2001年09月29日

第三舞台『ファントム・ペイン』ル テアトル銀座09/14-10/1

 第三舞台10年間封印公演ということで。観に行けたことにまず感謝。

 そして第一に言いたいことは・・・・『スナフキンの手紙』の続編なら、最初からそう言ってくれ!!!思い切ってタイトルを『スナフキンの手紙2~ファントム・ペイン~』にするとか!・・・それくらい完璧な続編でした。
 ※これから観られる方はぜひ開演前にロビーで流されているVTRを観てくださいね。

 あと、第三舞台の過去の作品の総集編(ダイジェスト)のような色合いが濃く、「お約束」満載。知らない人も楽しめないわけじゃないが、知っている人ほどは楽しめない公演です。コレ断言。こんなことを最初に書かなければダメだという時点でお芝居自体についての純粋な感想を持つのは難しいですよね・・・・。

 いえ、でも感想は決して「面白くない」「つまんない」とかじゃないです。不要なシーンやセリフがあったとも感じましたが脚本にはステキなセリフがいっぱいだし、好きな役者さんもいっぱいだし。ただ、のめり込むことはできませんでした。最後まで観客になることができず冷静にお芝居の顛末を見届けてしまいました。味わうというよりは確認という感じですね。

 うーむ・・・・それって楽しいと言えるのか?かなり演劇オタク的な見方ですよね。ヤだな。鴻上さん手書きの「ごあいさつ」の影響もあるかもしれません。メタ思考とか書かれてるんだもん。

 ただ、観終わった後は本当に気持ちは充実していました。「20年前から頑張ってきて、今も頑張っていて、そしてこれからも頑張っていく人たちがいる。」それを体で感じることができました。それを伝えてくれただけで「ありがとう」の言葉しか出てきません。アンケートにも思わず「鴻上さん、ありがとう」と書いてしまいました。私の気持ちも伝えたくなったので。

 あ・・・・・そっか。
 第三舞台って双方向なのかも。
 自分達から発信するだけじゃなくて、同時に観客のレスポンスの待ち受け状態でいてくれる。そしてそれをしっかりと受信して、またそれに対して発信する。そのコミュニケーションを守ってくれているから、だから、また観たくなるのかも。

サードステージHP : http://www.thirdstage.com/

Posted by shinobu at 01:32 | TrackBack

2001年09月24日

シアター21『おばかさんの夕食会』世田谷パブリックシアター09/21-30

 1999年にシアターコクーンで大絶賛されたコメディーが早くも再演されました。役者さんも全員同じメンバー。
 いやー・・・・・笑いすぎて疲れきった・・・も~お腹も顔も筋肉痛になっちゃいそう!!

 初演が最高に面白かったので、再演と聞いて迷うことなくチケットを取りました。初演と比べると、細かい演技やセリフのニュアンスが変えられて、こなれていて、もっともっと面白くなっていた気がします。本筋と離れたところでの演技とかね。うぷぷーーーっっっ!思い出しただけで吹き出しちゃうっ(笑)。

 美術も前回に引続き倉本政徳さんという方の作品だったのですが、細かく変化してましたねー。壁にかかっている絵とか、B&Oの電話とか、窓から見えるエッフェル塔とか。
 主役のピエール(陣内孝則さん)がよりイヤな奴に見えて良かった(笑)。
 ”おばかさん”フランソワ役の辻萬長(つじ・かずなが)さん、本当にあんな人なのかと思っちゃうほどリアル。こまつ座の方なんですよねー・・・・新国立劇場で2度ほど辻さんの演技を拝見させていただいたのですが、ものっすごく渋いおじさんなんですよーっ。逆に言うとフランソワが超当たり役??
 ピエールの奥様役の神野三鈴(かんの・みすず)さん、シアター21に続いて出演されてますね。美しい・・・・かなりお気に入りの女優さんです♪

 それにしても本当によく出来たコメディーだと思います。シチュエーション・コメディー、かな?この作品を上質の喜劇の基準にしてこれからのお芝居を観てしまうほど。とにかくお薦めです。何も考えないで劇場へGO!


【観劇掲示板時代のレビューですので、書き込んだ方へのお返事になっています】

 大角健士さんへ
 書き込みをありがとうございます!!また劇場でばったりお会いしたいです♪

> ちゃんと芝居で笑わせられるのはすごいですね。
 そうですよねー・・・決して脚本に書いてあるネタとかじゃないんです。演出と演技で新しく生み出しているんですよね。私も素晴らしいと思いました。

> でも陣内さんの声はちゃんと最後の日まで持つのかなあと・・・
 確かに大きく声を張り上げているシーンが多かったですね。陣内さん、去年より断然うまかったなー・・・。細かいところが着実にウケるように作られていて、それをきっちり身に付けられていたと思いました。

 ジャズ・ピアニストの小曽根真さんが客席にいらっしゃいました。小曽根さんはシアター21の前回公演『おやすみ、こどもたち』で音楽を担当されていたんです。またシアター21ででも、ひょうご舞台芸術ででも、出演(音楽担当)して欲しい!

作=フランシス・ヴェベール 翻訳・演出=鵜山仁
出演=陣内孝則、辻萬長、神野三鈴、白木美貴子 ほか
(東京/世田谷パブリックシアター、大阪/近鉄劇場)
RUP:http://www.rup.co.jp/
世田谷パブリックシアターHP : http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/

Posted by shinobu at 01:21 | TrackBack

2001年09月15日

松たか子主演『セツアンの善人』赤坂ACTシアター09/04-16

 ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトの作品です。串田和美さんの演出で去年、新国立劇場で上演されたものの再演で、高橋克典さんの役を今回は岡本健一さんが演じられています。「三文オペラ」のように音楽劇でしたね。cobaさん作曲の民族モノっぽい音楽の生演奏でした。

 松たか子・オン・ステージ!・・・・でしたね。一人で歌うし一人だけ二役やるし。もー・・・彼女のためだけの舞台っていう感じ。それでACTシアターが満員なんですから、そりゃーそうあるべしですよね。演技は巧いな~と思いました。歌舞伎っぽい感じとかさすがだなーって。声色とかも。
 でも、なんで、こんなに後味が悪いのでしょうか・・・。
 理由は・・・単に私が松さんを苦手なだけっ♪ 単なる個人的嗜好ですね、ハイ。すみませんっ。

 串田さんっぽい演出でした。『VOYAGE』@シアターコクーンに似てます。なんか生っぽく演じて、それも計算というか。それぞれ役者さんも演奏者さんも進んで自由気ままな空気を作ってる。でも、それってもうちょっと小さな劇場でやらないと、お客様との一体感を出すのは難しいですよね。新国立劇場での公演を観たかったです(噂によると今回の方が面白いそうなのですが)。

 外国人の日本語と日本人の日本語の融合・・・とかも狙いらしいのですが、私にとってはただバラバラで野放図、というイメージを受け取るに留まってしまいました。いや、それも劇場が大きすぎるというのが大きな要因だと思います。

 前半1時間30分、20分の休憩を挟んで後半が1時間20分。長いです。前半、1時間ぐらい寝ちゃったかも(笑)。でも後半はどんどん盛り上がって、岡本さんも良さが発揮されてきて、いつもの串田さんの演技にも慣れてきて、お話の中に入っていくことができました。

 魅力的なシーンや巧い演技、心地よい音楽、息のあったアンサンブルなど、「良い」ところがいっぱいあるのですが、それが空中分解したままな感じ。そう、そんな公演でした。

Posted by shinobu at 23:43 | TrackBack