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2010年11月03日

彩の国さいたま芸術劇場・彩の国シェイクスピア・シリーズ第23弾『じゃじゃ馬馴らし』10/14-30彩の国さいたま芸術劇場大ホール

 蜷川幸雄さんがシェイクスピア戯曲を上演する企画の第23弾。中でも出演者が男性俳優のみの“オールメール”シリーズです(過去レビュー⇒)。
 『じゃじゃ馬馴らし』はこれまでいくつか拝見きましたが、“男性が女性を調教する”というテーマが前面に出ているように受け取れるので、好き嫌いが分かれる戯曲のようです。

 キャタリーナ役の市川亀治郎さんがとにかく素晴らしい!カーテンコールでも独壇場!

 ⇒CoRich舞台芸術!『じゃじゃ馬馴らし』

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 修学のためパドヴァにやってきたルーセンショーは、資産家のバプティスタが妹娘の求婚者たちに「姉の嫁ぎ先が決まるまで誰も妹と結婚をさせない」と宣言しているところへ出くわす。従順で美しい妹ビアンカに対し、姉のキャタリーナは鼻っ柱が強く、街でも有名な‘じゃじゃ馬’。男などまるで眼中にない姉娘の結婚が条件となり苦りきる求婚者たちをよそに、ルーセンショーは召使のトラーニオを身代わりにし、自分は偽名を語ってビアンカの家庭教師になりすます。彼もまた、ビアンカに一目惚れしてしまったのだ。
 求婚者のひとりであるホーテンショーの元へ、ヴェローナからペトルーチオという紳士が訪ねてくる。彼もまた結婚相手を探していた。相手は金さえあれば誰でもよいペトルーチオは強引にキャタリーナとの結婚話を進める。破天荒なペトルーチオの振舞いに辟易するキャタリーナ。それをよそに結婚話を進めるバプティスタだが…。
 果たして、ルーセンショーはビアンカと結婚出来るのか?
 そして、ペトルーチオはキャタリーナを従順な妻に変える ― じゃじゃ馬馴らしは成功するのか?
 それぞれの結末は如何に…?
 ≪ここまで≫

 ボッティチェリ『春 (ラ・プリマヴェーラ)』 をバックにしたシンプルな装置。ちょっとさびしかったです。衣裳はカラフルで楽しいんだけど。

 亀治郎さん演じるキャタリーナに求婚する“変人”ペトルーチオ役は筧利夫さん。「セリフの意味なんか関係ねー!」と言わんばかりの超絶早口の筧節。お好きな人はいらっしゃるでしょうけど、私は苦手。絶対にかみあわない男女(というか人間)と見ればいいのかな。

 亀治郎さんの他だと、主人ルーセンショーと立場を入れ替えるトラーニオ役の田島優成さんがとても良かったです。『いさかい』でもみずみずしい魅力あふれる方だったので、さらに成長されているのが観られて嬉しいですね。

 ここからネタバレします。

 暴力的なペトルーチオにすっかり降参した(かのように見える)キャタリーナ。実家に帰って見事に貞淑な妻の姿を見せつけますが、ペトルーチオの剣を取ってのスピーチが面白かったですね。夫を主人とあがめるのは仮の姿。「いつだって反旗を翻す用意はできているのよ♪」と賢く、したたかに生きることを選んだのだと受け取りました。たしかに本性丸出しの女性は魅力ないですものね。
 対して、キャタリーナの妹で淑女の鑑であるビアンカ(月川悠貴)が、夫ルーセンショー(山本裕典)を馬鹿にするような態度を見せるエンディングも良かったです。

≪さいたま、大阪≫
出演:市川亀治郎(キャタリーナ) 筧利夫(ペトルーチオ) 山本裕典(ルーセンショー) 月川悠貴(ピアンカ) 磯部勉(役者1/パプティスタ・ミノラ) 原康義(役者/グレミオー/ゲイプリエル) 廣田高志(領主/貴族/ヴィンセンショー) 横田栄司(役者/ホーテンショー) 日野利彦(役者/召使い/ピーター) 妹尾正文(スライ) 大川ヒロキ(猟師1/グルーミオ) 岡田正(居酒屋のおかみ/シュガーソップ) 清家栄一(猟師2/従者/貴族/アダム/帽子屋/未亡人) 飯田邦博(役者/楽士/商人) 新川將人(従者1/貴族/カーティス) 井面猛志(従者2/貴族/フィリップ) 澤魁士(従者/使者/楽士/ナサニエル) 田島優成(役者/トラーニオ) 川口覚(役者/ピオンデロ) 五味良介(従者/ウォルター/役人) 宮田幸輝(小姓) 石橋直人(従者3/貴族/ニコラス) 荻野貴継(従者/ジョセフ/役人) ミュージシャン:松延耕資(役者/楽士(アコーディオン)/グレゴリー) 森陽介(役者/楽士(サックス)/レイフ)
脚本:W.シェイクスピア 翻訳:松岡和子 演出:蜷川幸雄 美術:中越司 照明:大島祐夫 衣裳:宮本宣子 音響:井上正弘 ヘアメイク:佐藤裕子 音楽:阿部海太郎 振付:広崎うらん 擬闘:栗原直樹 演出補:井上尊晶 演出助手:藤田俊太郎 舞台監督:濱野貴彦 主催:財団法人埼玉県芸術文化振興財団 テレビ朝日 制作:財団法人埼玉県芸術文化振興財団 ホリプロ 企画:彩の国さいたま芸術劇場シェイクスピア企画委員会
【発売日】2010/07/31 一般/S席:9,000円、A席:7,000円、B席:5,000円、学生席:2,000円(※学生席は劇場のみ取り扱い)
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/p1014.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年11月03日 22:33 | TrackBack (0)