REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2005年02月13日

シベリア少女鉄道『<死ぬまでにしたい12個目のこと> アパートの窓割ります』02/11-20THEATER/TOPS

 作・演出の土屋亮一さんにいつも驚かせてもらって、役者さんの滅私奉公な演技に笑わせてもらっている、シベ少。やっぱり今回も観に行ってしまいました。 
 次回公演はなんと紀伊国屋サザンシアター!終演後にチケットを受付で販売しています。すごい!買ってる方、いっぱいいましたよー。
 シベリア少女鉄道vol.13『笑顔の行方』05/06-11紀伊国屋サザンシアター だそうです。

 社会人野球をしている若者たちのお話。あだち充の人気漫画「H2」(そして部分的に「タッチ」)とかぶり気味な設定の野球青春ラブ・コメディーの様相で、ラストは・・・。
 “衝撃”はそれほどありませんでしたが、私は前回の『VR』より今回の方が好きですね。最初の1時間のドラマがしっかりした脚本だったので、それだけでもちょっとイイ感じでした。

 高校球児時代からずっとライバルだった2人のカズヤ、一也(いっくん:吉田友則)と和也(わっくん:横溝茂雄)の間には、いつも同級生の真弓(篠塚茜)がいて・・・という少年漫画の理想の恋の設定です。真弓は最初はいっくんと付き合っていたけれど、今はわっくんと付き合っていて、だけど真弓はまだいっくんに未練があるようで・・・という「んもうっ!じれったいわっ!一体どっちが好きなのよ?結局どっちとひっつくの??」と、観ている方がもじもじしつつ、わくわくドキドキできる胸きゅんラブ・ストーリーをしっかりと演出してくれていました。
 最初の方は役者さんのセリフも演技もおぼつかなくて、かなりわかりづらかったのですが、徐々に意味がわかってきた頃にはすっかりお話にのめり込んでいました。土屋さんはお決まりのパターンというのを完全に頭の中でシュミレーションできてらっしゃるんでしょうね。

 ここからネタバレします。

 試合の結果は?真弓の恋人は誰に?いっくんの病気は?社会人野球部はつぶされるの?等の疑問が、最初の1時間で思いっきりドラマチックに盛り上げられます。
 実は白血病だったいっくんが、命を掛けてわっくんとの試合に臨むのですが、9回裏のいっくん(投手)とわっくん(打者)の最期の勝負のシーンが、2ストライク・3ボールのところでぷっつりと途切れ、暗転します。勝負の結果も恋の行方も全ておあずけにされ、すぐに「エピローグ」が始まります。そのエピローグがめちゃくちゃ長くてですねぇ、結果を言いそうで、全然言わないんです。そのじらし方が底抜けにバカバカしいんです!これが今回のシベ少、だったようです。

 最高に私のツボだったのはこちら→ いつもの喫茶店に灰色っぽいスーツを着たわっくんが入ってきて、おもむろに「お墓参りに行って来た」と言うので、「え?やっぱりいっくんは死んだの??」と思うじゃないですかぁ、なのに「織田信長の墓に」って言うんです!その後すぐに織田信長が本能寺で殺されるシーンを再現しちゃうのも究極にバカバカしくって、もう、ずっと笑いが止まらなかった(笑)。

 他にもさんざん思わせぶりなセリフを使い、演技でじっくりじらして、結局、最後まで何も教えてくれないまま、作品は終了しました。客席の明かりがついた時、客席から「・・・え?(これで終わり??)」という声が聞こえましたね(笑)。
 駄目押しに、制作さんが「本日はご来場ありがとうございました。試合の結果ですが、わっくんがホームランを打って、いっくんは死にました。そして野球部はつぶれませんでした」と、そっけなくアナウンス・・・あきれて、また笑えましたね(笑)。そうね、結局“どうなって、どうなったのか”をすっごく知りたかったから、教えてもらえてすっきりましたが、土屋さんの言うとおり、期待していたものとはかけ離れた結果でした(笑)。

作・演出/土屋亮一
出演/藤原幹雄  前畑陽平 吉田友則 横溝茂雄 出来恵美 篠塚茜 ほか
舞台監督/谷澤拓巳 音響/中村嘉宏(atSound) 照明/伊藤孝(ARTCORE design) 映像/冨田中理(Selfimage Produkts) 宣伝美術/チラシックス(冨田中理・土屋亮一)音源製作/霜月若菜 制作/渡辺大 制作助手/保坂綾子・安元千恵 製作/高田雅士
公演サイト:http://www.siberia.jp/nextstage.html

Posted by shinobu at 2005年02月13日 16:48 | TrackBack (1)