンでの本読みは始めています。白井さんは“美しい日本語を使っていきましょう”“言葉を言葉としてきちっと人に伝えて行こう”とおっしゃっていて。一つひとつ丁寧に昔の言葉にあたっていると、オリジナルの言葉が生まれたころに戻っていくような感覚というか、幻想があって・・・。本番までに美しさを探します。いろんなものをそぎ落として、美しい言葉でお客さんに伝えられるようがんばります。」


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【奥村佳恵さん】

 奥村「亀姫役の奥村佳恵です。和物で時代物のお芝居には以前からあこがれがありましたので、初めて出演させていただけることをとても嬉しく思っています。まだ稽古は始まってないんですが、古い日本語の難しさや所作など、自分が直面したことのない壁が今、まさに立ちはだかって、既にとても怖いという気持ちがあります。
 篠井さんには今日初めてお会いしたんですが、本当に美の化身のような方なので、私も少しでも篠井さんの美を吸収して、沢山たくさん、お稽古を積んで努力して、自分が今持っている怖さに抗っていきたいと思っています。精いっぱいがんばります。よろしくお願いいたします。」

 ≪“美”について≫
 奥村「もののけとはいえどお姫様の役なのでお衣裳も美しいでしょうし、身分が高い人なので、美しいものに囲まれて、美しいものに触れて育って、人格が出来あがったのだろうと思います。話す言葉やしぐさ、その人自身も美しいと思いますので、もう(自分がその役を演じるには)特訓しかないんですけども、しっかり研究して存在自体が美しいと思ってもらえるようにがんばりたいと思います。」


【写真:3作品に出演する出演者全員】
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 ⇒写真レポート①、⇒写真レポート②

【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─Ⅲ『天守物語』
出演:篠井英介 平岡祐太 奥村佳恵 村岡希美 関秀人 関戸将志 坂元健児 小林勝也 田根楽子 江波杏子 粟田麗 鳴海由子 小見美幸 岡野真那美 冠野智美 淺場万矢 飛鳥井みや 津村雅之 今國雅彦 稲葉俊一 早川友博 関佑太 遠藤広太 平良あきら
作:泉鏡花 演出:白井晃 音楽:三宅純 美術:小竹信節 照明:齋藤茂男 音響:井上正弘 衣裳:太田雅公 ヘアメイク:川端富生 振付:康本雅子 殺陣:渥美博 演出助手:河合範子 舞台監督:藤崎遊
一般発売日:2011年9月11日(日) S席7,350円 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円 三作品特別割引通し券16,600円(正価18,900円)
http://www.nntt.jac.go.jp/play/tenshu/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 20:52 | TrackBack

【写真レポート】新国立劇場演劇「『シリーズ【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─』合同制作発表会②『イロアセル』」09/09新国立劇場地下2階オーケストラリハーサル室

 新国立劇場2011/2012シーズン演劇『シリーズ【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─』合同制作発表会の写真レポート②です。『朱雀家の滅亡』『イロアセル』『天守物語』の3作品全てに共通する、シリーズ【美×劇】のテーマについてはでどうぞ。

 9/20(火)に開幕する『朱雀家の滅亡』の次に幕を開けるのは新作『イロアセル』。倉持裕さんの脚本を鵜山仁さんが演出されます。「一体どうやって舞台化するの?!」と尋ねざるを得ない驚きの設定に、謎多き人物が登場する寓話的な現代劇。倉持さんは3月11日の震災以前に書き上げていた脚本に、大きな変更を加えられたそうです。

【写真左から:倉持裕さん、島田歌穂さん、藤井隆さん、剣幸さん、鵜山仁さん】
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 ■新国立劇場演劇「『シリーズ【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─』
  ①『朱雀家の滅亡』09/20-10/10 於:小劇場
  ②『イロアセル』10/18-11/05 於:小劇場
  ③『天守物語』11/05-20 於:中劇場 ※公演特設WEBサイトあり
   ⇒三作品特別割引通し券のご案内
   ⇒演劇情報サイト・ステージウェブ「篠井主演・白井演出『天守物語』ほか新国立劇場2011/12シーズン開幕記者会見

 ■『イロアセル』作:倉持裕 演出:鵜山仁

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【倉持裕さん(脚本)】

 倉持「新国立劇場でやるのは2回目です。前回は2年前で『昔の女』というドイツ戯曲を演出させていただきました。脚本という、前回と違う立ち場で呼ばれたことを嬉しく思います。
 “美意識”にともなって“滅びの美学”というテーマもいただき、演出の鵜山仁さんと話をしたところ、鵜山さんが『最近は新聞が売れないらしい』とおっしゃって(会場で笑いが起きる)。今、新聞社の皆さまが大勢いらっしゃるのでとても話しづらいですが(笑)、それはちょっと面白いね、となりまして。マスコミやジャーナリズムが誕生して隆盛を極め、そして滅びていく話を寓話的に作ることになりました。
 3月11日以前に書き上がった第一稿では、ひとつのマスコミの衰退を書いたんですが、3月11日以降インターネットを中心にすごい情報が飛び交い、あふれましたよね。今までは新聞記者や作家、識者と呼ばれる発言権を持った人だけが発言していたのが、今はインターネットのせいというか 一般市民の誰もが発言できるようになった。情報が膨大な数になり、誰もがそれを受け取れるようになった。でも本当に玉石混淆で、新しい事実が出るとそれをすぐ打ち消す事実が出てきて、情報がいっぱいあるだけで何の結論にも至らない、全く前に進まないという印象を強く受けたんです。そこで、ひとつのマスコミではなく、ある一個の情報交換のシステム全体が衰退し、失敗してしまうと仮定した寓話に書き換えました。色んな仕掛けもありますので、見たことのない芝居になるんじゃないかと思っております。」


【鵜山仁さん(演出)】
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 鵜山「ちょっとネタバレしますけど、しゃべる言葉に色がついて、それが伝播していくという芝居なんです。ある島がありまして、そこの住人はしゃべると声に色がついている。人それぞれに違う色だから言葉に匿名性がなく、誰がしゃべってるのかわかってしまう。言葉が名前を持ってしまうんですね。その島に本土から、別のコミュニケーション形態を持った囚人が送り込まれてくるという話です。
 僕はこういうのは初めてで、どうやって色付けをすればいいのか・・・色々チャレンジしていきたいと思っています。まだつまびらかにはできないのですが、スタッフが珍しいことを考えて、稽古に先んじて日夜実験を繰り返しているところです。どうぞご期待ください。」
 ※ネタバレになるお話が多かったので勝手ながら短めにさせていただきました。


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【藤井隆さん】

 藤井「台本を頂いてすごく緊張しながら読ませていただいて、間違ってはいけない、一生懸命憶えよう、完璧に憶えて稽古に参加しようと思ってたんですけれど・・・全然無理でした(会場で笑いが起こる)。間違えないように一生懸命がんばりますので、よろしくご指導いただけたらと思います。今日は本当に緊張して来たんですけれど、お2人(共演者の島田歌穂さんと剣幸さん)がすごく、(会場に入る前の)扉の前で優しくしてくださって、大丈夫だなって思いました。お2人に甘えながらがんばりたいと思います。」

 ≪“美”について≫
 藤井「『イロアセル』は言葉や文字に色のつくお話で、夕焼けの赤、暗闇よりも暗い黒、冬の青空のような青、雷雲のようなグレーといった表現がセリフの中にあります。自然の中にある色合わせには敵わないと思います。花や昆虫もですね。そういうものを見たら僕は美しいと思います。言葉が色になるのを舞台上でどういう形で体現できるのか、楽しみにしています。」


【島田歌穂さん】
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 島田「“前科のある女”という役で出させていただくことになりました。でもその“前科”がどんな罪だったかわからず、もしかしたら罪を犯してさえいないかもしれない。本当にさまざまなことが謎に包まれておりまして、これから一日いちにち、その謎をひも解きながら、より謎を深めていければと思っております。」

 ≪“美”について≫
 島田「私は空を見上げるのが好きで、自然の“美”には計り知れない力があると感じるんですが、同時に命に響いてくる“音”もたくさんあります。それを忘れてはいけないと思いまして。総じて、そういうものを感じられる心(が“美”である)。そういう心を瞬間瞬間に持っていられるように生きていきたいと思います。」


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【剣幸さん】

 「パソコンの前でしか本音を語れないような時代ですから、最初この本を読んだ時はとっても恐ろしいと思ったんです。でもその恐ろしさの中には可笑しさもあり、色んなものが詰まっていました。閉鎖的な島で何かが起こり滅んでいく中で、一体どういうことが“美”なのかを探りながら、皆さんと一緒に面白い、新しいものを作れたらと思っております。」

 ≪“美”について≫
 「美に対する考え方や感じ方は人それぞれに違うので、それぞれの人たちが感動したことが“美”だと思います。私は500色の色鉛筆をいただいたことがありまして、12色や24色以外にこんなに色があるんだとすごく感動したんです。たとえば赤だったらトマトの赤、ポストの赤など全部に注釈がついてました。自分が知らない色、自然の中にある色がこんなにも美しいのかと、色に対して認識を変えました。たとえば太陽なら夕日が沈んでいく色、花だったら散り際の色がとってもきれいだなと思います。だから自分が死ぬ時もきれいに死にたいなと思っております(笑)。」
 隣の席の篠井英介さんがすかさずツッコミ!⇒「剣さん、死なないで(笑)。」

 ⇒写真レポート③に続く。 ⇒写真レポート①に戻る。

【美×劇】―滅びゆくものに託した美意識─Ⅱ『イロアセル』
出演:藤井隆 木下浩之 小嶋尚樹 松角洋平 花王おさむ ベンガル 島田歌穂 加藤貴子 高尾祥子 剣幸
作:倉持裕 演出:鵜山仁 美術:乗峰雅寛 照明:服部基 音響:栗原亜衣 衣裳:黒須はな子 ヘアメイク:佐藤裕子 演出助手:斎藤栄作 舞台監督:北条孝
一般発売日:2011年8月6日 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円 三作品特別割引通し券16,600円(正価18,900円)
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000436_play.html

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Posted by shinobu at 19:44 | TrackBack

【写真レポート】新国立劇場演劇「『シリーズ【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─』合同制作発表会①『朱雀家の滅亡』」09/09新国立劇場地下2階オーケストラリハーサル室

 新国立劇場2011/2012シーズン演劇のオープニング3作品(『朱雀家の滅亡』『イロアセル』『天守物語』)の合同制作発表会が開催されました。※Ustreamで生放送されました(アーカイブはありません)。
 テーマは「【美×劇】(ビ・ゲキ)─滅びゆくものに託した美意識─」。演劇芸術監督の宮田慶子さんと各作品の劇作家・演出家、出演者の方々が、作品についての意気込みを率直に、熱を持って語ってくださいました。

 地震と津波の天災に加え、複数基の原発が爆発するというおそらく世界で初めて災害のもとにある日本で、何が正しいのか、何をすべきなのか、これからどうやって生きていけばいいのか。3月11日から半年経った今も、私たちはその確かな手がかりがつかめないままでいると思います。
 このシリーズは、そんな日本に生きている私たちが今いちど手をつなぐために、舞台の作り手とともに日本人の中に刻まれた美意識を味わい直す、大切な機会になるのではないでしょうか。3作品ごとにエントリーを分けて写真レポートを掲載します(上演順に①:このページ、)。

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 ■新国立劇場演劇「『シリーズ【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─』
  ①『朱雀家の滅亡』09/20-10/10 於:小劇場
  ②『イロアセル』10/18-11/05 於:小劇場
  ③『天守物語』11/05-20 於:@中劇場 ※公演特設WEBサイトあり
   ⇒三作品特別割引通し券のご案内
   ⇒演劇情報サイト・ステージウェブ「篠井主演・白井演出『天守物語』ほか新国立劇場2011/12シーズン開幕記者会見

