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しのぶの演劇レビュー
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2008年08月22日

NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)『子どもに見せたい舞台 vol.2「少年探偵団~怪人二十面相を追え!!~」』08/20-26にしすがも創造舎 特設劇場

 NPO法人アートネットワーク・ジャパンがプロデュースする“子どもに見せたい舞台”の第2弾。演出は倉迫康史さん(Ort-d.d)です。関連作のレビュー⇒

 3人の子役はA、Bのダブルキャストで、私が拝見したのはBキャスト。上演時間は約1時間10分。短時間に凝縮されていて快適でした。これからご覧になるお子様は、チラシで作れる二十面相の仮面をお忘れなく!

 ⇒CoRich舞台芸術!『少年探偵団~怪人二十面相を追え!!~

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより (役者名)を追加。
 マンホールに電柱、アドバルーンに丸い郵便ポスト、公衆浴場の高い煙突に古びた三角屋根の洋館…。昭和の街並みを神出鬼没・縦横無尽に駆けるは二十の顔を持つと呼ばれる男、怪人二十面相(三村聡)!人は殺さず、愛する美術品を予告しては盗み集めトリックスターが仕掛ける奇想天外な事件。事件の謎に挑むのは、二十面相の終生のライバル、名探偵・明智小五郎(山田宏平)と少年探偵団。美しい未亡人の住む洋館に二十面相からの予告状が届く。明智探偵事務所の黒電話が鳴り響けば、夜のレトロTOKIOを舞台に、怪人二十面相と少年探偵団の知恵くらべと追いかけっこが今、始まる!!
 ≪ここまで≫

 中央に3階ぐらいまで続くまっすぐの階段。怪盗と探偵の追いかけっこを高さのある装置でダイナミックに見せます。体も言葉もかちっと決める形式美を生かした演技で、子供たちの集中力を切らせませんでした。地に足の着いた力強い演技は、ただじっと動かなかったり、ゆっくり歩いたりするだけでも絵になります。それは子供にもわかるんですよね。

 ライブの迫力や演劇的な演出などについては、前作の方が私は楽しめたかも。暗転中の転換がもうちょっとスムーズになってくれたらな~と思うことが時々ありました。

 少年探偵団は子役3人が演じます。本当の子供が少年探偵団だというだけで、ちょっと嬉しい。
 チラシ美術はいつもながら素晴らしいデザインだと思います。配布されるパンフレットも内容が充実していて気分が盛り上がりました。

 ここからネタバレします。

 舞台中央奥の階段の上から降りていく明智と、客席側から階段に続く通路を歩いていく二十面相が、ちょうど舞台中央ですれ違います。セリフと音楽もタイミングが合っていてかっこ良かった。

 二十面相の黒マスクをお子様にかぶってもらって、大勢の黒マスクの観客の中に二十面相が隠れるという、お子様むけのお楽しみシーンがありました。警部役の方が楽しく道化を演じてらっしゃって子供たちにも好評。でもマスクを持っていない子供たちが多かったのは残念でしたね。会場入り口で開演前に配ったらいいんじゃないかしら。たしか前回も旗(?)を持っている子と持っていない子がいて、可哀そうだと思った覚えがあります。

 明智に追い詰められるものの、二十面相はユリ子人形とともに命からがら逃げ延びます。それは追う側の人物たちが最後まで追いかけなかったから。なぜ二十面相をつかまえないのかを警部が語りますが、たくさんの言葉で説明しすぎな気がしました。立教大学の中の“幻影城”(江戸川乱歩の著書やコレクションを保管している蔵)で、二十面相は今も活躍しているんだと伝わればそれでいいと思います。素人考えですが、もっと言葉をシンプルにして、あとは演出で表現してもいいんじゃないかと思いました。

にしすがもアート夏まつり‘08江戸川乱歩とにしすがも少年探偵団 子どもに見せたい舞台vol.2
出演:村上哲也 三村聡 山田宏平 牧山祐大 平佐喜子 杉村誠子 藤谷みき ※出演を予定しておりました三橋麻子は本人の事情により降板し、代役として藤谷みきが出演いたします。
≪Aキャスト≫井上一郎役:内藤義明 野呂一平役:三澤康平 花崎マユミ役:樋口めぐみ
≪Bキャスト≫井上一郎役:木村武翔 野呂一平役:白木光一 花崎マユミ役:若山茉由
原作:江戸川乱歩 構成・演出:倉迫康史(にしすがも創造舎レジデント・アーティスト) 照明:佐々木真喜子(ファクター) 音響:相川晶 舞台美術:伊藤雅子 衣装:ROCCA WORKS 舞台監督:弘光哲也 宣伝美術:種市一寛(FLATROOM) 広報:宮崎あかり 票券:堤久美子 当日運営:岩渕文 制作:武田知也 竹岸実夏 プロデューサー:蓮池奈緒子 制作協力:(株)インターキッズ 企画・製作:NPO法人アートネットワーク・ジャパン
【発売日】2008/07/25 おとな 1,000円 中高生(中学生~18歳未満) 500円 子ども(3歳以上~小学生) 無料
http://sozosha.anj.or.jp/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年08月22日 16:44 | TrackBack (0)