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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年10月01日

青年団自主企画vol.30『World's end』09/25-10/02アトリエ春風舎

 サラダボールの鈴木大介さんの脚本を青年団演出部の西村和宏さんが演出されます。青年団の自主企画は次々と新しい顔ぶれでいつも楽しみです。初日に伺えず、本日拝見。

 若くて可愛い女優さんたち(+男優1名)の写真つきプロフィール・ページがありました!青年団の役者さんは公式サイトで紹介されていないので、貴重ですよね(笑)。
 ⇒BACK STAGEの充実のインタビュー・稽古場レポート

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 5人用のシェルターにある日突然、5人の若い女と1人の若い男が閉じ込められた。
 彼、彼女たちはどうしてここにいるのかわからない。
 わかっているのは、このままだとシェルター内の二酸化炭素濃度が高くなり、全員死ぬということ。
 残された時間は無い。
 追い詰められた状況で6人がとる行動とは・・・

 このシェルターの物語に挿入される、とある国の空港、路上、ホテルのシーン。旅行客であったり、ボランティアだったり、ジャーナリストだったりする日本人がその国で起こっている内戦を傍観しながら、彼女、彼らはくだらない話をし続ける。
 ≪ここまで≫

 開演前の前説に、上演時間が1時間10分(予定)から1時間40分に変更になったとのアナウンスあり。うーん・・・長くなっちゃったんですね(笑)。

 舞台は地下のシェルター。今どきの脱力した若者たちが閉じ込められています。いわゆる静かめの演技で、やる気なさそうなムードが漂っており、音楽は一切なかったような。たまに単調なセリフを間髪入れずに受け答えするところがあって、アクセントとして面白かったです。でも無理矢理やってるように見えてしまったので、作品として上手く調和しているようには思いませんでした。中盤でちょっと眠くなっちゃったりも・・・。

 「世界が終わるのと自分が死ぬことは同じだと思う」というキャッチコピーに共感します。いつも思い出すんですが、漫画『MONSTER』もそこを描いていたんじゃないかと思うんですよね。自分が助かるために自分以外の誰かが死んでもいいと考えたり、地球のどこかで戦争が起こっていても、自分の国が参戦していない限り自分には関係がないと思ったり・・・。その時点で既に“世界の終わり”なのだと思います。

 先月から、若い役者さんが出演・演出される戦争を描いたお芝居(『きらめく星座』、『スタンレーの魔女』)を観て、新しく気づいたことがあり、それをこの作品でも同様に感じました。今を生きる若者が、ありのままの状態(今の身体)で戦争の渦中(舞台上)にいることで、観客は戦争について、今の自分の感覚で考えることができるようになるのです。
 役者さんが戦時中の人物になりきっていると、伝記ものとか歴史ものとして受け取りがちです(それもまた重要なことですが)。今の若者のへにょっとした立ち姿で軍服を着ている(戦争について語る)ことによって、かえって「戦争って、ヤだな」とか「戦争って理不尽!」などと、素直な反応ができるようになります。ちょっとバカみたいですけど、これはとても大切なことだと思います。

 ここからネタバレします。

 シェルターの中の閉塞状態を描きつつ、途中で何度かに分けてシェルターに入る前の出来事が挟まれます。刺激的な演出でしたが、少し構成が散漫な気がしました。セリフに特に必要のない繰り返しがあったようにも思います。
 1人を殺せばあとの5人は生き残れると考え、トランプなどを使って死ぬべき1人を選ぼうとするところから、ぐっと舞台の緊張度が増して、「いったいどうなるのだろう?!」と集中できるようになりました。

 誰か1人を殺すことで、残りの複数人の命を助けようと考えた瞬間、もう人間じゃなくなってるんですよね。世界(=人間の人生)の終わりなのだと思います。

 言葉も通じない、内戦状態の国に勝手に乗り込んでいって「日本人の俺らは関係ない」と思っている若者のバカさ加減が、あまりにひどかったので笑えました。

 なぜ、そしてどうやって、6人がこのシェルターに入ったのかがわからなかったです。そこを気にしたらつまらないのかもしれないけど(映画『CUBE』みたいに)、できれば知りたかったな~。

出演=荻野友里/後藤麻美/小林亮子/立蔵葉子/堀夏子/明石修平(bird's-eye view)
作=鈴木大介(サラダボール) 演出=西村和宏(青年団演出部) 照明=岩城保 舞台美術アドバイザー=鈴木健介 舞台美術=濱崎賢二 衣装=兼松光 宣伝美術=吉澤友実 制作=武藤真弓/立蔵葉子 総合プロデューサー=平田オリザ 企画・制作=青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
前売・当日共 一般2,000円/学生1,500円(当日要学生証) 9月27日の回は平日マチネ割引(チケット発売日 8月14日(月) 一般1,500円/学生1,000円) ※日時指定・全席自由 ※未就学児童入場可能
公式=http://worlds.nomaki.jp/
青年団内=http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_9/worldsend.html

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Posted by shinobu at 2006年10月01日 23:43 | TrackBack (0)