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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年08月12日

松竹・ヴィレッジ『阿修羅城の瞳 Inouekabuki-Shochiku-mix』08/08-30新橋演舞場

 劇団☆新感線のいのうえ歌舞伎。3年ぶりの再演です。

 私は3年前のを一度拝見していますので、どうしてもそれと比べてしまうのですが作品として言うと、前回のほうが新感線らしかった気がします。新橋演舞場でやってるのに、み~んなおちゃらけてて開けてびっくり玉手箱ならぬおもちゃ箱、というような屈指のエンターテイメントでした。

 だけど今回は一言で言うと、美しかった・・・。まず主要人物がみなさん日本でも指折りの美形ですよね。美しい風景画を見るような気持ちで新橋演舞場の舞台を見ている心地にもなりました。

 市川染五郎さんの一つ一つの動きや言葉にいちいち感動しました。オープニングのド派手衣装は、笑いを誘いつつもあんなにかっこいいなんて。歩みに重量感を感じました。腰が据わっています。色気がすごい。艶さえ感じられるほど。コメディー・センスもすごいし、そうやって崩せば崩すほどに染五郎ワールドは広がっていく!観る毎にセクシーになっていかれます。やっぱり男(男優)は結婚してからよねっ♪

 橋本じゅんさんが出てくるシーンではまだ暗くて誰なのかわからない状態なのにクスクスと客席から笑い声が聞こえたり、小さな拍手の音さえしてきました。私自身も前回の渡辺いっけいさんに抱腹絶倒しちゃってましたので、期待はしていましたがあの客席のウキウキ感はすごいと思いました。花道で拍手するタイミング等も心得ていましたし、観客が成熟してきているんだと思います。これって、演劇界(歌舞伎界)の望ましい進歩ですよね?

 つまり、作品としてどうかは別として、私は初演の時よりもずいぶん楽しみました。物語の顛末がわかっていても楽しめるというのは歌舞伎と同じですよね。新感線のお芝居(特にいのうえ歌舞伎)が決して内輪受けなだけではなく、わかっているからこそ面白い、というレベルに進んでいるのかもしれません。

 天海祐希さん。美しいです。ちょっとした動きに宝塚ならではの優雅さを披露してくださいました。笑いどころは少なかったけれど、染五郎さんとのラブシーンは最高でした。
 伊原剛志さん。体が大きいのに動きにキレがあって素晴らしいです。染五郎さんとの殺陣シーンはため息もの。こんなにかっこいいとは知りませんでした。
 夏木マリさん。ベテランのきわもの芸の局地ですね。頭のてっぺんから足の先までコントロールされているよう。隅っこの方にいても夏木さんにばかり目が行ってしまいました。
 橋本じゅんさん。渡辺いっけいさんの影が薄くなるほどに魅せていただきました。あ~・・・笑った笑った。噂によると前半の出番がない間はメイクばかりしてらっしゃるそうです。
 近藤芳正さん。まさか歌うとは・・・一人、新感線っぽくなかった気がします。それはそれでOK、かな。

 堤真一さん、奥菜恵さん、プロ野球選手の古田さん&中井美穂さんご夫妻等が幕間に地下の喫茶店に集結!ホテルオークラのカレーがいただけるお店でした。

劇団☆新感線HP : http://www.vi-shinkansen.co.jp/

Posted by shinobu at 2003年08月12日 20:34