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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年01月14日

Bunkamura『夜会「24時着 0時発」』1/3-28シアターコクーン

 中島みゆきさんご自身が構成・演出・作詞・作曲を手がけ、主演する「夜会(やかい)」。1989年のBunkamuraオープンの年にスタートしたそうです。私は初見です。
 昔から「夜会」っていったい何なんだろうと思っていたのですが、ミュージカルではなかったですね。お芝居でもありません。演劇仕立てのコンサートという感じでした。

 少々あらすじをご紹介します。懸賞で当選した海外旅行先で、突然に夫が無実の罪で牢屋に入れられ、妻(中島みゆき)は国外追放を命じられる。無理やり乗せられた列車が見知らぬ駅で止まり、妻はMirage Hotel(ミラージュ・ホテル)という不思議な場所へと導かれるが・・・。

 お話がどうも、ちゃんとつながっていないような気がしました。メインテーマは鮭の話だったんですよ。私はパンフレットを読んでから観たので意味はわかりましたが、読んでなかったらわからなかったんじゃないかな。突然、這いつくばっている人達(鮭)が出てきても、ね。

 昔、シアターコクーンの座席に本物の雪を降らせたと聞きましたので、舞台美術(島次郎)にとっても期待していたのですが、特にものすごいことはなかったです。というか、あまり好みじゃなかったですね。上下(かみしも)の袖にある壁が同じ形でまっすぐそそり立っているだけなのは退屈です。ドアがぽつんと1つずつ現れたのは面白かったですが、もうちょっと大掛かりなものが欲しかったな。

 三代目魚武濱田成夫さんがどうしても苦手でした。セリフを覚えてらっしゃらないようで、ずっとカンペを持ってらっしゃいました。詩人でらっしゃるからでしょうか。それで生々しく怒鳴るんです。ポエティックじゃない。大きな体と堂々とした姿は良かったです。

 中島みゆきさん。歌がすごかったです。あの声はいったいどこから発せられるのでしょうか。あの細い体のどこから?
 一昨年(2002年)の紅白歌合戦で「地上の星」を歌われましたよね。黒部ダムで真っ赤なドレスを着て歌う、凛としたお姿に感動しました。そのお姿、歌声を生で味わえるだけでも幸せなのかもしれません。

 カーテンコールの後にアンコール(?)として2曲歌ってくださいました。2曲目の時の黄色いワンピースが最高に可愛かった。真っ暗な舞台で一人ピンスポットを浴びる黄色いドレスの中島さん。徐々に明るくなってきたら、そこは真っ青な空になり、小さな星がシアターコクーン全体に散りばめられていました。
 ♪生きて泳げ 涙は後ろへ流せ 向かい潮の国で もう一度生まれなおそう
  この一生では たどり着けないとしても 命のバトンをつかんで 願いを引き継いでゆけ♪

 最後のお辞儀もすごかったな~。客席のお客様全員を抱きしめてくださいました。

構成・演出・作詞・作曲:中島みゆき
出演:中島みゆき、香坂千晶、三代目魚武濱田成夫 他
音楽監督・編曲:瀬尾一三 制作:竹中良一 美術:島次郎 照明:小川幾雄 音響:鳥羽正生 音響効果:井上正弘 Staging & Choreograph:竹邑類 舞台監督:小高則明 衣裳:鈴木紀男、デヴィッド.T.マルチネス.S.ハザマ Hair & Make-up:泉沢紀子

文化村 : http://www.bunkamura.co.jp/

Posted by shinobu at 2004年01月14日 23:51