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REVIEW

2010年05月09日

世田谷パブリックシアター『日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~「老花夜想(ノクターン)」』05/07-09シアタートラム

 『熱帯樹』『ポンコツ車と五人の紳士』に続いて太田省吾さんの戯曲『老花夜想(ノクターン)』を拝見。演出は中屋敷法仁さんです。上演時間は約1時間30分、だったような。

 私が観た回についてですが、3作品とも客席は9割以上埋まっていたように思います。3年続けてこられた成果でしょうね。もちろん今回の3人の演出家やキャストの魅力もあると思います。

 ⇒History of 『日本語を読む
 ⇒稽古場写真
 ⇒CoRich舞台芸術!『老花夜想

 ≪あらすじ≫
 月食の夜。ホテル月光には娼婦をもとめて男たちが訪れる。年老いた娼婦ハナは、ある男が再びやって来るのをずっと待っていた。
 ≪ここまで≫

 変形ハの字に並べられたテーブル。そのテーブルとセットになったイスに腰掛けて本を読みます。たまにその周囲を歩く人物もありましたが、オーソドックスな朗読の形式でした。
 台本をテーブルの上に出すことで登場したことを示すなど、いくつかのルールはありましたが、語り方や場面転換においてあまり特徴だった演出がなく、ちょっと退屈しちゃいました。

 太田省吾さんのセリフがしっかりとある戯曲は初めてだったので、観られて(聴けて)良かったです。意味が読み取れずとまどうこともありましたが、詩のような、独り言のような、叫びのような、独特の言葉づかいが面白かったです。

 私の戯曲の好みもあると思いますが、3つの中では『熱帯樹』が断トツに面白かったですね。発語の方法(声の大きさ、早さ、抑揚など)を工夫し、戯曲の独自の解釈にもとづいて、言葉の色、深み、味わいを作り出していました。照明、音響、選曲についても一番凝っていたように思います。何より登場人物が恐ろしい怪物のように(見たことのない巨大な熱帯樹のように)見えたことが、私にはすごく良かったです。あ、『熱帯樹』の感想になっちゃいました。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 司会:矢作勝義(世田谷パブリックシアター) ゲスト(左から):中屋敷法仁 柴幸男 谷賢一

 中屋敷さんは26歳、柴さんは27歳、谷さんは「あさって28歳になる」とのこと。
 これからの劇場に何を望むかという質問に対する3人のお答えが、それぞれの個性をよく表しているように思い、とても興味深かったです。
 以下、私が受け取った内容です。※実際の発言とはかけ離れています。

 谷「上演と合わせてレクチャーなどをもっと充実させてはどうか。自分は受講者にも講師にもなりたいし、もっと勉強したい。」
 柴「世田谷パブリックシアターおよびシアタートラムは、世田谷線と田園都市線とほぼ直結する素晴らしいロケーションにある。劇場の中にいる作り手と観客、そしてそれを見かける外部の人(劇場に来たことのない人)が、交わるきっかけを生むことを前提とした公演をしてみたい。」
 中屋敷「劇場がアーティストを抱えるといいと思う。今は劇場と芸術団体とはお互いに利用しあう関係にあるが、もっと(共犯関係を結ぶように)密接にかかわり合っていいのではないか。そして劇場を支援してる観客も、積極的に(劇場や団体に)意見をするなどしてかかわって欲しい。」

出演:内田淳子/粕谷吉洋/久世星佳/谷川昭一朗/中村美貴/ベンガル/宮田早苗/吉見一豊 ※出演者は五十音順
脚本:太田省吾 演出:中屋敷法仁(柿喰う客) 舞台監督:鈴木章友 照明プラン:三谷恵子 照明操作:大屋惠一 音響プラン:小笠原康雅 音響操作:中田摩利子 遠藤瑶子 プロダクションマネージャー:福田純平 道具製作:水森利明 衣裳:三茶小町 小道具協力:高津映画装飾株式会社 法務アドバイザー:福井建策 営業:鶴巻智恵子 吉兼恵利 広報:宮村恵子 和久井彩 武井美津子 制作進行:相見真紀 制作:穂坂智恵子 矢作勝義 大下玲美 菅原力 内田安紗子 [主催] 財団法人せたがや文化財団 [企画制作] 世田谷パブリックシアター
【休演日】5/8【発売日】2010/04/04 一般 各作品1,000円 高校生以下500円(劇場チケットセンターのみ取扱い、年齢の確認できるもの要提示)  TSSS 500円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/05/3_1.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年05月09日 19:42 | TrackBack (0)