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2009年01月24日

騎馬スペクタクル ジンガロ『バトゥータ BATTUTA(プレビュー)』01/24-03/26木場公園内ジンガロ特設シアター

 2度目の来日を果たしたジンガロ。新作『バトゥータ』のプレビューにお邪魔いたしました(2005年の騎馬オペラ『ルンタ』では事務局に勤めておりました)。

 ジンガロとは、バルタバス氏率いるフランス生まれの人馬一体のパフォーマンスです。前作とは打って変わって上演中から拍手喝采、手拍子ありの、ただただ楽しい約1時間30分!わっと驚いて、うっとりして、あっという間でした♪お子様も楽しめると思います(未就学児童は入場不可)。

 ★特設シアターは客席数1800名以上の大きな劇場です。入場に時間がかかりますので、開演20分前までにはご到着くださいね!会場の中は幻想的なムードで、照明が暗い目になっています。足元にお気をつけください。
 ★場内はフラッシュ撮影禁止です。馬が驚いて危険ですし、周囲の観客にもかなり迷惑です。

 ⇒スタッフブログ
 ⇒CoRich舞台芸術!『バトゥータ BATTUTA

 ↓プレビューの前に、東京現代美術館でレセプションがありました。
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 ↓昨年と同様、広い回廊でのパーティーです。
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 ↓ワインやシャンパンとともにオードブルもサービス。並んだマカロンが壮観♪
20090123_macaron.JPG

 『バトゥータ』のテーマは遊牧民。目を見張る馬術にコミカルな演出がほどこされた、牧歌的かつ野生的なパフォーマンスでした。馬が走ることで起こる風が、劇場に肌で感じる躍動感を生み出します。
 音楽は生演奏です。完全円形の舞台の対面に2つの楽団(一方は弦楽器、もう一方は管楽器)を配置して、対抗するように演奏します。軽やかで力強い、しゃれたジプシー音楽に心躍りました。

 見事な曲芸が休みなく披露されていくのは、単純に面白いし楽しいです。そして、喧騒の中にさりげなく挿入される幻想的なシーンにドキっとします。“風船”を使った演出にはとりわけうっとりしましたね。なんて可愛らしくて美しいんだろう!って。

 次々と繰り出されていく馬と人の心を合わせた(ように見える)パフォーマンスに見とれる内に、「馬と一緒に生きる生活をしているからこそ出来ることなのだろう」と考え始めました。実際、ジンガロは馬とともに世界中を旅するカンパニーであり、主宰のバルタバス氏はトレーラーハウスに住んでらっしゃいます。
 徐々にこの作品が生まれた場所の空気、時間へと想像はふくらみ、目の前にあるものと人が、私が暮らす日本には存在しないものだと気付きました。そして今この瞬間に、自分は異世界と遭遇しているのだと自覚しました。

 『バトゥータ』は私の中を確かに通り過ぎた、荒々しく神々しい、異国の風でした。インターネットで世界中どころか宇宙にも目が届くような時代になりましたが、まだまだ私たちの世界は広いし、深い。「こんな世の中だから・・・」などと、世間をわかったような気になって語りがちになっている自分をちょっと反省すると同時に、言葉では言い表せない何か、人知を超えたものを礎にして生きている人たちがいるということに、大いに励まされました。

 8,000円~20,000円という高額チケット公演ですが、フランスからあんなに沢山の馬が飛んできてくれたなら、それぐらいはかかるのかも・・・とも思います(想像に過ぎませんが)。特設シアターも巨大ですしね。

 ギャロップシートが18,000円と少しお安くなっていますが、たぶん色んなものが飛んでくるからだと思います(笑)。各席に赤い毛布が置いてありますので、それを肩まで被ってご覧になるといいのかも。最前列の方々は楽しそうでした。あ、着物やドレスなど汚れてはいけない服装はおすすめできません(笑)。

 ↓会場の中にはエルメス限定ショップがオープン。
20090123_hermes.JPG

 ↓客席は数ブロックに分かれており、それぞれに入場口が違います。
20090123_zingaro_theater.JPG

 ここからネタバレします。

 長いヴェールをまとった白いドレスの女性が馬に乗って登場。そのヴェールの裾の先っぽにガス入り風船が付いており、ヴェールが風船にひっぱられてふんわりと宙に浮いたまま、馬の後ろになびきます。息を呑みました。

 さまざまな物と人(食卓、お風呂、トイレ、ベッドなど)を載せた荷馬車が、何台もぐるぐると回り続けるシーンがありました。今から考えると、あれは人の一生を表していたのかもしれません。クマと女が交わって子供(クマと人間)が生まれちゃうという流れには驚きましたが、マリア様の像が載ってる馬車もありました。人間についての嘲笑と崇拝が混在する演出だと思います。

 ひとつ残念だったのは、バルタバスさんがカーテンコールにしか登場しなかったこと。ロバに乗って叫びながらの本命登場は嬉しいですが、『ルンタ』を観た私にとっては、それだけじゃ物足りなかったですね~。
 蛇足ですが、男性のスーツ萌えの私には今回の衣裳はばっちりでした(笑)。

【出演】出演予定馬数:38頭 出演予定者数:35名
脚本:バルタバス 演出:バルタバス 主催:ジンガロ日本公演実行委員会、テレビ朝日、朝日新聞社、TOKYO FM、ぴあ、カンバセーション、アミューズ
共催:フランス大使館 後援:日本中央競馬会、地方競馬全国協会、日本馬術連盟、全国乗馬倶楽部振興協会、東京日仏学院 特別協賛:エルメス 企画招聘:カンバセーション、アミューズ 【発売日】2008/09/27 (全席指定/税込み)ギャロップシート:18,000円 SS席:20,000円 S席:14,000円 A席:8,000円 ※未就学児童の入場不可
http://www.zingaro.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年01月24日 11:43 | TrackBack (0)