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Shinobu's theatre review
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2006年03月24日

ユーゴザーパド劇場『巨匠とマルガリータ』03/21-26アートスフィア

 これまでに3度来日公演をしているモスクワのユーゴザーパド劇場の2作品日替り公演です。
 アートスフィアのファイナルステージだそうですね。4月からはスフィアに代わってホリプロが運営を開始し、名前は「天王洲銀河劇場」になるそうです。

 役者さんはスゴイと思うんですが、脚本が非常に破天荒というか、はちゃめちゃで、ついていくのがやっとでした。『マクベス』を観ればよかったな~。

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 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 スターリン時代のモスクワに悪魔の一味「黒魔術団」が降りてきて、世界を混沌に陥れ、ローマ総督ピラトとイエス・キリストの小説を書いた「巨匠」を精神病院から救い出し、恋人マルガリータに会わせるまでの宇宙的な広がりをもつ大スペクタクル。
 ≪ここまで≫

 う~ん・・・このあらすじは簡潔すぎてわからないですねぇ(苦笑)。2000年前のイエス・キリストの処刑と、悪魔が降り立ったスターリン時代とを行ったり来たりする構成でした。上演時間は3時間20分(うち20分の休憩を含む)という長時間です。『巨匠とマルガリータ』というタイトルですが、巨匠が登場したのは開演してから1時間20分後でしたね。思っていたよりも長く感じました。

 「銀色に妖しく光る巨大なトタン板が5枚吊るされているだけの舞台空間」(←公式サイトより)ですので、美術自体はとてもシンプルです。そのトタン板を持ち上げて、板の後ろから役者が登場するのがダイナミックでカッコいいんですよね。板をガンガン叩いたりするのも面白いです。

 とにかく役者さんがパワフル!舞台上にたった一人でずーっと独白し続けます。静かな語り口ではなく、がなったり怒鳴ったりすることが多いスタイル。そういう演技って私はあまり好みじゃないはずなのですが、最後まで飽きが来なかったことに驚きました。役柄になりきっているけれど、生身の人間として舞台上にありありと存在している、というのか・・・これは海外の劇場の公演でよく感じることです。魅力的な役者さんが多いです。

 「トタン板が耳をつんざく轟音をたて、闇と光、全裸に限りなく近い姿で踊る男女を映し出す──「悪魔の大舞踏会」の場面」(←公式サイトより)は・・・引いちゃいました。どうして西洋の人は“悪魔”というと決まってこういうイメージなんだろう・・・と不思議になります。新約聖書の世界がもとになった戯曲だから当然なのかもしれないですけど。あと、音楽もありがちでかっこ悪いな~と思いました。

 そう、大っぴらに鳴る音楽が私の好みじゃなかったですね。B級SF映画のテーマ曲でよくありそうな感じ。効果音の鳴らし方も「もしかしたらウケ(笑い)を狙ってるのかな?」と思うほどでした。まあ笑っても良かったんでしょうけど。

 ここからネタバレします。

 マルガリータ役のオリガ・イワノーワさんの演技に引込まれました。まずは恋人の巨匠(エヴゲーニー・バカロフ)が精神病院に連れ去られ、彼の安否を知らないまま、一人で帰りを待っている苦悩を語るシーン。涙を流しての熱演でした。そして悪魔の手引きで魔女に変身し、恨みをいだいていた評論家の家を荒らしに行くシーン。忍の一字でけなげに待ち続けていた女が突然変身して、欲望のままに破壊行動に出るのには興奮します。透明の身体になって空を飛べるというのも胸がスカっとしましたね。でもその「破壊行動」が、家を水浸しにするとか、書斎の机に水をぶっ掛けるとかっていうのは・・・地味ですよね(苦笑)。

 前半まではしっかりついて行けてたのですが、後半は疲れてしまい、「悪魔の大舞踏会」ですっかり頭がリセットされてしまいました。も~いいや・・・って思っちゃった(苦笑)。ほぼ全裸の男女が浮かれ踊るというようなパフォーマンスは、かっこいいとは思えなかったです。好みじゃないだけかもしれませんが。

 お話は、イェシュア(=イエス・キリスト)の時代も今も時間を超えて生き続けている悪魔のヴォランドが、イェシュアを救おうとしたユダヤ総督ピラトと、そのピラトの小説を書いた巨匠を救った・・・っていうことになるのかしら。あぁよくわかりませんが、大団円でした。

(全公演日本語字幕付/A・Bプログラム日替り公演)『マクベス』と2作品上演。
<イェルシャライム(エルサレム)の人々>
イェシュア(イエス)=アレクサンドル・ザドーヒン レヴィ・マトヴェイ(イエスの弟子マタイ)=ミハイル・ドーキン ピラト(ローマ総督)=ワレリー・アファナシェフ アフラニウス(ローマの秘密部隊長)=アレクセイ・ワーニン カイファ(ユダヤの大司祭カヤパ)=ワレリー・ドルジェンコフ ねずみ殺しのマルク=アレクサンドル・シャトーヒン
<悪魔の一味> ヴォランド=ワレリー・ベリャコーヴィチ コローヴィエフ=オレグ・レウーシン アザゼッロ=ミハイル・ベリャコーヴィチ ベゲモート(猫)=ウラジーミル・コッパロフ ヘッラ=カリーナ・ドゥイモント
<モスクワの人々> 巨匠=エヴゲーニー・バカロフ マルガリータ=オリガ・イワノーワ ベズドームヌィ(詩人)=アレクサンドル・ナウーモフ ベルリオーズ(作家同名理事長=ウラジーミル・デミドフ ストラヴィンスキー(精神病院医師)=アレクセイ・ワーニン プラスコヴィヤ フョードロヴナ=イリーナ・スーシナ リホジェーエフ(ヴェリエテ劇場支配人)=ミハイル・ドーキン リムスキー(同劇場経理部長)=ヴィクトル・ボリーソフ ヴァレヌーハ(同劇場マネージャー)=アレクサンドル・ゴルシュコフ カルポア/フリーダ=ジャンナ・チールワ トファーナ嬢=オリガ・アヴィーロワ ミンキナ嬢=タマーラ・クドゥリャショワ
群衆=オレグ・ザドーリン/タチヤーナ・ゴロデツカヤ/エレーナ・シャストフスカヤ/アンドレイ・サンニコフ/アレクセイ・マトーシン/イローナ・バルイシェワ/ドミトリー・グーセフ
作=ミハイル・ブルガーコフ 演出=ワレリー・ベリャコーヴィチ 照明=ヴャチェスラフ・クリモフ 音響=ミハイル・コロトコフ 大道具=デニス・リャミン 衣装=イリーナ・ゼムスコワ 主催=アートスフィア/朝日新聞社 特別後援=モスクワ・ユーゴザーパド劇場 2006 上演実行委員会 企画製作:スフィア
※3/25(土)18:00=終演後、岩松了氏と演出ワレリー・ベリャコーヴィチによるアフタートークあり
全7ステージ 全席指定 S席7,000円/A席5,500円/B席4,000円
アートスフィア内=http://www.tennoz.co.jp/artsphere/yugo_top.html

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Posted by shinobu at 2006年03月24日 00:54 | TrackBack (0)