2009年06月04日
時間堂『花のゆりかご、星の雨』06/02-14ギャラリーLE DECO
時間堂は黒澤世莉さんが作・演出される劇団です。この公演が劇団化第1弾になるそうです。
「CoRich舞台芸術まつり!2009春」審査員として拝見しました(⇒応募内容)。上演時間は約1時間30分。
⇒CoRich舞台芸術!『花のゆりかご、星の雨』★CoRichでカンタン予約!
※レビューはCoRich舞台芸術!に書きました。
≪あらすじ≫ 公式サイトより (役者名)を追加。
ミキ(花合咲)は退職勧告された日、骨董屋で祖母の形見によく似た品を見つける。それはかつて東京に出るときに母から盗み、売ってしまった高価な物だ。上京以来ミキは実家に帰らず、母にも会っていなかった。
実家から母が重要な手術を受けるとの連絡を受けたミキは、帰郷の手みやげにと意を決して購入を決める。しかし受け取りに行くと、それはすでに人の手に渡っていた。のんだくれの店長(菅野貴夫)、そのマイペースな妻(雨森スウ)、威勢のいい店員(星野奈穂子)、そして頑固なオーナーシェフ(鈴木浩司)。やがて半信半疑で「モノの記憶」をたどることになるミキが出会うひとびとは。
≪ここまで≫
出演:雨森スウ 花合咲 菅野貴夫 鈴木浩司 星野奈穂子
脚本・演出:黒澤世莉 照明:時間堂 音響:時間堂 舞台監督:時間堂 舞台美術:時間堂 宣伝写真:大和みゆき / 黒澤世莉 宣伝美術:大和みゆき Web制作:小林タクシー(ZOKKY) ビデオ撮影:$堂 お手伝い:大竹悠子 / 武井翔子 企画・製作:時間堂
【休演日】2009年6月8日(月) 【発売日】2009/04/15 全席自由2,000円 学生1,500円 / 当日券のみ、要証明
ポスト・パフォーマンス・トークのゲスト⇒3(wed) 徳永京子(演劇ライター)/4(thu) 松井周(サンプル 主宰)/9(tue) 下西啓正(乞局 主宰)/10(wed) 吉田小夏(青☆組 主宰/青年団演出部)/11(thu) コロ(柿喰う客 / コロブチカ 主宰)
http://www.jikando.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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新国立劇場演劇『タロットカードによる五重奏のモノローグ』5/20、5/23、5/27新国立劇場小劇場
『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』『最後の炎』に続いて、新国立劇場の無料リーディング公演『タロットカードによる五重奏のモノローグ』を拝見しました。演出は芸術監督の鵜山仁さん。客席はかなり埋まってました。上演時間は約1時間30分。
4つの短編を劇場内・ロビーを移動しながら鑑賞するという、新国立劇場では初めて味わうスタイル。しかも演目は観客それぞれがくじ引きを引いて選びます。私は3回公演の内、2回伺いましたので、計12作品中の8本を観た計算になります。
⇒CoRich舞台芸術!『タロットカードによる五重奏のモノローグ』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
感性も文体も、そして世代も異なる5人の作家によって書かれた旅立ち、喪失、出会い、届かぬ星。4つのテーマからなるモノローグ。すべてはタロットカードの寓意から着想されて無数のヴァリエーションを構成する。はたして今回の舞台ではどんなヴァージョンが実現するのか。あなたの意味への旅が始まる。
≪ここまで≫
新国立劇場が新しい企画を連発して、劇場の印象をどんどん新しいものにしてくださっていることが、1ファンとしてとても嬉しいです(私はThe Atreの会員です)。
ただ、私はイスに座って観るのが好きなんですよね。演目ごとに場所を移動することには、全く抵抗はないのですが、出演者に誘導されつつ、立ったままで(時には歩きながら)一人芝居を観るのは苦手でした。これは好みでしょうね。
きっと面白い現代戯曲ばかりだったのだろうと想像しますが、研修2年目に入ったばかりの4期生のモノローグは・・・観てる方もガッチガチに緊張しちゃいました。声や表情はきれいだな~と思っても、言葉の意味が伝わってこなくて、作品自体を味わえないことが多かったです。
本当はリーディングのはずですよね。でも台本を持たずにしっかり演技をされていました。たった1人で、ロビー中を観客を誘導しながらしゃべったり・・・。難易度が高すぎたのではないでしょうか。
できれば『アテンプツ…』『最後の炎』と同様に、3期生にやって欲しかったな~。※3期生は6/5~7に試演会①があるので、スケジュール的に無理だったのかもしれませんね。
■第一幕 旅立ち
プロローグ【見ました】
(作:ミシェル・アザマ 出演:田島真弓 土井真波)
「出発します!」とか。(「出発します!」はプロローグの前かも?)
