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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年10月15日

ポイント東京/スフィア 企画・製作『恋愛ホテル~LOVE×HOTEL~』10/06-16アートスフィア

 「恋愛ホテル」と書いて「ラブホテル」と読みます。3つのカップルの一夜のお話。チラシがあんまり素敵なので、チケットが高かったのですが観に行っちゃいました。
 最初はどうなることかと思いましたが(演技がね・・・)、終盤からグンとパワーアップして、終わった時には「優しい恋のお話をありがとう!!」という気持ちが沸いていました。
 今週末の日曜日の14時開演の回が千秋楽です。お時間のある方はぜひ。大人向けの“同時進行オムニバス”ラブ・ストーリーズです。

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 舞台にはラブホテルの部屋が三つ、上下(かみしも)・中央に並んでいます。“同時進行オムニバス”ですので一つずつ順番に上演する一話完結型ではなく、3つのカップルの同じ日の同じ時間を、それぞれの部屋を行ったりきたりしながら描きます。なので役者さんは全員がほぼ出ずっぱり。

 あぁ~・・・久しぶりに完全に観客になりきって、ほのかに切なく、いとおしい“恋”を味わいました。きれいな舞台ときれいな役者さん、そして大人な観客が集まったアートスフィアで、すごく贅沢な夜のエンターテインメントを堪能しました。
 なんかね、演技の上手い下手とか、どうでも良くなりました。恋のときめき、切ない想い、心のゆらめき、熱い胸騒ぎ・・・ありきたりの言葉ですが、それぞれの要素がちょっぴりずつ、全部盛り込まれていたように思います。ずっとこの空気を覚えていたいからパンフレットも即購入。

 脚本は寺田敏雄さん。テレビや映画の脚本を書かれている方なんですね。演出は松本健さん。このかたもテレビドラマの演出をよくされているようです。確かにテレビでも成功する内容だったと思います。できれば小林顕作さんをあの役で再度キャスティングして(笑)、1時間ドラマとかにしてくれないかな~(それならまた見る!)。

 ここからネタバレします。

 舞台に向かって右側(上手)から、西郷輝彦×神戸みゆき、阿木燿子×風間トオル、持田真樹×小林顕作という並びでした。詳細はこちらでもどうぞ。それにしても写真が素晴らしいですよね。雰囲気あるし、エレガントで豪華。チラシで観に行っちゃったもんな~、8500円もするのに。


 ・ROOM 1 「通り雨」(西郷輝彦×神戸みゆき) 部屋はエレガントなビジネスホテル風。
 50代の地味なサラリーマン・道明寺(西郷輝彦)と20代のぴちぴちOL・アンズ(神戸みゆき)の、もしかすると援助交際?と思われそうな設定。アンズはスポーツクラブで無心に身体を鍛えている道明寺に一目ぼれ。道明寺は若くて可愛い女の子から誘われてまんざらでもない。しかし道明寺は真面目すぎて、ホテルに入ったけれどもベッドインにはなかなか至らない・・・。

 神戸みゆきさんはアニメ声優みたいな声でセリフもそんな感じで、お姿は超可愛いんですけど見ていられませんでした。なんだろうな~あの演技。萌え系(笑)? 声と体が分離してるみたい。
 西郷輝彦さんは・・・良かったんだろうな、たぶん。でも神戸さんがすっごい空回りしているように見て、このカップルはあんまりでしたね。残念。

 アンズが正直に自分の話(バレリーナを目指していたが足を怪我して夢を断念。スポーツクラブでエクササイズをして治そうとしたが無理だった等)をしたことで道明寺がすごくアンズのことを好きになってしまった・・・という展開は素敵です。


 ・ROOM 3 茜雲(阿木燿子×風間トオル) 部屋はいかにもラブホな雰囲気のおしゃれエッチ系。
 有閑マダムっぽい熟女・エリ(阿木燿子)と、見るからに遊び人っぽいイケメン・リュウ(風間トオル)とのあからさまな「ゆきずりの恋」・・・かと思いきや、エリのクロコダイルの高級バッグから出てきた手紙で、一気にシリアスムードに。
 
 阿木燿子さんは・・・不思議な存在の仕方でした。「セリフを忘れたのかな?」と思われるような妙な間や、「いきなりなぜ棒読み?」とハラハラするような言葉づかいなど、見ててとても心配になりました。でも後半はすっごく落ち着いていて、「あぁ、こんな人いるかもな~」と思って見られるようになりました。
 風間トオルさん。これが初舞台だそうです。文句なしにイケメンでした、本当に。めちゃくちゃ上手いというわけではないですが、リラックスして演じられていて、彼の存在はすごく素直に受け入れられました。後半で自分の恋のことを話している時は素敵だった~。

