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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年11月06日

岡崎藝術座『リズム三兄妹』10/30-10こまばアゴラ劇場

 神里雄大さんが構成(作)・演出される岡崎藝術座の公演を拝見するのは2度目です(→1度目)。今回もまた驚きの連続の末、大いに刺激を受けて、感動させられました。

 期間中2回上演される朝公演(朝食付き)「はやねはやおき朝御飯」も予約しました(すでに完売)。
 神里さんが演出で参加する『キレなかった14才りたーんず』オーディションは11/15応募〆切。

 ⇒CoRich舞台芸術!『 「リズム三兄妹」「はやねはやおき朝御飯」

 何が起こるか予想できず、常に驚きをもって観る内に、自分の状態がある飽和点に達したらしく、涙がダーダー。個人的にとても気に病んでいたことが作品の内容と偶然に合致して、その問題に対するひとつの解決策も提示されたように感じたからだと思います。

 寝て、起きて、食べて、排泄して・・・という動物としての人間の営みと、働いて金を稼いで消費して・・・という社会的・経済的な活動を同列に並べるのは、前作でも見受けられました。そうやってすべてのモノ・コトを徹底的に平面化させた舞台に、体から湧きあがるあらがえない欲望を帯びた人間たちが、垂直に屹立します。これが衝撃的で感動的。

 神里さんは、役者さんに何かしらの限界を超えて欲しいと思っているんじゃないかしら。セリフについても動きについても、ある範ちゅうを振り切れるところが必ず用意されているように思います。その意味で、見世物であることに充分な強度もあるんですよね。

 観終わってから、登場人物の関係がすべてつながっていたことに気づきました。一人ひとりがバラバラに点在しているように感じていたからだと思います。そういえばストーリーもちゃんとあったのですが、何もかもが突然脈絡なく起こってるように感じていました。これも演出の仕掛けなのだろうと思います。

 サントラ買っておけば良かった。

 ここからネタバレします。

 歌手の巣恋歌(スゴイ・ウタ:西田夏奈子)は中島みゆき「地上の星」のようにメロディアスに歌い上げる歌でヒットしましたが、最近リズムが少し狂ってきているのをリズム三兄妹の兄(鷲尾英彰)が指摘します。
 そのおかげで巣恋歌にある変化が訪れるのですが、具体的なストーリーは忘れてしまいました(すみません)。ヒット曲のようなものではなく、ラップのような歌(?)を巣恋歌が生き生きと歌い始めたところで、私の中のスイッチがカチっと入った気がしました。ここから落涙。たぶん、平面が立体になった瞬間だったんじゃないかしら。

 リズム三兄妹の妹(内田慈)が一人で長いせりふを語るシーンは圧巻です。徐々に手が曲がり、体がうねり、少々息がきれるぐらい激しい動きになっていきます。
 妹はたしか、「地球は一定の円を描き続ける。その地球の運動が“時間”。時間という横軸に縦のリズムが刻まれて、世界は平面になる(縦軸と横軸があるから)。でもリズムから外れた行動をする時、縦でも横でもないものが時間に加わることになって、世界は立体(三次元)になる」という意味のことを言っていたと思います。

 役者のサカタ(億土点)に一方的に愛の告白をする少女(召田実子)の、身が弾けんばかりの叫びっぷりには唖然(笑)。でも最後にはその叫びが愛らしく見えました。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:億土点 坂倉奈津子 鷲尾英彰 内田慈 白神美央 召田実子 神里雄大 西田夏奈子 

 神里「欲望を知った者にしか、世界は三次元に見えない(という仮説を立ててみた)。」


 ■個人的なつぶやき
 最近、お芝居を観つづけていて徒労に感じることが多くなってきていました。観ている時は楽しいし、感動も勉強もできるし、作り手の方々への感謝の気持ちもおのずと湧いてきて、単純に幸せになれるんですけどね。観れば観るほど、面白いお芝居ばかりですし。

 ただ東京では、どんなにお芝居を観ても観ても、観たりないのです。次から次に新しい劇団(ユニット)が誕生して、新しい劇場ができて、チケット代は高騰して・・・。観たくても観られない公演が山盛りです。
 毎日劇場に行って年間約300本のお芝居を観ても、おそらく今東京で上演されているお芝居の10分の1にも満たないでしょう。そんな私が「おすすめ演劇を紹介するメルマガ」を発行してるって、どうなんだろう・・・という気がしてきたんです。
 誰でも体は1つしかないですからどうしようもないですし、このウェブサイトをオープンした時から既にわかっていたことなんですけどね。

 また、お芝居の感想をウェブサイトにアップして公開している身ですが、誰に対して発信して、誰がそれを見てくれてるのか、自分で全てを把握することはできません。それが、このお芝居に登場する歌手・巣恋歌の状況と重なった気がして、彼女に自分自身を投影してセリフを聞き、舞台で起こることを受け止めることになりました。
 はっきりと答えがわかったわけではないですが、まずは今の生活リズムからはずれた方向に進んでみようと考えています。

※2008/11/14加筆
 このエントリーに対してメッセージをいくつか頂戴しております。ありがとうございます。
 六角形さんからご意見をいただき、一部文章を変更いたしました。
 「また、お芝居の感想をウェブサイトにアップして自己表現している身ですが、」
  ↓
 「また、お芝居の感想をウェブサイトにアップして公開している身ですが、」

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こまばアゴラ劇場2008年度秋のシーズンラインナップ作品
出演:白神美央(リズム三兄妹の姉) 内田慈(リズム三兄妹の妹) 億土点(役者のサカタ) 鷲尾英彰(リズム三兄妹の兄) 坂倉奈津子(リズム三兄妹の姉と暮らす女) 召田実子(シミズショウコ) 西田夏奈子(巣恋歌)
脚本・演出:神里雄大  照明: 高橋かおり  制作: elegirl label  助手: 鈴木啓史 フライヤー表紙画: 新宅睦仁『宿河原在住男性』 企画制作: 岡崎藝術座/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催: (有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
【休演日】11月4日(火)【発売日】2008/09/15 前売2000円 当日2500円 両公演共通券3500円(前売りのみ取り扱い) ※11月7日(金) 14:00の回は前売、当日券ともに500円割引き(共通券には適応不可)
終演後トークあり→10月30日(木):出演者によるトーク  10月31日(金):篠田千明氏(快快・演出家)  11月5日(水):山内健司氏(青年団・俳優) 
http://okazaki.nobody.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年11月06日 14:28 | TrackBack (0)