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【芸術監督の宮田慶子さん】

 ■日本の美意識をテーマに大正・昭和・平成をたどる

 宮田「この9月からスタートするシーズン幕開けに“シリーズ【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─”というテーマの3本を企画いたしました。昨年の“JAPAN MEETS…”では新翻訳の4作品(⇒)を上演し、日本の演劇界が近代以降に出会ってきた海外の作品群を今、どう上演できるかにトライいたしました。今回は日本の演劇界がそれらの優れた作品をどう消化し、劇作に展開して行ったかをたどってみたいと思い、大正、昭和、平成とちょうど50年ずつをまたいでの3作品を上演します。
 ご存じのように日本の演劇は1600年代の、出雲の阿国の歌舞伎からスタートし、近代以降の海外作品との出会いを経て発展してきました。演劇は社会と時代とともに進歩していくもので、イデオロギー演劇、プロレタリア演劇、リアリズム演劇などの色んな形の変容を遂げてきたのですが、日本人の非常に深いところにあるアイデンティティーを探れないかと思い、日本独自の美意識をテーマに設定しました。また、日本人は滅びゆくものや、はかないものに独特の美意識を託したのではないかと考え、サブタイトルとしました。
 まず既存戯曲から『朱雀家の滅亡』と『天守物語』。そして美意識という言葉が死語に近いほど意識されない時代になっているのではないかという危機感もあり、「“美”や“滅びゆくもの”を今受け取めるとどうなるのか」という大きな宿題を倉持裕さんに投げかけ、新作『イロアセル』が誕生いたしました。日本独自の美意識との出会いという観点から、劇作を見なおそうと思って企画した3本です。」


 ■なぜ“滅び”の“美意識”なのか

 宮田「今年は本当に大きな災害があり、いやがおうにも“滅ぶ”という言葉に対して異常にナーバスにならざるを得なくなってしまいました。テーマを立てたのは1年半~2年前で、その時に日本人の中にずっと残ってきたものをやりたいと思ったんです。
 今回の震災や先日のひどい水害も含め、日本は自然災害がとても多いです。でも日本家屋はヨーロッパの石造りの堅牢な建物のように未来永劫続くことを想定して作られておらず、紙と木でできていたんですね。それはやはり天災も含めた宿命、運命といったもの全てを受け入れて、“永久に存続するものはない”という不思議な考えがあったからではないか。滅びても常に再生して流転していく。リニューアルを繰り返しながら新たなものをしたたかに、しぶとく再構築して、歴史を積み重ねていく。日本人はそういう歴史観の中で生きてきたのではないかと考えました。
 先日、三島由紀夫文学館の館長の松本徹さんから“生きる作法”という言葉を教えていただきました。三島の文学には“滅びゆくからこそどう生きるか”という作法があるとおっしゃったんです。そこにも日本人独特のモノとの距離感や接し方があると思います。流転して再生していくという意味を込めての“滅び”、そしてそれを積み重ねてきた日本人の強靭さ、それらに支えられた美意識をイメージしています。」


 ■『朱雀家の滅亡』作:三島由紀夫 演出:宮田慶子

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【宮田慶子さん(演出)】

 宮田「『朱雀家の滅亡』は三島由紀夫さんが亡くなる3年前に書かれた比較的晩年の作品です。三島さん独自の美しい流麗なセリフと非常に強いテーマ性、そして登場人物がそれぞれに生身の人間としての心情を吐露しているところに、とても大きな魅力を感じています。
 “構造的にはギリシア悲劇の『ヘラクレス』に依る”と三島さんご自身も書かれている通り、ギリシア悲劇の大きなテーマをそのままに移し替えながら、日本が大きな転換期を迎えた昭和20年という時に、何を信じて何を守るかをテーマに書かれた作品です。
 2007年に池袋の劇場あうるすぽっとのこけら落とし公演で同作を演出させていただいた時は、主人公の経隆とそれを攻め込んでいく女性おれいを主軸にしたんですが、今回はそれぞれに違う主張を持った5人の登場人物が、五角形を形作ります。自分にとっては大きな転換ですね。五角形が大きければ大きいほど、テンションで引っ張り合えば合えうほど面白くなると思います。
 美意識というテーマなので、見た目に美しく、シンプルだけれども絢爛豪華なものを秘めた舞台装置を、美術の池田ともゆきさんがデザインしてくださいました。重厚な舞台づくりで2007年版とは全く違う空間の使い方をしています。
 三島さんの膨大なセリフはただ美しく表現するのではなく、言葉を重ねて、重ねて、重ねていって、それでもまだ理想を追い求め、理想に届かんとするために、さらに言葉を重ねていく(という風に表現したい)。そういうセリフで役者さんたちには本当にご苦労をかけていますが、後10日で初日を迎えます。稽古はまさに佳境に入っております。ぜひご期待いただきたいと思います。」


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【國村隼さん】

 國村「朱雀侯爵の経隆を演じます。三島さんの本は演じる側にとってはひとくくりで言うと“難しい”。特に宮田さんが先ほど流麗と表現されたセリフは、リアリスティックに心情だけを表現するためなら“こんな華美な言葉いらんやろ!”っていうぐらい、沢山あるんです(笑)。でもその一つひとつは付け足しや装飾ではなく、ひょっとしたら音も意味も含め、すごくパワーを持っているのではないか。三島さんの言霊を帯びたセリフちゃんとお客様に届けられたら、リアルな人間の愛憎劇だけではなく、戯曲にいっぱい詰まっている色んな形而上学的なテーマも伝えることができるのではないか。なんとかその域に達することができればと思いながら稽古をやっております。・・・期待してください!」

 ≪“美”について≫
 國村「『朱雀家の滅亡』について僕の意識する“美”とは、端から何を言われても、自分の信じるひとつのものに対してぶれないこと。自分の信じるものに向かって、滅ぶことも受け入れて行く。結局滅んじゃうんですけどね(笑)、その有りようというか、ぶれなさ加減はたぶん美しいんだろうと思います。」


suzaku_koujyu2.JPG

【香寿たつきさん】

 香寿「おれいの役をさせていただきます。お稽古が始まって1ヵ月とちょっと経ったんですけれども、本当に三島さんの本は難しくて。私も人並みに年を重ねて、これぐらいの年齢の役をやれるようになったんだなと思って『はい、やります』と言ったものの、本当にこの役を引き受けて良かったんだろうかと苦しみつつ、その苦しみが喜びに変わると信じて毎日稽古に励んでおります。日本人に薄れてしまった美意識を三島さんの言葉に載せて、現代の人にこの作品の素晴らしさを伝えられるよう、より完成度を高くできればと思っています。宮田さんの後についてがんばりたいと思います。」

 ≪“美”について≫
 香寿「このお芝居をご覧になった男性は、きっとおれいという女性とは結婚したくないと思われると思うんです(笑)。まずはやはり、うるさくしゃべる場面でも女らしさや可愛い部分を見せられたらと思っています。一幕のおれいは母でありつつ女中に徹し、昔の女性らしく男性に一歩下がって尽くすんですが、三幕になってからは今の女性の強さを見せます。そこでもやはり女性としての美しさを、うまく見せられたらいいなと。そういうところを私は“美”としてとらえています。」


suzaku_kondo.JPG

【近藤芳正さん】

 近藤「僕も三島由紀夫さんの作品は初めてで、1回読んだだけではわからず、2回3回読んでいくとその楽しみが増えてくるような本でした。お客さんに1回だけ聞いていただき、内容も理解して頂くのが役者の仕事ですし、三島の文字の美しさ、言葉の美しさ、音の美しさも表現したいと思っています。5人の人物が形作る五角形の中で、それぞれの役柄がうまく対立しながら、三島作品の美を見せる方向に行ければと思っております。
 僕は國村さん演じる経隆の弟で、宍戸家に養子に行っておりまして、気楽な気持ちで朱雀家の方を眺めている役柄です。その私でさえちょっと身構えるところがありますので、朱雀家の方は大変だと思いますが(國村さんと香寿さんの方を向いて)、私は確実に見守っていきますので、なんとか絶対良い芝居を、あと10日でがんばって作りましょう!」

 ≪“美”について≫
 近藤「昔の日本人は腰を立てて座っていたが、現代の日本人たちは腰を(だらりと)伸ばしている。実はそれが体や精神に与える影響が大きいと、最近武道の本で読んだんです。天皇に遣える役でもありますので、芝居中に腰を立てる立ち姿、座り姿を意識していますね。それが僕にとっての“美”です。」


【写真左から:宮田慶子さん、香寿たつきさん、國村隼さん、近藤芳正さん】
suzaku_all_s.JPG

 ⇒写真レポート② ⇒写真レポート③

【美×劇】―滅びゆくものに託した美意識─Ⅰ『朱雀家の滅亡』
出演:國村隼  香寿たつき  柴本幸  木村了  近藤芳正
作:三島由紀夫 演出:宮田慶子 美術:池田ともゆき 照明:室伏生大 音響:上田好生 衣裳:半田恵津子 演出助手:松森望宏 舞台監督:澁谷壽久
一般発売日:2011年7月16日 A席6,300円 B席3,150円 Z席1,500円 三作品特別割引通し券16,600円(正価18,900円)
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000435_play.html

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Posted by shinobu at 10:50 | TrackBack

2011年09月08日

劇団☆新感線『いのうえ歌舞伎「髑髏城の七人」』09/05-10/10青山劇場

 『髑髏城の七人』は7年ごとに再演される劇団☆新感線の代表作です。豪華キャストは毎度のことですが、小栗旬、森山未來、早乙女太一、勝地涼という若手イケメン実力派俳優の並びに、めまい・・・!

 でもちょっと期待が大きすぎたみたい。『アカドクロ』『アオドクロ』の印象がまだ残っているので、比べる視点で観てしまったせいもありますね。上演時間は約3時間20分(カーテンコール含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『髑髏城の七人

 ≪あらすじ≫ 公式サイト抜粋。
 織田信長が本能寺で討たれて8年。天魔王(森山未來)率いる関東髑髏党は関東制覇を企み殺戮を繰り返していた。ある日、兵庫(勝地涼)率いる三五(河野まさと)ら関八州荒武者隊は、髑髏党に教われている村を通りかかり、村人を助け応戦するも、逆に窮地に追い込まれる。そこへ捨之介(小栗旬)と名乗る若者が現れ、一騎当千に髑髏党を叩きのめす。村の生き残った娘たちを連れて兵庫と捨之介が向かった先は、噂に名高い極楽太夫(小池栄子)がいるという関東一の色差と、無界屋蘭兵衛(早乙女太一)が取り仕切る“無界”の里だった。
 ≪ここまで≫

 お馴染みの音楽でのオープニングにいつもどおり鳥肌。劇団☆新感線がずっと公演を続けてくれていることに感謝する瞬間です。

 私が観た回がたまたまそうだったのかもしれませんが、捨之介(小栗旬)が弱かったな~。古田新太さんのことを何度も思い返してしまいました。前半は勝地涼さんのおかげで新感線の空気を味わえたかも。
 森山未來さんは素晴らしいですね。何もかもに惚れ惚れしちゃう。早乙女太一さんは今19歳なんだ…凄い。殺陣がやはりかっこ良くて見入りました。
 劇団新感線の劇団員の方々はいつもどおりのプロフェッショナルなエンターティナーっぷり。右近健一さんが好き。河野まさとさんも“あの役”でさすがの安定感。高田聖子さんが○○○役とは!とっても可愛らしかったので、出番が少なくて残念。

 ここからネタバレします。

 信長につかえていた捨之介(小栗旬)、天魔王(森山未來)、無界屋蘭兵衛(早乙女太一)の3人を中核に据えた物語へと変貌していました。再演でも配役が変わるだけで作品全体が変化するのはもちろんですが、今回は脚本が書き変えられているので個人的にはほぼ新作のような感触。

