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REVIEW

2009年08月05日

【写真レポート】マヤ北島くんを大さわぎで偲ぶ会『漂流画祭』08/01大博多ホール

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漂流画祭

 ここ数年、夏は福岡にお邪魔しております(⇒去年おととし)。今年は8/1~2に訪問。福岡の友人に勧められて8/1夜に『漂流画祭』を拝見しました。

 大塚ムネトさん(劇団ギンギラ太陽's)、池田美樹さん(劇団きらら)、田坂哲郎さん(非・売れ線系ビーナス)の3名が発起人となり、演劇批評フリーペーパー「漂流画報」を発行されていた故マヤ北島さんを偲ぶイベントです。
 
 ⇒CoRich舞台芸術!『漂流画祭

 劇場ロビーでは漂流画報のパネル展が開催中。絵が可愛い!文章が面白い(オタク度が高くてイイ・笑)!劇中歌の楽譜まである!数千枚ほど印刷して、劇場で配布されるチラシ束に、ご自身で折り込まれていたそうです。“劇場でしか入手できない”ことにこだわっていらしたとか。
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 舞台は奥に映像を映すスクリーンがあるだけで、装置は基本的になし。マヤさんご自身を表す猫のパネルが、上手と下手の舞台つら側・上部に1つずつ吊り下がっています(演目によって、しまわれることもあり)。猫は今も舞台を観ているということですね。素敵。

■『漂流画祭』テーマソングを合唱
 作詞・作曲:田坂哲郎 出演:おそらく出演者全員

 素晴らしい歌詞(当日パンフに掲載)で、マヤさんのことを全然知らないのに、歌だけで泣いてしまった。


■『ゴルバチョフレーニンスターリン』
 作・演出:中村雪絵(劇団ぎゃ。)
 出演:中村雪絵/三坂恵美/中原智香/富田文子/堺雅記子/古賀つばさ/児玉真名美/廣瀬由依/大畑佐織/大嶋久美/松本裕子((劇)池田商会)/杉山英美(ギンギラ太陽's)/下川綾(北九州マイム&パフォーマンス)/秦かよこ/清水理絵/山本由紀子/小島美紀(座"K2T3)/池田美樹(劇団きらら)声の出演:砂川道子(che carino!/che carina!)

 ロシアの女性2人ユニットの新曲『ゴルバチョフレーニンスターリン』の、プロモーション・ビデオを上映(上演)するという設定。金髪のバニーガールと黒い肌のラッパー(?)がそのユニットのよう。大きな声で歌う2人と一緒に、アンサンブルの派手な女性が多数踊っています。アンサンブルの動きは、劇団四季か宝塚歌劇のような・・・?意味がよくわからないまま終幕。これには続きがありました。


■『誕生の秘密あるいは長距離ランナーの孤独』
 作・演出:大塚ムネト(ギンギラ太陽's)
 出演:大塚ムネト/中村タクジ/中島荘太/田坂哲郎(非・売れ線系ビーナス)

 大塚さんが「下品でごめんなさい!」と何度もおっしゃるので、何ネタなのかと思ったら、精子ネタでした(笑)。白い体操服はそういうことだったのか。精子なのに、やっぱり感動させられてしまった。

 短編上演後に、NHKデジタルラジオで放送されたギンギラ太陽'sのドラマ「さらば初代0系新幹線 走れ!ひかり侍」第1話(全5話)が、スクリーン上映されました。これも面白かった~。

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■トーク
 出演:大塚ムネト/池田美樹/田坂哲郎/泊篤志(飛ぶ劇場
 飛ぶ劇場『IRON』の漂流画報です↓ 泊さんは、このことをおっしゃっていたのかな。見開きでこんなに声援を送ってくれたら、たしかに涙ぐんじゃうかも。
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■『カゲネコ』
 作・演出:池田美樹(劇団きらら)
 出演:池田美樹/オニムラルミ/薮原壮一郎/宗真樹子/田中瞳/豊永英恵/村田信哉/石田みや/大迫旭洋/森岡光(不思議少年)/甲斐梢(熊本バレエ劇場)/本田範隆(NPO法人FPAP)/大塚ムネト(ギンギラ太陽's)/田坂哲郎(非・売れ線系ビーナス)/中村タクジ(ギンギラ太陽's)/中村雪絵(劇団ぎや。)/三坂恵美(劇団ぎや。)

 芸術文化を締め出し、産業を起こして街を豊かにしようとする村長。劇場は工場に変わり、お金は儲かりますが、街からは笑顔が消えていきます。村長はある日、“お話”を食べる猫に出会います。猫好きの村長は、その猫のために面白いお話を作ろうとして・・・。
 猫はバレリーナの方が演じていて、きれいにバレエを踊ります。芸術の力を感じることができる、寓話風の心温まるお話でした。ピンクのウィッグと緑系の服でそろえた衣裳も可愛い。

 猫と一緒にいる少年を劇団ぎゃ。の中村雪絵さんが演じていました。『玉ノ井家のエンゲル係数』を観ていたのでネタがわかって嬉しかった。
 NPO法人FPAPの本田さんがご自身の役で出演されていて、爆笑してしまいました(笑)。


■『特典映像』
 作・演出:中村雪絵(劇団ぎゃ。)

 『ゴルバチョフレーニンスターリン』と同じ歌、同じ演技を繰り返すのですが、歌っていた2人は声を出さず、今度はアンサンブルが声を出します。演目は『オペラ座の怪人』。女だけなのでやっぱり宝塚みたい。

