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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年04月04日

STスポット・チェルフィッチュ『ポスト*労苦の終わり』03/18-23 STスポット

 チェルフィッチュは、去年5月の『三月の5日間』で岸田國士戯曲賞を受賞されたばかりの岡田利規さんお一人の演劇ユニットです。今作は去年の11月に上演された『労苦の終わり』の再編集+加筆+新結末とのこと。

 あらすじや概要については初演のレビューをご覧ください。
 全体的に、前回よりもビジュアル的に、そして音(言葉、音楽など)的に、スタイリッシュかつクールになっていると思いました。セリフのやりとりや役者さんの動きもさらに振付に近い形になっているようで、しっかりとしたストーリーがあり、意味のある言葉の洪水ではあるのだけれど、演劇というよりはパフォーマンスに近い作品だったと思います。

 初演との最もあからさまな違いは、テレビが舞台のほぼ中央に鎮座していることです。ビデオカメラも舞台上に設置してあり、下手の壁側にレンズを向けて舞台を撮影し続けます。でも壁に焦点を合わせてはいないので、演技をしている役者さんはいい感じにピンボケして映ります。これがとてもかっこいい。
 最後のガン寝シーンで、山縣太一さんがカラフルなマフラーを手で揺らし、画面のすみっこにマフラーの先っぽがゆらゆらと映っていたのがめちゃくちゃおしゃれできれいでした。役者さんが手のひらに文字を書いて、その手をカメラのレンズにぴたっとつけて、手書きの文字(文章)をテレビに映すのも面白かったです。
 舞台上にパイプ椅子が数脚おいてあり、会話をしている役者さん以外の役者さんがずーっと舞台上で座っていたりします。はけたり、また出てきたり、突然話し出したりするのですが、普通に歩いているようで実はルールに沿った動き(振付)であるように見えてきます。

 自分自身の性格についてやっと気づいてきたのですが・・・私は根本的にストーリーのある作品が好みなんですよね(今更なに言っとんねん)。「この先どうなるの!?」と思いながらぐいぐいと引き込んでくれるタイプの脚本が好きなのです。なので、この作品は初演を観ているのでストーリーがわかっているし、まだ日も経っていないので内容のかなり詳しいところまで頭に残っていたため、わくわくすることが少なくて退屈しました。

 また、私は幕が開いて一番はじめに発せられる言葉がとても大切だと思うのですが、たまたま私が観た回の初めのセリフ(山崎ルキノさんのセリフだったと思います)が、いかにも「セリフ」に聞こえてしまったことが残念でした。空気に完全に溶け込んだ自然な会話から幕開けするのがチェルフィッチュの独特の手法であり、魅力だと私は思っています。初演の時は役者さんの演技がちょっとおぼつかない感じだったのが、かえって初々しく生っぽい質感で臨場感があったのですが、今回は再演だったこともあり、演技もこなれてしまったのか、役者さんの会話が今、目の前で起こっているコミュニケーションであるように感じにくかったです。もしかすると今回は意図的にそういうのを狙ったのかしら。

 「顔にかけるの、あれはAVの世界だけだよ」という非常に下品な(笑)会話をするシーンがあります。初演ではトチアキタイヨウさんのセリフだったのですが、今回は違う男性(おそらく増田理さん)が語っていて、ずいぶんソフトでした。また、そのシーンが今回はラストの方ではなく途中で出てきたので全然引きませんでしたし、私にとっては可笑しみと寂しさを感じられるシーンになりました。

 『労苦の終わり』を観ずに『ポスト*労苦の終わり』を観られたらよかったかもな~・・・と、ムリなことを思ったりしました。

《言及ブログ(順不同)》
 オム来襲(チェルフィッチュ『ポスト*労苦の終わり』)
 オム来襲(饒舌ミニマル)
 中西理の大阪日記
 博愛は主義じゃあない
 ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。
 わぁ。(驚きに満ちた小さな悲鳴)
 △ ゾウの猿芝居 ▽
 
作+演出=岡田利規
出演=山崎ルキノ/山縣太一/松村翔子/トチアキタイヨウ/増田理
企画&プロデュース:田中啓介 制作&アシスタント:加藤弓奈 主催:STスポット
一般前売 2500円/一般当日 2800円 学生前売 1800円/学生当日 2000円
チェルフィッチュ:http://homepage2.nifty.com/chelfitsch/
チェルフィッチュ・ブログ:http://chelfitsch.exblog.jp/
舞台写真(STスポット):http://www.jade.dti.ne.jp/~stspot/stage/index.html#cheru

Posted by shinobu at 2005年04月04日 22:17 | TrackBack (0)