 天魔王が蘭兵衛に毒を飲ませるのが口移し!見事なBL展開にぞくぞく!!ゲキ×シネでアップを観たい(笑)。兵庫が捨之介の刀を研ぎながら2人で戦う場面はこのお芝居のハイライト。今回も迫力がありました。

 『髑髏城の七人』の七人に、手のひらを返すスピードなら天下一品の裏切り者(河野まさと)や、カマで戦うお百姓さん(兵庫の兄・磯野慎吾)という、およそヒーローになるにはほど遠いキャラクターが入っているのがいいですよね。中島かずきさんの脚本のそういうところに、人間への温かいまなざしを感じます。

≪大阪、東京≫ 
劇団☆新感線2011年夏興行 いのうえ歌舞伎
INOUE KABUKI "Seven Souls in the Skull Castle" 2011
【出演】小栗旬 森山未來 早乙女太一 小池栄子 勝地涼 仲里依紗 高田聖子 粟根まこと 河野まさと 千葉哲也 礒野慎吾 インディ高橋 武田浩二 右近健一 川原正嗣 前田悟 山本カナコ 保坂エマ 逆木圭一郎 村木仁 村木よし子 中谷さとみ 浜田麻希 平田小百合 松永晃幸 八木のぞみ 仲圭太 橋爪遼 三浦力 岩崎祐也 武田浩二 藤家剛 加藤学 川島弘之 井上象策 安田桃太郎 伊藤教人 菊地雄人 ※吉田メタルが右足骨折のため大阪公演から途中降板。
脚本:中島かずき 演出:いのうえひでのり 美術:堀尾幸男 照明:原田保(FAT OFFICE) 衣裳:小峰リリー 音楽:岡崎司 音効:末谷あずさ/大木裕介 殺陣指導:田尻茂一/川原正嗣/前田悟 アクション監督:川原正嗣 ヘア&メイク:宮内宏明 小道具:高橋岳蔵 特殊効果:南義明(ギミック) 映像:上田大樹 大道具:俳優座劇場舞台美術部 音楽部:右近健一 演出助手:山﨑総司 舞台監督:芳谷研 宣伝美術:河野真一 宣伝写真:野波浩 宣伝衣装:小峰リリー 竹田団吾 宣伝メイク:内田百合香 宣伝ヘア:宮内宏明 宣伝小道具:高橋岳蔵 宣伝・公式サイト制作運営:ディップス・プラネット 票券・広報:脇本好美(ヴィレッヂ) 制作助手:辻未央(ヴィレッヂ) 制作デスク:小池映子(ヴィレッヂ) 制作:柴原智子(ヴィレッヂ) エグゼクテイブプロデューサー:細川展裕(ヴィレッヂ) 企画制作:劇団☆新感線・ヴィレッヂ
【休演日】9/6,12,19,26 10/3【発売日】2011/07/23 S12,500円 A10,500円
http://www.dokuro2011.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:02 | TrackBack

2011年09月07日

座・高円寺『ふたごの星』09/02-17座・高円寺1

20110906_futago_no_hoshi.JPG
パンフレット

 座・高円寺の芸術監督である佐藤信さんが、宮沢賢治作『双子の星』(⇒青空文庫)を脚本・演出した児童向け舞台の新作です。上演時間は約1時間。

 座・高円寺は杉並区の劇場で、児童向けの企画がとても充実しています。『ふたごの星』の次に上演される『旅とあいつとお姫さま』(⇒2009年レビュー)は毎年再演されており、多地域公演も行われている人気演目です。観たことのない方はぜひ!

 両公演とも貸切のステージが多いので一般客が観られる回がすごく少ないんです。ご興味のある方はスケジュールをチェックしてみてくださいね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ふたごの星

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 天の川の西の岸、水晶でできたちいさなお宮に、
 チュンセ童子とポウセ童子というふたごのお星さまが住んでいます。
 毎晩お宮の前に座って、
 一晩中、星めぐりの歌にあわせて笛を吹くのがふたりの役目。
 ある朝、役目を終えた二人が、空の泉に遊びに行くと、
 大烏が泉の水を飲みに来ました。
 そこへ乱暴者の蠍もやってきて……
 ≪ここまで≫

 オリオン座、みずがめ座などの星座のキャラクターの姿をした黒い板(厚紙?)が多数、天井から吊り下げられています。下手にある白いスクリーンには動画が映写され、上手には音響オペレーター(?)などのスタッフさんが待機しています。時には役者さんも待機します。
 裏方も含めて劇場のすべてを露出する意図があるようです。ステージ中央に白い半円のシートが敷かれ、その周囲にはランダムに空の瓶が多数置かれています。

 絵本の挿絵が次々と出てくるように、全体が平面のつらなりで構成されているように思いました。はっきりと分かれたパーツ(スクリーン、舞台中央、スタッフブース)が俳優の演技と歌、生演奏によって一体化し、奥行きや深み、高みがプラスされていく試みなのではないかと想像。アイデアは面白いですが成功していたとは言いがたく、残念ながら1時間を長く感じました。劇中歌の挿入で流れが途切れちゃうんですよね。役者さんは観客との関わり方がまだこなれていない様子。

 4人の役者さんは自分の役のセリフを役として発する以外に、観客に向かって「そしてサソリは~~しました」といった説明ゼリフも語ります。そこに歌も演奏も加わりますから、舞台上での役割がめまぐるしく変わるのでしょう。演技の難易度は高いと思います。

 どうしても『旅と…』と比較せざるを得ないので辛口になっちゃいました。きっと同劇場の今後のレパートリーになるんですよね。まだ開幕したばかりですので、これから密度も精度も高くなっていくと思います。

 ここからネタバレします。

 0と1の二進法の映像をバックに、携帯電話で会話する場面から開幕。唐突だけど現実と童話(夢)が直結する感覚が良かったです。

 チュンセ童子とポウセ童子の両方を演じるのは紅一点の女優さん(山本称子、服部容子のダブルキャスト)。ひたむきな存在感が素敵。青い衣装に青いウィッグがいいな~。
 男性3人は多数の役を演じます。楽器が演奏できて歌も歌える人が選ばれたんでしょうね。演じるのは人間ではないものばかりなので、もっと「人間でないもの」になって欲しかったな。ケレンも気迫もまだまだ上を目指せるのではと思いました。でも三人三様の個性がわかってきた終盤の頃には、どなたも魅力的だと感じられました。

 赤い彗星にだまされた2人の童子が、空から海へと落ちていくのはスリリング。恐ろしい展開に興味がぐっとわいたところで、ギターのイントロからのんびりと童子役のソロ曲になり、流れが止まってしまいました。「はい、今から歌いますよ~」という準備を待ってから歌が始まるのは・・・かっこ悪いです。そこだけでも変われば体感時間は短くなるんじゃないかしら(素人考えですが)。

 宮沢賢治作詞・作曲の「星のめぐりの歌」の歌詞をプログラムに載せてくれているし、「うたってみましょう」とも書かれているのですが、リズム(と編曲?)が難しすぎて歌えず・・・『きらめく星座』で聴いた時はもっと簡単な歌だと思ってたんですが、実際はそうじゃないのかな。
 海のヒトデと空の星が会話するファンタジーが好き。星の形の照明も可愛かったです。

秋の劇場[演劇][あしたの劇場]
出演:久保恒雄(彗星など)、重盛次郎(さそりなど)、北川響(大ガラスなど)、山本称子※、服部容子※ ※劇場創造アカデミー1期生。公演日により、出演が替わります。⇒私が拝見したのはおそらく服部容子さんかと。
原作:宮沢賢治 脚本・演出:佐藤信 美術:tupera tupera 音楽:KONTA 照明:齋藤茂男 音響:島猛 衣装:STORE 舞台監督:津田光正後援:杉並区 杉並区教育委員会 杉並区文化協会 企画・製作:座・高円寺/NPO法人劇場創造ネットワーク
チケット発売日 2011年07月01日(金) 全席自由  大人(18歳以上) 3,000円(税込) 子ども 2,000円(税込) 未就学児 500円(税込) 「なみちけ」ご使用になれます。
※星めぐりセット券(『ふたごの星』と『旅とあいつとお姫さま』2作品をご覧いただけます。前売りのみ、劇場チケットボックス窓口のみ取扱い)大人(18歳以上) 4,000円 子ども 3,000円 未就学児 500円 
※購入時に「世界をみよう!」のチケット半券をご持参いただければ、半券1枚でお一人様1ステージ分の料金から500円を割引きします(劇場チケットボックス窓口のみ取扱い)
※すぎなみ子育て応援券がご利用になれます。
http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=488

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:23 | TrackBack

2011年09月06日

中野成樹+フランケンズ『ライブイベント「1年後」』09/05 KAMOME

 昨年、大反響を呼んだ『長短調(または眺め身近め)』は同年に私が観た小劇場演劇の中でNo.1の作品です(⇒ご参考)。あれからもう1年になるんですね。

 『長短調…』のために結成されたラップユニット“みずうみ”が、横浜のライブハウス(その名もKAMOME)で一年振りの再結成。大谷能生さん率いるジャズ・カルテットの生バンドをバックに、メンバーそれぞれのソロや、作品のサウンドトラックでありデビューアルバムである『みずうみのかもめ』のメドレーを聴かせてくれました。

 朗報!2013年に再演を予定しているそうです!!

『みずうみのかもめ』(『長短調(または眺め身近め)』公式サウンドトラック)
大谷能生×中野成樹
Headz (2010-10-06)
売り上げランキング: 23068

 ⇒CoRich舞台芸術!『ライブイベント「1年後」

 眺め席でしか観ていなかったので、身近め席で何が起こっていたのかを1年経って体験。すごかった・・・“みずうみ”って一人ひとりがものすごく才能ある人たちだったんですね・・・圧倒されどおしでした。
 “みずうみ”のメンバーで出演できなかったお2人(岡田誠&駒木根隆介)の代わりに、ナカフラの中野茂樹さんと福田毅さんも参加。お2人ともラップうまい~。MC面白すぎ~(笑)。バックバンドもかっこ良かったな~・・・大谷能生さんのサックスにゾクゾク。生の音楽の力、すごいっすね(←今さら)。

 チェーホフの『かもめ』を知っていて『長短調』を観たという下地があるから、これだけ深い楽しみがあるのだと思います。それってめちゃくちゃ贅沢!
 観客と対等で決して高飛車にならず自然体。その上、内容は至れり尽くせりでセンス良すぎ。こんなに多才で大人な人たちがいるんだと見せつけられて、ちょっと落ち込みました・・・。私は他の方法(分野)でがんばろ・・・。

 帰りにプログラムが書かれた紙が配布されていたので、勝手ながら補足を加えつつ転載いたします。

【1st】
・淳子ピアノ
・Band
・中野+福田『百姓ども』(アントン・チェーホフ)
・卓『one love』『Rap』
・福田『100年後』
・ゆうてつ『東京のどまんなか』『トロイメライ』
・中野MC
・もえ『Darkness』+みほ(Dance) もえ『異人』『Lady of the dead』

【休憩】

【2nd】
・Band『煙草の害について』
・中野MC(結成20周年のレゲエバンドが2枚目のアルバム発売を記念して10年振りのライブ)
・一週間(一年間)
 [中野(月)、みほ(月火)、じゅんこ(水木)、中野(金土)、ゆうてつ(1年間)]
・処女戯曲(よしや、にーな)
・みずうみ メドレー『みずうみのひみつ』『マーシャ』『お台場』『アルカージナ』『なりたかった男』『トレープレフ』『二年後』
・アンコール『持久パーティー』


 最初にソロを披露された大本卓さんのオリジナル曲「ONE LOVE」↓ 

 ラップもかっこ良かったですし高音の歌声もきれいでした。メンバー最年少とのことですが、あのお肌つるつる度からすると20代前半かと。何でも1人で発信できる時代・・・インターネットはもうバーチャルではなく、実社会と併走するインフラだと思って積極的に利用しないと損ですね。

