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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年08月20日

少年社中『アルカディア』08/15-20シアタートラム

 “廃墟に眠る少年の夢”シリーズ三部作の最終作です(⇒第一部第二部)。シアタートラムを使いこなせていました。凄いと思います。
 ただ、30代の私がロールプレイング・ゲームのような“少年の夢”に入っていくには、信じる・信じさせるパワーが足りなかったように感じました。上演時間は約2時間。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 伝説の大陸『アルカディア』
 それは、果てしなく続く大海原の終着点。
 すべての大地が海に飲み込まれた世界に生きる人類の希望。
 記憶を失った少年『クラウド』(宇都宮直高)は海を漂流していた。
 クラウドが覚えているのは、 霧の中に浮かぶ幻の大地と、そこで失った姉『パナップ』(芳賀淳子)…。
 唯一の手がかりはオルゴールが奏でる音色。
 そんな中、クラウドは男装の女海賊メアリー(大竹えり)と出会う…。
 時を同じくして、巨大船「カルネアデス号」は、 深海の怪物「メガロドン」の襲撃を受ける。
 はたして少年は、最果ての地、「アルカディア」に辿り着き、自らの記憶と姉を取り戻す事ができるのか!?
 ≪ここまで≫ 

 元・劇団四季所属で『ライオン・キング』のシンバ役を演じられていたという、宇都宮直高さんが主役のオーシャン・クラウド役でした。視線がピュアで、やっぱり歌がお上手。見ごたえも聴きごたえもありました。ただ、少年社中の公演で主役が外部の方っていうのは少し寂しい気もしました。ストーリーにおいても歌がキーワードになってましたし。

 シアタートラムを余すところなく使いこなせる小劇場劇団って、少ないんじゃないでしょうか。というか、少年社中以外で観たことないかも。照明も舞台も見事です。
 ホーク・アイの血族(堀池直毅ら)が空を飛ぶ演技は本当に飛んでるみたいに感じられました。飛び上がる瞬間がすっごく様になっています。舞台中央から奥にはける時、必ず役者さんは飛び降りていますよね。あれは役者さんの後姿が客席からきれいに見えるように、階段を作っていない(もしくはあっても使わない)のではないでしょうか。そういう工夫も憎いなぁと思います。

 ここからネタバレします。

 クチイヌ(井俣太良)がオーシャン・クラウド(宇都宮直高)に「アルカディアにお前と一緒に行くのが夢だった!」と言ったり、船を「イルカが応援してくれる!」のって、旧型ファミコン時代の「ドラゴン・クエスト」で体験したような・・・。「だって、友達だから!」とか言われてもオバちゃんの私は共感できないし(30代ですから・・・)、イマドキの中学・高校生にも、そういうのって受け入れられるのかな~等と考えちゃいました。

 私が観た回の役者さんの調子が良くなかったのではないでしょうか。こういうファンタジーって、そもそもがあり得ない世界なわけですから、最初のパワーが肝心です。無理やりにでも引っ張っていってくれたなら、入り込めないわけじゃなかったように思います。その意味では、バケモノのウツボ男爵役の土屋雄さん、グリーン・アース・クラウド役の森大さんが良かったです。

 第一部、第二部とつながっている“夢”というテーマについては、観た人にはわかるけれど観ていない人にはわからない、もったいなさがありました(仕方ないですが)。もうちょっと具体的にわかるシーンがあっても良かったんじゃないかしら。わかる人は「あぁ、なるほど~」と腑に落ちて、人物(特にメアリー)の深みが伝わってきます。この↓セリフは好きでした。
 オーシャン・クラウド「夢はで一人で見るもんじゃない。僕はそれを知っているんだ。」
 
「廃墟に眠る少年の夢~the Lost Adventure~」
出演=井俣太良/大竹えり/岩田有民/堀池直毅/森大/廿浦裕介/加藤良子/長谷川太郎/杉山未央/山川ありそ GUEST出演=宇都宮直高/松下好(エルカンパニー)/宮本行(ブルージェイイースト)/土屋雄(innerchid)/鈴鹿貴規(Team AZURA)/加藤敦(ホチキス)/芳賀淳子(Ele-C@)/園山ことえ(SUPER★GRAPPLER)※小松愛は一身上の都合により降板。代役は園山ことえ
作・演出=毛利亘宏 照明=斎藤真一郎(A.P.S) 音楽=YODA Kenichi 衣裳=村瀬夏夜 舞台監督=杣谷昌洋 舞台美術=秋山光洋 演出助手=園山琴絵(SUPER★GRAPPLER)/太田守真(ギリギリエリンギ)/師岡優太 音響=佐藤春平(Sound Cube) ヘアメイク=沖島美雪 小道具=和田由里子 振付=右近貴子/杉山未央 殺陣指導=Team AZURA スチール=金丸圭 講演記録=カラーズイマジネーション イラスト=井俣太良 宣伝美術=武田和香/真野明日人 WEB=田中祐子 企画協力=佐藤春平 制作=吉野礼 製作=少年社中the entertainment prison/サイキックエイト 演奏=The Arcadia Band(宇津木あい/長谷川陽子/若野研二/大上仁彦/平形佳之/直井哲也 コーラス=宇都宮直高/吉住和人/園山琴絵 Piano=YODA Kenichi)
一般前売り開始:7月1日(土) 全席指定。前売り3,000円 当日3,300円 (8/15,8/18の14:30開演の回のみ 前売2,800円(指定席)当日3,000円) 4枚一組の団体割引(一人当たり2500円)、学割(高校生まで1000円)、リピーター割引(1500円)。
公式=http://www.shachu.com

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Posted by shinobu at 2006年08月20日 12:23 | TrackBack (0)