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REVIEW

2005年12月04日

三条会『砂の女』12/03-04三条会アトリエ

20051204 chiba.JPG
千葉パルコ前の広場

 三条会のアトリエこけら落とし公演・2005年日本近代らりぱっぱ4部作の2作目です。『砂の女』は安部公房の小説。『山椒大夫』で勉強不足を後悔したので、今回はあらすじを頭に入れて伺いました(やっぱり原作は読んでない)。
 楽しかったですぅ♪いっぱい笑って考えて、充実の1時間でした。

 三条会アトリエはJR千葉駅から徒歩15分。往復3時間かけて1時間の作品を観に行く気になるのは、それがそこにしかない素晴らしいものだと信じるからです。

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 ※あらすじと解説はこちらのブログ(私的ファイル deltazulu 記録再開)に詳しいです。

砂の女
砂の女
posted with 簡単リンクくん at 2005.12. 4
安部 公房著
新潮社 (2003.3)
通常24時間以内に発送します。

 『砂の女』のストーリーをなぞりながら、男と女、恋愛、生活、資本主義社会などの現代人の根本的なテーマを、舞台上で起こるさまざまな出来事に象徴させる方法で表現します。皮肉とユーモアと歌がたっぷり。
 関美能留さんの演出は、それらをすっかり嘲笑している風にも映ります。でも汗びっしょりになって、大真面目に全力で舞台に立っている役者さんを見ていると、人間や命に対する無条件の愛と感謝も感じられます。そのせめぎ合いが独特です。

 「恋は水色(英語)」を流しながら、その日本語の歌詞を大声で読み上げるのに爆笑しちゃいました。ある部落に昆虫採集にやってきた男と、彼を泊めてやる女主人との間の“恋”が“水色”だという設定になっていたのです。このように『砂の女』の登場人物を使いながら、原作とは違うところにあるテーマを重ねて表現するのが面白いです。

 色仕掛けで(ベッドへ)誘う女、それにすっかり乗せられて服を脱いでいく男など、「女にコントロールされる男」像が多かったように思います。「(子供が)できちゃったみたい・・・」と、下心満載で困ったようにつぶやく小悪魔な女って、TVドラマでよく登場しますよね。そしてそれを言われた男は恋や夢、信念、理想を突然にあきらめて捨て去り、“生活”という地獄へと自ら堕ちて行きます。
 マクドナルドのハンバーガーと瓶入りのコカコーラの早食い競争をする男たちは、資本主義社会のお仕着せの競争に命を掛ける、愚かな企業戦士のように見えました。

 三条会でお馴染みの「男が女を(女が男を)ダメにした~♪」の歌が流れました。『山椒大夫』の時は笑えたのだけれど、今作では笑いよりも恐ろしさを感じました。男女の騙しあい、裏切りあいが、滑稽を通り過ぎてみじめに感じたからです。殺気だった笑みを浮かべながら全力でお馬鹿な踊りを踊る役者さんを、悲しい気持ちで眺めていました。この演出に限ったことではありませんが、観客はそれぞれ全然違う感想を持ったのではないかと思います。

 おもむろにステージに置かれたはしごが最高(笑)。床に置いてあるのに、上から垂らされているように見えました。

 三条会の役者さんは皆さん凄いです。全身を使い切っています。女優さん、実はきれいな人ばかりですね。「実は」とか言ってしまってごめんなさい。だっていつももの凄い顔で演技してらっしゃるから、今までわからなかったんですよ(笑)。

三条会アトリエ柿落とし公演 2005年日本近代らりぱっぱ4部作
出演=榊原毅/岡野暢/橋口久男/大川潤子/立崎真紀子/舟川晶子
作=安部公房 演出=関美能留 照明=佐野一敏 制作=久我晴子
発売開始=10/25(火) 前売り・予約・当日共2,000円(日時指定・全席自由・各回30席限定)
三条会=http://homepage2.nifty.com/sanjokai/

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Posted by shinobu at 2005年12月04日 23:03 | TrackBack (0)