出演:ラップユニット“みずうみ”(大本卓[英語ペラペラ]、木下侑哲[震災後嘘をつくのをやめた]、、溝口善也[トレープレフ]、稲継美保[ダンスかっこいい]、宇都宮萠[可愛い声、長髪、マーシャ]、斎藤淳子[ピアノ、ダンス、アルカージナ]、端田新菜[ニーナ])福田毅[100年後までの振り返り] 中野茂樹[ロックなレゲエバンド])
DJ/サックス:大谷能生 ピアノ、ベース、ドラムス主催:中野成樹+フランケンズ
自由席ワンドリンク付き3500円
http://frankens.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:57 | TrackBack

2011年09月05日

【ワークショップ】オフィスコットーネ「天野天街&寺十吾による『赤色エレジー』ワークショップ」10/15-16都内スタジオ※定員あり・〆切なし(申し込みフォーム or FAX)

 少年王者館の天野天街さんとtsumazuki no ishiの寺十吾さんによる2日間のワークショップが開催されます。参加資格は年齢が18歳から50歳くらいまで。プロ・アマ問わず。

 使用テキストは10月8日~12日までザ・スズナリで上演される『赤色エレジー』。公演終了後のワークショップですので、作品をご覧になってから参加されると良いのではないでしょうか。詳細は公式サイトでどうぞ。申し込みフォームあり。

 ●オフィスコットーネ
  「天野天街&寺十吾による『赤色エレジー』ワークショップ」
  10/15-16都内スタジオ
  昼と夜の2クラス開講
  募集人数:各20名(2日間とも参加できる方に限る)
  参加資格:18歳から50歳くらいまで (プロ・アマチュアを問わない)
  参加費用:15,000円 (テキスト代含む)

■「天野天街&寺十吾による『赤色エレジー』ワークショップ」公式サイトより

日程:10/15(土)、16(日)

●場所:都内スタジオ
●募集人数:各20名
※定員に達し次第、締切ります。
①昼クラス 14:00~17:00
②夜クラス 18:30~21:30
昼と夜は基本的に同じレッスンを行うので、昼か夜のどちらか希望のクラスを明記してください。

●参加資格:18歳から50歳くらいまで (プロ・アマチュアを問わない)
●参加費用:15,000円 (テキスト代含む)
●振込先 みずほ銀行 世田谷支店 (普) 8037212 有限会社オフィス コットーネ

●講師:演出家 天野天街(あまのてんがい)少年王者舘  
    俳優・演出家:寺十 吾(じつなしさとる)tsumazuki no ishi


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Posted by shinobu at 11:22 | TrackBack

2011年09月04日

劇団どくんご『A Vital Sign -ただちに犬-』06/16-20井の頭公園西園ジブリ美術館裏

 日本全国津々浦々でテント公演を行っている劇団どくんご。名前は数年前に耳にしていたのですが、やっと今年6月に観に行きました。レビューを書いている今は9月なんですが、ツアーは続いています。すごいな~。

 毎年観に来る常連客も多いみたい。隣りに座ったお兄さんがきさくに話しかけてきて、「これ去年買ったんだよ~」と、小さな犬のぬいぐるみを見せてくれました。オリジナル・グッズも販売しています。

 テント前に到着した時の様子↓
20110619_tadachini_inu_A_Vital_Sign.JPG

 ⇒CoRich舞台芸術!『A Vital Sign -ただちに犬-

 短編を次々と見せて行く構成。会話劇もあれば一人芝居もコントもあり、大喜利もあり。

 楽器の演奏がすごく良かったです。歌声も力強くて。ただ、演技については声の出し方が苦手で、普段のようには聞いていられなかったですね。もともとアングラ演劇が苦手なのもあり、ちょっと拒否反応が出てしまったかも。

 ここからネタバレします。

 テントの装飾が次々と取り払われて、最後は舞台奥の幕も無くなり、公園の景色が背景となります。遠景を使う演出はテント芝居ならではで、やはり面白いです。

 白い犬のぬいぐるみのキモカワ具合がなかなかいいですね。
 人魚姫の一人語りは聞かせる内容でした。

劇団どくんご公演 第25番 The Naked Dog Tour 11
【出演】空葉景朗 暗悪健太 五月うか 2B まほ ワタナベヨヲコ
【構成・演出】どいの【美術・衣裳・人形】uka【大道具】健太【写真】こうへい【制作】黄色い複素平面社 時折旬 プラスマイナスゼロ【東京公演広報協力】森澤友一朗
前売り・予約:3000円 当日3000円 中高生1500円 小学生以下お気持ち
http://www.dokungo.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 21:53 | TrackBack

神奈川芸術劇場『ブロードウェイ・ミュージカル 亜門版「太平洋序曲」』06/17-07/03神奈川芸術劇場ホール

 トニー賞にもノミネートされた宮本亜門さん演出のブロードウェイ・ミュージカル『太平洋序曲』(オリジナルは1976年ブロードウェイ初演)。日本版の初演も再演も見逃していたので、神奈川芸術劇場で上演されてとてもありがたかったです。

 日本人キャスト・スタッフによる上演にこれほど意味があるとは。最後の曲「NEXT」には鳥肌が立ちました。

 ⇒「ミュージカル『太平洋序曲』が力強く歌いあげる明日(「NEXT」)への決意」(PJ: 石川 雅之)
 ⇒シネマトゥデイ『山本太郎「事務所、辞めました!これ以上迷惑かけられない」福島の子どもたちのため覚悟の決意表明
 ⇒CoRich舞台芸術!『ブロードウェイ・ミュージカル 亜門版「太平洋序曲」

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 2004年11月、"ブロードウェイ史上初の東洋人演出家"として、ブロードウェイ・デビューを果たした宮本亜門。そのデビュー作となった『太平洋序曲』が、ここカナガワで、パワフルに上演!

 日本があらたな扉を開いた時・・・・
 舞台は江戸時代末期。 江戸時代という太平の世もその姿を変えようとしていた。ある日、ジョン万次郎という若者が外国から入国した鎖国破りの罪で捕らえられた。 万次郎は、取調べの際、「アメリカが開国を迫りに日本へやってくる」という噂があることを、老中達に伝える。老中達は驚き、浦賀奉行所の与力香山弥左衛門を呼び出す。香山は目付役に昇進するが、それと引き換えに、アメリカがやってきた時の交渉を全て任せられたのだった。万次郎の言っていたとおり、黒船が浦賀にやって来た。浦賀の町は、大混乱となっていた。香山はアメリカ帰りの万次郎の助けを借り、「開国できない」と必死に交渉する。が、将軍がアメリカ大統領からの手紙を受け取る儀式を行うまでに、たった6日間の猶予しかもらえない。儀式を行わなければ、攻撃を受けることとなる。香山と万次郎は、この非常事態を奇策によって解決し、鎖国が守られたかに見えたが・・・。アメリカに続いて、イギリス、オランダ、ロシア、そしてフランスがやってきた。武力をちらつかせながらの交渉に折れ、ついに通商条約を結び、日本は鎖国政策を捨てざるをえなくなった。香山は、浦賀奉行として、外国人との接触が多くなって行った。その中で、否応無しに西洋文化に傾倒して行かなければならなくなっていた。これに対し、アメリカの文化、広くは西洋文化を理解していたはずの万次郎は、開国した日本の中で、日本文化の在り方を見つめなおしていたのである。数年が経ち、香山は思いもかけない場所で、万次郎と再会するが・・・ 事態は思わぬ方向へと向かってしまうのだった。
 ≪ここまで≫ 

 白木の鳥居がある装置。それだけでインパクトがありました。その上、客席中央の最後方から舞台に向かってまっすぐ花道が伸びているとは!また、それが舞台までは届いていないのがかっこいい!

 前半は少々退屈してしまったんですが(役者さんが歌が下手だったりして)、休憩をはさんで後半が始まった途端、グっと入り込めました。

 ここからネタバレします。

 後半に入ってすぐに始まったのが、アメリカ人やイギリス人が日本にやってきて開国を強引に迫る場面。これがすっごく面白かった!外国人役の衣裳・ヘアメイクが化け物のようで、日本人から見た彼らの風貌をよく表していました。これも日本人ならではの演出ですよね。

 江戸時代から明治に入り、日本は西洋諸国を模範とする近代国家となっていきます。そして戦争へと突入。黒船来航時の激震をじっくり描いておきながら、明治から平成まではあっという間。役者さんは着物を脱ぎ捨てて黒いシャツに黒いズボンの現代服になり、装置にはデジタルの数字が映写されます。東日本大震災と福島第一原発事故をセリフに加えたのにもうなづけました。

神奈川芸術劇場オープニングラインナップ 
出演:八嶋智人 山本太郎 佐山陽規 畠中洋 戸井勝海 園岡新太郎 岡田正 石鍋多加史 原田優一  富岡晃一郎 石井一彰 さけもとあきら 岡田誠 麻乃佳世 小此木麻里 森加織 田川可奈美 田山涼成 桂米團治
作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイム 台本:ジョン・ワイドマン 演出・振付:宮本亜門 翻訳・訳詩:橋本邦彦 音楽監督・編曲:山下康介 美術:松井るみ 衣裳:ワダエミ 照明:小川幾雄 音響:松本哲志 振付:麻咲梨乃 歌唱指導:楊淑美 稽古ピアノ:種村久美子 演出助手:河合範子 殺陣指導:井上謙一郎 狂言指導:高澤祐介 和太鼓指導:兒玉文朋 和楽器集団 鳳雛 琴指導:柿木原こう 三味線指導:奥田かんな プロダクションマネージャー:安田武司 舞台監督:山本園子 プロデューサー:福島成人 毛利美咲 主催:KAAT神奈川芸術劇場 朝日新聞社 フジテレビジョン FMヨコハマ 制作:株式会社パルコ 製作:KAAT神奈川芸術劇場
【発売日】2011/04/24 S席:8,500円 A席:7,500円 B席(椅子付立見席):4,500円
http://www.kaat.jp/pf/po.html
http://www.po2011.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 20:38 | TrackBack

ハイリンド『牡丹燈籠』07/01-10 d-倉庫

 俳優4人のプロデュース集団ハイリンドの、2006年初演作の再演です。演出は初演同様に西沢栄治さん。上演時間は約2時間強。

 これほど期待通りの再演だと文句のつけようがないですし、次の再演でさらに上を目指してくれるのでは・・・という欲まで出て来てしまいます。紀伊國屋サザンシアター等の中劇場で観てみたいですね!⇒観劇直後のツイート

 ハイリンドの次回公演は来年2月、会場は下北沢の「劇」小劇場です。

 ⇒CoRich舞台芸術!『牡丹燈籠
 レビューは記録程度です。

 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
 幼き頃殺された父の仇討を果たしたい孝助は、武家である旗本・飯島平左衛門の屋敷に拾われ、日夜奉公と修行に励む。
 親子と違わぬ情と信頼で互いの絆を深め合う二人であったが
 主の飯島平左衛門こそ、孝助の父を殺めたその人であった。二人に訪れる義理義理の関係。
 一方その飯島平左衛門の娘・お露と浪人・萩原新三郎。
 一度の出会いで互いに強く惹かれ合い、想いを募らせてゆく。
 夜な夜な燈籠片手に新三郎の元に足しげく通うお露。
 逢瀬を重ねる新三郎は、彼女が既にこの世の者でない事など露知らず…。

