2004年09月15日

G2プロデュース『痛くなるまで目に入れろ』09/09-17紀伊国屋ホール

 G2プロデュースは元MOTHERのG2さんが演劇作品をプロデュースする団体で、今回はG2さんの作・演出です。後藤ひろひとさんが脚本を書かれることが多いですよね。

 前売りはほぼ完売で、当日券もじゃんじゃん出ていて、劇場には補助席までいっぱいのお客様。追加公演も決まっている人気公演です。最近はG2プロデュースというと必ず追加公演があるイメージです。

 チラシが山内圭哉さんのアップだったのにはちょっと驚きでした。山内さんが主役のお芝居となると、内容はハードなんだろうなぁと思いながら観に行きましたが、確かに暴力がいっぱいで血のりもバンバン、人も死んじゃいますが、すごく笑いが多かったです。
 残念ながら笑いのツボは私にはフィットしなかったのですが(私が笑ったのは中山祐一朗さんの「あ、ちょっと振り向いたぁっ♪」だけでした)、激しい暴力シーンが笑いで軽い感覚になるのは良かったと思います。

 主役の山内圭哉さんは「彼が出るなら観に行こう」と思えるほど、私にとっては作品選びのキーになる男優さんです。山内さんはコメディーに出てもドラマに出ても常に孤高の存在で、一人で責任を取るのでめちゃくちゃカッコ良いんです。
 このお芝居では陰山泰さんと山内さんが父子の関係なのですが、なぜか父と息子には見えなかったんですよね。山内さんがいつも通り一人で舞台にいたからじゃないかなぁ。父親の異常な行動が息子の人生をひん曲げ続けていくのがこの作品の軸なわけで、影の主役は父親だといえます。もっと父親と息子のドロドロとしたバカ悲しさを味わえたらなぁと思いました。

 時系列どおりに展開させず、回想シーンも含みながらストーリーが行ったり来たりするので、ついて行くのが大変でした。しかも主人公が部分的に記憶を無くす男だったので、さらに複雑。いつから現在(5年後)の話が始まるんだろう、父親はどこにいるんだろう、などと探る方向で楽しみました。
 オープニングでわざわざネタバレしたのが非常に面白かったです。これから起こることの3択に「B. 本当の犯人は中川だった」とか言われたらビックリしますよね。

 G2プロデュースの作品を観るたびに感じるのは、出ている役者さんが楽しそうだということ。一人一人のキャラクターや特技をありったけ生かす方向の配役だし、演出だと思います。山内さんがギターを弾いて歌ったり、シルビア・グラブさんが英語をペラペラしゃべったり、久保田浩さんは噛んだり(笑)。

出演:山内圭哉,中山祐一朗,曽世海児,久保田浩,岩橋道子,渡辺慎一郎,松下好,久ヶ沢徹,坂田聡,シルビア・グラブ,陰山泰
作・演出:G2 美術:島次郎 照明:黒尾芳昭 音楽:佐藤史朗 音響:井上正弘 スタイリスト:遠藤百合子 大道具:浦野正之 演出助手:山田美紀 舞台監督:木村力 宣伝美術:東學 宣伝写真:中川彰 ヘアメイク:野崎陽子 Web:河村公一 酒井元舟 橋本徹子 制作:千葉博実 尾崎裕子 安積智子 プロデューサー:大西規世子 製作総指揮:G2
G2プロデュース:http://www.g2produce.com

Posted by shinobu at 2004年09月15日 22:28 | TrackBack (1)