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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年10月28日

青年団若手自主企画vol.25『地球の片隅で ライフ・レント編』10/21-26アトリエ春風舎

 『十六夜~いざよい~』で第一回近松賞優秀賞受賞した宮森さつきさんの新作です。前作同様に演出は東京デスロック主宰で青年団演出部所属、そして動物電気の役者さんでもある多田淳之介さん。宮森さんの戯曲も多田さんの演出も初見なのですっごく楽しみにしていました。
 チラシや公式サイトの文章を読んだ印象と全然違う作品でしたね。ある会社の会議室を舞台にした静かで軽やかな、でもとても悲しい人間ドラマ。面白かったです。

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 この2週間ほどの間に面白い演劇に出会いまくってる気が、します。それらはみな20代から30代という若い世代が創作の主要な部分に携わっている作品。この『地球の片隅で』も然りです。
 青年団っぽい、まんべんなく厭世的な空気が漂っている空間はあまり私の好みではないのですが、まわりくどいようで実は直球勝負している脚本は、潔くてかっこいいと思います。演出は、細かい心理描写を心がけつつ、ぴょいっと飛び出すような面白い瞬間を散りばめる若々しさもあり、ストレートすぎてちょっと青いかなとも思えるメッセージも心に柔らかく沁み込んできました。

 ≪あらすじ≫
 不動産管理会社ライフ・レントの会議室。ワンマン社長のわがままに振り回される社員たちが、社員旅行の宴会芸を考えるために休日出勤する。新人の中島(鈴木智香子)は、仲良しの女3人組(通称ツボネーズ)の内の2人(木崎友紀子&村井まどか)の爆裂トークにおどおど気味。しかし待てども待てども3人組の内の1人が来ない。
 ≪ここまで≫

 わめいた者、さわいだ者が勝つ。正直者がバカを見る。いい人が損をする。がめつい者が勝ち、心優しい者が負ける。毎日顔を合わせ、そばに居るけれど、笑い合ってすごく仲良くしているけれど、実のところは全く知らない他人同士の同僚たち。誰も信じられない、誰にも頼れない、砂漠のような毎日。
 企業の中で起こっている人間関係の実情をきれいに暴露していると思います。それは企業の中だけに留まらず、今の日本社会全体を描いているとも言えます。

 映画「バグダッド・カフェ」のジャスミンのように手品がうまくなりたい、と手品を練習する中島(鈴木智香子)が、はじめてそれを片山(村田牧子)披露し、初対面の2人の間に本物の微笑みが生まれます。“calling you”(音が鳴ります)を思い浮かべながら、静かにぽつりぽつりと零れ落ちる、わずかに本当の気持ちが入った言葉たちに耳を澄ましました。

 「地球はもはや青くない」というメッセージにはドキリとしました。皆が勝手に青いと信じているだけで、それは嘘かもしれない。その通りですね。

 島田曜蔵さん。会社のムードメイカー、高崎部長役。体格を生かした完璧な道化役に、苦笑とともに尊敬の念が沸きました。

出演=秋山建一/木崎友紀子/島田曜蔵/鈴木智香子/村井まどか/村田牧子
作=宮森さつき 演出=多田淳之介 照明=岩城保 照明オペレーション=たむらみずほ 舞台美術=鈴木健介 宣伝美術・音響=多田淳之介 総合プロデューサー=平田オリザ
予約・当日共=1800円(日時指定・全席指定席・整理番号付)※平日マチネ割引有り<25、26日の15:30の回は予約のみ1,500円>
公式=http://www.komaba-agora.com/line_up/2005_10/wakatejishu25.html

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Posted by shinobu at 14:33 | TrackBack

【情報】『サムワン』キャスト変更

松本祐子さんの演出ということで、すっごく楽しみにしている『サムワン』。
村上淳さんが体調不良のため、アダム役は高橋和也さんになったそうです。

村上さんをぜひ観たかったですが、私は高橋さんのファンなのでOK、です。

Posted by shinobu at 13:40 | TrackBack

プレイメイト『フェイス・イン・フェイス』10/19-30THEATER/TOPS

 プレイメイトは俳優の近江谷太朗さんと作家の川上徹也さんのプロデュースユニットです。私は初見。いつも豪華キャストですよね。今回も然り。
 私が観た回はかなりの盛況で当日券で桟敷席まで出ていました。週末はもっと混んでるかもしれません。当日券は早めに並んだ方がよさそうですね。