 複雑に絡み合う因果。
 壮大な大河ドラマが最後に見せる鮮やかな顛末やいかに。
 ≪ここまで≫

 役者さんでは初演に続き多根周作さんに見惚れました。男女の繊細な演じ分けも見事ですし、着物姿の腰の入った所作が時代劇のリアルを支えていたと思います。

 ここからネタバレします。

 最後のスローモーションの動きは、さらに高精度だと尚いいのでは。

vol.11
出演:伊原農/枝元萌/多根周作/はざまみゆき/小林愛/阿川竜一(温泉ドラゴン)/牛水里美(黒色綺譚カナリア派)/小豆畑雅一(青年座)/田中千佳子/鬼塚俊秀
脚本:三遊亭円朝 演出:西沢栄治(JAMSESSION)  [舞台監督]井関景太・鈴木晴香(るうと工房)[照明]石島奈津子(東京舞台照明)[音響]平井隆史(末広寿司)[舞台美術]向井登子[衣裳]阿部美千代(MIHYプロデュース)[殺陣指導]清水大輔(和太刀)[振付]若柳絵莉香[宣伝美術]西山昭彦[スチール]夏生かれん[撮影ヘアメイク]田沢麻利子[Webデザイン]藪地健司・夏子[ハイ友]門馬勝貴[企画・製作]ハイリンド[制作]石川はるか[協賛]イースターエッグ
【発売日】2011/06/04 一般:前売/当日 3,500円 賛助会員:2,500円(全ステージ共通) 学生(高校生以下)割引 前売/当日 2,500円(当日精算のみ、要学生証) ★ 前半平日割(1日、4日、5日の19:30の回):前売/当日 3,000円
http://www.hylind.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 19:33 | TrackBack

ホリプロ『ブロードウェイ・ミュージカル「ピーターパン」』07/20-31東京国際フォーラムホールC

 毎夏恒例のミュージカル『ピーターパン』。今年から桑原裕子さん(KAKUTA)による潤色・新演出ということで、久しぶりに伺いました。上演時間は約3時間(途中15分、20分の2度の休憩を含む)。

 すっごく良かった!!ワイルドかつスリリングで、ジャングルのように危険で神秘的なネバーランドでした。幕ごとの盛り上がりも手堅く、幕が終わる度に泣かされました。親子向けの舞台として太鼓判を押したい気持ち。おとなS席¥7,800でしたが、これなら安いと思いました。
 
 ロビーにも客席にも子供たちがいっぱい。子供たちの反応を感じつつ鑑賞できる幸せを存分に味わいました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ピーターパン

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 人間でもない、妖精でもない、いつまでも子どものままの男の子がたった一人いるのです。いたずら好きで、ちょっぴり意地悪で、なんと空を飛べるその子の名前は “ピーターパン”。
 ダーリング家の子どもたち、ウェンディ、ジョン、マイケルと友達になったピーターは 3 人を連れて夢の国ネバーランドへと飛び立ちます。ウェンディはネバーランドで島の迷子たちのお母さん代わりになり、ジョンとマイケルもみんなと友達になります。3人はそこでタイガー・リリー率いるインディアンたちと兄弟の契りを結んだり、楽しく愉快な時を過ごしながらも、いつしかロンドンの家が恋しくなります。
 ところが、フック船長率いる海賊たちが待ち構え、ウェンディたちみんなを捕らえてしまいます。海賊との激しい戦いの末、最後の別れを惜しむウェンディや子どもたちに、ピーターは約束します。「春の大掃除の季節にはきっと迎えに行くよ」
 ウェンディはその約束を胸に、いつまでもいつまでもピーターパンが迎えにくるのを待ちつづけました。そして、その約束を果たしにピーターパンがやって来るのですが・・・。
 ≪ここまで≫

 ネバーランドが未開の地で危険がいっぱいなのだと伝わる演出に、乾杯!
 ジャンプしたり飛び降りたり、インディアンの振付が激しい!怪我が心配になるほど!
 前までのキノコの装置があまり好きじゃなかったんです。今回のネバーランドはジャングルのようで大好き!

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 「人魚の入江」の場面は新しく増えたそうです。人魚は美しいだけでなく危険な生き物なのだとピーターがウェンディに紹介します。岩に座っている人魚たちに怪しい魅力がプラスされてすごく良かったですね。ディズニーアニメの「ピーターパン」の影響も大きそう。

 ピーターをかばって毒を飲んでしまったティンカーベルを助けるために、ピーターが観客に妖精を信じているかどうかを尋ねるシーン。ピーターは「君は、どう?」と言いました。「皆さんはどうですか?」ではなく。観客1人ひとりと対等に、本気で質問してくれたように感じました。出演者が客席に降りてきて歌うところでも、客席にいる1人ひとりが素晴らしいんだってことを、説教くさくなく伝えてくれたと思います。

≪東京、愛知、兵庫≫
【出演】ピーターパン:高畑充希、フック船長/ダーリング氏:橋本じゅん、ウェンディ:神田沙也加、タイガー・リリー:皆川まゆむ、ダーリング夫人:瀬戸カトリーヌ 海賊:辰巳智秋 今奈良孝行 保井健 原扶貴子 成清正紀 迷子:あべこ 鈴木里沙 鈴木崇乃 髙島玲(ウェンディの娘) ヨウラマキ インディアン:本多剛幸 福山健介 中野高志 松岡雅祥 脇田伸悟 大岩剣也 ナナ/ワニ:宮内佐和子 ほか
原作:ジェームズ・M・バリ 演出・潤色:桑原裕子 翻訳:秋島百合子 編曲:宮川彬良 振付:広崎うらん 装置:二村周作 照明:笠原俊幸 音響:井上正弘 衣裳:十川ヒロコ ヘアメイク:佐藤裕子 声楽指導:伊藤和美 アクション:渥美博/亀山ゆうみ フライング:松藤和広 演出助手:西祐子 舞台監督:二瓶剛雄 エグゼクティブプロデューサー :堀威夫 企画制作:ホリプロ 東京公演主催:フジテレビジョン/ホリプロ 
前売開始・ドリームシート 3月5日(土)・一般前売 3月26日(土) ドリームシート¥6,800(おとな・こども同一料金)  S席 おとな¥7,800 / こども(3歳~12歳)¥4,800  A席 (3階席)¥3,000(おとな・こども同一料金)
http://www.horipro.co.jp/peter/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:28 | TrackBack

ひのあらたpresents『Migwetch(ミーグウィッチ)』08/30-09/05 Performing Gallery & cafe 絵空箱

 小川絵梨子さんが岸田國士戯曲を演出されるので観に行きました。出演されているのはミュージカル俳優さんが多かったみたいですね。

 最初に短編芝居を2本、休憩ののちに昭和歌謡を音楽劇風に聴かせてくださいました。ピアノとヴァイオリンの生演奏つき。上演時間は休憩を含んで約2時間15分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『Migwetch(ミーグウィッチ)

 岸田作品って現代演劇のプロの俳優にとってもハードルが高い戯曲だと思います。ミュージカル界の人がいきなりやるのは厳しいんじゃないかな~(いきなり、かどうかは知りませんが)。

 ■『屋上庭園』(作:岸田國士)

 ■『職業』(作:岸田國士)

 舞台は劇団の稽古場。俳優が即興演劇の稽古をします。脚本があるのに即興であるように見せるし、その演技を見ながら順番待ちしている俳優の演技もするし。演じる難易度の高い劇中劇ですよね。ラジオ収録の現場を見せるお芝居を思い出しました。

 ■『ヴァイオリンの思い出』
  主人公:神田麻衣

  岸田國士と同時代の音楽(笠置シヅ子など)を披露。

傑作戯曲と真実の物語を癒しの調べに乗せて・・・「Migwetch(ミーグウィッチ)」           
出演:秋園美緒 / 神田麻衣 / 栗原英雄 / 縄田晋 /平賀ゆみ子 / 保科由里子/ 柳内佑介 / 吉田純也
生演奏/音楽アドバイザー:金益研二(Pf)/ 石井有子(Vn)
作:岸田國士 演出:小川絵梨子 舞台監督:笠井隆行  照明:大場勝  制作協力:和田佳子  絵:米澤観児 企画/制作:ひのあらた
前売:3900円 / 当日:4300円 
http://ameblo.jp/hinoarata-presents/
http://www.theaterguide.co.jp/preview/paid/?id=0000534a&key=ae809900716ceee6c62eaff51f69d284

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 10:32 | TrackBack

2011年09月03日

東京芸術劇場『芸劇+トーク―異世代劇作家リーディング『自作自演』岩松了×松井周』09/03水天宮ピット・大スタジオ

 岩松了さんと松井周さんがご自身が書かれた小説(戯曲も)を朗読し、その後にトークをするという東京芸術劇場の企画です。劇場はただいま閉館中で、稽古場施設である水天宮ピットの大スタジオで行われました。私は大スタジオでの公演に伺うのはこれで5度目かも(⇒)。来年は野田秀樹さんの『THE BEE』が同会場で再演されますね。

 岩松さんと松井さんが約30分ずつ朗読された後、10分間の休憩をはさんでトークに入りました。密度の高い時間でしたね~。とにかく読まれた小説、戯曲が面白い!エロい!(笑)

 今回が第1回目で、次回は11月20日(日)15時~。出演は宮沢章夫さんと戌井昭人さんです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『自作自演 岩松了×松井周

 岩松さんも松井さんも俳優でいらっしゃいますので、朗読は安心して聴いていられましたし、とても面白かったですね。書いたご本人が読むからか、作品の指し示す方向が明確で理解しやすかったように思います。たとえば2人の人物の会話だと、一方からの質問の意図がはっきりしているし、もう一方がそれにどうやって答えるかにも、迷いがないというか。物語を直球で受け取れた感覚です。

 トークでは戯曲と小説を書く時の違いなど、ざっくばらんに平易な言葉でお話しくださいました。お2人のファンだけでなく、劇作家や小説家も観に来られればいいのではと思いました。

 ここからネタバレします。

 ■松井周 短編小説『およばれ』(講談社「群像」2008年4月号掲載)

 リゾートマンションの販売会社でともに働く男女。他人に監視された地下シェルターで、互いに「あなたには興味がない」と確認した上で体を重ねる。なんともエロティック。松井さんお1人の声を聴きながら、主人公の男性の身体が、彼の精神と乖離していく、人間が分離していくような錯覚を味わいました。
 家や空間に人は動かされているという感覚。人は能動的に、主体的に動いているわけではないという認識。


 ■岩松了 短編小説『乏しい愛の顛末』(紀伊國屋書店「ifeel アイ・フィール」2002年冬号掲載)/『蒲団と達磨』より(第33回岸田國士戯曲賞受賞作品)

蒲団と達磨
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岩松 了
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 『乏しい愛の顛末』は赤ん坊ごと乳母車を駅に放置した女性に執着する、ある駅員の独白で進みます。幕切れが痛切。
 『蒲団と達磨』は夫婦の寝室になぜか居るタクシー運転手が凄い。夫婦のトボけたやりとりに爆笑しました。岩松さんがト書きを読むのを聴ける幸せ。


 ■トークのおぼえがき
 
 「全てはリアクション。人は絶えずリアクションしている。つまり全ては演技である」という考えに納得。「見る/見られてる」ことが反応誘発装置。見られていること、つまり他者の視線が人を突き動かすファクター。「とめどない自分への演出力。自意識の合わせ鏡。人はそれとともに生きるしかない。」
 
 「無防備の姿が美しい」のは、見られていることに無自覚な体のことですよね。

 岩松さんが「演劇とは1人の人間がそこに居るということだけ」とおっしゃいました(たぶん)。演劇は究極的にはそうなのだと私も思います。

<第1回>
出演:岩松了 松井周 トーク聞き手:徳永京子徳永京子(演劇ジャーナリスト) 
舞台監督:白神久吉 舞台監督助手:押中孝次 照明:乳原一美 音響:石丸響一 コーディネーター:徳永京子 制作:内藤美奈子 栗原千波 主催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団) 東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団
【発売日】2011/08/06 前売1,000円/当日1,500円 (全席自由)
http://www.geigeki.jp/saiji/039/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:46 | TrackBack

TACT/FEATIVAL『飛行隊』『ビモ・ボトッ~ビモのおにたいじ~』08/03-04水天宮ピット・大スタジオ

 今年も東京にTACT/FEATIVALがやってきてくれました。東京芸術劇場が閉館中のため、会場は稽古場施設の水天宮ピットです。
 昨年人気炸裂だった『ひつじ』(レビュー⇒)の開演時刻には残念ながら間に合わず(涙)、『ビモ・ボトッ~ビモのおにたいじ~』と『飛行隊』を拝見。

 野外テントでは大道芸や楽器演奏が行われており、すべて鑑賞無料。屋台もありました。一日中遊んで行った方もいらしたようです。

20110804_tacefest_s.JPG

 ⇒CoRich舞台芸術!『飛行隊』『ビモ・ボトッ~ビモのおにたいじ~

 ここからネタバレします。

 ■【カナダ/演劇・マイム】コープス『飛行隊』
 ≪あらすじ・作品紹介≫
 カナダ軍第217飛行中隊は、きびしい予算削減により飛行機をすべて失ってしまいました。でも5人の戦闘パイロットは志を失わず、可能なあらゆる場所で地上訓練を続けていきます。ポップ司令官の指揮の下、カナダだけではなく世界各地で厳しくも陽気な、観客も参加する飛行訓練を展開中。
 ≪ここまで≫

 厳しい司令官のもと、男女各2名ずつ合計4名のパイロットが、組体操のような身体表現で訓練の様子を非常にコミカルに見せてくれます。衣裳は全身黒タイツ。英語、フランス語、スペイン語(?)そして日本語など、数種類の言語が当然のように混在しているのが素敵。
 コープスは『ひつじ』も上演しています。羊飼い役のデヴィッドさんが飛行隊の鬼・司令官役。ちょーかっこいーーーーーーー!!!

