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2011年12月02日

ブリティッシュ・カウンシル「ナショナル・シアター・ウェールズ芸術監督を囲んだ意見交換会」12/01ブリティッシュ・カウンシル東京センター

 友人に誘われて、ナショナル・シアター・ウェールズ芸術監督を囲んだ意見交換会に参加させていただきました。
 ナショナル・シアター・ウェールズとは、イギリス・ウェールズ地方の国立劇場で、2009年に設立されたばかり。なんと建物としての「劇場」を持たない、国立劇場(ナショナル・シアター)なのです。

 公式サイトの舞台写真がかっこいい!ぜひご覧ください。⇒公演記録トレイラー(2年目のラインナップ)

 芸術監督のジョン・マクグラスさん(John McGrath ⇒ツイッター)が、オープンした最初の1年間(2010年)について、写真とともに詳しくお話しくださいました。毎月1回、つまり1年に12本の新作を、ウェールズ各地の個性的な場所(劇場ではない空間)で上演してきたそうです。国立劇場のスタッフは15人で、各公演ごとにアーティストやフリーランスのスタッフを雇うスタイル。1年間で600人以上のフリーランスの方々と仕事をされたそうです。

 インターネット上に誰でも参加できるコミュニティーを作って、それが作品創作とも直結していることには驚かされました。“壁のない劇場(theatre without walls)”は、オンラインでも世界へと開かれているんですね。

 公演とセットで開催される「アッセンブリー」と呼ばれる集会は、作り手と観客とが作品を通じて直接意見交換できる場で、舞台作品が箱の中の芸術に終わることなく、各地域およびそこに住む人々と不可分な関係を築く機会となっています。

 2010年の12ヶ月間の最後を飾る「パッション(The Passion)」は、上演時間3日間72時間の大作で、プロのスタッフ・キャストを一部含む1,000人もの市民がさまざまな形で参加。上演会場となったポート・タルボット市には12,000人もの観客が集まったそうです。いわゆるキリスト受難劇としてだけでなく、ポート・タルボット市の今の姿を描き、同作はその年のイギリス全土を対象とした演劇賞を受賞されました。

 刺激的で、未来への明るい想像ができるお話でした。劇場の中の座席という小さな個室での演劇鑑賞と、街中で多くの他の観客とともに味わう演劇体験には、それぞれに違う価値がありますよね。ナショナル・シアター・ウェールズという劇場(=演劇団体)の活動にこれからも注目していきたいです。


ナショナル・シアター・ウェールズ芸術監督を囲んだ意見交換会
‐コミュニティとの新しい関係性を模索する「壁のない劇場」の取り組みとは?‐
劇場という特定の活動拠点を持たない演劇団体として、その革新的な活動として注目を集めている英国のナショナル・シアター・ウェールズの芸術監督、ジョン・マクグラス氏の来日にあわせて、ブリティッシュ・カウンシルは日英の劇場運営のあり方について意見交換するラウンドテーブルセッションを以下の通り開催致します。皆様のご参加をお待ちしております。
日時: 2011年12月1日(木) 15:30 -17:30
会場: ブリティッシュ・カウンシル 東京センター
定員: 20名 参加費:無料 / 通訳あり 主催: ブリティッシュ・カウンシル 協力: 新国立劇場
お申込・問合せ: ブリティッシュ・カウンシル
http://forum.fringe.jp/comments.php?DiscussionID=471&page=1#Item_0
ブリティッシュ・カウンシル:http://www.britishcouncil.org/jp/japan.htm
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Posted by shinobu at 2011年12月02日 11:09 | TrackBack (0)