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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2009年05月01日

世田谷パブリックシアター『日本語を読む2 Aプログラム「ふたりの女」』05/01-04シアタートラム

 近現代の日本の戯曲を、ドラマ・リーディング形式で上演するシリーズの第2弾。世田谷パブリックシアターのプロデュースならではの贅沢なキャスティングで、若手演出家が起用されているのも魅力です。

 今年はゴールデンウィーク中の開催で計3作品。唐十郎さんの戯曲『ふたりの女』を冨士山アネットの長谷川寧さんが演出されるAプログラムを拝見しました。

 躍動感があって、ちょっと怖くて、楽しかった~。上演時間は約1時間・・・だったと思います。前売り・当日ともにチケット代は1000円です。これはお買い得!他の2本も観たくなりました。フラッと三軒茶屋へどうぞ~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『日本語を読む2 Aプログラム「ふたりの女」

 ≪あらすじ≫
 精神病院の女性患者・六条が医師・光一に、ある鍵を預ける。光一には妊娠中の妻・葵がいるのだが、退院した六条が近づいてきて・・・。
 ≪ここまで≫

 役者さんはイスを使って大きく動き、シーンごとに景色も変わります。音響も効果的で気持ちが盛り上がりました。
 タイトルの通り、六条と葵という2人の女(両役とも久世星佳)と光一という男(田中壮太郎)が登場します。三島由紀夫の近代能楽集が題材になっているのかしら。唐十郎さんの言葉は熱くて刺激的。意外な単語が次々と出てきて引き込まれます。気温や湿度、匂いも想像できるのがすごい。
 ※「近代能楽集」でなくとも「源氏物語」でいいんですね(※以降は2009/05/03に加筆)。

 終演後のトークで、稽古は3回のみとおっしゃっていました。役者さんって素晴らしいねって思います。これぐらい出来て、プロなんでしょうね。

 ここからネタバレします。

 蟻の穴。砂の中。髪油の匂い。らん間から飛び降りる葵。
 走る。イスを倒す。譜面台が車のハンドルになる。
 ト書きを読む役者さん(石川正義)が電話になったのが可笑しかった。
 蟻地獄の砂の中に吸い込まれていくのと、絶命必至のカーレースの疾走感がマッチしました。最後の爆音の後、役者が全員いなかったのも良かったです。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ メモしたことの覚書程度です。
 出演:長谷川寧 楫屋一之(世田谷パブリックシアター)

 楫屋「『ふたりの女』は唐十郎さんが1979年に、第七病棟のために書き下ろした戯曲で、唐さんご自身も気に入ってらっしゃる作品です。」

 長谷川「朗読とはいえ、熱量を落とさないことを大事にした。朗読劇は目を閉じて耳をすますだけでも味わえるタイプの作品があるが、そうはしたくなかった。身体をつかって大きく伝えようとした。」

 長谷川「役者さんには体を意識するように伝えた。言葉を発しているのは体(体を使って出てくるのが、言葉)。セリフも動きも空気の振動だと思っています。声はもちろん、体は空気を切り裂いて動く。お客さんとつながっているのは空気だけだから。」

ドラマ・リーディング形式による上演
出演:久世星佳/田中壮太郎/麻生絵里子/石川正義/谷川昭一朗/山中崇/吉見一豊
【脚本】唐十郎 【演出】長谷川寧(冨士山アネット) 【舞台監督】田中直明【照明プラン】三谷恵子【照明】大屋惠一、丸野知美【音響プラン】小笠原康雅【音響】遠藤瑶子、竹下亮【プロダクションマネージャー】福田純平【技術監督】熊谷明人【道具製作】SePT舞台美術部 水森利明【衣裳】SePT舞台衣裳部 三茶小町【小道具】高津装飾美術【法務アドバイザー】福井健策【営業】鶴岡智恵子、吉兼恵利【広報】宮村恵子、和久井彩【制作進行】大迫久美子【制作助手】上杉晴香【制作】楫屋一之、穂坂知恵子、矢作勝義、大下玲美【主催】財団法人せたがや文化財団【企画制作】世田谷パブリックシアター【後援】世田谷区
全席自由 前売・当日1,000円 TSSS500円(要事前登録、オンラインにて前売のみ) 高校生以下500円(劇場チケットセンターのみ・要年齢確認) 未就学児童はご入場いただけません。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2009/05/_2.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年05月01日 22:35 | TrackBack (0)