REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2004年08月03日

加藤健一事務所『コミック・ポテンシャル』7/28-8/10本多劇場

 『コミック・ポテンシャル』はイギリスの有名な喜劇作家アラン・エイクボーンさんの作品です。
 私は以前に宮田慶子さん演出、高島政信さん&七瀬なつみさん主演で、ル テアトル銀座で上演されたものを拝見してそれがすごく楽しかったので、今回も伺ってみました。

 未来のテレビ局。そこではロボットの俳優(アクトロイド)が演技をして半自動的に番組が制作されている。テレビ局のオーナーの甥で脚本家志望の青年アダム(細見大輔)が、風変わりなアクトロイドのジェシーと恋に落ちて・・・。
 
 暗かったですね~・・・。前半はまだコメディーだと思って観られたのですが後半はクドイし、しめっぽいし、長いし、きつかったです。最後の30分はほぼ目をつぶっていました。とりあえず上演時間が長すぎました。休憩15分を挟んで2時間45分あったと思います。

 セットが全体的に薄汚れていて色使いもダーク系。ホテル、ブティック、レストランや女郎宿なども、どこかみすぼらしいんです。未来の都市だとは思えない。若い男女の恋のときめきをそのままに受け取れない。

 そして、選曲がひどい。オープニングに『冬のソナタ』のテーマ曲が流れたのはまだネタとして許せましたが、映画『プラトーン』の音楽がかかりましたよね?しかも3回以上。そんな、ベトナム戦争レベルの深刻な味付けをする必要ないと思います。加藤健一さんは、セリフだとは言え「おおげさな演技はだめだ」と舞台上で力説してらっしゃるのですから、音楽もそうしてもらいたいです。

 七瀬なつみさんのジェシーがめちゃくちゃ可愛らしくって、あれから私は七瀬さんのファンになったんですよね~。加藤忍さんのジェシーも可愛かったんですが、アダムが恋に落ちるような魅力的な女性には見えなかった。アダム役の細見大輔さんも一人っきりでしゃべってるようでしたから、二人の間にラブが見えなかったです。

 加藤忍さんのロボットとしての動きが素晴らしかった。カクカク、カッキーン、ピタッ!と止まるのが、小気味よいほどカッコ良かったです。それが観られたからOK、って感じですかね。

作/ アラン・エイクボーン 訳/ 小田島恒志 演出/ 加藤健一
出演:細見大輔(演劇集団 キャラメルボックス)  加藤忍 山下裕子 平栗あつみ(演劇集団 円) 小田豊 古坂るみ子(文学座) 加藤健一 横山利彦 横井伸明(しゅうくりー夢) 伊藤順 山崎明美 片山晃也 多根周作 伊原農 間美幸
美術:太田創 照明:布袋雅樹 音響:松本昭 衣裳:加納豊美 ヘアメイク:馮啓孝 舞台監督:飯塚幸之介 演出協力:久世龍之介 制作:阿部悦子 中島久仁子 北村浩子 熊谷公美子 長谷清香
加藤健一事務所:http://homepage2.nifty.com/katoken/

Posted by shinobu at 22:50 | TrackBack

パルコ『鈍獣 don-ju』07/31-08/22パルコ劇場

 “ねずみの三銃士(生瀬勝久さん・池田成志さん・古田新太さんのお三方のユニット)”の企画で、脚本に宮藤官九郎さん、演出に河原雅彦さん、そして可愛らしい女優さんを迎えてのお祭り騒ぎ、と申しましょうか。
 ・・・途中休憩の時点で帰ろうかと思ったのですが、友人と一緒だったので思いとどまったのが功を奏しました。後半は前半とは打って変わって、緊張感漂うサスペンス・ホラーになりました。

 制作発表の記者会見で、宮藤官九郎さんが「脚本が全然できてないんです」とおっしゃっていたので(笑)期待はしていなかったんですけどね。やっぱりおふざけが過ぎるのは観ていられないというか、私は笑えないし楽しめないんですよね。でも、前半終了の最後のセリフで本題に入られちゃったので、帰れなくなったんです(シテヤラレタリ!)。前半はほんとに「なんじゃこれ?」という感じだったんですが、後半は密度が増し、仕掛けも豪華になり、「これから一体どうなるんだろう!?」と入り込むことができました。(以下、少々ネタバレします)

 田舎のさびれたホストクラブが舞台。ホストクラブといってもナンバー1ホストの古田新太さん一人しかいないんだけど(笑)。小説家の凸山(デコヤマ:池田成志)が失踪し、彼を探している編集者の女(西田尚美)がホストクラブ“スーパーヘビー”にやってくるところから始まります。ホステスやチンピラがその編集者に事の次第を説明することで物語が進むのですが、編集者が見ている劇中劇の型式でやり続ける構成が面白かったです。でも、ラストはね・・・。スプラッター・ホラーって便利だよなって思いました。

 タイトル『鈍獣』が、問題になっている本(小説)の題名になっていたのは良いアイデアですよね。実際に目の前に居る男たちが『鈍いケモノ』なわけですし。

 生瀬勝久さん。冴えないチンピラ役で最初に登場した時、あまりに気持ち悪くて顔をゆがめてしまいました。すごいキャラクターづくり(笑)。
 池田成志さん。何度も繰り返し使うセリフの「おしまい?」「おぼえてないわぁ」が良かった。
 古田新太さん。“俺が一番ソング(タイトルは忘れました)”には笑いました。最後に“ヨコハマ~♪”って歌うんですが、ヨコハマ全然関係ない!!(爆笑)。劇中歌を収録したCDが売ってましたね。

作:宮藤官九郎 演出:河原雅彦
出演:生瀬勝久・池田成志・古田新太、西田尚美、乙葉、野波麻帆
音楽:岡崎 司/松崎雄一 照明:倉本泰史 衣裳:三大寺志保美 音響:大木裕介 ヘアメイク:西川直子 演出助手:菅野将機 舞台監督:福澤諭志+至福団 宣伝美術:河野真一 宣伝写真:岡田貴之 宣伝ヘアメイク:小島裕司 宣伝スタイリスト:藤井享子 製作:伊東 勇 プロデューサー:佐藤 玄 企画:ねずみの三銃士 プロデュース:パルコ
《地方公演→大阪、広島、福岡、神戸》
パルコ劇場内『鈍獣』サイト:http://www.parco-city.co.jp/play/don-ju/

Posted by shinobu at 15:53 | TrackBack