REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2005年09月10日

自転車キンクリートSTORE『ウィンズロウ・ボーイ(The Winslow Boy)』09/07-18俳優座劇場

 イギリスの劇作家テレンス・ラティガンの戯曲を連続して3本取り上げる企画です。演出に坂手洋二さん、鈴木裕美さん、マキノノゾミさんを向かえ、演劇好きなら誰もがうなる、ツワモノぞろいの豪華キャストの3連弾。

 さて今回はその第1弾で演出は燐光群の坂手洋二さん。とても面白い戯曲でした。わくわくして、クスリと笑って、ほっこりして、終わった時には柔らな余韻が残ります。大人がじっくり味わえる良作だと思います。役者さんも静かに大奮闘。こういうお芝居を観た後のディナーやカフェタイムは最高ですね。

 休憩を挟んで3時間ぐらいありますが、長さは全く感じません。イープラスで得チケが出ています(なんと2500円!)。今日は通路席まで大入りでした。

 ★人気ブログランキングに参加しています♪

 ここから少しネタバレします。(読んでから観に行ってもあまり支障は無い程度に)

 演出の坂手さんは、最近届いたDMによると「まっとうなストレート・プレイに挑戦するのは初めてで、とても新鮮でどこか不思議な気持ちです」とコメントされているのですが、今までにストレート・プレイをやっているおつもりがなかったことに驚きました(笑)。
 でも本日観てまいりまして、たしかに坂手さんのカラーではない作品だと思いました。大きな波も小さな波も頻繁に立つけれど、常に優しくて穏やかで上品で、最後には丸くきれいに収まりがつきます。後味サイコー!・・・つまり坂手さんっぽくないですよね(笑)。

 ≪あらすじ≫ ※パンフレットより引用。(役者名)と(解説)を追加。
 第一次大戦前夜のロンドン。ウィンズロウ家は、銀行を退職した父アーサー(中嶋しゅう)、母グレイス(中田喜子)、婦人参政権論者の長女キャサリン(馬渕英里何)、オックスフォード大学生の長男ディッキー(佐藤銀平)、海軍兵学校で寄宿生活を送る次男ロニー(渋谷圭祐)の5人家族。
 キャサリンの結婚が決まったある日、ロニーが一通の封筒を持って突然帰省する。その内容は、校内で5シリング(今の日本円で約6,000円)の窃盗を働いたため退学に処す、というものだった。
 無実を訴えるロニーの言葉に、父は闘う決心をし、サーの称号を持つ高名な法廷弁護士ロバート・モートン(大鷹明良)に弁護を依頼する。そして、ウィンズロウ家の闘いは、家族を取り巻く人々だけで、世論をも巻き込む大きな論争へと発展していく。
 ≪ここまで≫

 舞台はウィンズロウ家の居間。家族とメイド、そして弁護士等が集まって会話をするのですが、そのやりとりおよび言葉がいちいち面白い!登場人物の関係性や性格が一目、一声でわかります。きめ細かい演技および演出が生きているんですね。

 ここからネタバレします。

 「正義を成すのではなく、正しいことをする」(セリフは正確ではありません)というのが、この戯曲が最も大切に伝えようとしているところではないかと思います。私も家族で会話をしている時に、いつもここでぶつかるのです。例えば憲法改正とか自衛隊派遣とかですね、正義の立場で考えるのと、何が正しいのかを考えるのとでは、結論が全然違ってくると思うんです。私はアーサー、キャサリン、ロバート・モートン、そしてラティガンさんの考えに賛成です。

 次男のロニー役(14歳)を本当に子役(渋谷圭祐)がやっているのが良かったです。最初はハラハラしたんですけどね(苦笑)。そんな子供に海軍学校が濡れ衣を着せたことが、この事件のポイントですものね。
 キャサリン(馬渕英里何)にずっと横恋慕してきたデズモンド・カリー(大石継太)のプロポーズに感動。後で父親(中嶋しゅう)に「あいつとは絶対結婚するな」と念を押されなかったら、私だったら結婚しちゃってるねっ(私のことじゃないけどさ)。
 最後のキャサリン(馬渕英里何)とロバート・モートン(大鷹明良)との会話のシーンは、意見をそのまま率直に伝え合うのが燐光群っぽかったかも。ちょっと粘りが足りなかった気がしました。

