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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年02月23日

Bunkamura/朝日新聞社『マシュー・ボーンの白鳥の湖』2/22-3/12Bunkamuraオーチャードホール

 マシュー・ボーンの"SWAN LAKE"がカムバック!去年は驚きの大ブームでしたよね。当日券に長蛇の列で連日満員御礼。再・追加公演もありました。アダム・クーパーさんが出演されていたのも人気の要因だったようですが、とにかく作品が素晴らしいんです!去年も感動したんですけど、私は今年の方がかなり良かった気がします。涙が流れちゃうシーンがいっぱいありました。
 →公開舞台稽古(写真あり)

 これから3/12までの東京公演の後、4月初旬まで全国ツアーが続いて、また東京に戻ってきます。そして4月後半はなんと生のオーケストラ演奏付き!!これはもう一度観たいな~。

 バレエの名作中の名作、チャイコフスキーの『白鳥の湖』の音楽をそのまま使って、マシュー・ボーンさんが新しく振付・演出された作品です。本来ならバレリーナ(女性)が踊る白鳥を男性が踊るのが特徴ですが、それはあくまでもこの作品の一要素であり、ストーリー、キャスト、ダンス、美術、衣裳、照明などの演出全てがみどころです。
 官能的なダンスに身体がじ~んと震えたり、美しいシーンやドラマティックな展開に息をのんだり、成就しない想いに胸が締め付けられて、涙がぼろぼろこぼれました。見た目ももちろんですが中身がとても美しい作品です。
 ラストは王子と白鳥のドラマにすっかり入り込んで、涙が溢れて舞台が見えなくなるほどでした。作品のおおかたの内容については去年のレビューをご覧ください。

 ここからネタバレします。

 『白鳥の湖』ですのでついつい白鳥ばかりを想像しがちですが、盛り場のクラブでのダンスシーンや宮殿の舞踏会シーンはスタイリッシュで現代的なダンスに胸躍ります。

 イギリス王室がモデルだと言われている王子と女王のシーンで、母親である女王の愛を、求めても求めても得られずに、王子が徐々に心を病んでいく様子に胸が痛みました。王子と女王の距離のとり方が絶妙です。触れそうで触れない、抱きそうで抱かない。

 劇中劇、四羽の白鳥のシーンはコミカルな要素が増えていたように思います。エスプリも効いていて、クスッと笑えました。シーンの完成度が上がっていたんじゃないでしょうか。

 ガールフレンドに裏切られ、世間の冷たさにさらされて絶望してしまった王子が公園で白鳥に出会うシーンはとても幻想的です。あの白鳥のダンスはきれいというよりは怖いです。動物の野生を感じます。

 王宮で開かれるダンス・パーティーに人間に姿を変えた白鳥が現れるのですが、白鳥と王子との成就することの無い愛が夢の中のダンスで表され、切なく、苦しくなります。

 美術のセンスが素晴らしく、場面転換するたびにうっとりとため息をつくほどです。照明でさらに魅力を増していたように思います。白い壁の小さなドアから女王が出てくる時の、あのドアが開いたところから洩れる光がすごかったな。影のでき方が計算されているのかしら。

 私が観た回の主役の白鳥役はジェイソン・パイパーさん。小柄でしたが野性的な魅力があり、多数の白鳥の中でもやはりダントツに光ってらっしゃいました。
 王子役はクリストファー・マーニーさん。去年観た方よりもダンスも演技もお上手だったように思います。中でも白鳥に恋焦がれる演技が良かった。
 ※配役は開場時に発表されます。事前には知ることは出来ないようです。

 初日ということで客席は豪華絢爛。首藤康之さん(王子役)や、ホセ・ティラードさん(白鳥役)も客席にいらっしゃったようです。スタンディング・オベーションしてる方が大勢いらっしゃいましたね。これはまたリピーターが増えるんじゃないかな。

《東京公演後→大阪、名古屋、滋賀、松本、そして再び東京》
東京公演について→4/6-17(追加公演)、4/19-27(東京フィルによる生オケあり公演)

演出・振付・脚本 マシュー・ボーン(99年トニー賞最優秀演出賞・最優秀振付賞受賞)  美術 レズ・ブラザーストン(99年トニー賞最優秀衣裳デザイン賞受賞) 音楽 ピョートル・チャイコフスキー 出演 ニュー・アドベンチャーズ
【私が観たステージの主な配役】ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ジェイソン・パイパー 王子:クリストファー・マーニー 女王:オクサーナ・パンチェンコ 執事:アラン・モーズリー ガールフレンド:リー・ダニエルズ ほか
公式サイト:http://www.swanlake.jp/

Posted by shinobu at 01:56 | TrackBack