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しのぶの演劇レビュー
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2013年02月09日

【写真レポート】シアター風姿花伝「10周年記念プロジェクト制作発表会」02/04シアター風姿花伝

 女優の那須佐代子さんが支配人をつとめるシアター風姿花伝が、「10周年記念プロジェクト制作発表会」を盛大に催されました。大きな5本の柱と4つの試みから成る同プロジェクトは、劇場の運営方針を刷新する、冒険心に満ちたものでした。

 驚くほど盛りだくさんです。概要は公式サイトでご確認ください。ネクストさんのニュースが簡潔でとてもわかりやすいです。
 ⇒Next News-Headline【発信型劇場として再スタート】シアター風姿花伝が「10周年プロジェクト」を発表
 ⇒BS日テレ「ミニシアターの熱気と活気を」…黄金コメディフェス後援

 個人的には5月のDULL-COLORED POP『プルーフ/証明』(作:デヴィッド・オーバーン 翻訳・演出:谷賢一 ⇒過去レビュー)、6月のRunsFirstプロデュース『帰郷/ホームカミング』(作:ピンター 翻訳・演出:小川絵梨子)が楽しみでたまりません!

【写真(敬称略)↓上段左から:天野峻(ハイブリットハイジ座)、山田佳奈(ロ字ック)、鈴木雄太(8割世界)、モラル(犬と串)、目崎剛(+1[たすいち])】

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【写真(敬称略)↑下段左から:会沢ナオト(シアター風姿花伝アソシエイト・ディレクター)、ほさかよう(空想組曲)、谷賢一(DULL-COLORED POP)、小川絵梨子、那須佐代子(シアター風姿花伝支配人)】

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那須佐代子さん

那須:10周年を機に、より若い才能あふれる演劇人の集まる劇場に、質の高いお芝居のかかる劇場に、生まれ変わりたい。私が劇団青年座に長年所属して築きあげた関係性と、新しく出会った若い小劇場の才能たちが出会い、有意義な形で結びあう、懸け橋となる劇場にしたいと思います。

【しのぶよりひとこと】
 東京の民間小劇場の中で、路線をはっきり示してファンも獲得している劇場というと、筆頭はこまばアゴラ劇場王子小劇場だと思います。劇場側が上演団体を選んできた結果、この2つの劇場から、多くの人気劇団やプロとして活躍する演劇人が輩出されてきました。 
 シアター風姿花伝も「使いたい人に貸す」だけでなく、自らものを作り、ものを言う劇場へと変身されました。発表された数々の企画を通じて劇場独特のカラーが浸透すれば、常連団体も固定客も育っていくと思います。

 この度発表された企画は、舞台芸術団体にとって有益なものばかりだと思います。特に若手演劇人には、那須さん世代のプロの演劇人とかかわりを持つチャンスを、是非ともつかんでいただきたいです。10日間、1ヵ月間の長期間公演は大変にチャレンジングですが、劇場と二人三脚で企画実行をする機会は貴重ですし、自分たちだけでは到達できない世界が見えると思います。劇場に直接メールしたり、電話したりして、支配人の那須さん、アソシエイト・ディレクターの会沢ナオトさんにアプローチしてみてください。まずは作品を観てもらうといいのではないでしょうか。

 一観客としては、玉石混交の舞台芸術界にキュレーションを行う小劇場が新生したことを、とてもありがたく思います。こまばアゴラ劇場も王子小劇場も、昔はいわゆる普通の小劇場でした。でも今では、作り手側からは「この劇場で上演したい」と切望され、観客からは「あそこでやる公演は面白い」と言われる、特別な劇場になっています。いつかシアター風姿花伝も「若手劇団の登竜門」と呼ばれる日が来るかもしれません。

 シアター風姿花伝で上演される公演すべてが観られる、支援会員制度もこの4月から始まるそうです。今年度だけでなくこれから数年先も、シアター風姿花伝に注目していきたいと思います。

 ※民間小劇場のシアターグリーンサンモールスタジオも劇場主催の賞を発表されています。
 ※こまばアゴラ劇場は年間通して公演選定を行っていましたが、今は一部貸館になりました。


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:38 | TrackBack

【お知らせ】「CoRich舞台芸術まつり!2013春」の募集締め切りは2月12日(月)朝10時!

