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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年09月29日

ひょっとこ乱舞『トラビシャ』09/23-10/03こまばアゴラ劇場

 広田淳一さんが作・演出されるひょっとこ乱舞(過去レビュー⇒)。やっぱり何度読んでも面白い劇団名ですよね。

 上演中に携帯にメールが届いたり、観客からも送ったり(!)、ラジオで放送を聴いたり、チャレンジングな趣向がいっぱい!上演時間は約1時間30分。この短さも気持ちいい!終演後のトークはおまけ要素がいっぱいで(笑)楽しかった~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『トラビシャ

 ≪あらすじ≫ 少々ネタバレあり。でも読んでから観に行っても問題ない程度だと思います。
 床に女の子が転がってる。どうやら死んでるっぽい。たぶん殺したのはその娘の母親ピンチ(草野たかこ)。ピンチはどうしようか迷って、頼れる誰かに電話するんだけど、どうにもこうにも、何もかもが面倒くさい。そこで、ネット上の掲示板『トラビシャ』に相談を投げかけてみることにした。
 ≪ここまで≫

 白いすべすべした床。装置は何もありません。客席が2方向から舞台を挟みます。完全に対面式なので、向かい側のお客様の様子もよくわかる状態。そこで携帯メールを送るのってちょっと恥ずかしいんですが、やってみると結構目立ってないみたい。送ると本当に反映されるので楽しいですよ♪

 チラシに「テキは面倒くさいにあり」というキャッチコピーがありましたので、それをヒントに観劇しました。面倒くさいと思う事柄から逃げたり、むしろ没頭したり、色んな人々のそれぞれに個性的な嗜好(人生)を眺めて楽しみました。

 ダンスというか群舞というか、あ、乱舞か(笑)。それが見ごたえがありました。同じ動きをしているようで、それぞれがすごく個性的。全く手抜きをしていないのが清々しい。じっくり眺めて色んな想像ができました。
 衣装とヘアメイクもこだわりが感じられました。シンプルな美術にカラフルな色あわせが映えます。

 ただ、ストーリーや構造についてはまだまだ、もっともっと面白くなるんじゃないかな~と思いました。新しいチャレンジもいっぱいされてますしね。また次回に期待したいと思います。

 終演後のトークでは、作・演出・主宰の広田さんが単独で舞台に出てこられるのですが、ラジオからキャストの方々がチャチャを入れ続けるのすごく可笑しいです。副音声(の人々)が強烈すぎて、肝心のトークを聞いてられないほど(笑)。本末転倒な気もしつつ、それはそれでとても楽しかったです。おまけライブだと思って参加すると良いのではないでしょうか。質問もその場でメールで送れますよ。挙手するのが恥ずかしい人には絶好の機会!(でも毎回終演後にトークがあるのかしら?それは公式サイトにも載ってないみたいですが)

 ここからネタバレします。

 ナジミ(チョウソンハ)とイチゲン(伊東沙保)が劇の外側に存在し、ピンチおよびその周りの人々についての物語を解説しながら、観客をナビゲートしていきます。ナジミとイチゲンの位置づけは、目的によってもっと細かく分けて、洗練させていけるのではないでしょうか。また、彼らの世界を肉付けする方向にも進んで欲しい気もしました。せっかくの看板俳優2人なのに、活躍が少なかったように思います。

 死んだアカネ(中村早香)がなぜかカップヌードルの卵(中に入ってる具)になって復活するシーンは面白かったです。ゴスロリ・ルックの中村早香さんが、卵役の伊東沙保さんとエビ役のチョウソンハさんが掛け合うセリフに合わせて、無言で機敏に動きます。ちょっと歌舞伎みたい。“面倒くさい”ってことがテーマなのに、カップヌードルの中身なんていうどーでもいーことについて、あんなに真剣に楽しそうにやっちゃうっていう矛盾が面白かった。

 全員で乱舞するシーンは、一人ずつが定位置でほぼ同じような振付で踊ります。繰り返しも多いです。退屈だとか面倒くさいとか色々悩みながら生きている私達ですが、結局やってることはあまり代わり映えしないもので、みんな一緒に同じことを繰り返しているんですよね。でも、その人なりに本気で生きている人生だから、同じこと(踊り)をやっててもどうしても個性が出てきてしまう。だからやっぱり人間って可愛いんだよね・・・な~んて、役者さん全員が全力で踊り続ける姿を見て、そんなことを想像しました。女性の露出した肩から背中が美しかった。

出演=チョウソンハ、伊東沙保、中村早香、橋本仁、高橋恵、西光カイ、笠井里美、草野たかこ、松下仁、根岸絵美、西川康太郎(劇団コーヒー牛乳) ※コスゲヒロシは怪我で降板。
作・演出:広田淳一 舞台監督・美術:森貴裕(猫ノ手) 音響:角張正雄(SoundCube) 照明:三浦あさ子(賽【sai】) 照明補:大谷友香 ヘアメイク:増田加奈 宣伝美術:山代政一 内藤真代 web:遠藤径至 写真:大倉英揮 制作:柏戸綾 制作補:すなだまりこ 清水建志 田中沙織 国分譜美子 澄井葵  演出助手:北川大輔
【発売日】2007/08/01[前売] 一般2800円 学生2000円 高校生以下1000円 ☆平日昼間2300円 ペア 5000円 [当日]一般3000円 学生2300円 高校生以下1300円 ☆平日昼間2500円
http://hyottoko.sub.jp/

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Posted by shinobu at 2007年09月29日 00:57 | TrackBack (0)