 衣裳がすばらしかったーっ!!ドレス、スーツ、燕尾服、何をとってもおしゃれで気が利いていて、上品なデザイン。材質は敢えて少し落とした感じがまた良いです。私には靴がツボ。何度も履き替えてましたよね~。キャサリンの青いブーツがNo.1かな。

 美術は1910年代のイギリスを思わせるにはシンプル過ぎる構造でした。すっきりしていて美しかったです。部屋の壁は薄黄色で、舞台奥一面に上下(かみしも)に広く建っていて、中央には庭へと続く大きいガラス戸があります。品のいい木製の椅子が舞台の周りに並べられており、舞台の真ん中には何もありません。そして部屋が閉じてないんですね。舞台奥以外に壁がないんです。ドアもありません。居間というよりは大きな廊下みたいな感じで、非常に風通しが良い空間です。あと、下手前の舞台をわざと無くして角ばった部屋にしているのがカッコ良かった。
 つまり美術はシンプルにして、衣裳はリアルに近づけたんですね。ごてごてしてなくて人物に集中できて良かったのかもしれません。

 役者さんの中では、法廷弁護士ロバート・モートンを演じられた大鷹明良さんが目玉でしょう!冷徹な敏腕弁護士はポーカーフェイスで感情を見せない。なのに突然奇声を上げるの!(笑)。強烈なキャラです。あ~怖い怖い、ほんとに大鷹さんってカメレオン役者さんだと思います。めちゃ気色悪い中年ブ男とかも(例:二兎社『萩家の三姉妹』)やられたりするのにね(笑)。今回は渋くてかっこ良くて見とれてしまいました。あの大鷹さんを見られるだけでも2,500円は安いです。

 そして泣かせてくださったのは母親役の中田喜子さん。この方の存在が、論理や正義といった一見、正しそうに見える逃げ道から、目を覚まさせてくれました。男と女はこうやって戦っているんだなって、また確認しました。

 馬渕英里何さん。ハマリ役だったと思います。好戦的なところとか(笑)。スラリとした体系に衣裳も映えて可愛らしかったです。キャサリンは30歳なので馬渕さん(確か25~26歳?)よりも年上の役ですよね。やっぱりその辺り、少し若すぎたかなと思います。

 チラシのデザインが群を抜いて素晴らしいですよね。見た途端フォーリンラブでしたよ、私。

 最近レビューの文章がどんどんと長くなってきているので、今回は簡潔を目指したつもり、が、やっぱり長くなってしまいました・・・難しいですね・・・。

テレンス・ラティガン3作連続公演“ラティガン祭り”
出演=馬渕英里何/大鷹明良/中嶋しゅう/中田喜子/大石継太/西川忠志/田岡美也子(グループる・ばる)/佐藤銀平(演劇集団円) /渋谷圭祐/萩原利映(グリング) /藤本浩二
作=テレンス・ラティガン 訳=常田景子 演出=坂手洋二 舞台美術=島次郎 照明=小笠原純 音響=島猛 衣裳=宮本宣子 ヘアメイク=田中エミ 舞台監督=森下紀彦 演出助手=川端秀樹
5,000円(全席指定、消費税込)●9/7(水)、9/8(木)、9/9(金)は4,000円 ●小学生未満のお子様の入場不可。
公式=http://www.jitekin.com/

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
●○●人気blogランキングに参加中!ポチっとクリックしていただけると嬉しいです。●○●
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。

メルマガを発行しております。過去ログはこちら
 毎月1日にお薦めお芝居10本をご紹介し、面白い作品に出会った時には号外も発行いたします。
 ぜひご登録ください♪
 『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』(ID:0000134861)

↓↓↓メールアドレスを入力してボタンを押すと登録・解除できます。


登録フォーム






解除フォーム




まぐまぐ


『まぐまぐ!』から発行しています。

Posted by shinobu at 2005年09月10日 00:22 | TrackBack (0)