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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年07月16日

青年団若手自主企画・大久保企画『ワールズダッチ』07/16-21アトリエ春風舎

 大久保亜美さんが作・演出する青年団若手自主企画。大久保さん演出作品のレビュー⇒

 タイトルは「世界のダッチ●イフ」の意味。女の視点からセックスについて赤裸々に描いた作品でした。赤裸々にもほどがある(笑)。
 青年団の若い役者さんの、演技に対する貪欲さがビリビリ伝わってきました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ワールズダッチ

 誰とでも寝る姉とそうじゃない妹。「てゆーかそもそもセックスの快感って健康に必要じゃん!」「でもセックスって決まった人としなきゃダメじゃん!」っていう・・・誰もが最初につまづき、おそらくずっとつまづき続けると思われるジレンマを、赤裸々に描いていました。赤裸々も赤裸々、ここまであけっぴろげだと気持ちいいです。

 でも、生々しいセックスシーンはありません。演技や道具を使って抽象的に、あるいは象徴的に表現していてとても面白かった。私が女だからかもしれませんが、ある動作がレイプのように見えることもあり、ぎくっとしながら演出の妙を味わいました。

 お芝居が終わってから、同じ回を観ていた人たちとセックスの話ばかり(笑)。普段は絶対おおっぴらには話さないですからね、そんな機会を生んだけでも非常に意義のある演劇公演だったと思います。「フリーセックスの街(のような場所・区域)が欲しい」と言っていた人がいて(笑)、これまた普段だったら「冗談でしょ!」って思って終わりなんだろうけど、「もしそんな街があったら、自分がその場所にいたら・・・」と考えることになりました。ビックリ。

 ここからネタバレします。セリフはうろおぼえです。

 透明ビニールの幕で客席と舞台が仕切られていました。それを破って開幕。壁が灰色から白色へのグラデーションになっていたり、男優が客席にスタンバイして、そこでセリフを言ったり。キャッチコピーの「虚実の境い目は、わたしのビニールより薄い。」の意味が観客からもよくわかる演出です。紙(ダンボール)でできた装飾もニセモノと本物の区別の曖昧さが感じられて良かった。

 姉は妊娠に気づきます。誰の子供なのかはわからない、でも、自分の中に自分がやったことの結果があることは、体で感じられる。
 「わかんないもん、愛とか。」「でも、ここにあるのは、わかる」。
 肉体レベルに話が落としこまれたことが良かったです。お手軽な痴話話になりませんでした。
 あと、トマトを包丁で切ったり、壁に投げつけるのもとても効果的でした。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:大久保亜美 岩井秀人 柴幸男(2007年青年団入団組)

 大久保「女の性をやろうと思って作りました。」

World's Dutch  青年団若手自主企画 vol.39
出演:辻美奈子、山本雅幸、海津忠、桜町元、中村真生、シトミマモル(フリー)
脚本・演出:大久保亜美 音響・制作:野村政之 照明プラン:松本大介(enjin-light) 照明オペレーション:河上賢一(LaSens) 制作協力:木元太郎 美術原案:大久保亜美 美術制作進行:山本ゆい 宣伝美術:サンアド 総合プロデューサー:平田オリザ 主催:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
【発売日】2008/05/01 予約2000円 当日2300円
http://www.seinendan.org/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年07月16日 23:55 | TrackBack (0)