 1つの作品の表と裏を観たような、全く違う2つの作品を観たような、不思議な感覚。アイデアがとても面白いです。前にも思いましたが、劇団ぎゃ。の方々は声がのびのびと出ていていいですね。


■『瞬火(またたび)』
 作・演出:田坂哲郎(非・売れ線系ビーナス)
 出演:緒方広美/樗木慎也/木村佳南子/田坂哲郎/松本めぐみ/大竹謙作(ゲキダン:ロックンロール・ツアー)/川口大樹(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)/椎木樹人(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)/北拓晃(集団あしゃしゃ)/三原宏史((劇)池田商会)/大塚ムネト(ギンギラ太陽's)/池田美樹(劇団きらら)/本田範隆(NPO法人FPAP)

 天から覗く猫の目に届く塔を作るお話。んー、いろんなものが混ざっていてストーリーは思い出せない・・・でもとても面白かったんです。マヤ北島さん(猫)への思いが詰まっていました。

 日常からすっかり離れたところで始まる物語は、少女マンガっぽい乙女チックなファンタジーでもありますが、2つの塔作りチームが対戦するエピソードには少年マンガのようなやんちゃさもあり。昔話や寓話の印象も受けました。セリフにはダジャレの言葉遊び(野田秀樹戯曲風)がたくさんあって、美しい詩のような味わいも。非・売れ線系ビーナスの作風はこういったものばかりではないそうですが、とても興味がわきました。

 演技は基本的に元気いっぱい。第三舞台のように客席に向かって青春の叫びみたいにセリフを言ったり、走って踊って、オリジナルの曲を歌ったり。アドリブのネタ合戦もあるし、客いじりもするし、もう、わいわいとテンコ盛り。女性客に指をさわってもらう手品は可笑しかったな~(笑)。


■『漂流画祭』テーマソングを合唱して終幕。

■交流会『あとの祭り』

 終演後のロビーでは、飲み物と簡単なお食事が用意されていました(参加費:500円)。
 マヤさんが数十年間も所属されていた福岡シンフォニックマンドリンアンサンブルの演奏がありました。マヤさんは編曲もされる多才な方だったんですね。
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 演奏者が「これ以上の“川の流れのように”(の編曲)はありません!」と言い切って演奏した“川の流れのように”は、本当に、驚くほど素晴らしかった。音楽の演奏で感動して泣いてしまうなんて久しぶりでした。

【感想】

 私はマヤ北島さんについても、福岡演劇界についても全く知識のない一観客ですが、とても楽しい時間を過ごせました。それどころか1人の人間が持つ力の大きさを実感できて、感動しました。
 マヤさんは「漂流画報」という手作りの作品を発表し続けてきた方なんですね。パソコンのフォントが組み合わさった感想文や記事ではなく、手で触ることができる作品だったから、演劇人の心を動かしたんだと思います。

 拝見した演目について感じたことを少し。福岡の小劇場演劇は、芝居と歌と踊りがシームレスに合わさっているのがとても面白いと思いました。東京では、現代口語演劇が広まったせいか、歌と踊りがある芝居というと、ミュージカルや音楽劇といった別ジャンルに分類されるんですよね。
 役者さんは、東京に比べると全体的に技術は高くないと言わざるを得ないですが、体を動かして、声を出して見せようとする熱意がすがすがしいです。笑顔にいやみがなくて爽やかなのもいいですね。


【旅行スナップ】

 8/1(土)は夜8時から大濠公園で福岡市内最大級の花火大会“第47回 西日本大濠花火大会”が開催されることになっており、繁華街にはお昼頃から浴衣の若者がいっぱい!
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 毛皮族の江本純子さんが公演を行った紺屋2023にふらりと。古いマンションをリノベーションして、おしゃれなアートスペースになっています。
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 大博多ホールの最寄駅は祇園。福岡の地下鉄は駅ごとに可愛らしいデザインのロゴがあって、祇園は祇園祭りの踊り子なんですね。
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出演団体:ギンギラ太陽's/劇団きらら/非・売れ線系ビーナス/劇団ぎゃ。/万能グローブガラパゴスダイナモス/ゲキダン:ロックンロール・ツアー/集団あしゃしゃ/(劇)池田商会/座"K2T3/che carino!/che carina!/飛ぶ劇場/北九州マイム&パフォーマンス/不思議少年/熊本バレエ劇場/福岡シンフォニックマンドリンアンサンブル/NPO法人FPAP
脚本・演出:大塚ムネト(劇団ギンギラ太陽's)、池田美樹(劇団きらら)、田坂哲郎(非・売れ線系ビーナス) 舞台監督:糸山義則((株)ステージクルー・ネットワーク)/音響:寺師裕(劇団きらら)・廣瀬由依(劇団ぎゃ。) 照明:永井辰弥((株)ステージクルー・ネットワーク) 映像:林良子((株)ステージクルー・ネットワーク) 装置:(株)ステージクルー・ネットワーク 舞台美術:木村佳南子(スバラボ)・林良子(スバラポ) チラシ・パンフレット:水村佳南子(スパラボ)・林良子(スバラボ) 事務局:特定非営利活動法人アートマネージメントセンター福岡 後援:福岡市 (財)福岡市文化芸柘振興財団
【発売日】2009/06/26 全席指定 前売1500円/当日2000円 ※チケット販売数は400枚と限りがございます。※交流会『あとの祭り』は別途会費500円となります。※本イベントのチケットは、ローソンチケットでのみの取り扱いとなっております。※当日券は枚数に限りがございます。販売は公演当日、開演60分前から開始致します。
http://hyoryugasai.mikosi.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年08月05日 22:09 | TrackBack (0)