 客席から1人の観客を選んで、飛行隊の一員として訓練する場面があります。私が観た回の参加者は小さなお嬢さんと一緒だった若いお母さん。この方が見事に飛行隊と一緒に演技をされて、拍手喝さい!あれはかっこ良かったな~。

 最後は「カナダには飛行機がない。でもアイデアはある!」と言って、飛行機が飛ぶところ(パイロット4人が司令官を持ち上げる)を見せてくれました。大スタジオの搬入口から外へと飛び立って終幕。


 ■【インドネシア/影絵】ハナ★ジョス/インドネシア『ビモ・ボトッ~ビモのおにたいじ~』
 ≪あらすじ・作品紹介≫
 屋敷を焼かれ、あてもなく森をさまよっていたビモとその家族に親切に宿を貸してくれたとある村。しかし、その村は人食い鬼がやってくる村で、ビモは親切にしてくれた村人のために、どこからかやってきた道化師たちとともに鬼退治にむかいます!
 ≪ここまで≫

 流暢な日本語でコミカルな影絵を見せてくれました。上手手前では楽器の生演奏があり、影絵に合わせて歌と音楽を聴かせてくれます。
 実は人形はフルカラー。切り絵が微細で美しいです。最初はスクリーンの裏側で人形を操作していたのですが、中盤以降は人形使いのお兄さん(1名)が人形を持ってスクリーンの表側に移動してきました。客席に背を向け、スクリーンに人形をすりつけるようにして、前半と同じように演技をしてくれます。客席が舞台裏になる逆転が面白かったですね。

 大きな葉っぱ(のようなもの)を裏返すと燃え盛る炎の絵が書いてあり、善悪(天国と地獄)が表裏一体になっていることを表しているようでした。人食い鬼を若者が退治する話ですが勧善懲悪ではなく、最後にはやんわりと、世界は清濁併せ持つものであるというメッセージがあったように思います。

 お歯黒のお姉さんは一体どういう意図のキャラだったんでしょうか・・・(笑)


TACT/FEST 7-8月 2011年 大阪・松本・新潟・東京・びわ湖
国際自動青少年芸術フェスティバル・こどもとおとなのシアターパーク
http://www.tact-japan.net/

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Posted by shinobu at 23:18 | TrackBack

ホリプロ・東京芸術劇場『「100万回生きたねこ」リーディング発表会』06/30水天宮ピット・大スタジオ

 ベストセラーの絵本「100万回生きたねこ」をミュージカル化することを念頭に、若手劇作家3人に台本執筆を依頼して、リーディングの形で上演する企画です。東京芸術劇場芸術監督の野田秀樹さんが監修されています。糸井幸之介さん、戌井昭人さん、中屋敷法仁さんの台本競作とキャストの豪華さに惹かれて伺いました。

 終演後に観客とのディスカッションの時間があり、観客がけっこう積極的に質問・意見されていて面白かったです。ここから始まって、本当にミュージカルとして上演される日が来たら嬉しいな~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『「100万回生きたねこ」リーディング発表会

 ≪企画概要≫ 公式サイトより
 若い才能育成の場として、長期的視野で新しいものを生みだすことのできる環境をつくる、そんな芸術監督の思いがいよいよ始動。
 手始めに、幅広い世代から支持を受ける『100万回生きたねこ』リーディングをトライアウトします!
 ミュージカル化を念頭に執筆を依頼したのは、新進気鋭の劇作家3名。糸井幸之介(FUKAIPRODUCE羽衣)、戌井昭人(鉄割アルバトロスケット)、中屋敷法仁(柿喰う客)。まったく毛色の違う三者三様の戯曲を、野田秀樹監修により1本の戯曲にまとめてお贈りします。
 ≪ここまで≫

 中屋敷さんの演出が素晴らしかったですね~!リーディングとはいえ、すっかり作品に没頭して楽しませていただきました。照明効果もしっかりあって良かったです。音楽も阿部海太郎さんのオリジナルなんですね。

 ここからネタバレします。

 いきなりラップで始まったのが衝撃的。最初は中屋敷法仁さんの脚本です。中盤が糸井幸之介さん、終盤が戌井昭人さん。糸井さんの掃除機がブルンブルン!と活躍する歌が可笑しかったな~。戌井さんの黒子が登場するラストシーンはロマンティックで演劇的でした。ちょっと涙ぐんでしまった。

【出演】ねこ・玉置玲央/白いねこ・笹本玲奈/飯野めぐみ/澤田慎司/日高啓介/深井順子/深谷由梨香/村上誠基(50音順)
原作:佐野洋子 作「100万回生きたねこ」(講談社刊) 上演台本[競作]:糸井幸之介/戌井昭人/中屋敷法仁(50音順) 演出:中屋敷法仁 音楽:阿部海太郎 舞台監督:井関景太 清水規雄 照明:工藤雅弘 松本永 音響:佐藤こうじ 企画制作:ホリプロ 主催:ホリプロ/東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団) 東京芸術劇場芸術監督:野田秀樹
ご観劇及び、ディスカッションへの参加費 2,000円(税込)
*ご観劇のみのお客様も参加費は同一料金になります。*会場の定員がありますので、ご観劇&参加をご希望される方は、事前のご予約をお勧めいたします。*当日のお求めは 2,500円(税込)となりますので、予めご了承ください
※開場は開演の30分前になります。※整理番号順のご入場を希望されるお客様は、開演20分前にお集まりください(当日引換のお客様は、お引換の上ご集合ください)。遅れられたお客様にはご入場をお待ち頂くことがございます。予めご了承ください。
http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=167
http://www.geigeki.jp/saiji/037/index.html


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Posted by shinobu at 21:38 | TrackBack

2011年09月02日

【ワークショップ】萬劇場「箱庭円舞曲・古川貴義氏によるワークショップ」9/22、27※〆切指定なし(メール又は電話)

 萬劇場が“<演技>部活動”として古川貴義さん(箱庭円舞曲)のワークショップを開催します。2日間で3,500円、定員15名というのはオトク価格ではないでしょうか。ご興味ある方は公式サイトで詳細をご確認ください。CoRich舞台芸術!の掲示板で知りました。

 ●萬劇場「箱庭円舞曲・古川貴義氏によるワークショップ」
  9月22日(木) 18:30~21:00 @雑司が谷地域文化創造館 B1音楽室
  9月27日(火) 18:30~21:30 @萬劇場
  2日間で3,500円
  募集人員15名ほど。

■萬劇場<演技>部活動新企画始動! ※CoRich舞台芸術!掲示板より

萬劇場<演技>部活動(ブカツ)の新たな企画として、注目の劇団・演出家による短期集中型のワークショップを開催します!
今回はその第1弾として箱庭円舞曲の古川氏を講師としてお向かえします!

題して「ブカツ aided by 箱庭円舞曲」

日時・会場:
 9月22日(木) 18:30~21:00 雑司が谷地域文化創造館 B1音楽室
 9月27日(火) 18:30~21:30 萬劇場
※基本的に2日間で通してのメニューとなっています。

講師:古川貴義氏(箱庭円舞曲)

講師略歴:80年生まれ、福島県出身。劇作家・演出家、箱庭円舞曲主宰。
00年、日大藝術学部在学中に箱庭円舞曲を旗揚げし、以降全作品で作・演出を担う。
本年5月に駅前劇場で上演した「珍しい凡人」が「CoRich舞台芸術まつり!2011春」にてグランプリを受賞。外部作品への脚本提供や演出なども積極的に行なっている。

参加費:2日間で3,500円

募集人員:15名ほど。

応募先:
萬劇場 ticket(アットマーク)yorozu-s.com 03-5394-6901

ご参加お待ちしてます!


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Posted by shinobu at 15:25 | TrackBack

【情報】wonderland「劇評を書くセミナー2011 フェスティバル/トーキョー編(全5回)」09/25-11/19にしすがも創造舎※9/25第1次〆切(申し込みフォームより)

 劇評サイトwonderland(⇒ツイッター)が「劇評を書くセミナー2011」を開講します。実際にフェスティバル/トーキョー11の作品を観てから講義を受けるスケジュールですね。
 第1回目は40人参加可能のトークセッション「私が考える劇評-セミナー入門」です。ご興味ある方はぜひ。詳細・お申し込みは公式サイトでどうぞ。

 ●wonderland「劇評を書くセミナー2011 フェスティバル/トーキョー編(全5回)」
  講師:新野守広、岡野宏文、木村覚、堀切克洋
  定員:全5回(各回20人、第1回のみ40人)
  会場:にしすがも創造舎
  受講料:各回3,000円(第1回のみ1,500円)※公演チケットは各自購入
  募集:定員に達し次第締め切り。
  第1次応募締め切り:9月25日(日)
  第2次募集締め切り:若干名。9月26日以降、公式ページを随時更新。

Posted by shinobu at 10:12 | TrackBack

2011年09月01日

メルマガ 2011年09月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2011年9月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 87     2011.09.01  1,761部 発行

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   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎あっという間に2011年も秋。3・11の大地震からもうすぐ半年です。

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
    http://archive.mag2.com/0000134861/index.html


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→劇団☆新感線『2011年夏興行 いのうえ歌舞伎「髑髏城の七人」』
       09/05-10/10青山劇場
       ≪大阪、東京≫
       http://www.dokuro2011.com/ ←音が鳴ります

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→マームとジプシー『塩ふる世界。』
       08/17-22 STスポット
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0820140703.html

 ◆3【「フェスティバル/トーキョー11」が開幕します!】

   ◎劇場の外に飛び出したF/T11。大注目の作品がトップバッターです。
    http://festival-tokyo.jp/ ↓記者会見
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0712010939.html

 ◆4【編集後記】

   ◎東京「F/T11」/京都「KYOTO EXPERIMENT 2011」/鳥取「鳥の演劇祭4」
   ◎『PAW2011東北・復興week』で震災地の3劇団が横浜で公演を行います。
    http://www.paw2011.com 

 ◆5【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪


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 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
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 ▽★印がいちおし公演です(3本)。
 ▽初日の早い順に並べています。
 ▽掲載内容:主催/企画製作・『題名』・日程・会場・価格・URL
 ▽座種の記述がない公演は全席指定。


★1.こまつ座『キネマの天地』
  09/05-10/01紀伊國屋サザンシアター
  ≪東京、大阪、岩手、山形≫
  ☆出演:麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆
      木場勝己、浅野和之、古河耕史
   脚本:井上ひさし 演出:栗山民也
   一般7,350円 学生割引5,250円
    http://www.komatsuza.co.jp/contents/performance/
   井上ひさしさんの1986年初演戯曲を栗山民也さんが演出されます。
   井上作品おなじみの有名舞台俳優が勢ぞろい。
   しのぶ的には面白くならない理由が全く見つかりません♪
   メルマガ7月号↓のお薦め前売り情報に掲載しました。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0701000123.html


★2.劇団☆新感線『2011年夏興行 いのうえ歌舞伎「髑髏城の七人」』
  09/05-10/10青山劇場
  ≪大阪、東京≫
  ☆出演:小栗旬 森山未來 早乙女太一 小池栄子 勝地涼 仲里依紗
      高田聖子 粟根まこと 河野まさと 千葉哲也 他
   脚本:中島かずき 演出:いのうえひでのり
   S席12,500円 A席10,500円
    http://www.dokuro2011.com/ ←音が鳴ります
   『髑髏城の七人』は7年ごとに再演される劇団☆新感線の代表作です。

   ●お薦めポイント●
   『アカドクロ』『アオドクロ』はゲキ×シネ↓でも上映されました。
    http://www.akadokuro.jp/ http://www.aodokuro.jp/
   今回はキャストを一新し、小栗旬さん、森山未來さん、早乙女太一さん
   という豪華絢爛な若手イケメン俳優による“ワカドクロ”です。
   ある最も重要な役についてキャスト追加(?)となり、脚本も改訂。
   “ぐうの音も出ない面白さ”を味わえること間違いなし!


