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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年08月20日

燐光群『ポッシブル・ワールド』07/31-8/17ザ・スズナリ

 燐光群に裕木奈江さんが出演するのがとにかく楽しみでチケットを予約しました。
 『Possible World(ポッシブル・ワールド)』は直訳で「ありえる世界」。

 ハードで骨太なSF作品でした。大人向けです。成人男性が次々と殺され、その脳が盗まれるという怪事件が続いているどこかの町。主人公はいくつもの人格を持つ男。だんだんと自分の存在の不可思議さに気づいていき・・・。

 パンフレットにも「社会性のほとんどない、SF・犯罪ミステリー・ラヴストーリー」と解説されていました。本当に燐光群の公演だとは思えない雰囲気でしたね。

 まず美術のインパクトが強かったです。表面が鏡のようになった真っ黒のメタリックな素材で舞台全体が包まれていて、その中にところどころ真っ赤な球体が転がります。あくまでもクール&モダンなSFテイスト。スズナリだと思えない。

 衣装もモノトーンで、着替えの度にその色に意味が込められていました。選曲は本格的SFサスペンス映画に使われそうなBGMばかり。洗練された音。坂手洋二さん(演出)はこんな芝居も創れるんだ・・・と新たな一面を発見した気分。

 紅一点の祐木奈江さんの存在のおかげで大人の恋愛ものとしての面もよく味わえました。祐木さんは、中島朋子さんをもっとか弱くして、ほんのり素朴さをプラスし、さらにアンニュイにした感じ。あの可愛らしい口元から出ているとは思えない力強い声と芯のある言葉に耳を奪われずにいられません。しっかりと止まって前を見すえた立ち姿がすごくセクシーでした。また舞台に出られるならぜひ追いかけたい女優さんです。

 燐光群(りんこうぐん)HP : http://www.alles.or.jp/~rinkogun/

Posted by shinobu at 2003年08月20日 22:31