2001年06月22日
遊◎機械プロデュース『ムーン・パレス』06/21-07/01新国立劇場小劇場
映画「スモーク」等で有名なアメリカの小説家(映画監督)ポール・オースター氏の作品の舞台化です。
蒼くて黒くて、暗くて長かった・・・。なんだか全てにおいて「青みがさした真っ黒」なお芝居でした。
全体的には、松本修構成・演出、カフカ原作『アメリカ』シアタートラム3/16- 3/25に似ていました。
ポール・オースター監督の映画だと私は「ルル・オン・ザ・ブリッジ」を観たのですがとっても幻想的な大人の童話であり、ストーリーはかなり荒唐無稽でした。そういうの、好きなんですけどね。この「ムーン・パレス」もその種類だと思います。映画だったら良かったかもしれないけど、お芝居にすることはなかったんじゃないかな・・・。
主役の遠藤雅(えんどう・まさし)さんは映画でよく活躍されている役者さんのようです。いわゆる美少年な風貌で、若さとみなぎる生命力を感じられる人でしたが、2時間10分を語り手としてやりきるには難しそうに見えました。でも、泣く(嗚咽に近い)シーンでは、こちらもつられて泣いちゃうほど心に響きました。
初日の緊張感が良い意味でも悪い意味でもみなぎっていました。こっちがハラハラすることが多すぎたかな。役者さんに若い人が多かったのも一因かも。
遊◎機械全自動シアター私設サイト : http://www1.u-netsurf.ne.jp/~fanatics/yukikai/
新国立劇場HP : http://www.nntt.jac.go.jp/
2001年06月21日
コクーン歌舞伎『三人吉三』06/05-27シアターコクーン
初めてのスタンディング・オベーションでした・・・・!!
見所が一杯ありすぎてここで全部言い表すのがとっても大変!(なので書けません)
一番良かったのは・・・・照明、かな。うふふ。
日本人で良かった。コレを心から楽しめる私で、本当にラッキーだと思いました。
串田和美さんがシアターコクーンで演出すると、やりたい放題って感じですね。
客席でお弁当食べられるし、ロビーには露店が出てるし。
そして舞台は・・・・これでもか!?あ、こぉれぇでぇえもぉお、くぁぁぁぁあああああ??とでも申しましょうか(笑)。
あー・・・・プロ。粋。
もうお腹いっぱいです。満足です。
歌舞伎役者の皆様、ありがとう。串田さん、本当にありがとう!
≪追記≫
あんなに大量の紙吹雪を初めて観ました。演じる役者の上に容赦なくドサッ、ドサッ、バサッ!と落ちてくる!
2001年06月18日
松竹六月公演『蜘蛛巣城』新橋演舞場06/04-28
シェイクスピアの「マクベス」が基となっている黒澤明監督の映画「蜘蛛巣城」の舞台化です。
鷲津武時(わしづ・たけとき)役に中村吉右衛門さん、その妻・浅茅(あさじ)役に麻実れいさん。つまり、吉右衛門マクベスと麻実マクベス夫人という超豪華キャストです。
ストーリーや登場人物が少々変わっていましたね。原作よりも日本的な無常観やわびしさ、虚しさが増していた気がします。マクベス夫人の妹、なんていう登場人物も効果的でした。
大殿様(ダンカン王)を殺す決意をして実際に殺しに行くシーンは「マクベス」で何度も観ているのですが、初めてそのシーンで泣けてきました。殿の寝間へと向かって静かにふすまを開いていく2人の所作がどうしようもなく悲しく、美しく映ったからだと思います。人間の弱さとそれゆえの罪。永遠のテーマだなー・・・。
演舞場の舞台セットってハリボテっぽいのが多い気がするのですが、今回もやはりそうでした。場ごとにセットが変わるから軽くする必要があるのかもしれませんが、でもちょっと心もとなすぎたかな。大きな木の門が開く時にゆらゆら揺れたりするとねー。
麻実さん、めちゃくちゃ大和撫子でしたー・・・。可憐でかよわい、しかし強い意志を兼ね備えた良妻賢母的イメージ。宝塚の男役をしていたなんて想像できないほどの女らしさでした。やっぱり凄い人だ。
ダンカン王のバカ息子役の茂山宗彦(しげやま・むねひこ)さんがとてもキュートでした。『花形狂言少年隊』の一員?(笑)。会場中の笑いを彼一人でかっさらってました。
物の怪(もののけ)の老婆役でピーターさんが出ていらしたのですが、池端慎之介というお名前なんですね。
松竹ホームページ : http://www.shochiku.co.jp/
2001年06月10日
メトロポリタン・オペラ サン=サーンス作曲 『サムソンとデリラ』NHKホール05/31-06/09
テノール世界NO.1と名高いプラシド・ドミンゴさん出演の『サムソンとデリラ』です。
面白かった~・・・・。
ストーリーも演出も音楽もまるでハリウッド映画でした。
宗教の異なる民族同士の紛争の中、お互い敵同士の男女が愛し合います。でも実は女(デリラ)の方が男(サムソン)をだまして捕まえようとしているのです。
(第2幕)
デリラ「鎖を解くことができても私の情熱にはかなわない。
最後の戦いの武器は私の涙よ。サムソンは抵抗できませんわ。」
と悪巧みする強気の悪女デリラ。
悩むサムソンはデリラの手の内でした。
デリラは勝ち誇った微笑を密かに浮かべ、甘く危険な歌声でサムソンに優しくささやきます。
デリラ 「私の優しさに答えて。私を愛の陶酔に浸らせて!」そして嘘泣き。
サムソン「お前の涙は私の苦しみを掻き立てる・・・。」
激しい葛藤と抵抗も虚しく、デリラの魔性に英雄サムソンはまんまと堕ちてしまいます。
サムソン「デリラ、デリラ、お前を愛している!」
・・・男に愛されると女は本当に輝くんだな~。
ドミンゴさんって歌が巧いというよりは、人間として素晴らしい人でした。断言しちゃう。優しくって強くって、とにかくそのオペラの全てを背負って立っていました。彼と共に居ることで、そのオペラに出演している歌い手全員が生き生きとするのでは?
指揮者のジェームズ・レヴァインさんもそんな人なのかも。オーケストラ・ピットに活気を感じました。
1つ難を言わせて頂くと、あのフンドシ男とビキニ女のハレンチな踊りはやめて欲しかったです。「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」とか思い出しちゃった。
ジャパン・アーツHP : http://www.japanarts.co.jp/index2.html
2001年06月03日
新国立劇場演劇『贋作・桜の森の満開の下』新国立劇場 中劇場06/01-30
話題のサクラ、観に行ってまいりました。
野田秀樹さんが劇団・夢の遊眠社時代に書いた作品の2度目の再演(1989年、1992年)です。
私は1度目の再演を観たことがあるのですが、
夜長姫役だった毬谷とも子さんの演技に感動したことを覚えています。
さて今回は9年振りということでキャストも一新です。
私の感想は・・・・
バラバラ。
ただ一言。「バラバラ」でした。
残念。
悲しいですよね。
役者も衣装も音響も舞台も、横のつながりが薄いというか。
例えば、恋している男女の間に恋を感じないんですよね。
そのシーンのBGMもやたら耳に付くし。衣装も飛びぬけすぎてる気がするし。
あと、これは前回も全く同様に感じたのですが、主要な役者以外を単なる雑魚として使うことが私にはとても受け入れ難いです。これはまさに個人的好みなのですが。
ただひたすら帰り道が寂しかったです。
作・演出:野田秀樹 出演:深津絵里 堤真一 他
新国立劇場 : http://www.nntt.jac.go.jp/