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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2011年10月22日

風琴工房『Archives of Leviathan(アーカイブズ・オブ・リヴァイアサン)』10/19-24ザ・スズナリ

 詩森ろばさんが作・演出・主宰される風琴工房の新作は、いきのいい若い男性ばかり9人が出演する、現代日本を舞台にした緻密な会話劇。ごく最近の科学的な発明にまつわる、男たちの嫉妬の物語です。

 面白かった~~~~! 装着、照明、音響(生演奏)、俳優によるアンサンブルがすっごく楽しい!!ロビーで販売されていた上演台本(1000円)を購入。上演時間は約1時間45分。高校生以下1000円(枚数限定)!内容的に男子高演劇部にもぴったりかも。

 劇場に入るなり「来て良かった!」と思うはず。ぜひお友達を誘って下北沢へGO!

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 ⇒劇団によるトゥギャッターまとめ
  もっと詳しく書きたいんですがレビューは短めです。多忙のため・・・すみません・・・。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 舞台となるのはとある地方にある、化学会社。
 その小さく地味な会社で
 とある世界的な発明がなされようとしていた。
 それは、長年に渡り世界中の科学者が挑み、
 作ることができなかった
 ある「光」の開発であった。

 Leviathan レヴィアタン、
 英語読みだとリヴァイアサン、
 海に棲む怪物。
 七つの大罪では嫉妬を司る悪魔。
 これはとある世界的な発明を巡る
 九人の男たちの嫉妬を巡る物語。
 ≪ここまで≫

 演劇ならではの重層性も堂々と出して、ストーリーもわかりやすくて面白い、一般の人も演劇通も楽しめる娯楽作だと思います。
 役者さんは全員出ずっぱりです。慎重に、でも小さく収まらずアグレッシブに・・・と、俳優に課せられた仕事は盛り沢山。ライブ感を出す仕掛けや劇中劇に見せる構造も効果的です。欲深に冒険に出て、ぎりぎりの抑制を効かせた演出。それに応えた俳優陣も素晴らしい。

 いつも思うんですが、詩森さんのブログを読むとすごく観たくなるんです。ぜひ読んでみてくださいませ(今作品についてはこのあたりから)。特に今回は男子校のような稽古場の雰囲気がよく伝わってきました。そしてお芝居にもそれが反映されています。

 ここからネタバレします。

 ほぞ組み(?)の繊細な本棚に囲まれた舞台。青色発光ダイオードの照明が瓶を照らした時は背中からシビれました。床には縦横の裂け目があり、そこからも青い光が。この発明は芸術にも大いに影響を与えています。
 チェスを思わせるオープニングはかっこ良いんだけど、かっこ良すぎてちょっと笑えたりも(それが良かった)。透けた本棚の向こう側で、役者さんが白衣の上から水を被ったのには驚かされました。舞台脇で待機している俳優が舞台中央で行われている会話にチャチャを入れたりもします。

 開発に成功したのは(裁判に実質的に勝つのは)伊勢谷(酒巻誉洋)ですが、主人公は冒頭と最後に登場した日下(金成均)だったのだろうと思います。一番熱心に協力し続けたプロジェクトが、決して成功しないようにと祈ってしまう。人間にはそういうところありますよね。献身的に尽くすほど、その対象を呪ってしまうとか。

 日本企業のルールや慣習はロジカルに考えるとおかしいことだらけですが、でもアオはその環境があったからこそ生まれたのかもしれない。白黒つけず、責任を取らず、しらばっくれ続けるのは犯罪行為になることもありますが、灰色にしたまま見守り続けることで大切なものの命が永らえることもありますよね。そんなことを考えました。

 ⇒AllAbout「中村修二氏の職務発明訴訟に高額判決出る! 青色LED訴訟、200億円の判決

風琴工房code.30
【出演者】人事部新人:東谷英人(DULL-COLORED POP) ガンちゃん:岡本篤(劇団チョコレートケーキ) 日下:金成均 伊勢谷:酒巻誉洋 開発室新人:佐野功 開発室医療部門:園田裕樹(はらぺこペンギン!) フリーライター:多根周作(ハイリンド) 人事部部長:寺井義貴(ブルドッキングヘッドロック) 開発室室長:根津茂尚(あひるなんちゃら)
作・演出:詩森ろば 舞台美術デザイン:杉山至+鴉屋 照明プラン:榊美香(有限会社アイズ) 音響プラン:青木タクヘイ(STAGE OFFICE) 舞台監督:小野八着(JETSTREAM) ドラマトゥルク:大塩哲史(北京蝶々) 演出助手:元吉庸泰(エムキチビート/虚構の劇団) 沼景子(虚構の劇団) 早坂彩(トレモロ) 制作:池田智哉(feblabo) チラシ画:塩崎顕「Judgement」 宣伝美術:詩森ろば 助成:トップレベルの舞台芸術創造事業/東京都芸術文化発信事業
(全席指定)一般前売 3300円/当日 3500円 大学生 2300円(枚数限定) 高校生以下1000円(枚数限定) 障碍者1500円《前半はじめて割》 19日(水)、20日(木)、21日(金)の3日間、風琴工房に初めていらっしゃるお客様とご来場頂くとお一人様分ご招待となります。
http://windyharp.org/leviathan/info.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年10月22日 11:27 | TrackBack (0)