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 ≪あらすじ≫
 舞台はとある形成外科の診療室。院長の海老原(近江谷太朗)は美容整形が専門の腕の立つ形成外科医で、美しい顔を愛する気持ちは少し潔癖症気味。ある日、戦隊ヒーローものに出演しているイケメン俳優の里中修介(西興一朗)がクリニックにやってきた。なんと「自分の顔をブサイクにしてほしい」と言うのだ。“イケメン俳優”のイメージを払拭し、本物の俳優になりたいというのがその動機。最初はとまどった海老原だったが里中が本気だとわかって彼に興味も沸き、自分からこう提案した。周りにすぐに気づかれないように、これから3年かけて徐々にあなたの顔をブサイクにしていこう、と。
 ≪ここまで≫

 海老原(近江谷太朗)が取材に来た記者に話をする形式で物語は進みます。10年前のあの事件の真相は・・・と話し出しますので否応なしに引き込まれましたね。少しずつ、少しずつ意味がつながり、全体像がわかっていったり、いかなかったり。
 上手い役者さんの丁寧な役作りとしっかりとした演技で最後まで集中して楽しめる、大人向けのエンターテインメント作品でした。でも全体的にはちょっと地味でしたね。内容が内容だから、まんべんなく暗い雰囲気になるのも当然かもしれません。

 ここからネタバレします。これからご覧になる方は絶対に読まないでくださいね!

 里中修介がやってきて最初に起こった大きな変化は、看護士の新堂加奈(新谷真弓)と里中が肉体関係を持ったこと。海老原が里中に「新堂加奈には近づくな」と念を押すので、あの看護士には何か有る・・・というのがわかります。
 その後、色んな人物が海老原のクリニックを訪れます。里中の追っかけファン(濱田かずよ&杉下絵美)、里中の事務所の社長(ほりすみこ)、海老原の高校時代の同級生・船越(平賀雅臣)、そしてその同級生の死を調査する刑事(平賀雅臣)。それぞれの話す内容が食い違うので、何が事実で誰が正しいことを言っているのかがわかりません。さらに舞台が整形外科ですからね。目の前にいる人が本当はその人ではないかもしれない(顔を変えているかもしれない)・・・と考えながら観ますから、誰もが怪しく見えて真相がつかみづらいのが面白いです。

 終盤の急展開で、中盤までの出来事は全てストーリー・テラーである海老原の想像の世界の出来事だった、とわかります。そこまでだったら「はは~、なるほどね~」と納得するまでなのですが、最後のマスクには・・・やられました。体がビクンとするぐらいびっくりしちゃった(笑)。サスペンスはこういう仕掛けが嬉しいですねぇ。最後の最後にお芝居がループするようになっているのも良かった。

 近江谷太朗さん。長いセリフをひとつひとつ丁寧に伝えてくださいました。笑いもスマートに、確実に作ってくださって「さすがだなぁ」と思いました。
 新谷真弓さん。かわいーーーーーっ!西さんとの濃厚なラブシーンも超素敵。平賀さんとの会話のないやりとりも、涙をボロボロ流して熱演。髪型と衣裳が変わるだけで大変身するのも華がありました。
 平賀雅臣さん。2役演じられていましたが、両方とも深い役作りで見入ってしまいました。方南ぐみで何度か拝見していましたが、今回で大ファンになっちゃいましたね。こんなにかっこいい人だとは知らなかった。
 西興一朗さん。「爆竜戦隊アバレンジャー」のアバレッドだったんですね。今作ではヤバレッド(笑)。そりゃさまになっているハズだ。変身ポーズがめちゃかっこ良かったんです。そういう意味ではかなりチャレンジングな配役ですね、ファン批判もしてたし。これが初舞台だそうですが、今後もぜひぜひ舞台に出ていただきたいイケメン(笑)でした。

出演=西興一朗/新谷真弓(ナイロン100℃)/平賀雅臣/ほりすみこ/濱田かずよ/杉下絵美/近江谷太朗
作=川上徹也 演出=竹内晶子 舞台美術=秋山光洋 照明=黒尾芳昭 音響=早川毅 照明操作=山崎佳代 音響操作=大久保友紀 殺陣指導=清水順二 小道具協力=高津映画装飾 大道具製作=(有)イトウ舞台工房 演出助手=井村容子 舞台監督=村岡晋・藤林美樹 宣伝写真=タカノリュウダイ 舞台写真=垣内敏秀(コマンドエヌ) 宣伝デザイン=西山英二朗 パンフデザイン=垣内敏秀(コマンドエヌ) WEBデザイン=コマンドエヌ 制作=橋本早苗(コマンドエヌ)・こばちえ(コマンドエヌ) 企画製作=プレイメイト
4300円(全席指定/税込)15ステージ
公式=http://members3.jcom.home.ne.jp/pm-0038/

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Posted by shinobu at 01:13 | TrackBack