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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2012年02月21日

さいたまネクスト・シアター『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』02/20‐03/01彩の国さいたま芸術劇場 インサイド・シアター(大ホール内)

 20日ぶりに劇場に行って参りました・・・!1人で遠出はまだ不安なので付き添いと一緒に、がっつり分厚い『ハムレット』!幸せ~~~~♪『ハムレット』ってこんなに盛りだくさんな物語だったのね~~~~!!(←何度も観てるはずなのに)

 まだ無名の若い俳優ばかりとはいえ出演者は大勢ですし、美術も衣裳も贅沢です。そして、攻めまくりの蜷川幸雄演出!こまどり姉妹の登場には目を剥きました(笑)。

 一般4,000円は安すぎます。全席自由席ですので劇場へはお早めにどうぞ。三方からステージを囲む座席で、私は正面の席を選びました。上演時間は約3時間35分弱(第1幕:1時間45分/休憩:15分/第2幕:1時間35分)。

 ⇒朝日新聞埼玉・蜷川幸雄 人生教室「(上)愛情の罵倒」「(中)集団に生きろ」「(下)世界と出会え
 ⇒CoRich舞台芸術!『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」
 レビューはネタバレ以前まで。

 病み上がりにいきなり3時間以上の大作でしたが、全く問題なし。演劇ってすごく贅沢なのだとビシバシ再確認しました。舞台に生身の人間が出てきて、目の前で演じてくれるんだもの!(←当たり前のことだけど) 一番初めの亡霊のシーンで、あまりのありがたさに、ほぼ涙ぐんでました(笑)。ネクスト・シアター公演では毎度のことですが、特殊な座席に案内してくださるスタッフが大勢いらっしゃることも贅沢だな~としみじみ。久しぶりの観劇で、再発見大すぎ(嬉涙)。

 オープニングの仕掛け(=ズバリ、装置)にハっとさせられ、観客を劇世界へと強引に誘いこんでくれる大人のサービス精神を実感。「今の若者が演じている劇である」という構造をわざとあらわにする演出は、ネクスト・シアターの若い俳優にとっては有利でしかないですし、有名古典を一瞬で現代に引き寄せる効果があります。
 そして原作に忠実に(あまりカットせず)『ハムレット』を上演・・・と思いきや、なぜか、こまどり姉妹が登場!・・・しばらく開いた口がふさがりませんでした(笑)。でも、必死で這いつくばり食らいついて行くピチピチした若者と、穏やかに、ほがらかに、堂々と持ち歌を歌う老婦人との対比は、グロテスクなほど鮮烈。色んな事を考えさせられ、帰路も充実しました。

 川口覚さん演じるハムレットは、知的で上品で、繊細で正直で不器用で・・・「かつては国民の人気者だった」というバックグラウンドをするりと信じられました。心を病んだ好青年というよりは、慈愛と憂いに満ちた、宣教者のような人物で(衣裳の影響もあるかも)、私はとても良かったと思います。
 深谷美歩さんのオフィーリアは、すっかり自分のものにした演技で、余裕さえ感じられる「狂女」でした。舞台を1人で制覇してたな~。

 2月1日に拝見した『ミュージカル ハムレット』でもガートルード(王妃)のキャラクターが意外で面白かったんですが、今作でもまた、(私には)つかみきれない人物でした。私の中ではメル・ギブソン主演の映画「ハムレット」でグレン・クローズさんが演じたガートルードが、ある意味、基本(ベース)になっているかもしれません。

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 ここからネタバレします。書けたら加筆します。

第3回公演
出演(さいたまネクスト・シアター):浅場万矢、浦野真介、大橋一輝、川口覚(ハムレット)、熊澤さえか、小久保寿人(ホレイシオ)、佐々木美奈、周本絵梨香、 鈴木彰紀、朕紗友、手打隆盛(ポローニアス/墓掘り)、土井睦月子(ガートルード)、隼太(ギルデンスターン)、深谷美歩(オフィーリア)、堀源起(レアティーズ)、松田慎也(亡霊/クローディアス)、茂手木桜子、 露敏、内田健司(暗殺者ルシエーナス)、内田真莉奈、岡部恭子、長内映里香、河内耕史、白川美波、高橋クレア、高山皓伍(ローゼンクランツ)、平山遼、何嘉晃、吉武遥、中西晶(フォーティンブラス) 【特別出演】こまどり姉妹 ※茂手木桜子は怪我のため出演を見送り。
脚本:W.シェイクスピア 翻訳:河合祥一郎 演出:蜷川幸雄 演出補 :井上尊晶 美術:中西紀恵 主催・企画・製作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
【休演日】2/23【発売日】2011/11/26 全席自由 一般4,000円 メンバーズ3,600円 未就学児童は入場不可。
※大ホール舞台上の特設客席のため、客席及び椅子の形状が通常とは異なりますのでご了承ください。
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2012/p0220.html
http://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/archives/51774512.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2012年02月21日 23:07 | TrackBack (0)