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REVIEW

2012年08月19日

ACT commune「航跡」『セイム・タイム・ネクストイヤー』08/07-09 APOCシアター

 『セイム・タイム・ネクストイヤー』はある男女の25年間のお話。加藤健一事務所公演で拝見したことがあります。とてもいい戯曲なんですよね。今回は新国立劇場演劇研修所5期生(修了生)のお2人が出演される公演なので伺いました。

 小さな劇場での無名の俳優の二人芝居で、前売り3000円(ワンドリンク付き)は、ちょっと高い目だな~と思ったのですが、観終わった時にはそのお値段に納得でした。上演時間は約2時間30分(途中休憩10分を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『セイム・タイム・ネクストイヤー

 ≪作品紹介≫ 公式ブログより一部抜粋。
 このセイムタイムネクストイヤーという作品は、とある男女が一年に一度だけ
 ある場所で会い、24年間に渡る歳月を五年ごとに二幕六場で上演します。
 ≪ここまで≫

 舞台はあるホテルの一室。中央にベッド。奥にソファ。転換時はギターの生演奏があります。

 ジョージ(梶原航)とドリス(北澤小枝子)というアメリカ人の男女の約25年間を描きますので、2人とも場面ごとに年を取り、衣裳も演技ももちろん変化します。手ごわい2人芝居ですが、最後までまったく退屈することなく観られました。その場のその気持ちに嘘がないので、言葉づらだけの、とりつくろったような演技がないのがいいんですよね。
 
 ジョージはコミカルなキャラクターが好感度大。ドリスは各場面ごとにもっと過激に変化してもいいだろうと思いました。彼女はジョージよりも波乱ぶくみの人生ですし、女性は外見(服装)の変化によって歩き方も言葉づかいも節操なく変わるんじゃないかしら。衣裳が全体的に地味だったせいもあるかもしれません。

 ここからネタバレします。

 お互いに結婚もしていて子供もいるけれど、毎年1度、同じホテルの1室で会う2人。場面は1951年、1956年、1961年、1965年、1970年、1975年という5年ごとの6場から成ります。

 それぞれの求めるもの、目指す夢が変化して、会う度にズレが生じます。正直に気持ちを確かめることから始める2人の貪欲さが唯一無二の信頼関係を築いたのだと思うと、人間のコミュニケーションに希望が持てます。
 稼ぎまくっていたジョージが金に興味を失った時、ドリスは自分の店を拡大しようとビジネスに没頭しているなど、2人のすれ違いがとても面白いです。いい戯曲ですね。また違うカップルでも観てみたいです。

梶原航プロモーション公演 "same time next year"
出演:梶原航 北澤小枝子(FMG) 生演奏:寺中名人
脚本:バーナード・スレイド 翻訳・演出:小山裕嗣(CPProject) 舞台監督:渡邊歩 照明:塩田和行 照明オペ:井上雅照 宣伝美術:三上毅 衣裳:大澤久美子 北澤小枝子 制作統括:梶原航 後援:梶原航私設応援団「オーナーサポーターズ」 主催:ACT commune「航跡」
【発売日】2012/07/07 前売り・当日共に3,000円 。ワンドリンク付
http://apoc-theater.net/?m=20120807&cat=3
http://ameblo.jp/actcommune/entry-11316211168.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2012年08月19日 00:03 | TrackBack (0)