REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2006年08月27日

モダンスイマーズ『赤木五兄弟』08/22-27 THEATER/TOPS

 今、大きな劇場でも小さな劇場でも大活躍の、蓬莱竜太さんが作・演出されるモダンスイマーズの新作です。上演時間は1時間30分弱。最後は「え、これで終っちゃうの??」と意外な幕切れでしたが、登場人物にしっかり感情移入することができ、続編が作られるならまた観たいなと思いました。

 ★お役にたてたらコチラをクリック!お願いします♪

 ≪あらすじ≫
 男ばかりの5人兄弟が暮らす赤木家の庭。父と母は約1年前に交通事故で亡くなっている。兄弟全員が中学を出てすぐに父親と同じ大工になっており、父亡き後の赤木組は息子達が支えている。ある日、末っ子の優吾(恩田隆一)が可愛がっている飼い犬のミロが死んだ。ミロの埋葬の日から約1日間のお話。※イヌの名前はミロだったかどうか・・・曖昧です。ごめんなさい。
 ≪ここまで≫

 肌触りが良くて親しみやすい笑いが、男たちのぶっきらぼうな会話に気持ち良く挟まれます。会話からごく自然に登場人物たちの背景が明かされ、それぞれの行動の理由(わけ)がはらり、はらりと、ほどけるように届いてくるのが快感です。ごく等身大のドラマなんですね。

 息子たちは「オヤジだったらこうしてた」と何度も言います。それぐらい父親を心酔していた彼らですが、人は誰も否応なしに変わっていくし、誰もオヤジ本人になれるわけじゃないし・・・という現実にぶつかります。私も家族を亡くしたことがあるので、その気づきがやってくるまでのタイムラグ(この場合は約一年)に共感しました。

 末っ子の優吾だけ、母親が違います。産みの母親は父と母の葬儀の時に初めて赤木家を訪れました。それを知っていたのは優吾と長男の幸太郎(西條義将)だけでした。優吾が「赤木家を出てその母親と一緒に暮らしたい」と言い始めて、兄弟の関係に大きな波紋が生まれ・・・。優吾をはじめ、優吾の爆弾発言に揺れ動く兄弟一人一人の、細やかな心情を味わえました。

 「俺の方が似てる!」と争いながら、息子達がどんどん死んだ父親(および母親)の真似をしていくシーンが素晴らしかったですね。あそこでは涙が搾り出されました。舞台に登場しない人物の姿が鮮やかに浮かび上がることが、お芝居の醍醐味だと思います。

 ここからネタバレします。

 以下、セリフから読み取った内容を書いてみます。

=====
 優吾は女好きだった父が愛人に産ませた子供だった。父は「俺の子は俺が育てる」という強い意志の持ち主(てか、わがまま)で、優吾は2歳の時から赤木家に引き取られてきた。母は他の息子達と分け隔てなく優吾を育てた。
 
 父と母は1ヵ月前に買ったばかりの新しいトラックで、夜中にドライブに出た時に事故に遭った。事故現場は、家から立川へ向かう途中の場所だった。優吾の産みの母親は立川に住んでいて、優吾は彼女とこっそり手紙のやり取りをしていた。優吾は自分と母親の手紙を見つけたせいで、父と母が事故に遭った、自分のせいで父と母が死んだのだと感じている。だから兄弟の顔を見るのが辛くて、葬儀の後すぐにピザ屋のバイトを始めた。今は母親が同居を望んでいることもあり、早く家を出ようと考えたのだ。
 (父と母は優吾を手放したくなかったから、産みの母親に話をしに行ったのかもしれない。)

 ミロはまだ2歳になる前だったのに、前足がない子犬を産んで死亡した。つまり、無理やり妊娠させられたのだ。兄弟たちははらませた犬が許せないから復讐を誓う。そもそもミロは父と母が優吾のために買い与えた犬だった。「お前にも弟が欲しいだろ」と言って(でもメス犬だった・笑)。だからミロを一番可愛がっていたのも、世話をしていたのも優吾だけだった。兄たちは誰が復讐をするのかと揉め合い、すったもんだするのだが、ミロを襲った犬は冒頭で既に優吾に殺され、庭に埋められていた。
 (父と母は優吾を赤木家に引き止めるために、ミロを買ってやったのかもしれない。)
=====

 優吾は犬を殺して埋めたことで警察に自首します。警察での取り調べを受ける間、ピザ屋を休まざるを得ない優吾のために、兄たち全員でピザの宅配の稽古をするのがラスト・シーンでした。これは唐突過ぎたんじゃないかしら。もうあとワンシーンあればさらに良かったのではないかと思います。

 四男の鉄志(津村知与支)の彼女・ノリベンちゃんを演じられたのは加藤亜矢子さん。黒くてペッタリしていて・・・のり弁っていうのはぴったりのあだ名でした(笑)。

出演=古山憲太郎/津村知与支/小椋毅/西條義将/恩田隆一(ONEOR8) /加藤亜矢子
作・演出=蓬莱竜太 美術=伊達一成 音響=今西工 照明=松本由美(東京舞台照明) 大道具=ステージファクトリー 宣伝美術・衣裳協力=小原敏博 衣裳補=栗原沙織 宣伝写真=引地信彦 記録写真=Yoshizo Okamoto 制作=神野和美 制作補=松尾由紀 制作協力=(株)オフィスPSC 重留定治 広川由季
7月19日(水)前売開始 前売=指定席3,000円 自由席2,800円 当日3,300円 学割2,000円(Habaneraのみ取扱い/学生証提示) ※24日(木)14:00の回のみ特別割引2,800円(全席指定)
公式=http://www.japan-pr.com/habanera/modern_swimmers/top.html 
新・公式=http://www.modernswimmers.com/ (8月OPENならず)
制作=http://www.japan-pr.com/habanera/

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
●●●人気blogランキングに参加中!ポチっとクリックしていただけると嬉しいです。●●●
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガ↓↓↓にも、ぜひご登録ください!

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2006年08月27日 23:52 | TrackBack (0)