 独身の天文学者のエリは「後1年の命」と医者に宣告されており、バッグに入っていたのは彼女の全財産と遺言状(=手紙)でした。エリは昔、リュウを誘ったのと同じ方法(イヤリングを片方なくした云々)でひっかけた男のことが今も忘れられないと言います。その男というのが道明寺(西郷輝彦)でした。このエピソードについては道明寺とエリがお互いに思い出話を相手に語り、ROOM 1とROOM 3で同時進行します。


 ・ROOM 2 「小春日和」(持田真樹×小林顕作) 部屋は少々勘違い気味の豪華チャイナ風。
 つき合って5年目の若いカップル。30歳になるケンジ(小林顕作)は仕事に夢中でどんどん忙しくなるばかり。ミズキ(持田真樹)はいつも待ちぼうけで、この日、二人は別れ話をするつもりで会っていた。もし自分達がこのまま付き合っていたら・・・というありえない未来の話をしてみるが・・・。

 小林顕作さん、サイコーでしたね。おふざけもちゃんとケンジのキャラクターとして成立させており、どんなセリフも新鮮に感じられました。どうやらアドリブも満載の様子(笑)。このカップルは楽しかったな~っ。
 持田真樹さん。真面目で一生懸命な女の子をダイレクトに演じられていました。この方も風間トオルさんと同様、上手いというわけではないんですが、親しみを持って見ていられます。

 ミズキとの待ち合わせの前にケンジは、BARで見ず知らずの男に恋の相談をしていました。その男が道明寺(西郷輝彦)で、道明寺からケンジに「プロポーズはしたの?」と電話することで、ROOM 1とROOM 2がつながります。

 空想の話も尽きてきて、ミズキとケンジはお互いに今の自分の本音を話し始めます。ミズキはケンジが全然知らない間に出版社をリストラされており、新しい自分に生まれ変わろうと、花屋でアルバイトを始めていました。そして毎朝出会う男の人のことを好きになってしまった、と告白。プロポーズをしようとしていたケンジは玉砕・・・。ミズキと毎朝あいさつを交わす、朝帰りをする男がリュウ(風間トオル)だったということで、ROOM 2とROOM 3がつながります。


 3つの恋がすべて“お別れ”で終わるのが良かった!特にROOM 2(ケンジとミズキ)は切ないぜっ!花屋のミズキとホストのリュウについては一応ハッピーエンドではありますが、ただ朝のあいさつを交わすことだけで好きになってしまった者同士、これから苦労するのは間違いないです。それでも、人は、恋に落ちる・・・可愛いわ~美しいわ~。
 思い起こしてみれば、3つのカップルの3つとも、ありのままの自分を相手に見せることが、お互いを認めて受け入れる(愛する)ことのきっかけになっていました。これって素晴らしいことじゃないですか?いい脚本だ~いい作品だ~。

 テーマソング“愛したあなた”を中川晃教さんが作詞・作曲されていて、オープニングとエンディングに流れます(たぶん)。私はアッキーのファンなんでね、嬉しかったですよ(笑)。開演前にラジオの放送という設定で中川さんとDJとの会話が流れているのですが、この“愛したあなた”という曲の歌詞は17歳の頃に書かれたそうです。う~ん、10代から熱いロマンチストだったのね~(笑)。エンディングで流れた時、歌詞がこのストーリーにすっごく合ってるなぁと思いました。

 サビの部分の歌詞を下記に(パンフレットより)。

 愛したあなたを
 その心 消せはしない
 I'll never say good-bye
 流した涙に
 たった一度 愛したあなただから
 Never again love u what I said to myself


出演=西郷輝彦/阿木燿子/風間トオル/持田真樹/小林顕作/神戸みゆき
脚本=寺田敏雄 演出=松本健 美術=伊藤保恵 衣裳=宇野善子 音楽=中川晃教 照明=成瀬一裕 効果=増原健市 ヘアメイク=山崎潤子 演出助手=国井秀貴 宣伝美術=采澤聰 宣伝写真=園田昭彦 宣伝協力=る・ひまわり テーマソング=中川晃教“愛したあなた”(ミニアルバム「オアシス」より) プロデューサー=高屋潤子 主催=ポイント東京/アートスフィア/テレビ朝日 企画・製作=ポイント東京/スフィアS席 ¥8,500 A席 ¥6,000 ※未就学児童入場不可
公式=http://www.point-tokyo.com/
アートスフィア内=http://www.tennoz.co.jp/sphere/hotel/info.html

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Posted by shinobu at 00:52 | TrackBack