REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2006年05月23日

新国立劇場演劇『やわらかい服を着て』05/22-06/11新国立劇場 小劇場

 永井愛さんの新作です。吉田栄作さんの初舞台出演というのも話題ですね。一人を除いてみんな若手キャスト。これまでの永井さんのお芝居とはひとあじ違う仕上がりでした。

 ★人気ブログランキングはこちら♪

 ≪あらすじ≫ パンフレットより一部引用。
 物語は2003年、イラク戦争開戦前夜から現在(イラク戦争開戦から丸3年にあたる2006年3月2日)までの、メンバーたちの活動の軌跡を追う。反戦運動の高揚、イラクでの日本人人質解放や医療支援に向けての行動と挫折、そして再生への葛藤。グローバルな視点で人類の幸せを願い続ける若者たちのハードな日常が展開していく。
 ≪ここまで≫

 NGO「ピース・ウィンカー」の若者たちの、2003年から2006年までの内の4日間にスポットが当てられた4幕劇でした。舞台は彼らが借りている倉庫。

 永井さんが実在するNGOの方々を取材して、それを元に作劇されたようですね(パンフレットより)。また、実在したラナちゃんというイラクの女の子のことをそのまま使われています。イラクの子供たちの絵がロビーにも多数展示されていました。イラク戦争のこと。私はよく知らないんだなーとしみじみ反省しました。多面的な知識が得られてありがたいです。
 というわけでこの作品は、私にはドキュメンタリーに近いように感じられました。私がいつも永井さんに期待する演劇的な出会いではなかったですが、観て良かったです。

 ※ここからネタバレします。

 最後に吉田栄作さんが言われた長いセリフの中のひとつが胸に残りました(セリフは正確かどうか不明)。
 「殺し合わず、話し合おう」
 大きな円形のテーブルにつどう若者たちは、それぞれが世界の国々のようでした。「やめる」って言わないで、「さようなら」って言わないで、世界中の人たちとゆるやかにつながり続けて、この地球で一緒に生きて行きたいと思いました。

 オープニングは2003年2月16日の早朝でしたが、朝だと思えませんでした。雨が降っているとも感じられず。舞台(倉庫)がすごく広く見えたのも残念。役者さんの一人一人がまだ空間にしっかりと存在できていないのではないでしょうか。でもこれは初日だからかもしれませんよね。6/11まである公演なのできっと良くなるのでしょう。

 半年間勝手に休んでいた千秋(月影瞳)がフラリと戻ってきたとき、メンバーがこびて、すがって歓待するのに違和感を覚えました。千秋の位置づけがよくわからなかったです。
 夏原(吉田栄作)と千秋が婚約者同士に見えづらかったり、夏原と新子(小島聖)のアヴァンチュールの色香が少なかったり、この三角関係には物足りなさを感じました。夏原と新子と純也(粟野史浩)の三角関係はムードがあって良かったですね。粟野さんの存在がヴィヴィッドだったからだと思います。

 吉田栄作さん。リーダー夏原役。背も高いしハンサムだし、ひきしまった体が美しい方でした(笑)。でももうちょっと壊れた演技をしてくれないと物足りないですね。ギターの弾き語りは・・・私はない方がいいと思いました。“スターさん”っていう印象が強くなってしまったので。とてもお上手なんですけどね。
 小島聖さん。元気はつらつの新子役。いったいなぜ?って不思議になるほど、いつもピカピカ光ってらっしゃいます。今作でもしかり。
 粟野史浩さん。気性の激しい純也役。面白かった!!感情むきだしで、それがそのまま体と行動に出てしまう性質を、見事に体現されていました。
 大沢健さん。零細企業の会社員(だった)大吾役。ポロっと柔らかくこぼす一言に重みがあります。大沢さんがいらっしゃるだけで空気が和みました。
 泉陽二さん。経理系の仕事人・礼史役。ギスギス気味のまじめ君キャラが良かったです。
 山中崇さん。新入りの宙太役。柔軟でみずみずしい存在感が素晴らしかったです。報告会の練習をするシーンで、演技のバリエーションの多さを見せ付けてくださいました。呼吸を読むのがお上手だと思います。

出演=吉田栄作/小島聖/粟野史浩/月影瞳/大沢健/でんでん/泉陽二/山中崇/日沖和嘉子/丸山桂
作・演出:永井愛 美術:大田創 照明:中川隆一 音響:市来邦比古 衣裳:竹原典子 ヘアメイク:西川直子 演出助手:鈴木ひがし 舞台監督:澁谷壽久
一般発売日:2006年4月15日(土) A席5,250円 B席3,150円 Z席=1,500円/当日学生券=50%割引
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000103.html
吉田栄作 Blog=http://www.watanabepro.co.jp/blog_artist/yoshidaeisaku/

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
●●●人気blogランキングに参加中!ポチっとクリックしていただけると嬉しいです。●●●
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。

メルマガを発行しております。過去ログはこちら
 毎月1日にお薦めお芝居10本をご紹介し、面白い作品に出会った時には号外も発行いたします。
 ぜひご登録ください♪
 『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』(ID:0000134861)

↓↓↓メールアドレスを入力してボタンを押すと登録・解除できます。


登録フォーム






解除フォーム




まぐまぐ


『まぐまぐ!』から発行しています。

Posted by shinobu at 2006年05月23日 12:45 | TrackBack (0)