2003年03月22日
ブラジル『ロマンティック海岸/科学ノトリコ』03/20-23王子小劇場
近藤美月さん(bird's-eye view)が出演されるので観に行きました。ブラジル初見です。
めっちゃくちゃ面白かった!!!
久々に「小劇場」の存在価値を再確認しました!
もー・・・・ほんっと思いっきり笑えましたし、最後はほろり・・・。狙いが思いっきり玄人です。そして、生なんです。手作業だし体張ってます。すごい!これぞ見世物。
簡単な言い方をすると(失礼だったらすみません)大人計画のような、というか。度を越した時、自分の受け入れられる許容量を超えた時、人間は笑うしかないんですよね。そういう笑いを体験しました。
2年ぶりの再演だそうで、1人以外全部がオリジナルキャスト。作・演出のブラジリィー・アン・山田さんにお話を聞くことができたのですが、今回はあくまでもエンターテイメントを目指したということです。前回公演『ロマンチック☆草津』の方がもっと濃い、コアな感じだったそうなので、今作品はブラジル初見の方にぜひお薦めだと思います。
いや、とにかく楽しかった。東京の小劇場演劇界というある意味、真っ暗闇の中に、一筋の光を見が気がしました。脚本もセリフも面白いし、なんといっても役者さんの細かな演技と壊れ方が潔いです。観客でよかった、王子まで観に来てよかった、と思えます。
早稲田の劇研つながりなんですね。双数姉妹、東京オレンジ、少年社中、チャリT企画、クリータン・クリート、みたいな。そういうコミュニティーがあるってこと自体を私はあまり知らなかったのですが、最近、よく聞きます。まあそれは小劇場経験者だからでしょうけど。その枠を越えて面白いです。ぜひ足をお運びください。
HPによると「椅子席を42席、桟敷席を約40席ご用意する予定」だそうです。桟敷はつらかった・・・ぜひお早めに劇場へ足をお運びください!
2003年03月16日
東宝ミュージカル『ミー&マイガール』03/02-30帝国劇場
唐沢寿明さんと木村佳乃さんが主演のミュージカルです。
帝国劇場に久し振りに行きました。いい劇場だなー。1階席だといいですね。ホント。
ちゃんとした典型的なミュージカルでした。踊りと歌のレビュー(というのかな?)が楽しかった。ストーリーはあってもなくてもどうでもいいようなモンですが、それはそれということで(笑)。
山田和也さんのミュージカルの演出は素晴らしいと思います。『ジキルとハイド』も感動したし。彼ならミュージカルは間違いないですね。客席にどんどん役者が降りてきて踊って歌うんですよ。唐沢さんが極近くに来て踊る!なんてこった!!最高のサービス♪
衣装も私は大ファンの小峰リリーさん。見とれました。舞台装置や照明、ストーリーに調和させた色使いが絶妙だと思います。あと布使いも。ラインも。大勢(50人ぐらい)で全員違う服を着ているんだけど、グループごとに鮮やかに違いがあり、だけど全体としても調和している。すごい。
装置はいわゆる回る舞台でまさに帝国劇場テイスト。『レ・ミゼラブル』の明るい版というか。圧巻ですよね。あれだけ大きな装置がばんばん動くんだから。夜の星空の演出であんなに莫大な数の小さな電球を散りばめられたら、他の劇場での同じ演出のシーンを見られなくなっちゃう。
唐沢寿明さん。この人は主役しかできない人ですね~。光ってる。スターです。居るだけで満足させてくれます。下町の若者がだんだんと上品な貴族に変わっていく様子は気持ちいいですね。だんだんと唐沢さんになってくる、というか。そういえば最初の下品な若者役の時の見栄の切りかたとかが山崎銀之丞さんに似てました。すっごく。(山崎銀之丞さんが、似てるのかな)
木村佳乃さん。うーん・・・あんまりでしたね。がんばってらっしゃるけど、がさつで元気っていう役は合ってないと思います。『恋人たちの予感』ではすごくキュートだったのに。ああいうのまたやって欲しい。至極おしとやかな薄幸の美少女役とか、高慢ちきで意地悪な女とかも。ファンみたいね、私(笑)。
涼風真世さん。スタイルいいなー。色白で歌も上手くてダンスも上手いし、ミュージカルのための女優さん。さすが宝塚。
本間憲一さん。『彦馬がゆく』では踊られなかったからよくわからなかったけど、踊りはもちろんお上手で、コミカルな演技が最高。三越劇場の『人魚姫』で王子様役やってらっしゃったのが思い出されて笑えました。(すみません。)
東宝『ミー&マイガール』:http://www.toho.co.jp/stage/me_and_my_girl/welcome-j.html
2003年03月13日
AMP『白鳥の湖』02/25-03/14オーチャードホール
『白鳥の湖』というと世界中で知らない大人はいないと言えるチャイコフスキー作曲のバレエの傑作ですが、この作品はその『白鳥・・・』の音楽をそのままに、ストーリーや登場人物を全く変えて演出されたものです。
そもそもこの公演は、出演者はもとより脚本・演出・振付のマシュー・ボーンさんが目玉なんですよね。そして・・・評判どおり素晴らしかった!残念ながら私はバレエについての知識不足のため、バレエ作品としてどういう品質なのかは名言できないのですが舞台作品としては美しく楽しく面白い、文句なしの芸術エンターテイメント作品だと思いました。
