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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年10月12日

青年団リンク・ままごと『わが星』10/08-12三鷹市芸術文化センター星のホール

 青年団リンク・ままごと柴幸男さんの作品を上演するユニットです。

 初日夜から「必見」「奇跡」といった感想がネット上にあふれた作品。私は千秋楽に伺いました(どうしてもこの日しか伺えなかったので)。立ち見が数十人は出てたんじゃないかしら。開演前に公演限定Tシャツとトートバッグを買っちゃった。上演時間は約1時間20分。

 柴さんには以前にも奇跡を見せていただいているので、私は一応“免疫はあった”わけですが、やはり今回もぶるぶる震えて、涙がぼっとぼっとこぼれ落ちて、“今、劇場で演劇を見ている”感覚とは違う次元のどこか、遠い場所へと連れて行かれました。

 再演を希望!たとえば完全円形の青山円形劇場で!

 ⇒詩森ろばさんのブログ「LIVESTOCK STYLE 
 ⇒CoRich舞台芸術!『わが星

 ≪あらすじ≫ 劇場公式サイトより。
 夜空に瞬く無数の光、今そのひとつが消えた。そのことに誰も気がつかない。だって夜空は広すぎるから。かつてあの星には色んな人が住んでいて幾度となく慈しみあって争いあってそして静かに滅んでいった。僕は彼らを思い出す。いつか僕のことも誰かが思い出すのだろうか。あの星の話をしよう。そこに暮らしていた人々の話。
 今はもう誰も知らない話。星の誕生から滅亡までをひそやかに語る今回はそんな"ままごと"。
 ≪ここまで≫ 

 太陽系の惑星・地球の誕生から滅亡までと、団地に暮らす5人家族の次女ちい(端田新菜)の人生とを重ねて描きます。時報のリズムに合わせてセリフがラップになり、家族のだんらんは自転になって・・・。
 生き物の生涯は常に死へのカウントダウン。私も地球もいずれ必ず死に絶えます。幼いころの思い出を懐かしく寂しく見つめ、何もかも消え去った真空の暗闇にポツンと光る地球(=自分)を想像し、今ここ(劇場)に生きているたくさんの命(目の前の役者、調光室のスタッフ、客席の観客ら)に喜びを感じました。

 これは果たして“演劇”なのかしら・・・と考える瞬間が何度もありました(まぎれもない演劇なのですが)。役者さんが誰か(何か)を演じてはいるけれども、演じる対象は生き物ではなく記号のようにも見えるのです(⇒ドラマトゥルクの野村政之さんのブログ)。でも不満は全くありませんでした。目の前で心臓をバクバクさせて生きる役者さんにわくわくして、音楽のライブで体を揺らす感覚で、心を劇場空間に浮かばせるようにして味わいました。

 この作品をもし昨日観ていたら、きっとメルマガ号外を出していたと思います。演劇で奇跡に出合う確率が上がり過ぎてる(笑)。どうなってるんでしょうかトーキョー。

 ここからネタバレします。

 地球(=ちい:端田新菜)をずっと見守る“先生”(青木宏幸)が、若き日の先生(青いジャケットの少年:大柿友哉)に語りかけて、いずれ消滅するちいに会いに行くことを勧めます。自ら遠ざかって過去の幻を眺めるのを止め、きびすを返し、スピードアップして(自転車に乗って)、少年がちいに会いに行くシーンで体が震えました。

 私は恋愛は幻想(=勘違い)だと思いますが、人が何かを欲する(何かを好きだと思う)気持ちは本物だと思いますし、それしか人と人(物)とがつながる手立てははないと思います。だからそれを肯定して初めて、私たちは生きていることを確かめ合うことができるんだと思います。ボーイ・ミーツ・ガールというロマンティックな仕立てで、命を実感する瞬間を示してくれたことに感動しました。

 また、「見守る」ことが愛情であることを、改めて確認できたことも、個人的には大きな喜びでした。誰かのために何かをしなければならないわけじゃない、ただ見守り続けることも行動なのです。

Mitaka"Next"Selection 10th. 
出演:先生:青木宏幸/少年:大柿友哉(害獣芝居)/母:黒岩三佳(あひるなんちゃら)/月:斎藤淳子(中野成樹+フランケンズ)/父:永井秀樹(青年団)/姉:中島佳子/妹ちい:端田新菜(青年団)/祖母:三浦俊輔
脚本・演出・演奏=柴幸男 音楽=三浦康嗣(□□□)ドラマトゥルク=野村政之 美術=青木拓也 照明=伊藤泰行 音響=星野大輔 音響補佐=池田野歩 衣裳アドバイス=藤谷香子(快快) 演出部=本村光晴/熊川ふみ 舞台監督=佐藤恵 写真撮影=青木司 映像撮影=TRICKSTER FILM 宣伝美術=セキコウ 当日運営=横内里穂 当日運営補佐=赤羽ひろみ 制作=ZuQnZ 制作総指揮=宮永琢生 総合プロデューサー=平田オリザ 企画制作=青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催=三鷹市芸術文化振興財団
チケット発売日:9月11日(金) 全席自由 一般前売り2500円 当日2800円 高校生以下:前売当日とも1,000円 ※未就学児の入場不可。※劇場会員割引あり。※全席自由席の為、満席となった場合は開演後お席にご案内出来ない場合がございます。
http://www.mamagoto.org/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年10月12日 22:54 | TrackBack (0)