3.ポツドール『おしまいのとき』
  09/08-25ザ・スズナリ
  ☆出演:米村亮太朗 古澤裕介 松浦祐也 松澤匠 
      篠原友希子 高木珠里 新田めぐみ
   脚本・演出:三浦大輔
   前売 指定席4,500円、前方ベンチ指定席4,200円 当日5,000円
    http://www.potudo-ru.com/
   三浦大輔さん率いるポツドールは『夢の城』↓ヨーロッパツアーで
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0308220344.html
   高い評価を得たばかり。三年半ぶりの新作を小劇場で!


4.ヨーロッパ企画『ロベルトの操縦』
  09/08-18本多劇場
  ≪京都、愛知、東京、大阪、福岡、広島≫
  ☆出演:石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅 土佐和成 中川晴樹
      永野宗典 西村直子 本多力 山脇唯 山本真由美 中山祐一朗
   脚本・演出:上田誠
   前売4,000円 当日4,500円 学生シート(前売のみ)3,500円
    http://www.europe-kikaku.com/projects/e30/main.htm
   京都の劇団ヨーロッパ企画の新作6都市ツアー。昨年のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0807002124.html
   テーマは「移動」。「道」がテーマだった作品↓も面白かった~。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0222015016.html


5.文学座『連結の子』
  09/09-23吉祥寺シアター
  ☆出演:金内喜久夫、中村彰男、高橋克明、浅野雅博、木津誠之、亀田佳明
      倉野章子、金沢映子、山崎美貴、片渕忍、上田桃子、吉野実紗
   脚本:田村孝裕(ONEOR8) 演出:上村聡史
   一般5,500円 ユースチケット3800円(25歳以下)
   中・高校生2,500円 劇場会員4950円
   ※9/9、10、13の夜公演は一般夜割4500円(劇場会員も含む)
    http://www.bungakuza.com/ConnectedChild/index-top.html
   田村孝裕さんが文学座に初めて新作を提供。演出は1年間の英国留学から
   帰国した文学座の上村聡史さん。三世代にわたる日本が舞台のお話です。


6.劇団青年座『父が燃える日』
  09/14-19青年座劇場
  日本劇団協議会・日本の演劇人を育てるプロジェクト
  新進演劇人育成公演【劇作家部門】
  ☆出演:安原義人 小豆畑雅一 万善香織 宇宙 山本与志恵 石橋祐
      前田一世 松熊つる松 名塚佳織 塩田朋子
   脚本:古川貴義(箱庭円舞曲) 演出:磯村純(青年座)
   一般4,000円 学生3,000円
    http://seinenza.com/performance/gekidankyo/110914.html
   古川貴義さんが青年座に初の戯曲提供。若手劇作家の育成企画です。
   年齢層の広いキャストを得て、練度の高い家族のドラマが観られそう。


7.新国立劇場演劇『朱雀家の滅亡』
  【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─Ⅰ
  09/20-10/10新国立劇場小劇場
  ☆出演:國村隼 香寿たつき 柴本幸 木村了 近藤芳正
   脚本:三島由紀夫 演出:宮田慶子
   A:6300円 B:3150円
   【美×劇】(『朱雀家の滅亡』『イロアセル』『天守物語』)の
   三作品特別割引通し券:16,600円(正価18,900円)
    http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000435_play.html
   宮田慶子さんが三島由紀夫作品を演出。キャスト5人の顔ぶれは華やかで
   官能的な香りも漂います。【美×劇】シリーズは3作品ともぜひ観たいです。


8.あうるすぽっとプロデュース『家電のように解り合えない』
  09/24-10/02あうるすぽっと
  ☆出演:森山開次 安藤真理 青柳いづみ
   脚本・演出:岡田利規 美術・宣伝美術:金氏徹平
   一般 4,800円 学生3,800円 豊島区民・劇場会員割引などあり
   ※当日はすべて一般料金
    http://www.owlspot.jp/performance/110924.html
   チェルフィッチュの岡田利規さんがダンサーの森山開次さんと作品創作。
   ダンスと演劇の区別がない、新しい方向性を見せてもらえそう。


9.グループる・ばる『ダブルアルバム』
  09/28-10/03赤坂RED/THEATRE
  ☆出演:岡本麗 田岡美也子 半海一晃
   原案:グループる・ばる 作:永井愛 演出:松本祐子
   前売 ¥4,500 当日 ¥4,700 学生 ¥3,000
    http://www.red-theater.net/article/14039511.html
    http://lebal.jp/
   グループる・ばるは女優3人の劇団で、『ダブル~』は17年振りの再演。
   永井愛さんの戯曲を松本祐子さんが演出する3人芝居というだけで魅力的。
   2003年に違う団体で観た時、とても感動した覚えがあります。レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/1119155249.html


10.石井光三オフィス『オーデュボンの祈り』
  09/30-10/12世田谷パブリックシアター
  ≪東京、札幌、大阪、仙台≫
  ☆出演:吉沢悠 河原雅彦 石井正則 小林隆 武藤晃子 小泉深雪
    寺地美穂 町田マリー 春海四方 玉置玲央 陰山泰 筒井道隆    
   原作:伊坂幸太郎 脚本:和田憲明 演出:ラサール石井
   S席6,800円 A席3,800円
    http://www.ishii-mitsuzo.com/info/ishii/web/index.html
   伊坂幸太郎さんの小説を舞台化。脚本が和田憲明さんで、
   演出がラサール石井さんというのは手堅いですね。
   キャストも手練れの舞台俳優ぞろいです。


 ☆☆☆────────────────────────────── 
  前売3000円台の気になる作品を4本ご紹介します。
 ──────────────────────────────☆☆☆

《1》MCR『女がつらいよ』
  09/07-11王子小劇場
  ☆出演:小椋あずき・奥田洋平 おがわじゅんや 北島広貴 福井喜朗 
      小野紀亮 伊達香苗 櫻井智也 近藤美月 高橋優子
   脚本・演出:櫻井智也
   前売り3000円 当日3300円 高校生以下1500円 初日割引2500円
    http://www.mc-r.com/ ↓CoRichでカンタン予約!
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=29147
   櫻井智也さんが主宰する劇団MCRの新作は、“あずきちゃん”が登場する
   人気シリーズ。全ての回終了後に、毎回異なるゲスト1名を迎えた
   10分程度の二人芝居「この世界」を上演。相手役は櫻井さんです。


《2》アル☆カンパニー『罪』
  09/11-19 SPACE雑遊
  ≪東京、愛知≫
  ☆出演:平田満、占部房子、黒田大輔、井上加奈子
   脚本・演出:蓬莱竜太(モダンスイマーズ)
   一般:3,800円/学生:3,000円
    http://www.aru-c.com/stage10.html
   アル☆カンパニーは平田満さんと井上加奈子さんのご夫婦のユニット。
   蓬莱竜太さんが書き下ろし・演出した作品の再演です。初演レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0427150947.html


★《3》柿喰う客『女体シェイクスピア001「悩殺ハムレット」』
  09/16-25シアタートラム
  ≪東京、三重、大阪、愛知≫
  ☆出演:七味まゆ味 コロ 深谷由梨香 右手愛美 葉丸あすか 
    大杉亜依里 岡田あがさ 荻野友里 葛西幸菜 葛木英 熊川ふみ
    高島玲 新良エツ子 兵頭祐香 渡邊安理
   原作:W.シェイクスピア 脚色・演出:中屋敷法仁
   初日2,500円(完売?) 一般3,300円(9/17~19) 一般3,800円(9/22~25)
   ガールズナイト:女性2,500円/男性5,000円(9/17夜/9/24夜)
   昼割公演2,800円(9/21昼) 乱痴気公演3,800円(9/21夜)
   学生2,000円/高校生以下1,000円(全ステージ)※当日は前売より500円増。
    http://kaki-kuu-kyaku.com/hamlet/ ↓CoRichでカンタン予約!
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=29067
   中屋敷法仁さん率いる劇団柿喰う客が女優ばかりの『ハムレット』を上演。
   女優ばかりといえば昨年の『露出狂』↓がとても面白かったんです。
    http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=69858


《4》座・高円寺『あしたの劇場「旅とあいつとお姫さま」』
  09/26-10/04座・高円寺1
  平成23年度児童福祉文化賞を受賞
  ☆出演:高田恵篤、KONTA、楠原竜也、辻田暁、逢笠恵祐
   原作:ノルウェーの昔話「旅の仲間」アンデルセン作「旅の道づれ」
   脚本・演出:テレーサ・ルドヴィコ 台本監修:佐藤信
   全席自由 大人(18歳以上)3,000円 子ども2,000円
   未就学児500円 「なみちけ」ご使用になれます。
   ※星めぐりセット券(『ふたごの星』と『旅と…』2作品分):
    大人(18歳以上)4,000円 子ども3,000円 未就学児500円
   ※購入時に「世界をみよう!」チケット半券を持参で500円割引
   ※すぎなみ子育て応援券がご利用になれます。
    http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=487
   杉並区の小学4年生が毎年招待されている、
   童話をもとにした親子向けの舞台です。観たことのない方はぜひ!
   観たことのある方もお友達、家族、恋人を誘ってぜひ!
   2009年レビュー↓ 私は昨年も友人と一緒に観に行きました。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/1001174052.html
   ※新作『あしたの劇場「ふたごの星」』も9/2から上演。
    http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=488


 ★★★────────────────────────────── 
  前売2000円台以下の気になる公演を4本ご紹介します。
 ──────────────────────────────★★★

【1】ミクニヤナイハラプロジェクト『前向き!タイモン』
  09/01-04こまばアゴラ劇場
  サマーフェスティバル〈汎-PAN-〉参加作品
  ☆出演:笠木泉 鈴木将一朗 山本圭祐
   脚本・演出:矢内原美邦
   前売2800円/学生2500円/当日3200円(日時指定・全席自由・整理番号付き)
    http://precog-jp.net/ja/events/2011/09/mikuni-yanaihara-project-hey-timon-lets-think-positive
    http://www.komaba-agora.com/sf_pan/2011/mikuniyanaihara/
   ダンスカンパニーnibrollの振付家・演出家・ダンサーの矢内原美邦さんが
   作・演出される三人芝居。矢内原さんはただ今こまばアゴラ劇場で
   開催されているフェスティバルのフェスティバル・ディレクターです。
   前売り完売につき9/4(日)18時開演の追加公演決定!


