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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年08月03日

音楽座ミュージカル『21C:マドモアゼル・モーツァルト』07/29-08/07パルコ劇場

 『アイ・ラブ・坊ちゃん2000』でフォーリン・ラブして、すぐに『メトロに乗って』に吸い込まれ、その後ごぶさただった音楽座。Rカンパニーとして再始動し、名作と名高い『マドモアゼル・モーツァルト』を観られて嬉しい!やっぱり涙ボロボロ流しての観劇になりました。

 パルコ劇場公演は前売り完売で、当日券が開演の1時間前よりパルコ劇場受付カウンターにて販売されています。上演時間は休憩を挟んで3時間と思っていれば大丈夫です。
 パルコ劇場で観られるミュージカルって贅沢ですよね~。帝国劇場とか日生劇場だとよっぽど良い席でない限り舞台が遠いですから。

 ★イープラスでグリーンホール相模大野 大ホール公演の追加販売が8/5より開始!

 音楽座ミュージカルって、なんでこんなに感動するんだろう・・・。やはり脚本が日本語でオリジナルであることが一番の魅力でしょうね。海外作品を翻訳するとどうしても歌詞と音楽とのギャップが生まれますから(←私はこれが気になるタイプなので)。そして作品の核の部分である音楽座の考え方(『メトロに乗って』のレビューに書いています)に、私が凄く共感するからだと思います。

 演出が良い!歌が上手い人が多い!そして決定的なのは、愛、かな・・・書いてて照れますが(笑)。※歌唱力については上を言えばきりがないので、私が観たことがあるのミュージカル(歌詞が日本語のもの)を基準にしています。
 あとは細かいことですが、歌の直後の拍手タイムが設けられていない(観客が自主的に拍手をするのはアリ)のが私にとっては本当に嬉しいです。

 こう・・・歌っている時の感情表現がすっごく豊かなんですよね。歌を歌うだけじゃなくて、その人物の心を持って演技もしています。再演が繰り返されている大規模ミュージカルで私がよく感じることなんですが、役者さんが歌に感情移入をして、役を忘れていることがあるんです。でも音楽座の出演者は気持ちが外側に向いていて、観客の方にというよりは、世界に向かって愛を発しているように見えます。音楽と歌を愛し、そして世界を愛しているのが舞台から伝わってくるから、私は感動するんじゃないかな。

 主役の新妻聖子さん。初めて拝見しました。歌、とってもお上手ですね。タイトル・ロールのモーツァルト役として何も文句ありませんでした。
 サリエリ役の広田勇二さん。かっこよかったです。なんかちょっとコミカルな感じもあって(コミカルなシーンはほぼゼロなんですが)。そっか、『Into The Woods』の王子役でお見かけしてるんですね。『太平洋序曲』もフル参加されている方でした。

 ここからネタバレします。

 「モーツァルトが実は女だったら?」という設定から生まれたストーリーです。父親が娘の天賦の音楽的才能に気づき、女だということを隠して作曲家デビューしてしまうモーツァルト。宿屋の娘コンスタンツェとやはり結婚してしまったり、宮廷音楽家サリエリがモーツァルトに一目ぼれしちゃったり、恋のときめきがいっぱい♪
 そして、モーツァルト作曲のオペラと劇の物語の進行とを重ね合わせる演出が素晴らしいです。オペラ『後宮からの逃走』に組み合わされた「結婚狂想曲~愛しのコンスタンツェ~」は3つ以上のエピソードを1曲におさめたダイナミックなものでした。

 不倫の恋に落ちてしまったコンスタンツェ(モーツァルトの妻)とフランツ(モーツァルトの弟子)、そしてモーツァルトを愛してしまったサリエリの3人が歌う「揺れる心」のハーモニーは聴きごたえがあります。
 モーツァルトの奔放な作品から貴族の心が離れ、彼の名声が落ちていくのを、春から夏へ、夏から秋、そして厳しい冬と移り変わる季節とかけて表現しているのも品があります。

 こちらに過去4回の公演について詳しいレポートがあります。なるほど、どうやら今回の再演でも脚本・演出ともにかなり変わっているようです。
 激しい戦場である少女が爆撃を受けて死ぬシーンが挿入されます。これが今回の新演出の核心で、いわゆる反戦の主張ですね。18世紀のウィーンから爆撃音や戦闘機のエンジン音が行きかう21世紀のどこかに変わるのが恐ろしかったです。これはちょっと露骨すぎるかなぁと思いました。

 そして地球に住む私たち人間の、過去、現在、未来へと続いていく音楽という愛のメッセージ。オペラ『魔笛』のパパゲーノとパパゲーナの妖精カップルとその家族と重ねているのが微笑ましいです。モーツァルトが死んだ後の最後の群舞と合唱のシーンで、そのメッセージを歌い挙げていました。

 輝きがあふれてる よろこびがあふれてる
 大切な人がいる 素晴らしいこの世界
 生命が触れ合い 音楽が生まれ
 子供たちが生まれる・・・

 原作漫画のスペシャルな復刻版(1冊完結)が物販で売られていたのですが、3000円弱もしたので断念(涙)。単行本3冊で完結するボリュームだそうです。

マドモアゼル・モーツァルト
福山 庸治著
河出書房新社 (2002.5)
通常2,3日以内に発送します。

 ★出演者の沓沢修一郎さんのブログがありました。チケット頼めるみたいですよ(笑)。
 くっつーの徒然草、かしこ。

≪横浜、東京、相模大野、愛知、石川、岩手、北海道、茨城、栃木、岐阜、大阪、静岡、長野≫
※プレビュー公演3回@横浜
出演=モーツァルト・エリーザ:新妻聖子/サリエリ:広田勇二/コンスタンツェ:中村桃花/カテリーナ:浜崎真美/レオポルト 他:園岡新太郎/シカネーダー 他:藤田将範/フランツ 他:丹宗立峰/ウェーバー(コンスタンツェの母) 他:新木りえ/ナンネル 他:清田和美/アンナ・パパゲーナ 他:藤咲みどり/少女・エリーザ・パミーナ 他:高塚恵理子/タミーノ 他:饗庭大輔/下宿屋の住人 他:沓沢修一郎/パパゲーノ 他:上原基史/スヴィーテン男爵 他:佐藤伸行/ブレツナー 他:渡辺修也/下宿屋の住人 他:西岡由布子・久積絵夢 /天使 他:中野祥子/貴婦人 他:荒川ゆかり・間地まどか/貴族 他:楢原潤也・萩原弘雄・山合大輔
作=福山庸治 脚本・演出=ワームホールプロジェクト 音楽・音楽監督=高田浩 音楽=八幡茂・井上ヨシマサ 振付監修=MASAZUMI CHAYA 振付=瀬河寛司 美術=朝倉摂 衣裳=原まさみ 歌唱指導=桑原英明 照明=笠原俊幸 音響=実吉英一 舞台監督=北條孝 エグゼクティブ&クリエイティブ ・プロデューサー=相川レイ子 衣裳協力=チャコット株式会社 宣伝美術=Enlightenment/朝日広告社 製作著作=ヒューマンデザイン 主催=ヒューマンデザイン・パルコ劇場
全席指定:S席9,870円(Web予約料金 9,450円)B席6,720円(Web予約料金 6,300円)他各種割引あり
音楽座ミュージカル:http://www.ongakuza-musical.com/

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Posted by shinobu at 2005年08月03日 19:10 | TrackBack (0)