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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年12月02日

ブラジル『性病は何よりの証拠』11/28-12/1阿佐ヶ谷アートスペースプロット

 ブラジリィー・アン・山田さんが作・演出をする演劇ユニット”ブラジル”。『苦笑系喜劇』というジャンルだそうです。前回の『ロマンティック海岸/科学ノトリコ』が最高に面白かったのですごく楽しみにしていたのですが、期待を裏切らない内容でした。もー・・・やり過ぎ大歓迎!!

 「陸ひとつ見えない海に浮かぶ、たったひとつの小さなボートの上、8人の男女の疑心渦巻く密室劇。」ということで、本当に劇場のド真ん中にゴムボートがあるだけの舞台装置でした。そこに8人がすし詰め。見ているだけで暑苦しいのに、そこでさらに熱く激しく繰り広げられる、目も当てられない、見るも無残な、笑ってる場合じゃないのに笑えてしまう、実質的”密室”の惨劇。あぁ~・・・ちょっぴり罪悪感がともなう密閉感にニヤニヤしちゃいました。

 ここからネタバレします。

 赤裸々なエロ発言がめいっぱい出てきますが、笑える範囲内にちゃんと収まります。しかも大声でおおっぴらに笑える状況ではなく、「苦笑」するしかないように持っていくんですね。大人のしたたかさがかっこ良いです。
 病気に松竹梅のランクがあるという架空の設定にはうなりました。梅毒のひとつ上のランクの竹毒(チクドク)て・・・ネーミングも苦笑です。ファンタジーにすることで演劇的な楽しみが増えています。
 そして、しっかりと計算された芸、ならぬゲロ、でした。役者さん、大変だな~とおもんぱかりつつ、実は「もっとやって!!」とわくわくしちゃう、観客心理そのままに楽しませていただきました。

 「渚のバルコニー」が流れる中、残された2人が狂いかけつつ踊るエンディングは圧巻でした。あともうちょっとで私もトランスできたと思うんですが、そこまでは行かなかったなー。こういうお芝居は少しの呼吸や間の違いでイけるかどうかが変わってくるんですよね。でも満足のレベルです。

 辰巳智秋さん。社長。大きな体型を生かしたキャラと演技で圧倒されます。汗がっ、汗がっ!
 諫山幸治さん(青島レコード)。遭難3回目男。うまいなーと思いました。相当おトボケさんだったのに最後は熱血&爆発。
 近藤美月さん(bird's-eye view)。最初のチクドク女。何をやっても、やらなくても、注目せずにいられない女優さん。一言一言が面白くてたまらない。
 吉田久代さん(ククルカン)。不倫している女。すごい美人でセクシー。涙を流して迫真の演技でした。
 長嶺加奈子さん。妊娠している女。この方も可愛いらしかった。可愛い女の子、大好きです。

ブラジル : http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/

Posted by shinobu at 2003年12月02日 16:35