REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2010年01月13日

ろばの葉文庫『僕らの声の届かない場所』01/12-17 Art Complex Center of Tokyo

 空想組曲のほさかようさんと風琴工房の詩森ろばさんが、新たにユニットを立ち上げました。その名も「ろばの葉文庫」。第1回公演はほさかさんの戯曲を 詩森さんが演出されます。さまざまな劇団から役者さんを集めたプロデュース形式の公演ですね。

 会場は四谷三丁目のきれいなギャラリー。実際に絵画が展示されている建物の中で、絵描きの物語を観るのはオツですね。上演時間は約1時間30分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『僕らの声の届かない場所
 レビューは今のところネタバレ前までです。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
「この絵、わたしの光だから」
 絵を完成できない画家に少女は言った。
 ふたりが夢見たのは絵にも描けないしあわせな結末。
 若手の画家が集う小さなアトリエ。その中でひと際異彩を放つ一人の画家。彼はあふれでるイメージを「物語」としてキャンバスに描いていく。しかしどの絵も完成させることができず、物語は結末を迎えずに放りだされる。ある日、アトリエに一人の少女が現れる。光を求める二人が出会い、絵は次第に完成に近づいていく。けれど、少女の秘密と画家の過去に眠る物語が、ふたりをふたたび光から遠ざけていく。すれ違うふたりは果たして探し求める光にたどりつくことができるのだろうか。
 ≪ここまで≫

 白い壁で清潔な印象の空間にイスとイーゼルが数脚。茶色いフローリングの床には枯れ葉がぱらぱらと散っています。いわゆるギャラリーでのお芝居ですので、音響や照明はシンプル。手を伸ばせば届いてしまうぐらい近い場所で、役者さんが静かではあるけれど熱のこもった演技をしていました。

 3人の若い画家に焦点が絞られ、王子小劇場での初演よりも輪郭がはっきりとした脚本になっていました。作品創作に没頭する内に自分自身と対峙せざるを得なくなる、若い芸術家の苦悩がつぶさに伝わって来ます。繊細で詩的なセリフの1つひとつを大事に演じようとしている役者さんに好感。苦労知らずの桜坂を演じた三原一太さんの微妙な笑顔が良かったです。
 
 夢と現実がまじわり、普通の会話劇におさまらないのも見どころ。“夜虫(よるむし)”をダンサーでもある皆木正純さんが演じられていて、身体のキレの良さと確かな存在感が、幻想的なシーンの強度を高めていました。
 ただ、全体のバランス的にまだ完成していないようでした。合計8人の役者さんの演技の種類がまちまちなんですよね。私が拝見したのは初日なので、これからレベルアップしていくことと思います。

 ここからネタバレします。続きは書けるかどうか未定。

ろばの葉文庫その1
出演:北川義彦(RIDEOUT)、ハマカワフミエ(国道五十八号戦線)、関根信一(フライングステージ) 三原一太(はらぺこペンギン!) 佐藤幾優(boku-makuhari) 佐々木なふみ(東京ネジ) 清水穂奈美 皆木正純
脚本:ほさかよう 演出:詩森ろば 照明操作:石澤美和 渡辺望 宣伝写真:平地みどり 宣伝美術・制作:詩森ろば 企画・製作:ろばの葉文庫 制作協力:塩田友克
【発売日】2009/11/07 前売 2500円 当日 3000円 障碍 1500円
http://robanoha.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2010年01月13日 00:48 | TrackBack (0)