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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年03月24日

明治座・テレビ東京『新・近松心中物語~それは恋~』03/4-4/29日生劇場

 寺島しのぶさんが好きなので恐る恐るチケットを取りました。・・・案の定、途中休憩で帰りました。

 互いに一目ぼれした男と女の悲恋のお話。先日の松たか子さん主演『おはつ』もそうでしたが、男がムリして女郎を身受けするんですよね。それでお金がなくって困って・・・という見るも無残な展開。は~・・・。最後まで観てないので結末は知りませんが(ていうかタイトルが心中ですけど)、体調がどんどん悪化してきちゃいました。

 森山良子さんが歌う主題歌『それは恋』がここぞとばかりにわざとらしく流れるのがダサイです。宇崎竜童さんの歌も流れましたよね?蜷川さんのお芝居に宇崎さんの音楽というのはお決まりですし、それはそれはかっこ良いと思うんですよ、でも今回はダメでした。テンションがだらだらです。

 演出が悪いのか演技指導が悪いのか。役者さんの演技のあの不自然な間(ま)は一体何なんでしょう。へんな関西弁だけでも気持ちが悪いのに、あの、気持ちのこもっていない、紋切り型の、自意識過剰な動き。辟易します。

 でも、さすがは寺島しのぶさんでした。ゆっくり歌うようにしゃべっても気持ちが途絶えない。一途で不幸な女郎、あっぱれでした。席を立つのを途中休憩まで待つだけでもつらかったんですが、寺島さんのおかげで持ちこたえました。
 阿部寛さんはいつ観ても私にはNGです。のどから出す作りすぎた声色といい、大げさな動きといい、どうしても感情移入できません。
 田辺誠一さん。舞台上で初めて拝見しました。ぜひ他のお芝居で見たいです。

演出:蜷川幸雄 脚本/秋元松代 音楽/宇崎竜童 歌/森山良子 衣裳/辻村寿三郎 装置:朝倉摂 照明:吉井澄雄 効果:本間明 振付:鼻柳錦之輔 ファイトコリオグラファー:國井正廣 演出補:石丸さち子 舞台監督:高橋良直 プロデューサー:中根公夫 高屋潤子
出演:阿部寛 寺島しのぶ 田辺誠一 須藤理彩 他
明治座 : http://www.meijiza.co.jp

Posted by shinobu at 21:24

サードステージ『ハルシオン・デイズ~もうひとつのトランス~』03/19-4/11紀伊國屋ホール

 自殺サイトで知り合った3人とおまけ(?)1人の4人芝居。セリフに次ぐセリフでお話が展開していきます。
 『トランス』は演出:木野花、出演:ともさかりえ・河原雅彦・山崎銀之丞バージョンを拝見しましたが、似ていたのは登場人物の設定ぐらいで狙いも質も全く違う作品だったように思います。

 美術(松井るみ)に一番感動しました。紀伊国屋ホールの木の壁と続くように作られた抽象的な装置でした。パルコ劇場での『Bad News☆Good Timing』もそうでしたよね。大きな木のアーチが3つつらなり、高さと奥行きを感じさせながら温かみもありました。映像や照明との相性も最高でした。

 オープニングがかっこ良かった~っ!!音楽と映像、照明、美術に役者さんのライブ感がきれいに解け込んで、ゾクっとしました。エンディングも同じ曲でしたよね。ご存知の方いらしたらぜひ教えてください♪

 「泣いた赤おに」の劇中劇はどうかと思ったんですが、最後は涙しちゃいました。何もかも自分のせいだと思い込んでしまう青年(北村有起哉)、ゲイだということを隠して妻も子供もいる生活をしてきた中年(大高洋夫)、自分が患者(高橋一生)を自殺に追い込んでしまったと思い込むカウンセラー(辺見えみり)。登場人物はみんな優しくて弱い人ばかりです。鴻上尚史さんもそういう方なんだろうなーと思いました。

 でも、会話劇とはいえ言葉でばかり説明してしまってちょっと物足りないというか、耳ばかり使わなきゃだめだったから疲れました。登場人物が4人だけだし展開も地味だし、なかなか集中力が続かないと思うんですよね。視覚や聴覚に訴えかける演出がもっとあれば、より楽しめたかもしれません。でも、出演者の皆さんの一生懸命さが伝わってきたので私は最後まできちんと観ていられました。皆さん真面目で正直で優しくて、良い人ばかりな気がします。

 独特だなーと感じたことは、舞台奥にセリフが1フレーズずつ文字映像で映し出されるのですが、そのセリフが発せられる前のものだということ。第一幕、第二幕という風に区切りをつけるよりも、その幕で最も観客に汲み取ってもらいたい(笑ってもらいたい)セリフを文字にした、というところでしょうか。私はあまり面白みは感じませんでした。内輪ウケっぽい笑いが生まれてしまっていた気がしたので。ずーっと時系列に進むお芝居で展開があまり激しくないものには、そういう工夫が必要なのかもしれませんね。映像はみんな素敵でしたが、屋上のシーンで映される空がきれいでした。

 辺見えみりさんの体の動きがちょっと見づらかったですね。手がずーっと下にぶらさがったままだったり、不自然な静止状態が長かったです。でも声が独特だしきれいな方ですよね。可愛らしいスカートが素足によくお似合いでした。あのスカート欲しいな~。

作・演出:鴻上尚史
出演:辺見えみり 北村有起哉 高橋一生 / 大高洋夫
美術:松井るみ 照明:坂本明博 音楽:渡邉裕之 音響:堀江潤 衣裳:古池慶次郎 ヘアメイク:西川直子 舞台監督:上野博司 演出部:早津信久 森谷亜紀子 清水将司 演出助手:黒川竹春 松倉良子 照明操作:伊賀康 角田和子 清家玲子 小道具デザイン:小松信雄 特効:鈴木俊光 音楽制作協力:平河欣樹 衣裳協力:横山千花子 制作助手:渡部千恵 大道具:金井大道具 小道具:高津映画装飾 映像製作:イーグル 写真撮影:萩庭桂太 宣伝美術:プラグイングラフィック 制作:中島隆裕 高田雅士 
サードステージ : http://www.thirdstage.com/

Posted by shinobu at 21:02