[戦車]『戦車』【見ました】
(作:ミシェル・アザマ 出演:扇田森也 田島真弓 土井真波)
車イスに座った、大金持ちの男の独白。女優2人が数役演じる。
[節制]『ジェレミー』【見ました】
(作:ジャン=イヴ・ピック 出演:安藤大悟)
黄色い半そでシャツ。セリフを間違ってやり直しても、心が折れないのがスゴい(笑)。
[運命の輪]『マトロック』
(作:シルヴァン・ルヴェ 出演:日沼さくら)
■第二幕 喪失
プロローグ【見ました】
(作:ミシェル・アザマ 出演:田島真弓)
[教皇]『教皇』【見ました】
(作:ミシェル・アザマ 出演:趙栄昊)
社会の底辺にいる、キャンピングカー暮らしの男。他の役も見てみたい。
[隠者]『もうひところりん』【途中から見ました】
(作:フランソワーズ・ピレ 出演:白川哲司)
『ジェレミー』の続編的な。
[太陽]『太陽』【見ました】
(作:ジャン=イヴ・ピック 出演:仙崎貴子)
白いドレス。“蛍光灯の街”への批判。とてもユーモラス。
■第三幕 出会い
プロローグ
(作:ミシェル・アザマ 出演:土井真波)【見ました】
朗読。「僕の・・・」というセリフの連続。
[正義]『ころりん、そしてわきへころりん』【見ました】
(作:フランソワーズ・ピレ 出演:木原梨理子)
“ブランコに乗ったお嬢さん”に訴えかける。舞台を1人で走りまわる姿は魅力的だけど、話はわからなかった。
[月]『若い男が池のなかをさまよっている』【見ました】
(作:ナタリー・パパン 出演:竹田雄大 田島真弓 土井真波 他、男性1名)
純白のウェディングドレスを着た男(竹田雄大)が、劇場の外から登場。
[力]『カ』(作:ジャン=イヴ・ピック 出演:原一登)
■四幕 届かぬ星
プロローグ
(作:ミシェル・アザマ 出演:田島真弓 土井真波)
[女教皇]『女教皇』【最後の少しだけ見ました】
(作:ジャン=イヴ・ピック 出演:佐藤真希)
[吊られた男]『吊られた男、あるいは西洋世界のセイレーン』【見ました】
(作:ミシェル・アザマ 出演:斎藤麻里絵)
空港で暮らす41歳の女。「ここでは何でも手に入るけど、飛行機にだけは乗れない」「死ぬときは障害者用のトイレの隅で」。一番面白かった。
[悪魔]『ヘーゼル・ナッツ』【見ました】
(作:シルヴァン・ルヴェ 出演:今井聡)
自転車(床に固定)に乗って暴走。正視できず。演出が私には合わなかったんだと思います。
シリーズ・同時代【海外編】スペシャルイベント 番外連続リーディングvol.3
出演:新国立劇場演劇研修所4期生(木原梨里子/斎藤麻理絵/佐藤真希/仙崎貴子/田島真弓/土井真波/日沼さくら/安藤大悟/今井聡/白川哲司/扇田森也/竹田雄大/趙栄昊/原一登)
作:ミシェル・アザマ シルヴァン・ルヴェ ナタリー・パパン ジャン=イヴ・ピック フランソワーズ・ピレ 翻訳:佐藤康 演出:鵜山仁 舞台監督:増田裕幸 舞台・照明・音響操作:新国立劇場技術部 シアターコミュニケーションシステムズ レンズ 芸術監督:鵜山仁 主催:新国立劇場
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000180_play.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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劇団青年座『その受話器はロバの耳』05/23-31本多劇場
MONOの土田英生さんが劇団青年座に新作を書き下ろされました。演劇集団円『初夜と蓮根』も土田さんの新作で、2劇団が同時期に公演を行うため、“青年座⇔演劇集団円・往復切符きっぷ”という企画も実施されています。いいですね~こういうの。お祭り気分で嬉しくなります。・・・なのに青年座しか観られなかった(涙)。
のんびり平和な南の島にある、某大企業のお客様相談室(コールセンター)が舞台のコメディーでした。上演時間は約1時間45分。
⇒CoRich舞台芸術!『その受話器はロバの耳』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