チャイコフスキーの音楽、ハイセンスで耽美な美術、豪華な衣装、最高品質の踊り、女装(女形)、劇中劇、という舞台芸術のフルコースの上にマザコン、同性愛、皇族スキャンダル、愛憎のもつれによる殺人、ロボトミー手術、動物変化・・・という誰もが覗き見したくなるような危険な要素がこれでもかと散りばめられています。
軸となるのは白鳥と王子の愛、しかも男同士の恋愛ですからファンタジーの上にタブーまで重なって、それはもう禁断の芳香プンプンです。妖しくなまめかしい男のエロスとドラマティック・ノアール・エンターテイメント、な、バレエ。そしてプラチナ・キャストですから人気なわけです。
古典バレエの振付に加えてコンテンポラリー・ダンスや、群舞での物語表現もありました。白鳥の振付は本当に白鳥のようで、バレエは想像力を喚起する力が非常に大きな芸術なのだと再認識しました。まるで無声映画のようだったな~。バレエって声を出しませんものね。狂おしいほど熱い思いを動きだけで表現していくんです。そのストイックさが日本の古典芸能と同様、現在に、歴史に残っている所以なのだと思います。
美術、衣装については言うことなく素晴らしかったです。あれは日本人にはない色彩感覚ですよね。シックでエスプリが利いています。ロボトミー手術(であろう)のシーンの、視覚的な遊びで本質を突く、影の演出は非常に面白かった。
王子が眠るベッドの下から白鳥が出てきたときも背筋がゾクゾクしましたね~。むずむずと無表情にうごめく白鳥たち。裏切り者を容赦なくいためつけるその野生。
クライマックスはヒッチコック映画ばりの緊張感でした。
主役がトリプルキャストで当日にならないとその日のキャストがわからないという観客泣かせのスケジュールで、当日券にはいつも長蛇の列、お客様はお目当ての人が出るまで毎日通いつづけるとか。
私が拝見したのはアダム・クーパーさんの出演日で、すごく運がいいと言われました。大スター・アダムは鍛えぬかれた大柄の身体で華麗に力強い踊りを見せてくださいました。技術もすごいですがルックスもパーフェクト。ありゃ女なら誰でもファンになっちゃいますね。
そして彼が美しいのは彼自身の技術やルックスだけでなく、彼の繊細な演技が素晴らしいからだと思いました。
脚本・演出・振付:マシュー・ボーン
文化村HP : http://www.bunkamura.co.jp/
2003年03月06日
Studio Life『トーマの心臓』02/27-03/09アートスフィア
男優集団スタジオ・ライフ、日本テレビでもじゃんじゃんCMやってるようですね。『トーマの心臓』は萩尾望都さん原作の少女漫画です。スタジオ・ライフの代表作であり今回が5度目の再演。私は『トーマ・・・』は二度目です。あの時はとにかくボロボロに泣かされました。だから再演でも喜び勇んで劇場に伺いました。
今回はキャストが総勢30人でA~Dの4バージョンあるんです。う~ん、観客泣かせ(笑)。私は笠原浩夫さん、林勇輔さん、そして客演のNIROさん目当てでCバージョンの日に伺いました。
う~ん・・・・長かった・・・。なんかハズしちゃった感じですね~。少しずつ、ズレていたというか。「私が2度目だったから」ではないんですよね~・・・。残念。
まず、私の勝手な想像ですが、美術が計算外だったのではないでしょうか。アートスフィアという大きな劇場ということで前回とは違う、回り舞台にされてましたが、あれではお芝居が下手に寄りっぱなしになっちゃうし、何より転換の音がうるさかった・・・(泣)。静けさが全てのようなお芝居ですし、その辺はとにかくもったいないですよね。
あと、主役(だと思う)のユリスモール役の山本芳樹さんの演技が弱かった。私が前に観たのは曽世海児さんだったんですよ。彼は良かったんだよな~、情熱的で。でも山本さん人気あるみたいですね。ブロマイド売り切れてたし。あ、ブロマイドの売り行きがロビーでオンタイムでわかる状況って、役者にとって残酷だなぁと思いました。
それから、私にとっての最大のマイナス要因は音楽でした・・・。アヴェ・マリアの同じ部分を流しすぎです。痛い。本当に痛い。前回も同じ音楽を使ってましたが今回ほど耳障りではなかったです。どうしたのかにゃー。
林勇輔さん(レドヴィ)。やっぱサイコー。声もいいし、歩き方も立ち方もいい。見とれて聞きほれました。今回、演技でちゃんと劇場を支配できたのは彼だけだったんじゃないかな。残念ながら。この後は無名塾のミュージカルに出演され日本中を周られるため、スタジオライフは1年ほどお休みだそうです。ぐすん。
深山洋貴さん(アンテ)。ちょっぴりイヤミな役をあんなに可愛く出来るのは、スタジオ・ライフでは深山さんだけっ。もっと出て欲しかったな。林さんと深山さん、笠原さん(オスカー)、及川さん(トーマ)の4人が出てらっしゃるシーンは空気が香り立ちました。
NIROさん。神々しいほどのポエティックな耽美さという、この『トーマ・・・』のイメージとは合ってなかったかも。スタジオ・ライフの作品でも他のなら良かったかもしれません。演劇実験室◎万有引力の『さよならの城』では本当に素敵だったのに残念。
さて、次回作はまたまた少女漫画!なんと、樹(いつき)なつみさん原作の『OZ-オズ-』です!こりゃまた必見ですよ、私も大好きなSF漫画で今も単行本を持ってます。あぁ・・・また倉田さんにヤラれた!!
Studio LifeのHP : http://www.studio-life.com/