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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年08月22日

シス・カンパニー『エドモンド』08/19-09/13青山円形劇場

 『エドモンド』はデヴィット・マメットによる1982年シカゴ初演の戯曲です。演出は長塚圭史さん。フジテレビ「トリビアの泉」等で大人気の八嶋智人さん(カムカムミニキーナ)が主演です。

 前売りは完売です。当日券のお求め方法→→→各公演前日の10:00AM~昼12:00に下記電話にて当日券購入のための整理番号をご予約下さい。※予定枚数になり次第終了。
 ぴあ当日券専用電話番号…03-5237-9350 

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 デヴィット・マメットの作品だと私はtpt『シカゴの性倒錯/カモの変奏曲』を拝見しています。卑猥でどぎつい言葉が行き交い、目に嬉しくない厳しい現実が描かれますが、真正直に、てらいなく意見をぶつけてくる感覚が面白いと感じていました。今作『エドモンド』は非常に重たくシリアスな空気が満ちた1時間35分でしたが、『シカゴ・・・』同様にマメットの気概を受け取った気がします。

 ≪あらすじ≫
 エドモンド(八嶋智人)は占い師(明星真由美)に「あなたは、あなたが居るべき場所にいない」と言われたことをきっかけに、自分の欲望に率直に行動し始める。まず始めに妻(小泉今日子)を捨てて家を出て行くのだが・・・
 ≪ここまで≫

 「生きるってどういうこと?」という命がけの問いに躊躇なく全身全霊でぶつかって行って、次から次へと面白いほど簡単に堕ちて行くエドモンド。冷酷な展開なのに、なぜか嫌な気分になったり恐ろしくなったりしませんでした。ほぼ照明だけで場面転換し、登場人物が次々と無機質に通り過ぎていくのがドライ&クールで受け入れやすかったのかも。

 ただ、内容はやっぱりキツイっていうか、怖いですよね。あんまり簡単には人に薦められないです。※ここから少々ネタバレします。でも読んでから観に行ってもそれほど支障はないかと思います。

 「法律は守っておいた方が楽」「やったら損だから、やりたくてもやらない」というぬるい気持ちで命を消費している私達への挑発は、とても心地よく受け止めました。そして命のままに生きることがはらむ危険をきちんと描いてくれて、しかも最後には「生きる」ということについて答えを出していたのが凄い脚本だと思います。

 ただ、最後の最後の意味がきちんとはわからなかったんですよね・・・なぜかセリフについていけなかったんです。もう1度観ればわかるかな。ラストはより易しくわかるような助け舟的な演出があると助かったかも。それだとクールじゃなくなっちゃうかもしれませんが。

 ここからネタバレします。

 ≪あらすじの続き≫
 自らの心の赴くままに行動を起こしていくエドモンドは、当然のことながら他人と正面衝突し、ついには殺人を犯して刑務所に入れられる。そこで同じ部屋の黒人に暴力を振るわれてレイプされ・・・
 ≪ここまで≫

 ラストシーンはエドモンドと彼をレイプした黒人との対話でした。自分の思うがままに、他人の気持ちなど考えずに、自分も相手もただ本気でぶつかっていくという一方通行同士の“命”から、相手が居て自分が居るという、互いの存在を認めた双方向のコミュニケーションが前提になった“命”へと、人間(エドモンド)の存在が移行したのが見えた気がしました。エドモンドが黒人にキスしたのはちょっと驚いたけど。

 円形劇場をそのまま円形に使ったシンプルな空間でした。丸いステージに通路が4本通っており出はけ口も4箇所。客席を丸く囲む劇場の壁は全面赤い布で覆われ、さらに赤い照明も当てられて血のイメージ。濃いこげ茶色の木で組まれたステージの床板にも血痕を思わせる赤い汚しが入っているため、クールなんですがおどろおどろしさも漂っていました。

 主役のエドモンド以外は何度も着替えて複数の役を演じます。真っ逆さまに堕ちて行くエドモンドを尻目に、周りの俳優がリズム良く多役を演じながらサラリと闊歩していくのがクールです。
 音楽も良かったです。ギター等の弦楽器の音が軽いリズムで低く響き、とても空間にマッチしていました。

 八嶋智人さんの新しい魅力を発見できた気がします。家を飛び出してから自分の思うままに行動するということを初体験して、いわば覚醒したエドモンドは、カフェでウェイトレス(小泉今日子)をナンパします。ギラギラした目。迷いのない言葉。一方的で乱暴な愛の告白。そのシーンでは運良く八嶋さんのお顔が正面から見える席だったので、八嶋さんに惚れそうになりました(笑)。
 ずーっとエドモンドが八嶋さんだってことを忘れて観られたのは凄かったですね。エドモンドという人物を本当に演じられていたと思います。

 明星真由美さん。氣志團のマネージャーから4年ぶりに女優復帰ということで期待していました。幕が上がるその時に初めて発せられる言葉を占い師役で担ってらっしゃいましたが、バッチリOKでした。
 小泉今日子さん。なんだかアイドルの輝きは良い意味で完全に失くなった感じですね。大人の女性の魅力を感じました。保身している感じがなかったです。離婚されたのが良かったのかな??

"Edmond" by David Mamet
出演=八嶋智人/大森博史/酒井敏也/小松和重/中村まこと/明星真由美/平岩紙/小泉今日子
作=デヴィット・マメット(David Mamet) 演出=長塚圭史 美術=堀尾幸男 照明=小川幾雄 衣装=前田文子 音響=加藤温 ヘアメイク=大和田一美 演出助手=坂本聖子 舞台監督=瀧原寿子 プロデューサー=北村明子 企画・製作=シス・カンパニー
¥6,500(全席指定)
エドモンド:http://www.siscompany.com/03produce/11edmond/
シス・カンパニー:http://www.siscompany.com/
ぴあ=http://t.pia.co.jp/promo/play/edomond.jsp
ぴあ(八嶋智人インタビュー)=http://t.pia.co.jp/play-p/edomond/edomond.jsp

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Posted by shinobu at 2005年08月22日 23:24 | TrackBack (1)