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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2001年11月15日

新国立劇場演劇『コペンハーゲン』新国立劇場小劇場10/29-11/18

 第2次世界大戦中に核分裂の研究をしていた科学者たち(実在した人物)が、その死後にその時のことを回想する形で語られる濃密な会話劇です。登場するのはボーア博士とその妻マルガレーテ、そして弟子のハイゼンベルクの3人だけ。

 休憩時間を含めておよそ4時間ありました。さすがに疲れます。こんなに疲れたのはワーグナーのオペラ以来でした。途中でお腹がすいて眠っちゃったり(泣)。役者さん、熱演なのにごめんなさい。
 ※上演時間は4時間ではありません。勘違いです。ごめんなさい(2007/02/01加筆)。

 素晴らしい脚本でした。めちゃくちゃ深いです。原子・電子レベルで起こる現象と人間同士のコミュニケーションにおいて起こる出来事が実は、同じことだという視点。それが論理的に明かされます。(これだけじゃないですが)説明はすごく上手ですが、なにしろテーマが壮大で難解なので戯曲をちゃんと読み直さないと本当の意味はわからないと思います。おせじにも賢いとは言えない私の頭脳に伝わってきてくれた数少ないセリフを下記に紹介しようと思います。稚拙な解釈付きで。

 『歩くということは話すということ。』
 ボーア博士とハイゼンベルクは、いつも散歩をしながら物理学の話をしていました。何か新しい理論が生まれるのはいつもその散歩の時でした。 私たちにも当てはまりますよね。例えばデートとかってそうじゃないですか?ただ、道を歩いているだけでそこに何かが常に生まれている。会話のときも沈黙のときも。

 『誰も見たことのないような新しい量子倫理学が必要となるでしょう。』
 これは「将来こうなるだろう」という予言なのですが、私もその通りだと思います。例えば、世界を優しく覆う倫理というものがあったならば原爆は落とされなかったかも、と。 今で言うと、クローン人間についてはまさにそこがテーマなんじゃないでしょうか。(語弊があるかもしれません。お許しください。)

 『沈黙。わたしたちはいつもこの沈黙に戻ってくる。』
 ボーア博士とその妻マルガレーテの長男は海で溺死しています。そのことを常に思い出す。そしてその時、二人(及びその周りの人)は沈黙します。「話すことなど何も無い」に行き着くからです。めちゃくちゃ漠然としていますが、なんかコレって原子の調和と同じなんじゃないかなって。

 ≪ご参考≫
 「ボーアとハイゼンベルクとの対話劇

新国立劇場HP : http://www.nntt.jac.go.jp/

Posted by shinobu at 2001年11月15日 23:56 | TrackBack (0)