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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2001年03月02日

阿佐ヶ谷スパイダース『ライヒ』東京グローブ座2/28-3/4

 この作品、今週号のぴあの演劇のページの表紙および次の見開きを占拠しています。ストーリー紹介と人物相関図とか載ってて。NODA MAPでもそんなことないのに。

 阿佐ヶ谷スパイダース(あさスパ)といえば俳優の長塚京三さんの息子さんである長塚圭史さんが作・演出を手がけるプロデュース・タイプの劇団。あさスパ自体の正式メンバーって3人だけのようです。今回は14人ものメイン役者さんが出演されていました。

 えーっと、「ライヒ」。はい。あさスパっぽいストーリーでした。ストーリーはマイナス方向で極限状態。登場人物はけっこう能天気でなされるがまま。あるがまま。抑圧、爆発、崩壊、あきらめた感じの乾いた笑い。たまに空気がぬけたみたいに軽くなる間(ま)。
 グローブ座の天井がとても高くて、いつもの閉じた空間になるには時間がかかりましたね。前半が長くてつらかったですが、後半は笑えたし残酷さも心地良くて、かなり面白かった。

 ま~しかし、小劇場的豪華メンバーでした。役者さんのことが目立って役柄に集中でいないこともあったぐらい。

 うーん。やっぱり東京グローブ座は大きいなー。なかなかあれを使いこなすのは難しそうですね。天井が高い!

 次は夏にハイレグ・ジーザスの役者さんたちとやるみたいです。すごいねー。

 以下、ネタバレ感想です。

 音楽がよかったなー。開演前のBGMも好きでした。物語に合ってますよね。
 特高の制服、よかったなー。すごくよく出来てる。
 前半に繁く登場したイルカとシャチとサケもすごい(笑)。

 非日常(異常)な世界を緻密にしっかりと作り出すことが出来ているから、どんなにヘンな舞台設定でも観客が順応できるんでしょうね。そこがすごいんですよね。

 カムカムミニキーナの松村武さんと、双数姉妹の今村久弥さんは「あー、あの人だーっ」とか思ってしまって役柄として観られませんでした。あと、エル・カンパニーの松下好(まつした・このみ)さんも。でも彼女、ライヒ(帝国)の外の世界を見たときの顔は素晴らしかった。

 ストーリーの中での一つの役柄として印象に残ったのは、あさスパの伊達暁(だて・さとる)さんと、東京オレンジの泉洋二(いずみ・ようじ)さんでした。伊達さんは特高側に寝返って意気揚揚としていた寺脇役。泉さんは小清水(松下好)に惚れた特高の松丸役。すごく物語に溶け込んでいて自然でした。劇場からの帰り道に伊達さんの演技を思い出して、上手いなーと改めて思いました。

 長塚圭史さんと小林顕作さんのコンビ、最高♪やせノッポとぽっちゃりチビ(失敬!)。いやー・・・贅沢な小林さんの使い方だなー。生演奏&歌、聴けてうれしかった。長塚さんも演技お上手ですよねー。
 あと、長塚さん・・・・顔、変わってません???なんか全然別人みたい。すごく美しい少年みたいになられましたよねー。笑い方とかすごく爽やかで、あのいやらしそうなヘナヘナ感とかがなくなってて(笑)。

 あー、他にも上手な役者さんばかりで。うん。なんか役者さんが印象に残るお芝居でしたね。ストーリーはまーそれなりに。やっぱり人間の狂気とかを描いているから人間が印象に残るのでいいのかも。
 それにしても前半は長くてつらかった。面白くなくって。そのコントラストのせいか、後半はめちゃくちゃ面白かった。

 そうそう、休憩を挟むならちゃんとそれは告知しないとなーと思いました。公演時間をちゃんと表示しているのに休憩は書かれてなくて。演出上の都合、というのはちょっと、ね。この場合は通しじゃないでしょう。ゆ~っくり暗転されて、こっちはびっくりしたよ、ホント。あれ(前半)で終わりかと思ったんだから(笑)。

 受付の人がみんなグレーか黒のスーツを着ていたのは素晴らしいと思いました。

 なんだかあつかましく色々書いちゃった。やっぱり私にとって大イベントだったのかも。

阿佐ヶ谷スパイダースHP : http://syns.com/spiders/

Posted by shinobu at 2001年03月02日 15:11 | TrackBack (0)