【2】東京芸術劇場『芸劇+トーク―異世代劇作家リーディング
  「自作自演」<第1回>岩松了×松井周』
  09/03水天宮ピット・大スタジオ
  ☆出演:岩松了 松井周 トーク聞き手:徳永京子
   前売1,000円/当日1,500円 (全席自由)
    http://www.geigeki.jp/saiji/039/index.html
   “世代の異なる劇作家がそれぞれ自作の小説を読み、
   互いの言葉を聞いて感じたことを語り合う”企画の第一弾。
   単行本化されてない小説を作者の声で聴けます。トークにも期待。
   

【3】ミナモザ『ホットパーティクル HOT PARTICLE』
  09/21-27 SPACE雑遊
  ☆出演:佐藤みゆき 平山寛人 中田顕史郎 浅倉洋介 外山弥生
      秋澤弥里 西尾友樹、大川大輔
   脚本・演出:瀬戸山美咲
   前売り一般¥3000、当日一般¥3300 学割(前売・当日とも)¥2500
   高校生以下(前売・当日とも)¥2000 初日割引:前売り¥2500、当日¥2800
    http://minamoza.com/ ↓CoRichでカンタン予約!
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=28566
   福島第一原発に“会いに行った”女性劇作家のドキュメンタリー演劇。
   ホットパーティクルとは、放射能を持った粒子のこと。


【4】Produce lab 89 presents
  『官能教育─官能をめぐるリーディング─ 
   第3回 倉持裕×夢野久作』
  09/30(金)新世界
  ☆出演:近藤フク ほか
   原作:夢野久作『瓶詰の地獄』 構成・演出:倉持裕
    http://www.producelab89.com/
    http://twitter.com/#!/producelab89
   19時30分~&22時~の2ステージ
   全席自由 2500円(ドリンク代別)
   『瓶詰の地獄』はすごく好きな小説です。倉持裕さんがどう聴かせて
   くれるのか楽しみ!第1回は松井周さんでした。レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0526165538.html


≪その他・気になるライブ、ミュージカル、ダンスなど≫

 ○中野成樹+フランケンズ『ライブイベント「1年後」』
  09/05(月)横浜KAMOME
  ☆出演:大谷能生、中野成樹、みずうみメンバー、他
    http://frankens.net/
   自由席ワンドリンク付き3500円
   昨年、大反響を呼んだ『長短調(または眺め身近め)』(レビュー↓)。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1003180406.html
   その劇中に登場したラップユニット『みずうみ』が、
   一夜限りのライブイベントで再結成します。
   『長短調』は昨年私が観た小劇場演劇の中で、No.1の作品↓です。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/1229163008.html


 ○ホリプロ『ミュージカル「スリル・ミー」』
  09/15-10/13アトリエフォンテーヌ
  ☆出演:田代万里生&新納慎也/松下洸平&柿澤勇人(Wキャスト)
   原作・音楽・脚本:Stephen Dolginoff 翻訳・訳詞:松田直行
   ピアノ伴奏:朴勝哲 演出:栗山民也
   6,300円
    http://www.horipro.co.jp/usr/ticket/kouen.cgi?Detail=163
    http://hpot.jp/tmjp/
   NY・韓国で好評だったミュージカルを100席ほどの空間で。
   人気ミュージカル男優2人ずつのダブルキャスト公演です。


 ○カンパニーデラシネラ『デラシネラβ「ロミオとジュリエット」』
  09/22-29世田谷ものづくり学校
  ☆出演:大庭裕介、河内大和、斉藤悠、菅彩夏、藤田桃子、小野寺修二
   原作:W.シェイクスピア 翻訳:松岡和子 演出:小野寺修二
   一般2500円、プレビュー2000円 中学生以下1000円、
   世田谷区民2200円 5歳未満入場不可。22日19:00はプレビュー公演
   23日、24日の11:00は『ママの回』。5歳未満児童も保護者同伴で入場可。
    http://www.onoderan.jp
   演劇公演の振付家としてもひっぱりだこの小野寺修二さんの新作です。
   全席完売し、9月27日(火)16:00に追加公演決定!


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 ◆2 【先月のベスト3】
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1.マームとジプシー『塩ふる世界。』
  08/17-22 STスポット
  ☆最若手の日本の演劇人による新しい演出の発明だと思いました。
   何より鎮魂の劇であったことに私は感動しました。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0820140703.html

2.キューブ『奥さまお尻をどうぞ』
  07/30-08/28本多劇場
  ≪東京・下北沢、大阪、東京・渋谷≫
  ☆セリフの1つずつが笑いの種でありつつ、その実を結ばせる力でもあり。
   相互に高める緻密な仕掛けに圧倒されました。笑いすぎて落涙。
   他の観客と一緒に笑えば笑うほど、今が非常時であることを実感。
   http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/kera-furuta11.html

3.NPO法人アートネットワーク・ジャパン『子どもに見せたい舞台「青い鳥」』
  08/12-22にしすがも創造舎
  ☆5年目を迎え、子供たちが毎年楽しみにしている企画です。
   今までで一番ストーリーが唐突で、恐ろしくて、哲学的でした。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0813144040.html

  その他は、DULL-COLORED POP『Caesiumberry Jam』、
  新国立劇場演劇研修所『朗読劇「少年口伝隊一九四五」』、
  非戦を選ぶ演劇人の会ピースリーディング『核・ヒバク・人間』、
  世田谷パブリックシアター『現代能楽集6「奇ッ怪 其ノ弐」』、
  TACT/FEST・コープス『飛行隊』など(順不同)。

 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  2011年8月(観劇数23作品)は残念ながら発行しませんでした。


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 ◆3 【「フェスティバル/トーキョー11」が開幕します!】
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 ◎2009年から毎年開催され4度目を迎える「フェスティバル/トーキョー」。
   http://festival-tokyo.jp/ ↓記者会見
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0712010939.html

  F/T11(エフティー・じゅういち)は震災後の日常と向き合う姿勢を
  前面に打ち出しました。開幕トップバッターから大注目の作品です!

 ○F/T11新製作・オープニング委嘱作品『宮澤賢治/夢の島から』
  09/16-17都立夢の島公園内 多目的コロシアム
  「わたくしという現象」構成・演出:ロメオ・カステルッチ
  「じ め ん」構成・演出:飴屋法水
  自由席 一般前売4,500円(当日 +500円) 
  学生3,000円、高校生以下1,000円(前売・当日共通、要学生証提示) 
  ※未就学児は保護者同伴の上入場可(有料)
  ※芝生の上でのご観劇となります(観客席の用意なし)。
   芝生の上を歩きますので、運動靴など歩きやすい靴でご来場ください。
   http://www.festival-tokyo.jp/program/Yumenoshima/

 ○フォルクスビューネ『無防備映画都市─ルール地方三部作・第二部』
  09/21-25豊洲公園西側横 野外特設会場
  作・演出:ルネ・ポレシュ
  自由席 一般 前売 5,000円(当日 +500円) 学生 3,000円
  高校生以下 1,000円(前売・当日共通、要学生証提示)
  ※観客席に屋根(テント)あり。雨天の際は雨が吹き込む可能性あり。
   http://www.festival-tokyo.jp/program/CinecittaAperta/
  ※9/13に東京ドイツ文化センターにてポレシュ作品上映会あり。
   http://www.goethe.de/ins/jp/tok/ver/ja8032366v.htm


 ●チケットは先月末から発売開始し、既に残席少ない公演もあります。
  お得なセット券もありますので、気になった方はお早めにご予約を!
  ※F/Tオンラインチケットサービスへの登録が必要です。
   http://festival-tokyo.jp/ticket/

 ・F/T公募プログラムの一般発売日:9月10日(日)12:00~
   http://festival-tokyo.jp/program/index04.html
   アジア全土からの応募総数150件から選ばれた11組にも注目!

 ・シンポジウムや映像上映なども開催されます。1回きりの
  イベントがほとんどですので、今すぐスケジュールをチェック!!
   http://festival-tokyo.jp/program/index03.html
  「なにもない空間からの朗読会」参加アーティストも決まってきています。
   http://www.festival-tokyo.jp/program/Nanimonai/

 ・公式ツイッターをフォローしてお得な情報をGET!
  フェスティバル/トーキョー:http://twitter.com/festivaltokyo
 公募プログラム:http://twitter.com/FTram ←ゆるキャラ炸裂♪


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 ◆4 【編集後記】
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 ◎東京では「F/T11」、京都では「KYOTO EXPERIMENT 2011」↓が開幕。
   http://kyoto-ex.jp/
  鳥取では「鳥の演劇祭4」が始まりますよー!
   http://www.birdtheatre.org/engekisai/


 ◎震災地の3劇団が横浜で公演を行います。

  PAW YOKOHAMA『PAW2011東北・復興week』
  09/20-25相鉄本多劇場
  ☆出演:Gin'sBar、架空の劇団番外公演、満塁鳥王一座
   一公演 前売り2,000円 当日2,500円 学生1,000円
   シンポジウム1,000円(PAW2011チケット半券提示で500円)
    http://www.paw2011.com ↓CoRichでカンタン予約!
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=29697


 ◎東電福島第一原発事故により、首都圏にも放射能汚染が広がりました。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0518215108.html
  児玉龍彦教授による「放射線の健康への影響」の解説をぜひご覧ください。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0804134402.html
  野菜、肉などの汚染も広がっています。ドイツのTV番組もどうぞ。
  naohana「これはもはや食べ物ではなく放射性廃棄物です」
   http://nanohana.me/?p=4198 (8分間弱)


 ◎F/T11『宮澤賢治/夢の島から』は芝生の上に座って観ることになります。
   http://www.festival-tokyo.jp/program/Yumenoshima/
  夢の島の放射線量:http://hakatte.jp/spot/1700/
  火山地質学者の早川由紀夫さんのツイート↓をご参考にどうぞ。
   http://twitter.com/HayakawaYukio/status/102678681662668801
   http://twitter.com/HayakawaYukio/status/102679193443246080
   http://twitter.com/HayakawaYukio/status/102680347610857472


 ◎【意見】NHK「芸術劇場」「ミッドナイトステージ館」
  「プレミアムシアター」での演劇舞台中継の継続を嘆願します
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0202151800.html

  プレミアムシアターで新国立劇場演劇『雨』が放送されます!
    http://www.nhk.or.jp/bs/premium/
  【NHK BSプレミアム】 9月24日(土)午後11時30分~午前3時30分
   新国立劇場『雨』(2011年6月)
   ☆出演:市川亀治郎・永作博美・他
    作:井上ひさし 演出:栗山民也 レビュー↓
     http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2011/0624002133.html


 ◎【厳選シアター情報誌Choice!】TOPページ右下の“ちょいナビ”にて、
   http://www.next-choice.com/
  “しのぶの演劇レビュー”をご紹介いただいています!


 ◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
  2011年8月は下記の5作品を拝見しました(順不同)。
  ・「半次郎」←女の対決場面がエロくて大迫力。
    http://www.cinematoday.jp/movie/T0009138
  ・「あしたのジョー」←やまぴーが意外に筋肉質。伊勢谷友介さんさすが。
    http://www.ashitano-joe.com/
  ・「デストロイ ヴィシャス」←開いた口がふさがらないまま最後まで。凄い。
    http://punkfilm.net/destroy/
  ・「SP 革命篇」←伏線回収と謎解きの快感。舞台俳優が多数出演。
    http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id336792/
  ・「原発切抜帖」←新聞でたどる原発大国日本。小沢昭一さんの語りが軽妙。
    http://cine.co.jp/php/detail.php?siglo_info_seq=24


 ◎ツイッターやってます!フォロワー2800人超えに感謝♪
  ⇒ shinorev : http://twitter.com/shinorev
  情報収集はもっぱらツイッター頼りです。
  実名アカウント同士の身のあるやりとりから仕事に直結!
  最近は震災・原発事故関連の公式リツイートが多いです。


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
   http://stage.corich.jp/
  メンバー登録はこちら↓
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  携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s


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  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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