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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年04月05日

パラドックス定数『インテレクチュアル・マスターベーション』03/27-04/01シアター711

 野木萌葱さんが脚本・演出を手がけるパラドックス定数の新作です。千秋楽に滑り込みました。
 新しい劇場シアター711に入ったのは初めて。元映画館だからシートがふかふかで嬉しいですね!※対面座席だったので片側の席だけですが。

 明治時代の熱い社会主義者たちのお話。私は史実についての知識がほぼなくて(すみません)、特に日本が舞台だとも思わずに拝見。面白かったです。上演時間は約2時間弱。

 ⇒CoRich舞台芸術!『インテレクチュアル・マスターベーション

 木製のイス数脚以外にほぼ何もない舞台。上下(かみしも)にある劇場付属の分厚い扉を使っていました。照明の切り替えなどですばやく場面転換し、時間も場所も瞬時に変わります。軽やかでとても良かったです。そういえば音響(音楽)はなかった気がします。言葉がとめどなく飛び出してくるので、他の音はなくて良かったのかも。

 衣裳が派手だったので(歴史に忠実ではなかったので)、最初からフィクションの世界に入っていけて良かったです。熱い男たちの丁々発止のセリフのやり取りを、ぎゅっと耳をそばだてて、でも気持ちを楽にして拝見できました。

 行き過ぎた資本主義について議論をしているのは彼らだけではなく、平成の今を生きる私たちもなんですよね。史実をもとにした物語ではありますが、むしろ現代の、この不況を生きる自分への問いかけとして受け取りました。

 井内勇希さん(大杉栄役)の変貌ぶりが毎回楽しいです。今回はひげ面の暴れん坊。役によって、しなやかに変身してくれる俳優を見ていたいですね。

 ここからネタバレします。

 人間は押さえつけられたら、それを跳ね除けたくなるものですよね。そして、「自分は報われなくてもいいから、次の世代のために人を殺す」なんてことも思いついて実行してしまいます。テロリズム。

 幸徳秋水の演説シーン(事実か架空かは知りませんが)での、軍隊についての発言に納得でした。以下、脚本より引用します。
 秋水「軍隊が自国の民を最後まで守り抜いた例はない。民に刃を向ける時、軍隊は最も得意な表情を見せる。」

 客入れ、客出しの音楽がTHE BLUE HEARTSでした。私が10代の頃のパンクというとブルーハーツだったので、うまい具合にハマりました。

パラドックス定数第18項
出演:植村宏司(内山愚童役)、十枝大介(山川均役)、西原誠吾(木下尚江役)、井内勇希(大杉栄役)、今里真(幸徳秋水役)、山ノ井史(荒畑寒村役)、小野ゆたか(堺利彦役)
脚本・演出:野木萌葱 照明:伊藤泰行 舞台監督:金安凌平 衣裳:渡辺まり 写真:渡辺竜太 販促:副島千尋 制作補:たけいけいこ 制作統括:赤沼かがみ(G-up) 企画製作:パラドックス定数研究所
web先行予約 2600円(銀行振り込みのみ・おまけつき) 一般前売り 2800円 当日券 3000円 平日マチネ(3/31 15時の回) 受付、当日共2500円(web先行は2300円)
http://www.pdx-c.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年04月05日 00:03 | TrackBack (0)