 「CoRich舞台芸術まつり!2013春」の募集締め切りまであと3日です。「応募するメリット」について、以下で少し解説したいと思います。⇒現在の応募数 ⇒告知エントリー ⇒応募のコツ(2011年) 

 応募できるのは2013年3~5月に上演される客席数300席以下(東京以外は500席以下)の公演です。CoRich舞台芸術!に公演情報を登録して、3つの文章を書けばOK。ギュ!っと気合いを入れて頑張れば、数時間で大丈夫だと思います。※詳細は公式サイトでご確認を。
 「公演に携わっているメンバー」に5名登録することだけは、1人ではできませんので、座組み全員で力を合わせる機会にしていただきたいです。

 お願い:〆切直前の応募はアクセス過多によるエラー発生の可能性を高めますので、どうか避けてください。もしものことを考えて、時間に余裕をもってください。〆切時刻までは誤字修正も可能です。

※過去のグランプリ受賞者:FUKAIPRODUCE羽衣箱庭円舞曲柿喰う客MCR渡辺源四郎商店風琴工房

【「CoRich舞台芸術まつり!2013春」に参加するメリット】
 
■応募団体
・「団体紹介」「応募公演の意気込み」「将来のビジョン」がネット上に公開されるので、審査員だけでなく観客にもアピールできます。団体の今と未来を見据えて、書いてみるいい機会だと思います。
・フェス終了の6月まで、CoRich舞台芸術!TOPページにチラシ画像がランダム表示されます。

■最終審査に進む10団体
・審査員が公演を観に行って「観てきた!」にコメント投稿し、サイト上の記録に残ります。
・審査員が公演地までうかがいますので、「審査のために上京する」などの費用はかかりません
・これまでの参加団体に聞いたところ、動員数が伸びるようです。

■グランプリ受賞団体
・グランプリ受賞者には100万円が贈呈されます。今回から用途は問われません。
・グランプリ受賞作の再演が条件になりますが、受賞後2年以内の猶予があります。
・グランプリ受賞作の再演時は主催者が変わってもOK。たとえば公共劇場のプロデュース公演として再演することも可能です。

※準グランプリ、俳優賞もあります。表彰されて記録に残るだけでなく、記念バナーやチラシ広告掲出権という副賞あり。

【7年目に思うこと】
 今回から応募条件が変わり、グランプリ受賞団体には受賞後2年以内に、グランプリ受賞作を再演していただくことになりました。従って、2013年の年末までに応募公演の次の公演予定がなくても、応募できます。初年度から7年連続で審査員をつとめてきて、今回からフェスティバルの方向性も変わったような気がしています。

 東京では年に2~3本の公演を実施する団体は珍しくなく、毎回連続してクオリティーの高い作品を発表する団体もあります。でも東京以外だと、そんなに頻繁に活動している団体は少ないんですよね。これで東京以外の地域の劇団への門戸が、さらに広く開かれたのではないでしょうか。 

 私を含め観客は「新作を観たい」と思いがちですから、団体はそれに応えるべく(そうせざるを得なくて)次々と新作を発表し、その両輪が、作品を安易に消費するサイクルを加速させていると思います。作品の消費は才能の消費です。作り手を疲弊させれば、その悪影響は観客にも還ってきます。作る側と観る側がともに作品を大切にすることで、舞台芸術の幸福をもっと広く、豊かに持続させられないだろうか。そんな夢みたいなことを願いながら、日本全国からの応募を待っています。


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:38 | TrackBack