東京から遠く離れた島、ヘソ島
そのはずれ、丘の上の元レストランここに「ミキマツ製菓」お客様相談室がある
広い空 青い海 輝く太陽
社員8人、リゾート気分の暇な部署
ところがある時電話が一斉に鳴り始める・・・・
『まずいだっちぃ』
思うようには生きられない
端っこの小さな島で繰りひろげられる
ホントと嘘、中心と端をめぐる物語
≪ここまで≫
ミキマツ製菓の大ヒット商品“なきまめちゃん”に有害物質が混入しているという噂がたち、暇だったはずのコールセンターに、ひっきりなしに電話がかかってくることになります。
虚言癖とか浮気とか不倫とか・・・やってることがあからさまにダメ過ぎる登場人物たち。「人間って、そういうものだよね」とも言えるますが、それにしても・・・(笑)。
役者さんはおトボケ気味の可愛らしい演技をされていたので、どんなにみっともなくても嫌悪感はゼロ。むしろ愛嬌があるので微笑ましかったです。ただ、起こった出来事に対する感情の動きが、全体的に軽快すぎたようにも思います。恐怖や不安、危機感を感じる瞬間がもっとあって、起伏が激しい方が私好みかも。
オフィスは目の前に海が広がる素晴らしいロケーション。美術のデザインが船のデッキのようなので、観客である私も彼らと一緒に、沈みゆく船に乗ってゆらゆら揺れているような心地になりました。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
嘘をつくのが心苦しくて、限界がやってきて、どんどん正直にぶっちゃけ発言をしていく社員たち。本土の社員たちが島の悪口を言っていたとか、2人で飲んだ後にお泊りしちゃってたとか、実は不倫関係だったとか、あなたがずっと好きだったとか(笑)。隠していたことが社員全員の前で暴かれていくのは痛快です。
次から次に考えなしに口から出てしまう嘘、命令されて仕方なくつく嘘、自分を守ろうと考えに考え抜いた末に編み出した嘘。自分の嘘のせいでがんじがらめになっていく私たち。でも、何でもかんでも正直にぶちまけることが、いつも正しいわけないんですよね。その時はすっきりするけど、先には困難が待っているのも確かです。
室長の愛人である入社2年目の若い女性が、とうとう正直にお客様に返答してしまいます。「有害物質は混入していたらしいです。でも会社からだまっているようにと言われています」と。登場人物だけでなく、私もスカっとして爽快な気分になりました。
結果、コールセンターは閉鎖。島で採用された社員はおそらくクビで、副室長の2人(五十嵐明&椿真由美)は自分から会社を辞めました。この不況時に。
「ま、いっか」というあきらめの言葉が、とてもさわやか。最後の「あきらめないよ!」というセリフには勇気と希望が込められていたように思います。でも、演出がサラっとし過ぎていてちょっと物足りなかったかも。
ヘソ島の名物は蓮根という設定で、レンコンの大きなクッション(?)が舞台に置かれていました。『初夜と蓮根』つながりかしらん。
劇団青年座第196回公演
出演:綱島郷太郎 五十嵐明 椿真由美 遠藤好 鈴木貴子 津田真澄 森脇由紀 山﨑秀樹
脚本=土田英生 演出=須藤黄英 装置=伊藤雅子 照明=宮野和夫 音響=中島正人 衣裳=半田悦子 舞台監督=今村智宏 製作=森正敏・紫雲幸一
【発売日】2009/04/23 一般 4,500円 ネット予約 4,300円 ゴールデンシート(65歳以上) 4,000円 学生券 ※当日受付清算のみ 3,500円 プレビュー・マンデー割引 3,000円 “円⇔青年座”往復切符あり! ※要予約。『初夜と蓮根』『その受話器はロバの耳』のチケット、またはその半券を持参すると一般券が500円割引き!
http://www.seinenza.com/performance/public/196.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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