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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年07月11日

天然スパイラル『デストロイヤー花~放電金魚とそこらの人々~』07/06-10恵比寿エコー劇場

 天然スパイラルは専門学校のミュージカル科出身の女の子のみで構成された劇団です。作・演出は金房実加さん。雑誌の演劇特集に取り上げられていたのと、知人(超演劇通)からのお薦めがあったので伺いました。初見です。

 “時代物ガールズ活劇・ミュージカル風味”と申しましょうか(笑)、衣裳もしっかりダンスもしっかり、笑いもちゃっかり。エンタメ系のお芝居としてとても楽しめる作品でした。上演時間は約2時間15分。

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 ≪あらすじ≫
 南朝・北朝にニ分されて内戦状態のニッポン。その中立地帯にある遊郭“遊水楼”では、遊女たちが南北の敵味方問わずに、兵士達の心と体を癒している。そこにデストロイヤー・花(室伏ひかり)が率いる武装した女3人組が攻め込んできて、たちまち遊水楼を占拠した。彼女らは人民解放軍と名乗りながらテロリストも自称する謎のグループで、遊女たちに一切の外出および外界との連絡を禁止した。
 2週間もの軟禁状態の間に、テロリストと遊女の間には少なからぬ交流が生まれたが、花は「遊女たちに決して深入りしてはいけない」と仲間達にきつく言い渡していた。それにはある深い理由があったのだ・・・。
 ≪ここまで≫

 若い女の子がちゃんとその可愛さを武器にして、歌って、踊って、着替えて、ギャグやって・・・♪嬉しいサービスが盛りだくさんです。特にギャグが面白かったですね~。女の子が書いた脚本でこんなに笑えたのって、げんこつ団以来かしら。ギャグの鋭さではメタリック農家の葛木英さんとも似てるかも・・・?
 ストーリー展開には少々無理があるようにも思いましたが、女の視点から描かれた娼婦の可愛らしさと健気さには、未熟ながらも恋から愛へとつながっていく豊かな心の広がりも感じられました。シリアスな場面でちょこっと意図的に笑いを入れるのも粋です。

 ここからネタバレします。

 役者さんの演技の上手さにバラつきがあるのが気になって、最初の方は集中できませんでした。内容が「お薦め劇団です」と紹介される意味がわかる面白さだったために、かえって荒が目立っちゃったのかもしれません。
 でも、劇団四季のミュージカル「コーラスライン」の歌をそのまま“遊女オーディション”の場面で使った時に、私の心のつっかえが完全に取れました。も~遠慮なく大爆笑!他にもアルフィーの「星空のディスタンス」、聖闘士星矢(←音が鳴ります)の「ペガサス幻想(ファンタジー)」など、笑いの場面に選曲がばっちりなんですよね~。安全地帯の「ワインレッドの心」(←音が鳴ります)もお色気ムードにハマって良かったですね。

 遊郭というとやっぱり着物。手作り感みなぎる衣裳でしたが、女の子が着物を何度も着替えて登場してくれて嬉しかったです。最後のダンスシーンでも、ちゃんとピンク色のダンス用衣裳に替わっていましたね。そう、ダンスも上手かった~。遊女たちの感情を丁寧に表現できている振付だったし、役者さんも心で踊っていました。

 女役を演じていた人が男役(に順ずるもの)を演じたり、その逆もあって、変身ぶりが可愛らしかったです。男勝りの花役の室伏ひかりさんが、金髪・縦ロールのホスト(金房実加)に惹かれるブリッコな女客を演じたり、姉女郎の藤子(中塚未乃)を慕う葡萄子役の梨澤彗以子さんが、イケてない瓶底メガネのホスト役を演じたり(役柄、合ってるかしら??)。

 作品の個性がしっかりしていて、今後の活動にも期待したい劇団だと思いました。なので、ちょっと気になったところを下記に。
 オープニングのキャスト&スタッフ紹介の文字映像は要らないと思います。役名と役者名だけを流されても、固定客にしか意味がわからないですし、わからない人には映像のクオリティばかりが気になってしまいます。今はものすごいオープニング映像が既にありますからね(例:ナイロン100℃)。
 もう一つは、お話が終わってから出演者全員が参加する、音楽に合わせたセリフなしの一連の動き。観客に物語の余韻を楽しんでもらうのと、役柄および役者紹介を兼ねているのかもしれませんが、カーテンコールだけで充分な気がします。結末の演出が充分ドラマティックでしたから。

 「あ、あの役者さん、ステキ」と思ったら、全員が客演さんだったのは残念~。
 甘城美典さん(劇団BLUES TAXI)。愛する兵士が死んだと思い込んで自害したおいらん・さなえ役。美しいわ~。ギャグもばっちりで爽快!
 千葉おもちゃさん(マリッヂブルー)。女王様プレイがお得意のハンサム系女郎・あざみ役。細くて長い首がきれい~。他の作品でも拝見したい女優さんでした。
 作・演出の金房実加さんは、出張教師おいらん・阿佐月役での流暢な関西弁が良いスパイスになっていました。ホスト役(高見沢系)も面白かったですね~。

 ※テロリストの正体⇒北朝からの無差別爆撃を受けて、女郎たちは遊郭もろとも既に死亡していたのだが、突然の死を受け入れられない彼女らは、爆撃を受ける直前の一日をずっと繰り返していたのだ。中でも特に強い心残りがあった葡萄子がデストロイヤー・花を呼び寄せた。「たった一人で生き残ってしまった姉女郎の藤子が、私たちの後を追って自害しないように、どうか見守っていて欲しい」と。花たちは浮かばれない死者の霊魂を成仏させる“送り弁天”だったのだ。

出演=室伏ひかり/中塚未乃/小此木まゆみ/竹内あすか/田中良/丹羽あおい/平島茜/金房実加/千葉おもちゃ(マリッヂブルー)/甘城美典(劇団BLUES TAXI)/柴原麻里子(ちょっかい王)/梨澤慧以子/田山ゆき/中秋美幸(渡辺センター)/武田佑子
作・演出=金房実加 舞台監督=藤本志穂(うなぎ計画) 音響=鈴木宏(sound craft LIVE DESIGN) 照明=奥野友康(株)CAT スーパーシャドー=遠藤尚 サイバー技師=山口久隆 宣伝美術=木村茜 振り付け=渡邊夏樹 イラスト・チラシデザイン=町田レトロ 衣装=梅谷麻耶 制作=笹浦暢大(うなぎ計画)/加藤浩之(シアターパレス) 協力=(株)オフィスPSC 重留定治/広川由季
6/10よりチケット予約開始 全席指定 前売り3,000円・当日3,300円
公式=http://ten-spa.chu.jp/

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Posted by shinobu at 2006年07月11日 00:39 | TrackBack (0)