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2009年02月26日

リミニ・プロトコル『カール・マルクス:資本論、第一巻』02/26-03/01にしすがも創造舎 特設劇場

 とうとう「フェスティバル/トーキョー09春」が開幕!!⇒記者発表
 トップバッターはリミニ・プロトコルです。昨年は『ムネモパーク』が大好評で、「CoRich舞台芸術アワード!2008」でも第4位だったんですよね。今回のテーマは「資本論」ですが、とっても楽しかった~!

 開場はたしか開演の10分前ぐらいで、いっせいに整列入場します。全席自由で前方の席はベンチシートですので、背もたれが欲しい方はお早めにご来場を。上演時間は約2時間15分(休憩なし)。初日は通路席まで満席の盛況でした。⇒チケット購入はこちら。残席少ないです!

 会場ロビーでは、劇中でも大活躍する「資本論」3冊と、コミック↓も販売されていました。580円とお手軽だったので購入し、帰りの電車で読了(笑)。

資本論 (まんがで読破)
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 ⇒CoRich舞台芸術!『カール・マルクス:資本論、第一巻

 本棚の中に腰掛ける人々。開演前からにこやかに客席とコミュニケーションを取っていて、自然にリラックスできる雰囲気です。この自由な空気は、海外のカンパニーの公演でよく味わえるんですよね~。

 舞台にいるのはプロの俳優ではなく、ある分野(今回は「資本論」)の専門家の方々です。普通の人が目の前で、その人自身の体験や今感じていることをしゃべりますから、言うまでもなくすっごくリアル。彼らを隣人のように身近に感じながら、自分の環境や生活習慣について考えました。
 「資本論(第一部)」は1867年に書かれた書物ですが、私が今生きている資本主義社会の日本に重なることが多く(資本についての本だから当然かもしれませんが)、ドキっとしたり、なるほど~と感心したり。そんな気持ちを出演者の皆さんとスムーズに共有できている気がして、とても楽しかったです。

 全盲のシュプレンベルクさんが、DJのように古いレコードをかけて紹介してくださるのが嬉しい。笑顔がとっても素敵!
 日本人出演者が12人中4人もいらっしゃいますので、日本公演のための特別バージョンなんですね。ドイツ人と日本人の身体や言葉の発し方の違いなども、見ていて面白いです。

 ここからネタバレします。

 戦後から現在までの出演者の体験談が語られていきます(そして未来の展望も)。「資本論」に書かれている(のであろう)「何もかもが“商品”になっていく」ということが、皆さんのお話からも、自分の経験からもしっかり理解できました。労働も商品。名前も商品。人体だって。

 巨万の富を得たウルフ・マイレンダーさん(作家、施設コンサルタント)のお話が面白かった!詐欺と訴えられ6年以上の実刑を受けた後、作家となり、再び投資コンサルを仕事にされていますが、お金を儲けるための投資ではなく、より意義のある投資へと方向転換されたとのこと。人生の目的が変わったということですよね。

Rimini Protokoll "Karl Marx: Capital, Volume One"
出演:大谷禎之介(元大学教授、MEGA編集者) トーマス・クチンスキニ(統計学者、経済史家) クリスティアン・シュプレンベルク(コールセンター・エージェント) 佐々木隆治(大学院生) フランツィスカ・ツヴェルク(翻訳家、通訳) ヨヘン・ノート(経営コンサルタント、講師、中国・アジア専門) 萩原ヴァレントヴィッツ健(大学講師) ウルフ・マイレンダー(作家、施設コンサルタント) タリヴァルディス・マルゲーヴィッチ(歴史家、映画作家) 脇水哲郎(会社員) サシャ・ワルネッケ(革命家、メディア業界のセールスマン) ラルフ・ワルンホルツ(公共電気技師、元ギャンブラー)
コンセブト・演出:ヘルガルド・ハウグ、ダニェル・ヴェツェル リサーチ・演出助手:セバスティアン・ブリュンガー 舞台美術:ヘルガルド・ハウグ、ダニェル・ヴェツェル、ダニエル・シュルツ ドラマトゥルグ:アンドレア・シュヴィーター、イマヌエル・シッパー 照明:コンスタンティーン・ソネソン 音響:フランク・ベーレ ビデオ・アシスタント:ミハエル・コッホ 製作:デュッセルドルフ市立劇場 共同製作:ベルリンHAU劇場、チューリッヒ市立劇場、フランクフルト市立劇場
【東京公演日本側スタッフ】技術監督:寅川英司+鴉屋 照明:佐々木真喜子(ファクター) 音響:相川晶(サウンド・ウィーズ) 技術監督アシスタント:佐藤恵 美術:大津英輔+鴉屋 舞台監督:中原和彦 小道具・演出部:栗山佳代子 ピンスポット操作:岡本沙知恵(ファクター) にしすがも創造舎劇場スタッフ:弘光哲也 翻訳・字幕操作・通訳:萩原ヴァレントヴィッツ健 字幕アドバイザー:幕内覚 通訳:石井園子 舞台写真:石川鈍
【F/Tスタッフ】制作:クラウトハイム・ウルリケ、辻奈都子 F/Tクルー:榎本有希子、竹中香子、砂川史織、ピア・シュミット、羅苓寧 特別協力・助成:ドイツ文化センター 特別協力:株式会社大月書店 協力:日本点字図書館 後援:ドイツ大使館 主催:フェスティバル/トーキョー
【発売日】2008/12/18 一般 4,500円/学生 3,000円(要学生証提示)、高校生以下 1,000円 自由席
http://festival-tokyo.jp/program/capital/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年02月26日 23:53 | TrackBack (0)