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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年08月16日

KERA・MAP #002『青十字』08/01-22三鷹市芸術文化センター星のホール

 KERA・MAPはナイロン100℃の作・演出家であるケラリーノ・サンドロヴィッチさんが自ら声をかけたり、オーディションをしたりして集めた役者さん達とお芝居を作る企画です。野田秀樹さんのNODA MAPにかけていることは一目瞭然ですよね(笑)。漢字表記も「化裸地図」。

 『青十字(あおじゅうじ)』は2001年にENBUゼミの卒業公演で書き下ろした作品。初の再演です。日本赤軍をモチーフにしたお話。ケラさんお得意の殺人ものです。設定は『すべての犬は天国にいく』に似てましたね。閉塞された街で次々と起こる殺人事件。日本のどこかの山奥の、携帯電話さえ通じないド田舎の喫茶店が舞台。自称「革命戦士」である村民達は「裏切り者」を教育(粛清)していた。そこに何も知らないほかの街の人間がやってきて・・・。

 2時間30分ありましたが退屈しませんでした。役者さんに魅せられたのもありますが、やっぱりお話自体も「どうなるのかな~!?」とわくわくするものでしたね。

 照明が良かったな~。突然歌い出したり、想像を絶するタイミングで回想シーンになったり、ケラさんのナンセンス世界が存分に繰り出されるのをスマートにバックアップしていました。ひたひたと静かにせまってくる恐怖を照明だけでも感じられました。

 総勢27名の役者さん達は、あぁ、あそこに出てた人だ~・・・と思い出す(覚えている)人ばかり。私が「おぉ、この人スゴイ」「うまいな~」「面白い!!」「好き♪」などと思った人は下記です。

 市川しんぺーさん、今奈良孝行さん、小村裕次郎さん、千葉雅子さん、は期待通りでした。うん。想像したとおりというか、さすがでした。

 伊達暁さん(阿佐ケ谷スパイダース)。ヨシヲ(東京から帰ってきた男)役。うまい・・・・ほんっと、だまされます。クール。よく切れるナイフのような人だ。でも決してそうとは見せかけない。公衆電話で話すシーン。舞台上には彼しかいなかったけれど、そこにはこの世界の全てがありました。俳優はたった一人で世界を作り出すものなんだなと再確認。しかもほんの一瞬の間に、です。

 玉置孝匡さん。ハナモト(千葉雅子さんの夫)役。ペンギンプルペイルパイルズで拝見していましたが、ここまで演技がお上手だとは・・・!見るからに温和なおじさんなのに虚言癖があって挙動不審。ソフトなだけに怖い!笑顔が特に。

 野間口徹さん(親族代表)。ウエムラ(映画スタッフ)役。おバカな少女に「キスとかする?」と迫るのが気持ち悪いしカッコいいしで、も~・・・私どうしたらいいの!?って感じでした。いや、とにかく心奪われました。

 本間剛さん。ムラタ(東京から戻ってきたヤクザ風の男)役。三田村組『分署物語Ⅲ』の保育士役も面白かったですが今回炸裂!呼吸が絶妙です。そうなのよね、ヤクザの親分って背が低かったりケンカが弱そうに見えてもドスが効いてるんですよね。あれだけ流暢な関西弁を話しておきながら関西出身じゃないそうです。スゴイ!!

 町田カナさん(reset-N)。トキコ(喫茶店で働く女)役。私いちおしのreset-Nの看板女優さん。最初はいつもにないカナさんでしたがラストに上手から歩いてくるところや、喫茶店で「さよなら」というところはさすがの存在感。

 湯澤幸一郎さん(天然ロボット)。コガ・リュウノスケ(映画スター)役。「ブスっっ!!!」がサイコー♪

 オーディションで合格した役者さんが出演する『青十字~アナザーバージョン~』も楽しみです。

ナイロン100℃ : http://www.sillywalk.com/nylon/
三鷹市芸術文化センター : http://mitaka.jpn.org/

Posted by shinobu at 2003年08月16日 00:22 | TrackBack (0)