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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年08月10日

劇団、本谷有希子『来来来来来(ライライライライライ)』07/31-08/16本多劇場

 本谷有希子さんの岸田戯曲賞受賞後第1作目です。濃い女優6人が集まった新作。上演時間は約1時間50分。

 後方の座席だったからかもしれませんが、物足りなかったかも。

 ⇒土佐有明の「(ほぼ)初日劇評」
 ⇒CoRich舞台芸術!『来来来来来

 ≪あらすじ≫
 元自衛隊員の蓉子(りょう)は、田舎で揚げ麩(ふ)製造を営む夏目家に嫁ぐが、夫のヤスオがすぐに蒸発。次男のヤスオを溺愛していた義母・光子(木野花)はもちろん、長男の嫁(松永玲子)にもいびられ、蓉子は野鳥園の世話も食事の用意もすべて押しつけられてしまう。
 ≪ここまで≫

 冗談みたいに不幸な蓉子が、さらに不幸になっていきます。大がかりな装置は基本色がこげ茶で、どう転んでもスッキリ晴れ晴れとはしない雰囲気。転換が大変そう。そこまで具象にしなくてもいいんじゃないかな~と思う場面も。

 陰鬱でひがみ根性たらたらで、何でも他人のせいにして、でも堂々と開き直っている人間像は、本谷作品でよく見るところ。「性根腐ってる!」と言われても仕方がない性格でも、ふてぶてしく生きている姿にスカっとするんですよね。でも今回はそこまで行かなかったな~。本谷さんにはいつもスカっとさせられるので、それを期待しすぎたのかも。

 健気でひ弱そうに見えるりょうさんの、凄みのある演技に驚くとともに魅せられました。
 吉本菜穂子さんがいつもながらの柔軟な演技で、濃いキャラクターを成立させているのが素敵。

 ここからネタバレします。
 
 揚げ麩用の油が入った大きくて四角い樽(樽じゃなかったら鍋?)が、ど真ん中に鎮座する凄み。車いすに包帯、しびんに紙おむつなどの介護グッズが目に刺さります。

 吉本菜穂子さんが演じた誰とでも寝る(フリーセックスを公言する)女は、「あそこが優しい女」でした(笑)。「便所」と対照的。

 蓉子は町の人々に毒を盛って、ボケてしまった義母とともに逃走することになります。「誰かに褒められたかった(義母はこれから何をしても頭をなでて褒めてくれるから嬉しい)」ということなんだけど、新しい人生を見つけて再出発する動機としては弱い気がしました。

≪東京、新潟、大阪、福岡≫ 
劇団、本谷有希子第14回公演 岸田戯曲賞受賞後第1作目
出演:りょう、佐津川愛美、松永玲子、羽鳥名美子、吉本菜穂子、木野花
脚本・演出:本谷有希子 美術:田中敏恵  照明:倉本泰史(APS)  音楽:渡邊琢磨  音響:藤森直樹(Sound Busters)  衣裳:畑久美子  ヘアメイク:二宮ミハル  演出助手:菅野將機  舞台監督:宇野圭一+至福団  照明オペレーター:小原ももこ 衣装進行:田辺雪枝 ヘアメイク:奥野展子 劇中楽曲 作詞:渡邊琢磨、本谷有希子 作曲:渡邊琢磨 唄:フルカワミキ 音楽協力:イーストワークスエンタティンメント/今井達也 HERTFAST 照明助手:佐藤緑 大道具:唐崎修 大道具製作:C-COM舞台装置/桜井俊郎 小道具:高津映画装飾/池上三喜 宣伝美術:新上ヒロシ+上野友美(ナルティス)  宣伝イラスト:中村珍  宣伝写真:加藤アラタ(kesiki)  WEB製作:ACTSIDE  票券:脇本好美 当日運営:宍戸円(wawaf.) 制作助手:杉田香奈恵 制作進行:嶋□春香 制作:寺本真美  企画・製作:ヴィレッヂ・劇団、本谷有希子
【休演日】8月3日、10日【発売日】2009/06/13 5,800円(全席指定・税込) ※未就学児の入場不可
http://www.motoyayukiko.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年08月10日 11:26 | TrackBack (0)